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2023-12-16 28:36

読書ラジオ『正欲』朝井リョウ

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正欲 (新潮文庫 あ 78-3) https://amzn.asia/d/1XISgrk
(配信の冒頭部分は本の説明文・あらすじを読み上げています。)

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00:05
こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書ログや日々の学びを音声配信しています。
今日は、傑作か問題作か話題になっている、朝井リョウさんの『正欲』という本について話してみようと思います。
自分が想像できる多様性だけ量産して秩序を整えた気になって、 それ気持ちいいよな。
息子が不登校になったケンジ。 初めての恋に気づく女子大生、八重子。
一つの秘密を抱える契約社員夏希。 ある自己死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。
だがその繋がりは、多様性を尊重する時代にとって、ひどく不都合なものだった。 読む前の自分には戻れない。
気迫の長編小説、ということで。 今ね、映画化されてますね。
読む前の自分には戻れない。 累計50万部突破ということで、ベストセラーですが。
これは共感を呼ぶ傑作か、目を背けたくなる問題作か。 アサイリョウが放つ最高傑作。
この世界で生きていくために手を組みませんか。 あってはならない感情なんてこの世にはない。
それはつまり、いてはいけない人なんて、 この世にいないということだ。
いやーどうでしょう。 読まれた方いらっしゃいますか?
えーっと、この 性欲の感想を話すかどうか、
結構迷いました。 今、配信しようと思って撮ってますが、
話してみて、 もしかしたらお蔵入りにするかもしれないと。
半分ぐらい思いながら撮っています。
ネタバレ、 極力しないように話していこうと思いますので、
よかったら聞いてみてください。 性欲は正しい欲と書いて性欲というタイトルです。
冒頭は誰かの語りで始まっていきます。 例えば街を歩くとします。するといろんな情報が視界に飛び込んできます。
という 語りから始まって、
私たちが世の中を、 外の世界を、街を歩いている時に見えてくるいろんな情報はすべて、
03:08
大きなゴールに修練されていく。 それはつまり、明日死なないことである。
いろんな看板に、健康になろう。英会話を学ぼう。 そんなことが書いてありますが、それはすべて、みんなが明日、
死なないことを目標として生きていくということに希望を持って、 もしくは持ちたいと願って、
生活しているだろうという前提のもとに、 発信されたメッセージであるというふうに、
語っている人が話します。
明日死にたくないというのは、 明日死んでしまっては困る。
自分の周りにパートナーや子供がいる。 自分の命が存在していなければ、生命活動が止まってしまう恐れのある生命体が周りに存在する場合、
死にたくないと思うでしょう。 もしくは、思うというか、無意識にそういう状態であるという方が正しいかもしれない。
そういう明日死にたくないという人がほとんどの中で、 なぜ人間は生きているのか、生きる意味とは何なのかという疑問を呈したところで、
まあそうね、そんなこと考えてもねえとか、 自分にもそういう時期があったけどなぁ、みたいな答えになるでしょうと。
クソみたいな返答ですと、この人は言います。
なぜなら、そういう回答する人は、 人生に自然と他者が現れてくれて、生きる意味を持っているけれども無意識である人、
たちである、恵まれているだろうと。
そういう人が世の中の大半なので、そういう明日死なないことをゴールに、 世界のルールが決められているっていうことは自然なことだろうと。
ただ人には自然、幸せの形っていろいろあるよねっていうのが今、 多様性という言葉でね、認められつつあるよねと。
時代は変わってきたよね、昔とは違うよね。 いろんな常識や価値観があって変わっていったよね。
まあそんな風に増えま、あのー、そういう情報が発信されて、そういう情報に触れる機会も増えましたよねと。
それに対しても、うるせえ黙れ。
こんな世の中に私はずっと、この星に留学しているような感覚です。
いるべきではない場所にいるそんな心地ですと、この人は言います。
06:00
みんな違ってみんないい、もうほっといてくれと。
ほっといてもらえば勝手に生きる。でも、社会はほっといてくれない。
そんな社会からほっとかれるためには、社会の一員になって、あたかも明日死にたくないと、 みんなと同じように思いながら、そういうゴールに向かって歩んでいく。
