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2025-01-31 10:00

heldio #195. なぜ英語には多数の強意語があるのですか?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #強意語 #副詞 #語彙論
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、なぜ英語には多数の強意語があるのですか?
強意語、強調語ですね。
形容詞であるとか、副詞、これを強める言葉。大体副詞なわけですけれども。
もちろん、まず最初に上がるのが、veryという単語ですね。これは、最もよく使う一番普通の強調語だと思いますが、
他にもですね、まあvery、一番普通ですけれども、それ以外にもたくさんの強意語、強調語っていうのを上げることができると思うんですね。
completelyとかperfectlyとかですね。
awfully, hugely, terribly, really, fully, greatly
上げればキリがないくらいですね。
このように強意語、強調語っていうのは非常に種類が多いですね。
もちろんそれぞれのニュアンス、元となる言葉ですね。例えばawfulであるとかhuge、terribleなんてのもそうですが、それぞれにカラーはあるわけなんですが、これにlyがついて強調語、強意語になってしまうと、結局のところ、veryと言ってほとんど変わりがない、そういう表現になるわけですね。
このように強意語というのはどうも類義語が豊富で、たくさん種類があるというのが通常の状態なんですね。
日本語でもそうですね。本当に、とても、非常に、最近の言い方ですと、リアルにとか激とかですね、バリとか鬼のようにとかですね、これはいくらでも出てくるんですね。
時代によってどんどん回転するんですね、この強意語の語彙っていうのは。新しい強意語っていうのがどんどん生まれてくるって言うんですね。これは日本語でも英語でも変わりません。
さあ、これはなぜかっていうことなんですね。これ一言で言うとですね、私は強意、低減の法則と呼んでるんですけれども、強意語というのはですね、最初はもちろんveryの意味で強めるっていう意味で始まるんですが、あまりにそれが使い古されるとですね、本当のこの強意の意味がなくなってすり減っていくんですね。
で、それほど強意が感じられなくなっていく。使いすぎてみんな信じなくなってくるってことですね。そんな本気で言ってるってこと。なので、次なる本当の意味での強意の語が欲しくなる。それも使われ続けるとすぐにすり減って、また新しいのが欲しくなる。
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で、この強調、強意というのは非常によく使われる表現と言いますかね、日常の会話の中で言語生活の中で頻繁に出てくる表現なんですね。頻繁であればあるほど、そのようなすり切れ方も早いということで、次なる表現が必要だということで、前に現れたものはなくなっていくか、あるいはですね、なくならないまでも対して使われないものが必要になってくるというふうに考えられるんですね。
そういうものとして残っていく。その結果、どんどん累積していくわけですよね、強意語が。という形で、強意語、これは日本語でも英語でもですね、どの言語でも必ずこう類義語が豊富という、そういう変わった語類なんですね。非常に面白いことだと思います。
強意、低減の法則と言いましたが、要するに、強意を表すつもりでですね、使い始めたのに、だんだんとその強意が失われて弱くなっていくという傾向がある。なので、新たに新しい強意語を補う必要があるということなんですが、これは経済学の用語で言う限界功用、低減の法則に習ったものなんですね。
これ、何かというと、ある材の消費量の増加につれて、その材を1単位追加することによる各個人の欲望満増の程度は徐々に減るという法則ですね。
これ難しい方なんですが、簡単に言えばですね、ビール1杯目、3杯目の時は美味しいんですが、2杯目以降は美味しさが減っていくわけです。3杯目、4杯目と減っていくっていうのと、実は考え方って言いますかね、原理そのものはこれと変わらないんじゃないかと思うんですね。
1回目はインパクトがある表現だなと。ただ聞き慣れているうちに、そこまでインパクトあるの、その強意語はというふうな疑いが生じて、だんだんこの強意がめびりしていくんですね。ということです。私はこれをですね、強意、低減の法則というふうに呼んでいます。
英語の話に戻りますと、大抵ですね、ある形容詞に、著しい意味を持った形容詞にリーを付けることによって副詞化して、それを強調語に使うっていうのがあるんですね。なので、もともとはその形容詞の表す意味の原義ですね。原義というものを、ふわっとは少なくとも持っていった上で強意語っていうことなんですが、普通に使われていくうちに、veryとほとんど意味が変わらなくなる。
そして、元の形容詞の意味が消えちゃうということですね。さらにもっと使われるとですね、そもそもが強意も失ってしまって、単なる使い古された強意語という地に転落する場合によっては、もう死語となってしまうと。こういう例が英語の歴史でもですね、無数に繰り返されてきました。
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いくつか挙げてみたいと思うんですけども、今でも一応使われる、強意語として使われるかなというようなものなんですが、これ限られた形でしか使われないし、そんなしょっちゅう使うものでもないなというような例が多いです。
例えばですね、abominably tiredというと、もともとは嫌悪感を引き起こすほどに疲れたということですね。abominably tiredということですが、その原義である嫌悪感を催すというようなところは弱まってですね、単にvery tiredと言ってるのと変わりなくなる。
しかも使い古されるとですね、veryですらなくなってくるということで、あまり使われないわけですよね。こういうものをこれからたくさん挙げていきたいと思うんですけれども、ひたすら読み上げますね。
abominably normal, extravagantly unambitious, extremely limited, fabulously cheap, fantastically real, frightfully boring, grandly expensive, greatly exhausted, horribly expensive, horridly embarrassed, hugely amused, immensely unimportant,
immoderately hungry, incredibly real, magnificently pleased, monstrously excited, perfectly stupid, pretty ugly, really imaginative, simply confusing, sorely afraid, stupendously alert, tremendously calm, terribly pleased, terrifically happy,
vastly insignificant, violently opposed, wonderfully boring, wonderfully tediousと、もうキリがありません。いかがでしょうかね。多少著しい意味を持った形容詞であれば、それにlyをつけることでですね、事実上簡単に教育をつくることができるという例ですね。
これら今挙げたものはですね、一応のところ現役で使われているものですけれども、どんどん新しいものも生まれてきていますし、ほとんど使われなくなって消えていくものというのもあるでしょう。
ですが全体として累積していくんですね。積み重なって脅威語がですね、ししるいるいとっていうんですかね、こういうのを積み重なっていって、脅威語の語彙をですね、形成しているということです。これは何も英語に限った話ではないということで、かなりユニバーサルな現象ではないかと思うんですね。
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つまり人間は表現するときに脅威ですね、強調の言葉をとにかくよく使いたいという、高頻度で使いたいという、そもそもの欲求があるんだと思うんですね。
超ほにゃららとか激でほにゃららっていうのをしょっちゅう使う人の言うことはですね、だんだん信じられなくなってくるんですよね。
なので新しい脅威語が必要だということで、このじゅんぐりサイクルで、永遠に繰り返されるサイクルなんだと思うんですよね。脅威語の話でした。それではまた。
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