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2023-10-13 23:54

読書ラジオ 感性で話す『三度目の恋』川上弘美

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こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書録や日々の学びを音声配信しています。
今日は、先日配信した『三度目の恋』川上弘美さんの本について、もう一回話してみようと思います。
ちょっと思うところがありまして、毎日聞いているポッドキャストの番組
荒木ひろゆきさんの、荒木ひろゆきのブックカフェという番組があるんですけれども、そこでですね、荒木マスターが
知識の反対は感性である、みたいなお話をしていて
この前の三度目の恋の配信は、私は結構自分の知識を騒動員して話したなぁと思ったんですね。
で、それ故に何かこう、もやもやしていて、なぜならこの三度目の恋っていうのは、知識的なこと?ロジカルな面白さとか構成の面白さとか
異性物語との関連性による面白さみたいなことじゃなくて、川上弘美さんが書く恋っていうものが、自分の感性にどういうふうに響いたのか
それによって面白いと思っている、そういったことを私は話せてないなぁと思ったんですね。
なので荒木マスターが、知識だけじゃなくて感性も使っていこうっていう話をされていたので
じゃあちょっと今回は、私の感性を騒動員して配信をしてみようと、そんなふうに思いました。
三度目の恋というのは、あらすじをちょっと読み上げますが、結婚したのは唯一無二のはずだった人。
高岡さんに教えてもらった魔法で、昔々の世に旅に出るようになるまでは。
ある時は江戸吉原の優女、さらには平安の世の女房として、梨子は様々な愛を知り、偽物語をモチーフに夢と移つ昔と今の淡いを絶えたい、恋愛の深淵を覗く傑作長編。
ということで、このうまく言えないけれども、自分の中で湧き上がってくる、これを読んだ感想っていうのをね、ちょっと話してみようと思います。
はい、ということで、まずですね、この主人公の梨子っていうのは、生まれてすぐ物心がついた時に、
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原田成也という、ちょっと年上のお兄さんに恋をするんですね。
で、中学生の時に、その気持ちが恋であるということをもう分かっていた。
で、成也のことを那覇ちゃんとずっと呼んでたんですけれども、この中学生の梨子、要するに大人になるまでの梨子は、那覇ちゃんを好きであること以外、あんまり特徴がない人として、小説の中で書かれていきます。
おことを習うとか、長い髪を大事にしているとか、そういったエピソードがあるんですけど、梨子がどういう人であるかというよりかは、梨子がどういうふうに那覇ちゃんに恋焦がれているのかっていうのが前半語られるんですね。
で、そこはね、本当に何も知らない少女が、盲目の恋をしているというふうにしか見えなくて、ちょっとね、なんか騙されてるんじゃないのかなとか、心配になるような感じでした。
なぜなら、那覇ちゃんはめちゃモテ男なので、おまわりの女性がほっとかないんですね。
で、那覇ちゃんも、その女性から必要とされたり求められると、そっちになびいていってしまう。
悪気があるわけではない、喫水のプレーボーイって感じですよね。
でも、好きなのは梨子お前だけだよ、みたいなことも平気で言うわけですよ。
で、梨子はそんな那覇ちゃんの浮気がちな行動ももう受け入れざるを得ない状況になっていくと。
ここでですね、那覇ちゃんっていうのは偽物語に出てくる、有原の成平という平安時代の、いわゆるプレーボーイとして有名な方の生まれ変わりであるというような設定になっているので、
那覇ちゃんは成平のように描かれていくわけです。
で、梨子は成平の数多くいた恋の相手の一人かのように、那覇ちゃんの帰りを待ったり、自分の方を向いてくれたその時間をすごく大事にしたり、
そんな梨子が前半に描かれていきます。
結婚するわけですね。結婚してからも那覇ちゃんはいろんな人になびいていってしまう。
時には梨子のことの先生とも言い引きしてしまうという、本当にね、こんな人が身近にいたらちょっと張っ倒してやりたくなるような、
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そんなちょっと暴力的なことは私はさすがにしませんが、自分の好きになった人がこんな人だったらもう地獄だなって思いますね。
好きな気持ちをやめられないという苦しさが梨子にはあったんでしょうね。
で、そんな苦しい胸の内を梨子は高岡さんという、梨子が小学生の時に小学校の養母院をされていた方と大人になってから再会をして、
その高岡さんに苦しい胸の内を話すわけですね。
で、そこで高岡さんはその話をじっと聞いてあげるんですよ。
で、梨子は話してみて、ぽつりとこんな風に言います。
こうした言葉にしてみると、なんだかよそごとのように感じるね。
で、高岡は、よそごととはいい言葉だね。僕もいつもそう思うよ。
よそごとだからこそ、かえってその中に入り込んでしまうものなんじゃないかな。
君が語った今の話は君の物語なんでしょ。
そう、物語、本当の世界はただの断片からなっているだけで見渡すことなどなかなかできないはずなのに、
僕たちはみんなその断片をつなぎ合わせて、自分のためのお話をいつも作り上げているんじゃないかな。
そこで梨子は、事実として起きた出来事だったり、自分の気持ちをつなぎ合わせて、
自分の物語を話してたんだなというふうに思います。
で、そう思えてくると、自分は本当に何かの物語の中にいるみたいだなと。
今までのなあちゃんの恋をして、なあちゃんに裏切られて、
なあちゃん中心の世界に生きてきたけども、なんか自分にとっては物語で昔話のように思えてくる。
それがですね、梨子の長いタイムスリップの旅への入り口のようなシーンになります。
ここでですね、高岡さんは、
梨子がなあちゃんを好きという気持ちに対して、そんなにも彼が好きなの?
