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2025-03-03 10:00

heldio #226. 英語の理屈ぽい文法事項は18世紀の産物

#英語史 #英語学習 #英語教育 #英文法 #規範文法
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サマリー

18世紀に生まれた英語の理屈っぽい文法の制度を探求し、特にその規範文法の確立過程について議論しています。また、文法の歴史的背景や影響を与えた人物についても言及しています。

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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。 このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった
英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。 毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
英語文法の概念
今回取り上げる話題は、英語の理屈っぽい文法事項は18世紀の産物、
という話題です。 言語の文法というものはルール、規則ですから、当然ながらある程度理屈っぽいわけなんですけれども、
それにしてもですね、ヘイがつくぐらいの理屈っぽさというような文法項目、 たまに見かけたりするんですね。
英文法にも結構あるんですけれども、伝統的に語り継がれたものをいくつか紹介してみたいと思いますね。
まずはですね、 自動詞ライと多動詞レイの区別をつけるべし、というようなことですね。
これライというのは横になるということですね。 そのに対してレイは多動詞で横にする、横たえるということですね。
横たわると横たえるという、自動詞多動詞の違いということなんですが、厄介なのは、活用するとライの方はライレイレインとなって過去形にレイが出てくる。
一方、多動詞の方は原形がレイなんですね。 レイ、レイド、レイドというふうになるわけです。
非常に混乱しがちで暗記するのも大変ですよね。 これ昔から問題視されてきたわけなんですが、逆に言うとですね、
これネイティブの人も含めてですね、これよく間違えてきたということなんですね。
これ実際の文脈の中に現れれば、どちらの意味かというのは自明なんですね。 コンテクストですぐに判断できます。
そもそも多動詞というのは後ろに目的語が来なければいけないので、 後ろに名詞っぽいものがくればこれは多動詞に決まっている。
そうでなければ自動詞だろうというふうに、他の判別法があるにもかかわらず、 動詞それ自体でしっかりと形の区別をつけなさいという理屈っぽさと言いますかね。
規範文法の成立
そういうものが感じられます。 二つ目、
関係代名詞whichの所有格としてwhoseというのを用いるべからず。 先行詞が
ものの場合に使われるのがwhichですよね。 人の場合にはwhoが出てくるわけですよね。 あるいは両方OKなthatなんかもあるんですが、これを所有格にする場合、
ものだろうが人だろうがですね。 つまりwhichだろうがwhoだろうが対応するのはwhoseってことになっています。
しかし形上whoseというのは明らかにwhoという人の関係代名詞ですね。 誰という人の関係代名詞にs、
実際にseですが、これをつけて所有格にしたもんだろうということで、 whichが典型的に取る先行詞、ものとしての先行詞ですね。
これを受けるときにwhoseっていうのは良くないという理屈です。 これも歴史的に見るとですね、やはり
減り屈に近いものがあってですね。というのは、実はこのwhoseに相当するものは、 吠え語からあるんです。
そしてその先行詞が人だろうがものだろうが、とにかくwhoseにあたるものを使っていたという、 歴史的な伝統と言いますかね。長い歴史があるわけです。
なのに、whoseのwhoですね。これは明らかに人の意味である。 だから先行詞がもののときにwhoseっていうのはそぐわないというような理屈ですね。
3点目。 It is meではなくIt is Iとすべきという理屈っぽい文法項目です。
これは主格方語SVCの文ですね。 CにあたるものっていうのはSと同格と言いますかね。 同じ格で、つまり主語の格、主格である。
ですからIt isの後に代名詞、 認証代名詞が来るときはIとかWeとかTheyとかこの形でなければいけない。
これをIt's meとかIt's usとかIt's themという言い方は、 格の対応がおかしくなっているということで、 理屈上It is Iにしなければならないんだという文法事項ですね。