それが唯一ほっとかれるための、一つの手段かもしれないと思う。
最後に、明日死にたくないと思いながら街を歩く。
疑いなく、明日死にたくないというゴールを目指しながら、その時、ある気になるやったこの世界がどう見えるようになるのか、私は知りたい。
そして最後に、ここまで読んだらこれを私に返してください。
その後のことは、自分の声で直接伝えようと思います。
ということで、これが誰が書いたものなのか、誰に向けて書いたものなのか、もしくは誰に向けて書いたというよりかも、
誰にも見せることのない手紙だったのかもしれないんですけれども、
そんな誰かわからない人の手紙の語りから始まる、性欲という小説です。
これを読んでいる私も含めてほとんどの人が、明日死にたくないと無自覚に思っていて、それを疑わないわけですね。
そして、この性欲を読んだ後、同じ読む前の自分に戻れますか、というのが斎良さんの挑戦なわけですね。
途中、うるせえ黙れとかね、そんな強烈な言葉が出てきましたが、小説の中にもどんどんそういったね、強い言葉でね、
今日生きることの意味、明日死なないことの無自覚さを、自覚しない私たちに対して、
鋭い目だったりね、生きどおり、怒りみたいなものが必死と伝わってくる小説です。
なので、耐えられない人は読まない方がいいかもしれない。
そして、その次からは、記事で続いていきます。
児童ポルノ摘発、小学校の非常勤講師や大企業の社員、大学で有名な準ミスターイケメンも、自然豊かな公園で開催されていた小児性愛者たちのパーティーということで、
09:09
児童ポルノで摘発された3人の記事がここで始まってですね。
八度妖兵、諸橋大也、佐々木義道ですね。
なぜこの事件が起きたのか、この事件の裏側は何なのかというのが、この後延々と語られていく物語になります。
いろんな人の視点で物語が綴られていて、あらすじにも出てきたケンジの寺井、派遣社員の夏木、大学生の八重子、先ほどの記事にも逮捕されたということで、名前が上がっていた佐々木諸橋。
そしてここまでは名前が出てきていない、たよしという人の語りで物語が進んでいきます。
要するに、この人の視点から見ると、こういう語り口になるということで、読んでいる側としては、誰かしらの視点に共感するような形に自然となっていくのかなと思いますね。
この本はですね、マイノリティの話について書かれているわけです。
そのマイノリティと言っているのは、一般的ではないものに欲情する性癖を持つ人がそのマイノリティの一つになると思います。
それは冒頭出てきた初に性愛なのか、もしくはそれ以外にもあるのか、この読み進めていく中でそういったものが出てくるんですけれども、そういった性癖がマジョリティではない。
マジョリティというのはおそらく異性愛が一番マジョリティなんじゃないかなと思うんですよね。
男性だったら女性に欲情する。女性だったら男性に欲情する。それがマジョリティだとすると、そうではないものに対する、もしくは人に対する欲情というものが、そういう性癖をおそらくマイノリティと言っているというのがありますね。
異性愛を前提とした世の中のルール、例えば結婚だったりがそうですよね。
あとは、いろんなドラマや小説も基本的には異性愛というものをテーマにしたものが多いと思うんですけれども、そうじゃない人たちはどこで生きていって、何を楽しみにして、
12:12
自分たちの性癖とは違う癖の人たちが作ったルールの中で生活しながら、犯罪にならないように生きていかないといけない。
そして一番難しいのは、そういった人たち同士で繋がりを作っていくということがとても難しいわけですよね。
で、それについてどんなことが起きるかというとですね、自分は間違ってるんじゃないかというふうに思ってしまうということですね。
性欲という正しい欲というタイトルからもあるように、これは誰にとっての正しさなのかっていうのもこの小説の一つ大きなテーマだと思うんですよね。
そういった異性愛を前提としたマジョリティの人たちからする正しさとか正義とは違うところで生きている人たちも当然いるわけです。
それは精神世界の中でだったりリアルの世界もそうなのかもしれないんですけども、そういった正しさが何なのかっていうことですよね。
マジョリティの正しさからははみ出し者にされた人たちっていうのは、自分の欲っていうのは正しい欲ではないんじゃないか。
そこで悩みが生じます。
理解されない。その裏側にある理解されたいという思い。
孤独。自分の性癖を発散できない。実行することができない。
あとは、これは犯罪なのではないかという恐れ。
自分のこの性癖を持っているだけで犯罪者であると言われてしまう恐ろしい世界。
でも自分ではどうすることもできないわけです。
それを見て欲情する自分っていうのを変えることができない。
まあ、さがなんですよね。
理解されたい。孤独であると思いながらも、でも放っておいてほしい。