それなら君も魔法を覚えることができるよ、きっとと、魔法のような言葉をかけられてですね、
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そこから梨子は夢を見るようになります。
タイムスリップの始まりですね。
梨子は夢の中で江戸時代の江戸吉原の優女になります。
最初はですね、7歳の時から夢が始まるんですけれども、
売られていくわけですね。とても貧しい家に生まれてしまったので、
梨子の生まれ変わった世界の梨子のお姉ちゃんも有格に売られていったし、
梨子もそうやって売られていくということがもう自分ではわかっている。
そうやって売られていった先で、最初カムロというオイランについている小さな女の子ですね、おかっぱになって、
そこで自分もあんな風にオイランのお姉さんのように体を売る人になっていくんだと。
そうやって今は食べさせてもらっていて、育ててもらっていて、磨いてもらっているような、
教育を受けているような気がするけれども、それすらが全て自分の借金になっていて、
客を取るようになれば、その借金を返すためにずっと有格に縛られて働いていかなければいけないというような、
非常に残酷な事実にも少しずつ気づいていくわけです。
現代の梨子が、いい大人の梨子が、こうやって厳しい江戸吉原の優女の人生を生きる、
なんか二重族のような感じですよね。夢の中に、
夢を見ればこの優女、春月になる。そこで残酷な現実と、それでもその中で優女の仲間とのやりとりだったり、
お客さんに恋をする、自分を体験していくわけです。
そこでまた新しい物語を梨子は体験していくんですね。
梨子が生まれ変わったのは春月という優女なんですけれども、春月は客で来た高田という人に恋をするわけです。
優女の恋っていうのは、もう比練にしかならなくて、お金を払って身受けをしてくれない限りは逃れられないわけですから、
お客さんとして会うしかない。恋をしている人と会えない日は、違う男の客の相手をしないといけない。
本当に非常な世界ですよね。それでも梨子は高田との恋にどんどんのめり込んでいって、
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駆け落ちしたいというふうに思います。実際駆け落ちまでしてしまうんですね。
で、仲間のオイランに密告をされて、連れ戻される。
仲抜けをした優女の待ち受ける先っていうのは、窃監ですね。
罰を与えられるわけです。そこでうまく生き抜いたとしても、
当時は非常に過酷な仕事をしつつ窃監を受けるわけですから、
長く命を持たないということで、春月はそれから2年以内に亡くなってしまうと。
そこでその梨子の春月の物語っていうのが終わります。
また高岡さんと現代で会うわけですね。 梨子は高岡さんと
春月の物語を話します。 実は高岡の生まれ変わりが高田だったと
いうことで、その高田と春月の恋は高岡と梨子の恋でもあったわけですね。
2人とももう終わった物語なので、振り返るように夢の中の話、あの時はあなたはどう思っていたの?とか
あなたはどうしていたの?というような話を振り返りながら語り合うわけです。
それも2人にとっては昔々の話。
春月が高田を凍っていた切なくも激しい心持ちは、その昔々と語り合うその一言で一気に思い出されてきて、
自分の激しい感情、当時の春月の非憐、
その時の思いにオエツが込み上げてくると。この気持ちは何なんだろう?
