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こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書ログや日々の学びを音声配信しています。
今日は、金原ひとみさんの『パリの砂漠、東京の蜃気楼』について話してみようと思います。
1歳と4歳の娘を連れ、周囲に無謀だと言われながら始めたフランスでの母校生活。
パリで暮らし6年、次第に近づいてくる死の陰から逃れるように決意した突然の帰国、夫との断絶の中で、
フェスと仕事に懇命する、帰国後の東京での毎日、ずっと泣きそうだった、辛かった、寂しかった、幸せだった。
2つの対照的な都市を舞台に、生きることに手を伸ばし続けた日々を綴る著者初のエッセイ集。
金原ひとみさんの初のエッセイ集ってことでね、これまで金原さんの本、小説はいくつも読んだことがありますが、
エッセイは初めてですね。1983年生まれ、2003年にヘビにピアスでスバル文学賞受賞、
芥川賞も受賞ということで、渡谷梨沙さんと同時受賞された都市でしたね。
同じ生まれ年の作家さんなので、ずっと気になって追いかけているなと思いますが、
フランスに行かれてたってことでね、コロナ禍で、フランスではテロもある中、命の危険というものが日本以上に身近にあるところで、なぜか暮らそうとするという。
そして、帰国後も含めて、そんな過渡期の生活をエッセイに綴られていたということですね。
2人の娘さんがいて、なんかね、プライベートのことはあんまりどこにも書いてないのでわからないんですけれども、
なんか旦那さんはね、フランスで学校に通っていたとかでね、収入源は金原さん一人だったんじゃないのかなぁなんて思いますね。
その辺は語られてないので、想像の域でしかないんですけれども、
パリの砂漠、東京の新キロってことで、いかにも金原さん的な文学的な表現ですね。
この本はですね、あの本読みましたというBSテレ東の鈴木穂波さんの読書番組がありまして、そこで平野義一郎さんが
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珍しく解説を引き受けたということで、紹介をされていて、それがきっかけで読んだ本になります。
解説にはですね、崩れ落ちていくような成熟ということで、
タイトルが書いてあって、金原ひとみさんがフランス維持を考えるようになった時、私はその相談に乗った一人だったということで、
心の中では無謀というか無理なんじゃないかと思って、ハワイぐらいにしといたらというアドバイスをしてしまったと。
金原さんはそんなアドバイスもろともせずにですね、周りの無謀だとかいう心配を振り切るようにパリに移住したということで、
やはり自分はフランスに行きたいし、行くべきだと思うという意思を伝えたということでね。
で、6年間フランス滞在されたということでね。お子さん連れてっていうのがすごいですよね。
向こうの学校に入れて育てたっていうことだと思いますね。
エッセイを読んでいて、面白かったというか、ああそうかと妙に納得してしまったのはですね、
金原さんがお子さん二人のことを話す時はね、彼女はとか彼女たちはっていう風に話すんですよね。
そこ、なんとなくですね、私の勝手なイメージなんですけれども、
日本の女性が自分の子供のことを話す時って、すごい若子っていうね。
自分の、まるで自分の一部であるかのような、自分の、まあ所有物とは言わないですけどね。
すごいこう身近な、うちの子みたいな、そんな感じで話すイメージがあるんですけれども。
金原さんの場合は完全に別の人間として、娘のことを彼女たちと言っているという、すごく印象的でしたね。
ああやっぱりそういう人なんだなぁと思いました。
あとはですね、すごく印象に残ったくだりが二つあってですね、それちょっと読んでみようと思いますが、
東京に帰ってからのお話ですね。
好きな男に泣きついて慰められたい。フランス語が出たのと同じくらい不自然にそう思っている自分に気づいて情けなくなる。
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ずっとそうだった。よくも悪くも私の感情を触れさせるのは男でしかない。
男に傷つけられて、男に助けを求めてばかりいる自分は、小説を書いても、子供を産んでも、フランス語を勉強しても、いくら新居や生活を整えても空っぽだ。
どんなに丁寧に積み重ねても、テトリス棒で4段ずつ消されていく。積み重ねたものは必ずリセットされ、この身には何も残らない。
東京に帰ってきてね、あのー、んーと、ナンパされたのかな?
