1. ゆうこ|読書ラジオ
  2. 読書ラジオ『母親病』森美樹
2024-03-14 18:33

読書ラジオ『母親病』森美樹

いつも聴いていただきありがとうございます。

⭐︎本紹介
母親病 (新潮文庫 も 41-3) https://amzn.asia/d/4URpExb
(配信の冒頭部分は本の説明文・あらすじを読み上げています。)

⭐︎自己紹介
https://stand.fm/episodes/63c3432660a5d6684a4fd590

#読書感想 #読書 #読書ラジオ
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/63650fb3b4418c968ddbd7ab
00:06
こんばんは、ゆうこです。
このチャンネルでは、私の読書ログや日々の学びを音声配信しています。
今日は、森美樹さんの母親病という本について話してみようと思います。
女は旦那様に一生愛されるのが幸せなのよ。
住子にそう語っていた母、その絵が急死した。
有毒植物が体内から検出されたという事故か、自殺か、それとも。
困惑の中、秘密森林で蒸いた住子だったが、そこに丹青な顔立ちの若い男性、雪人が訪ねてくる。
その絵の死を知った彼は震えて、おえつした。
両妻健忘の見本のようなその絵と雪人の関係は、すれ違いながら衝突する葉箱を描く連作集。
このあらすじを聞いて、読む気分がなえた人、たくさんいるんじゃないかなと思いますし、
母親病というタイトルを聞いて、読みたくなった人、たくさんいるんじゃないかな。
著者の森美希さんは、1970年の埼玉生まれ、95年に少女小説家としてデビュー。
その後、5年間の休日期間を経て、2013年、麻薙でR18文学賞、読者賞を受賞。
主な著書に受賞作を収録した、
主婦病、私の裸、母親病、神様たち、私の生きない世界などがあるということで。
主婦病っていうのもね、すごく人気の本らしいですが、
その続編というか、続きのストーリーでもありそうな母親病というお話ですね。
連作短編になってまして、
柔らかい棘、砂の日々、花園、彼女、家族の絆という4編になっています。
最初の柔らかい棘というのはですね、娘の住子が主人公の短編になっています。
柔らかい棘、まず1ページ目をめくると、ここから何というか、度肝を抜かれるというか、
すごいね、マガマガしいエピソードが2つ、全く別のエピソードなんですけど、
うーって思うようなエピソードが2つ並んでるんですね。
これで、これが森美希さんなのか、と思うようなエピソードです。
03:06
まず1つは、母が私の髪飾りを燃やしているという話。
少女の時の私の思い出。
もう1つは、人間の脂肪はプリンのような色だと教えてくれたのは戸志彦だった。
また気持ち悪いこと言いますね。
戸志彦というのは、住子の不倫相手ですね。
何というか、グロい始まり方で始まるこの小説はですね、
まず住子の物語で始まっていきます。
この住子の物語、柔らかい棘っていうのはですね、住子視点で、
母親、園江の話というか、園江が死ぬというところを住子はどう受け止めたかだったり、
住子の不倫相手、戸志彦とどういう恋愛をしているのかみたいなことが、
割とね、こってりめに書いてあって、
こういう感じの小説なのかなって、
まずこの柔らかい棘、住子の物語は読み切って、
その次がですね、また同じような感じで、
「砂の日々」という短編が始まるんですけど、
この主人公はですね、園江が使っていたデイケアの職員の女性が主人公なんですね。
この女性も娘がいて、あんまりうまくいってない。
この主人公の女性は、ちょっと名前も出てこないですけど、
平沼さんという女性なんですけどね。
シングルマザーで中学生の娘を育てていて、
元夫からはDVを受けていた。
またちょっと顔をしかめたくなるような境遇の母子なんですけれども、
この平沼さん視点の母親と娘の物語が展開されていきます。
こんな感じだと辛いなぁと思いながら、
でもちょくちょくですね、謎である園江と雪人の関係が、
この平沼の物語の中で少しずつ謎を解かれ始めるというか、
ヒントのようなものが展開されるので、
ちょっと気になりながら読むんですよね。
でもこんな感じであと2編続くとしんどいなぁと思いながら読んで、
そしてそして、花園。
これがですね、謎の詩を遂げた園江の物語なんですけれども、
06:05
この最初の2編と全く違う物語なんじゃないかというような、
割と素敵な始まり方なんですね。
鏡を見たらシワが一本消えていた。
入っていい?雪人がドアをノックした。
トイレは洗面化粧室を経由しなければならない。
いいわよ、ごめんなさい。振り向きざまに背後からぎゅっと抱きしめられた。
これ70歳近い女性と20代の男性の上司の次の朝の物語ですね。
なんだこのキラキラ展開はと思いながら、この花園という章をぐっと引き込まれましたね。
この花園に到達するまでに、娘の住子だったり、
ヘルパーで職員としてその絵と絡みがあった平山の視点で見るその絵というのは、
年老いて夫にも先立たれ、お金だけを張る女性で、
寂しさのあまりお金に物言わせて若いツバメを買っちゃって、
純愛だったのか騙されたのか、そういうお話なのかなと思っていたら、
もう見くびるなと。侮るな彼。という感じでしたね。
この後の展開にですね、想像していた以上のものがどんどん乗っかっていって、
このその絵という人を私は本当に何一つ知らなかったなと、
というよりも住子だったり平山が持っている先入観とか、
こういう年齢の女性ってこういうもんだろうっていうステレオタイプの当てはめをしていて、
その絵という女性がどういうことを考えて、どういう一生を送っていたかっていうことを、