梨子は現代では体験しなかった苦しい思い、激しい恋、
そういった思いを現代の梨子が知るわけですね。
そこで梨子は、春月はまだ自分の中では死んでいないということに気づくわけです。
春月の切なくも激しい恋心は未だに私の中にしぶとく残り続けている。
なあちゃんに恋をしている自分、この思いはなあちゃんに対するものなのか、高田に対するものなのか、
両方なのか、そんな激しくグルグルとした恋心ですね。
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全く消えてなくならない、おき火のような棘られなかった恋が燃え続けて、
そうやって現代の梨子はまた生きていくわけです。
次に梨子がタイムスリップしたのはですね、平安の世の女房ですね。
そこでも梨子は高岡の生まれ変わりと出会うわけです。
平安の世では高岡と恋仲になるということはありませんでしたが、
梨子はもう一人生まれ変わりと会うわけですね。
それがおそらくなあちゃんの生まれ変わりである有原の成平ですね。
有原の成平は梨子が使えるお姫様と恋仲になる人として出てくるわけです。
で、梨子は知的な女房として、その自分が使える姫と成平との恋を見ていくわけですね。
大事にしている姫が成平によって恋をすることで変わっていくその様だったり、
そういったものを見ていくとともに、同時に自分もその時代の貴族と恋愛をしていくわけですが、
そこで梨子は自分の体が男性によって開かれていくということを、そういった快楽を体感します。
それは現代では感じることのなかった、楽しむだけのそういった成功ですね。
男性の手によって自分がどんどん開かれていって快楽を覚え、のめり込んでいく、その行為にのめり込んでいくということを楽しむようになります。
一方で平安の世というのは、女性は知識があれば姫に使えるというような職を持つことができたので、
現代の世の中では専業主婦である梨子にとって、自分が優秀な人間として働く、自立した女性として働くということも体験していきます。
そういったまた梨子は、また現代では体験しない物語を夢の中で体験していくわけですね。
そこで自分の使える姫に、ナリヒラが気持ちを別の女性に移すというシーンが出てきます。
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そこを見計らってですね、ロクイノクロードというまた別の機構士が姫を狙うわけですね。
そのロクイノクロードというのは姫に直接接近する前に、まずその女房である梨子に狙いを定めるわけです。
外掘りから埋めていくという非常に賢いやり方ですね。
手引きをしてもらうためにですね、そのロクイノクロードとのエロスですね、これがもう最高だということで、梨子はもう別の人みたいになっていくわけです。
ナーちゃんとの恋愛においても、春月の時の体験でも、ロクイノクロードとナイブのとこで湧いてくるようなエロスは体験したことがない。
解放的なエロスは知らない。
こんな艶めきは覚えたことがない。
これは何なんだろうか。逆にナーちゃんと私の恋っていうのは一体何なんだろうと思うわけですね。
もう艶めいたものがない夫婦になって育児をしているわけですから、一体もうナーちゃんとの恋はどこに行ったんだろう。
そして夢から覚めて現代でナーちゃんとの夫婦生活を送る間に、梨子は自分でも思いもよらない瞬間にナーちゃんへの欲望を感じます。
平安の世の闇の中に濃くは高まっていたエロスは、今では白日の下にキレキレに散り広がっていくように私には感じられるのです。
ナーちゃんへの私の欲望は時と場所を選びません。
まあそんな風に。
平安の世では解放的に欲望を感じたら、その相手とそれを実現することができるけれども、
現代の梨子とナーちゃんは育児をしていたり、ナーちゃんが働いている後は、もう二人の関係性から抱いてという言葉を口にできない、抱きたいという言葉を口にすることはない。
たくさんのハードルがある。
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なんてもどかしいことなんだろう。
そんなもどかしさを感じます。
最初、少女の時代の梨子と、江戸吉原の優女、春月を経て、平安の女房経て、いろんな恋を体験した梨子では、もう全く別の人みたいですね。
その厚みっていうんですかね、いろんな恋の感情と、恋の感情っていうと狂おしいだったり、相手を欲する気持ち、あとは引き裂かれる悲しみ、そういったものを相当いろんな感情を知って、複雑な関係性、うまくいくことだけではないということも知った梨子。
そういう物語を経験して、現代に戻ってくる。
そして最後、同じように何度も生まれ変わりをした高岡と、最後、現代で会って、二人の物語はそこで終わりを告げるわけです。
そこまでが梨子が体験した梨子の物語。
でもそれは春月の物語でもあり、平安の女房の物語でもあり、成平の物語でもあり、高岡の物語でもある。
いろんな物語が本当にカスケードされて、非常に贅沢に梨子が体験している、高岡が体験している。
それを読者として私たちは見ることができる。
そんな相当厚みのある河上博美さんの3度目の恋、そこがこの物語に引き込まれていって抜け出せなくなる、そういった面白さなのかなというふうに思いました。
どうでしょうか。感性で話せたでしょうか。
かなりネタバレも入ってしまったような気がしますが、ご容赦いただければと思います。
ということで今日は、3度目の恋、河上博美さんの本について話してみました。
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今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。ではでは。
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