ただ実際には、口語なんかではIt's meの方がよっぽど多く使われている。 むしろこっちは普通ですよね。
なので実際の使用されている関用と、 いわゆる文法が理屈っぽく言っている規則というものには、 ズレがあることっていうのはしばしばあるわけなんですね。
4つ目、文末に前置詞を置くべからずというルールです。 これなんかもう非常にへ理屈なルールだと思うんですけれども、何がそうかというとですね。
前置詞、これプレポジションと言いますが、 文字通り何かの前に置くのが前置詞であるということですね。
逆に言うと、この前置詞の後ろには絶対何かが来なければいけない。 だからこそ前置詞という呼び方をするんだという、ある意味名前にとらわれた発想で、
ただですね、文末に前置が残っちゃうというような、 これはあるんですね。例えば、
The very book I was looking for という時、もちろんこれは元の文は、 I was looking for the book ということなんですが、
これを、The book を前に持ってきて、関係代名詞の節でですね、修飾すると。 そうすると関係代名詞の中ではですね、
The very book I was looking for と、for が残ってしまうわけですよ。
これ自体何も問題ないように見えますが、 前置詞の定義に照らすとこれはおかしいでしょうというような、 取ってつけたような規則、理屈ですね。
最後5点目見てみたいと思いますが、 2つ以上のものの間にはbetweenを使う。 3つ以上のものの間にはamongを使う。
これは先日の放送でも話題にしたことですが、betweenというのは、 語源がby two、2つのものの両方のそばで、 っていうことは両方の真ん中でという意味なわけで、
betweenの後にab and c のように、 3つ来たらこの語源とうまく合わない。 だからダメだという、これも語源にとらわれた、
理屈、へ理屈というべきですね。 このように挙げていくと、こういったある意味様綱、 これを間違えたところで意味がわからなくなるということはない。
しかもむしろ間違いだと言われている方が、 よく使われていたりするケースもあるわけですよ。 it's me みたいなケースですね。
とすると、じゃあこの規則というのは何なんだということになりますね。 これは一般に規範文法というふうに言われています。
文法の規範ですね。これを守らなければいけない。 こう言うべきだとか、こう言うべきではないというような、 ある種の上から押し付けるようなルール種ですね。
これを規範文法というふうに言って、 この伝統が出来上がっているからこそですね、
実体としてはむしろダメと言われている方がよく使われるんだけれども、 この規範文法の伝統というのは非常にある意味強い保守的で、簡単には消えていかないというものなんですね。
じゃあこの規範文法というのはどうしてできたのか。 いつできたのか。誰が作ったのかということなんですけれども、
これはですね、主に18世紀の文法家たち、 いわゆる規範文法家と呼ばれることが多いんですが、
18世紀の規範文法家たちが、こういった細かい点を取り上げてですね、 そこに理屈というか、大体の場合、へ理屈をつけてですね、
定式化したと、これは守るべきですとか、 こういう表現は使うべきではありません、みたいなことを言っていく、項目でどんどん並べていく、 こういう文法書というのが18世紀に非常に多くできたんです。
17世紀後半あたりからその風潮と言いますかね、 規範文法を重視する風潮があったんですが、18世紀あたりにその波がマックスにいたしますね。
ロバート・ラウスの影響
さまざまな規範文法家たちが出てですね、 思い思いの規範文法書を書いていったんですが、 その中でも最もよく知られている人物がロバート・ラウスという人ですね。
ラウスです、ラウスの文法と言われますが、 現代はA Short Introduction to English Grammarというもので、1762年に出版されました。
この18世紀の終わりまでに、これ22版を重ねたというベストセラーです。 こうして多くの規範文法家が現れて、規範文法書を書き、そして人々が22版を重ねるくらいまでですね、よく買ったということです。
これくらい規範文法に対する思いと言いますかね、 ある意味熱狂的な時代だったということになります。
そしてその余波が、当時ほどの熱はないといえですね、 今でもある意味続いていると、そういうことなんですね。
それではまた。
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