その時ね、あの、思わずフランス語でね、あの、突き飛ばしてしまったという。
日本に帰国して以来初めてフランス語が出た。こんな怒りを感じるのは久しぶりだった。
えー、怒っているのに泣きそうだった。
そんな時に、えー、の描写の後に出てくる一文ですね。
良くも悪くも、自分の感情を触れさせるのは男でしかない。
いやー、これは染みますね。
あのー、普段ね、女一人で生きていけるわ、みたいなね、経済的にも自立してるし、人間としても自立してるわ、みたいなね。
えー、そんな顔をしてますけれども、良くも悪くも私の感情を触れさせるのは男でしかないっていうね。
これは、なんというか、自分の女の部分が反応する一文ですね。
泣きたくなんかないんですよね。男に感情を振り回されて泣きたくなんかないんですけれども、
それでも怒ったり泣いたりしている自分を、どこか客観的に見てですね、
あー、私女だわーなんて、ちょっとほっとしている自分もいるというね。
ほっとしている自分も感じつつ、かなりこう、うんざりしたりをするっていうね。
なんとも言えない感情を、まさに見事に表されてるなーなんて思いました。
あとですね、これも東京に帰ってからのショーなんですけれどもね。
っていうか結婚も恋愛じゃん。初めて彼氏ができてからずっと恋愛を軸に生きてきたから、もう恋愛がない生活を思い出せないんだよ。
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改めて自分は22年間小説と恋愛のことだけ考えて生きてきたんだなって思うというね。
これは日本人の友人に語ったセリフみたいなんですけれどもね。
金原ひとみさんって、恋愛と小説を軸に生きてきた人なんですね。
まあでも、かなり正直ですよね。恋愛と小説、生きていくためにはもうそれしかなかったというような感じもするような気がしますけれどもね。
だから金原さんってね、すごく危ういんですよね。絶望してるんですよね、人生にね。
なんだけど、恋愛と小説、生きるためにその2つを軸として何とか生きているっていうエッセイを読んでてね、そんな風に思えてくるんですよね。
でも、いろんな人、女性がいる中で金原さんみたいな人がね、特別なのかというとそうでもないような気もしていて、
みんなどっかしらこういう悲壮感というか、絶望感というか、男がいないと生きていけない女みたいな部分を持ってるんじゃないかなーなんて思ったりしますね。
そして、もうそれだけだみたいなことを言い切るのってなんか弱さじゃなくて強さなんじゃないかなーなんて気もしたりします。
私はなんというか、自分が傷つきたくないので、自分を傷つけないものを大切にして生きていきたいなって思うタイプなので、金原さんのように小説だとか恋愛だとかそういうものを軸にするっていうことはないんですよね。
ただ、かなり若い時に、本当に金原さんも10代の前半の時に自分が一番死に近いところにいたみたいなことを言ってましたけど、やっぱりその頃って私もそうだったなーと思ってて、
中学生の頃ですよね。なんか死んじゃったらどうなるんだろうなーみたいなことは結構考えた時はあったなーと思って、それを思い出したりしましたね。
でも私の場合は、全然そんな本気じゃなくて、なんかそういう絶望とか悲壮感に憧れた時期が時期だったなーと今となっては思ったりするんですよね。
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絶望している自分とかそういう状況に憧れてしまう、なんかそういう自分に酔ってしまう、そういう時期だったなーと。
でもね、その時私が思ったのは、なんか自分がこう、ただ意味もなく理由もなく、ただただこう、絶望の淵に落ちていこうと思ったり、世の中を悲観的に見ている今この状況って、私は一体どれだけのことをわかっててそうしてるんだろうなーって思ったんですよね。
知らないことが多すぎるこの世の中で、たった一部分の0.0何%程度のことで、絶望に浸っている、それに酔いしれている自分がすごく滑稽に思えたような気がしますね。
だから、本当に自分は絶望の淵にいるのか、悲観的にいる状況って果たして本当にそうなんだろうかみたいな、それを確認したくなったなーと思いますね。
それがきっと、その自己倒水の、酔ってた時からこう一歩のけ出そうとした、その瞬間だったのかもしれないですよね。
だから、偽物だからそういう風にできたのかもしれないんですけれども、金原さんのように本当に小説と恋愛で自分が生きていくにはそうするしかなかったと言い切れるほどの強さというか、そこに信念みたいなものがあるんだろうなーと思ったし、私にはそれは全くなかったなーなんて思いますね。
まあ、どっちが良いとか悪いってことではないと思うんですけれども、やっぱり人の心を打つ和紙づかみにするような小説、文章を生み出す人っていうのは、自分の追い込み方、追求の仕方みたいなものが、やっぱり波外れてるなーと妙に感心してしまいましたね。
まあ、そんな金原さんのエッセイを、もう素晴らしい分析というかですね、文章で語っている平野啓一郎さんの解説、両方セットでね、楽しんでいただきたい本だったなーと思います。
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平野さんの解説の中で、私はあまりこういった文庫解説で自分の話を書くことがないと言いつつも、本書に限っては、そうした作品との距離をうまくつかめず語ろうとすると、端から言葉が自分の話に癒着してしまうというね。
金原さんの強い引力とか、吸引力みたいなものに取り込まれてしまうというふうに話されていて、それぞれ素晴らしい作家さんなので、そんな作家さんがですね、解説、書いたエッセイと解説、本当に読みごたえがあったなというふうに思いました。
どちらも好きな作家さんなのでね、これからも金原さんの小説もっと読みたいなと思っていて、今買っているのはですね、アンソーシャルディスタンスですね。
この小説を次、次というかね、いつ順番が回ってくるかわかんないですけど、読んでみようかなと思っています。
ということで今日は、金原ひとみさんのパリの砂漠、東京の蜃気楼について話してみました。
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今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。
ではでは。