繋がりを持ちたいと思いながら放っておいてほしいという思いもある。
そういった葛藤の中でどんどん追い詰められていくわけですね。
そしてそういった感情は、自らの存在否定に繋がっていきます。
この世界で生きているべきではないんじゃないかというよ。
そして一方でそういった悩みを抱える人たちに対して、
それ以外の人ですね、マジョリティ側にいるとされる人たちが、
どういう感情を持ち、どういう行動をしていくのかという点で、
読んでいる人たちはどちらかというと、この立場の人が多いんだろうなと思いますね。
15:05
で、その一人が賢治の寺井です。
賢治の寺井というのは、自分の中で、
この地図、この世界のマジョリティの人たちが作ったルールによって保たれているこの世の地図上というのを、
バランスを変えることなく、正義を実行していく側の人として登場してきます。
で、その賢治の寺井というのは、この世界のマジョリティの人たちが作ったルールによって、
バランスを変えることなく、正義を実行していく側の人として登場してきます。
で、この寺井の立場で読んでいると、めちゃくちゃ辛い状況に追い込まれます。
理解しようとしない、真っ向から否定する、無関心であるということですね。
で、仕事上でもプライベートでも、どんどん苦境に追い込まれていく。
そんな悪い人じゃないはずなのに、悪いことは何にもしてないはずなのに、なぜこんな状況に追い込まれないといけないのか。
寺井に共感している読者にとっても、非常に辛い状況が続いていきます。
で、もう一人、大学生の八重子ですね。八重子はこういったマイノリティ側の人たちに近い立場であると自分では思っていて、理解者になろうとするんですよね。
理解したい、救いたい、それは自分が理解されたいからであり、救われたいという思いがあるからだ。
私もあなたと同じなんですよ、という姿勢でどんどん関わっていくんですけれども、八重子も手痛いしっぺ返しを食らうわけです。
お前にも何がわかるんだっていうふうに言われるわけですね。
八重子はそこに立ち向かっていくその強さがあって、八重子に共感している人はそこで少し自分の思いが報われたという、
気がすると思うんですけれども、強烈に二文字が浮き上がってくるわけですね。
要するに、それって偽善でしょっていうことです。
なので八重子に共感していても、している読者も読んでいくうちに結構その針のむしろ感がある。
そうしていくとですね、自分がどの立場で読んでいても、この筆者の浅井涼さんが操るこの性欲という世界、その登場人物から本当にそれでいいのかと。
18:07
で、あなたがやっているそれにはどんな意味があるんだと。それで誰かが救われるのかみたいな。
そんな強烈な八重子をずっと向けられながら読むことになるんですよね。
そして、辛い状況がまだ続くのは、さっきの寺井とか八重子っていうのは悪人ではないわけですよね。
何かいいことをしたいという思いがあるんだけれども、それがはまらない世界があるという現実を突きつけられているんですけれども。
根っからの悪人みたいな人もやっぱり出てくるわけです。
それは、善人面をして近づいていって利用する悩みにつけこもうとしていく人たちですね。
そして、どこにもはまらなさそうな、この人は一体どっちなんだと。
善人ぶりたい偽善者なのか、善人の面をかぶった悪人なのか、どういう立場でこの人たちが関わっているんだろう。
という登場人物も中にはいるので、さらにそれが複雑さを呈しているし、これが本当の世界なのかもしれないという、
そんな風にも思わせてくる、リアルさを足してくる様子かなと思います。
で、読んでる側は、じゃあ自分はどうしたらいいんだと。
どういう風にいたら、浅井涼さんからですね。
の厳しい追求ですよね。
から逃れられるんだと、自分の確固たる場所っていうのはどこにあるんだというのが、読んでる中でずっと、
探したい、自然と探している部分だと思うんですよね。
で、それは最初に誰かわからない人の手紙。
あの、うるせえ黙れとかね。
あなたたちにはわからない。
そんな風に言われて、
なんでそんなこと言われないといけないのって思うわけですよね。
何も悪いことしてないのに。
でも無関心であることすらも許してくれないんですよ。
そんな私は一体どこにいればいいんだと、私もそう思いながら読みました。
でもね、思ったのは、そっちこそうるせえ黙れなんですよね。
今この世界が、誰もが相互に理解しあえて、お互いのすべてを尊重しあって、
21:00
それで世界が成立する状況ではない。
が、それをやろうとして営みを続けてきたのが人間なんですよね。
間違うこともある。
けどもいい方向になんとか倒れて、死ぬ時もいい方向に倒れて死にたいと思う人が大多数だからこそ、
この人間の世界っていうのは続いてきたはずなんですよ。
そしてたくさんの本が残ったり、
子孫を繋いできた、命を繋いできた。