読者である私もその絵の周りにいる、死んだ夫も娘もその周りの人もみんなちゃんと知ろうとしなかったんだろうな。
そしてこのその絵自身も、自分が居心地のいい花園に若いうちから、
私の生きる場所はここだと決めてしまって、その居心地のいい花園で子供を育て、
09:05
夫を送り出し、ご飯を食べさせってやっているうちに年齢を重ねてしまって、
自分としては花園にずっといる綺麗なお花のつもりだったのに、そうじゃなかった。
その事実に直面した時にこの人が取る行動っていうのはどういうものだったのかっていうのを、
まざまざと見せつけられるようなお話がこの3つ目の短編の花園なんですね。
だからね、もう本当に恐れ入りましたという、参りましたっていう感じでしたね。
それが際立っていくところがですね、このその絵が謎の死を遂げるそのシーンもこの花園という短編の中に描かれているんですけれども、
その意識が遠のいていく、瞼を閉じていく中で、これまでのことが蘇ってきたということで、その絵が自分の幼少期からを振り返っていく、そういうシーンがあるんですね。
そこですね、どんどんこの著者のヒッチもどんどんテンポが上がっていくというかですね、すごく乗ってたんだろうなと思うぐらい、
その絵が女性として自分にはどういう可能性があって悔しい思いをしたり、その悔しい思いをして行き場のない自分のこの欲望をどういうふうに感じていたのか、みたいなことがこう、
まざまざと描かれていく文庫本でいうとこの160ページから161ページ、ここが圧巻でしたね。
いやー、女性ってこうだよなーって思いました。本当に。いやそうだそうだって。
私にも母親がいるし、私にも娘がいるし、息子もいるし、母親をやっている人ってたくさんいると思うし、母親を守っている人もたくさんいると思うんですよね。
そういう母親のイメージって割と凝り固まったものになっていると思うし、その母親のエプロンの下にある女性の部分っていうのを知りたくないって思っている人の方がきっと多いだろうと思うんですよ。
それは夫も含めて。もしかしたら自分自身もかもしれない。だけど、いつまで経ってもそのエプロンの下の女性に気づかずにそのまま幸せに死ねたらいいかな、それも幸せの一つだろうなって思うんですけど、そうじゃない。
12:13
私は女性なんだ、一人の女なんだっていうことをどうしても忘れられない人もいる。その一人がその絵であったっていう。
抑え込んでいた分、一気に湧き出てくる。マグマのようなものなのか、温泉が湧き出てくるかのような、マグマだったり温泉だったりいろんなものがブワーッと吹き出てくるこのシーンっていうのが、この小説のクライマックスというか、一番のハイライトの部分だったな。
そしてですね、その後の流れで亡くなったその絵の夫が死の直前に認知症になって、それまでの夫から認知症の夫に変わっていくとき、どういうことがあって、その時にその絵がどういうダメージを受けたのか。
そして夫にも娘にも見捨てられた私の人生は何だったのだろうと言ってからの、どんどん変わっていくその絵というのがこの後後半に描かれていくんですね。
そして最後、花園の次は家族の絆という章で、最後は行き人の視点で、その絵の死がどういうものだったのかというところが最後整理されていくという、そういう連作短編になる。
これはですね、母親病っていうタイトルですけど、まあ病なのかな?母親って病なのかな?呪いのようでもあるなぁと思える本でした。
もしくはね、その女性という病気なのかもしれないなと、逆かもしれないなとも思える本でしたね。
解説おみやけ、加穂さんという有名な書評家の方が書いてあるんですけれども、今長生きする、みんなが長生きしてしまう時代において、
15:02
高齢の方の恋愛というものがそこまで認知されていない、まだどこかタブーのようにさえ扱われている。
高齢の女性が恋愛するのは若い男性が多いとかね、わりとパターン化されていたりもする。
でも森さんはそういう現状をかき分けて、母親の性愛を真っ向から描いていると書くんですね。
私はこういう母親の性愛だったり、高齢の男性女性の恋愛がもっともっとこれからいろんなパターンでどんどん世の中に生み出されていくんだと思います。
でも私はその思いやりをそれが行ったとしても、それはまだ本当に現実状態じゃないんだと思うんですよ。
いい歳した少年さんと奥さんがね、みたいなことを多分言われなくなる時代がそのうちやってくると思うんですね。
のジャンルになっていくと思うんですよ ね
その先駆者の一人がこの著者である 森さんなんだろうなと思います
なぜそう思うかというと まだみんなが行ってない領域に
先駆けて行っているというだけ ではなく
その中で先ほども説明した その絵の
30年も内に秘められた女性のせい というものに自分で気づいて
それを解放していく そのシーンを何ページかに渡って
描き切った この厚さだったり
セキララ そしてその文章の美しさ
みたいなところはやっぱり 多くの人を引きつける
そういう文章なんじゃないかな と思うんですよね
だからこれからも森さんの本という のはきっと
いろんな人が手に取るだろうし そうやって
また母親について 母親の性愛について
恒例の男女の恋愛について 描いていく人が
そうやってどんどん増えるし 読む人が増えていくんだろうな
と思います うって思わずに
18:00
怖いもの見たさでも最初はいい のでね
いろんな人に読んでほしい本だな と思いました
ということで今日は森美希さん の母親病という本について
話してみました この配信が気に入っていただけたら
いいねをコメントフォローお願いします 励みになります
今日も最後まで聞いていただいて ありがとうございました
ではでは
18:33

コメント

スクロール