すべての人がそれを享受できているわけではないかもしれないけれども、
やっぱりお互いに理解し合う関係性が確実にあったり、
何かいいことをする、それによって誰かが救われるっていう事実はあるんですよね。
で、それをなんで人間が死ぬのか、
それは説明できない、人の差がみたいなものがあると思うんですよ。
誤ともいえるかもしれない。
いろんなことを考えて考えて考えた末に、これが一番正しい行動だろうと思って人間って行動しているわけじゃなくて、
勝手に体が動いて、それが自分にとって一番正しい行動だろうと思って、
人間って行動しているわけじゃなくて、
勿論それだけじゃなくて、しっかり考えないといけない部分もあるけれども、
そういった人間が持っている、根っからのいいことをしたい、してしまうっていう差が、
自分にとって一番正しいことだと無自覚でやっていることで、
この世の中が繋がってきている部分が大いにあると思うんですよね。
そういった人間が持っている根っからのいいことをしたい、してしまうっていう差が、
誰にでもあるはずなんですよ。
それをやっているだけなのに、悩みを抱えたり、孤独であると考えている人たちが、
明日も生きていきたいと思う人たちに対して、
いやいや言うことについては、気持ちは分からないけれども、
そういう感情を持っているっていうことは、それについては分かった。
でも、それはもう知ったことじゃないと。
なぜなら、そうしてしまう私のこの構造っていうのは、
あなたのためを持って何かをしたいという、すごい思考があるからそうやっているわけじゃなくて、
私がこうありたいと思っているから勝手に出る行動なんだ。
だからもうほっといてよって、こっち側も言いたい。
そういう立場が、私がこの性欲という小説の中で唯一残された、
24:02
そこにすがりたい場所なのかなというふうに思いました。
そしておそらく、その立場を取っている人っていうのが、
この小説の登場人物でいうと、寺井の部下なんだろうなと思います。
この性欲という小説、読んで非常に感慨させられましたとか、
読む前の何も考えなかった自分に戻れませんとか、
居心地の悪さを感じましたという人が多い中で、
きっと自分の立場、居場所っていうのを探しているからこその、
そういった感想なんだろうなと私は思うんですよね。
それが見つからないと、ずっともやもやした気持ちになると思うし、
そのもやもやこそが、浅井梨央さんが狙っていることなのかもしれない。
そういった挑戦をされるということが、私はすごく居心地が悪いので、
そういう小説家からの挑戦っていうのがすごく嫌なので、
どこか許せないというか、負けず嫌いな自分がすごく湧いてくるので、
私が出した答えとしては、
かなりネタバレをしないように気をつけて喋っているので、
あの、読んでいない人からすると、
あのー、
ネタバレをしないように気をつけて喋っているのではないかと、
ちょっと待っている間にこの、
この、
この、
読んでいない人からすると、何言ってんだって感想になると思いますね。
で、読んだことある人がこれを聞くと、もしかしたらちょっとはわかってもらえるのかもしれない。
でも、この性悪という小説の感想を口にするのは結構はばかられる。
自分がどういう人間として見られたいのか、見られたいと思っているのかというのを明らかにしないと、
ありきたりの感想しか言えないような気がするんですよね。
それがすごく怖いなと、私も思います。
でもちょっと、このスタンドエフェも始めてもうすぐ1年になるので、
いろんな本の感想をしてきた中に、こういった私のちょっと気の強い部分が出てもいいんじゃないかと思って、
嫌われてもいいという覚悟で、勇気を持って話してみました。
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もし、私の感想に対してコメントがある方がいらっしゃれば、ぜひ教えていただければ嬉しいなと思いますし、
これを機に読んでみて、その感想をお話しいただければ、またさらに嬉しいなと思います。
今日は本当に長めの配信になってしまいましたが、ちょっと過去最高難しい配信だったなと思います。
でも事前に台本書くのが本当に嫌なので、ちょっと1枚のメモというかですね、感情マップを作ってそれを元に話してみましたが、
話しているうちに自分がそんなことまで思っているのかと話しながらびっくりする回でもありました。
最後までうまくまとめはありませんが、今日は性欲アサイリョーさんの小説について話してみました。
この配信が気に入っていただけたら、いいねやコメントフォローお願いします。励みになります。
今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。ではでは。
28:36

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