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#10 「打ちことば」の研究 モバイルメディアコミュニケーションから再考する日本語
2026-05-24 20:58

#10 「打ちことば」の研究 モバイルメディアコミュニケーションから再考する日本語

この番組は、書籍編集者が読んで良かったノンフィクション書籍について語るPodcastです。

隔週での更新を予定しています。


⭐今回紹介した本

「打ちことば」の研究

https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1303-2.htm


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サマリー

本 podcast では、書籍編集者が「打ちことばの研究 モバイルメディアコミュニケーションから再考する日本語」という書籍を紹介しています。この本は、キーボードやスマートフォンで入力される「打ちことば」が、話し言葉や書き言葉とどう違うのか、その特徴を膨大なデータから分析しています。例えば、「あれ」という言葉が対面での会話に比べて打ちことばで使われにくい理由や、LINEのメッセージが短くなる傾向にある理由などが解説されています。また、ポケベル時代からのコミュニケーションツールの歴史や、入力インターフェースが言葉遣いに与える影響についても触れられており、自身の言葉がどのように形成されているのかを自覚させてくれる一冊として紹介されています。

はじめに:番組と今回の書籍紹介
こんにちは、こんばんは、shikadaと申します。 このチャンネルでは、普段実用書を作っている練習者が、読んでよかったノンフィクションを紹介していきます。
ノンフィクションの隣で、第10回です。 前回の更新から少し時間が空いてしまったのですが、ゴールデンウィークの連休で、文学フリマとかいう巨大な即売店に出てきたりですとか、
台湾に個人的に旅行に行ったりですとか、ちょっとわたわたしていて、 あと仕事がちょっと立ち込んできたというのもあって、3週間ぶりの更新になります。
早速本の紹介をしていこうと思うのですが、 今回は、世間一般には何それと思われるかもしれないんですけれど、個人的にはすごい面白いなと思う本を持ってきています。
今回ご紹介する本は、おちあいかなとさんの内言葉の研究 モバイルメディアコミュニケーションから再考する日本語というタイトルの本。
出版社はひとついしょぼうさんです。
「打ちことば」の定義と研究の背景
タイトルについて説明が必要なんですけれど、 打ち言葉という言葉はあまり一般的じゃない言葉だと思うんですけれど、
打つというのはボールを打つとか打ち込むとかの打ちの字ですね。
打ち言葉というのが何かというと、 普通に書いたりする言葉とか、しゃべったりする話し言葉じゃなくて、
キーボードだったり、ガラケーのキーボタンだったり、スマホのフリック入力だったりで、 打って入力された言葉のことを言っています。
なので、ここでいう打ち言葉の研究というのは、 ガラケーだったりスマホだったりパソコンだったりで打たれた言葉、
それをこの本で打ち言葉と呼んでいるんですけれど、 その言葉にはどんな特徴があるのかとか、
普通の話し言葉とどう違うのかというのを、 いろんなサンプルから探していくという研究結果を載せた本になります。
具体的なところはこの後話していくんですけれど、
なんでこんな本を読んでいるんだ、こんな本というと失礼ですね。
こういうややマニアックな本を読んでいるのかという話をちょっとしておくと、
個人的な興味で最近、いわゆるおじさん公文というものについて調べていて、
おじさん公文というのがどうやら携帯電話、 いわゆるガラケーとかが登場してから使われるようになった言葉だというようなことがぽんやりとわかってきて、
携帯電話というものがおじさんの言葉に何らか影響を与えたんじゃないかというところで、
いろいろ調べていって、図書館で司書さんに調べ物を手伝ってもらったりして、
そうした中で出てきたのがこの本ですね。
出てきたというか、司書さんに紹介してもらった、 こういう本がありますよと教えていただいた本ですね。
この本の中では、先ほど言ったおじさん公文についての話はほとんど出てこないんですけれど、
それ以外にですね、結構膨大な話し言葉のデータとか携帯メール、
あとはLINEのやりとりとどういう言葉が使われているのかというのを、 すごいたくさんデータから調べていて、
そこから見えてくる特徴が結構面白いんですよね。
「あれ」という言葉の使われ方の違い
例えばどういうものがあるかというと、
普通に会って話すときとかに比べて、
この本でいう打ち言葉、携帯とか携帯のメールとかスマホのLINEとかで、
圧倒的に使われない言葉として、
あれっていう言葉があるんですよね。
これとかそれっていう言葉はLINEとかでも使われるんですけど、
あれって言葉はLINEとかの打ち言葉ではほとんど使われなくて、
で、それは何でかっていう話で、
女性の方が言っているのは、
対面で会っているときは、
お互い結構視覚の情報、聴覚の情報、
相手の見ぶり手ぶりだったり、相手の表情だったり、
いろんな情報があるわけですよね。
そういうのがあるので、
喋っていなくても言葉の外で伝わる情報がたくさんある、
先手となる情報があるので、
あれって言って伝わる確率が高いんですけれど、
打ち言葉の方、LINEとか携帯のメールの方では、
テキスト、文字の文章しか情報がないので、
そういう風に伝わる情報が少なくて、
あれだよあれって言っても、
なかなか伝わらないっていうところで、
あんまり使われてないんじゃないかとか、
そういう話があったりしますね。
入力道具が文章の長さに与える影響
結構そういうのを読んでいて、
自分たちが使っている言葉って、
どういう道具で言葉を発するかによって、
結構変えられている、
見えない影響力みたいなものがあるんだなと思ったんですよね。
例えば、LINEで送る文章って、
携帯のメールで送る文章より、
かなり短くなる、
短い文章になるっていうデータを持ってきていて、
これすごい説明を読んでいて、
なるほどなって思ったんですけれど、
LINEのチャットの文章が短くなるのって、
LINEって過去に発言した、
自分が発言したり相手が発言したりした文章が、
すぐ見えると思うんですけれど、
あれが見えるので、
いちいちそれを過去にどうやり取得したのかっていうのを、
説明し直さなくていいからっていう話があって、
確かにそうだなと。
メールとかだと、
最近のメールのソフトは、
過去にやり取得するツリーで出されたりしてくれますけど、
携帯時代のメールって、
いちいち昔のメールをフォルダの中から探さないといけなかったりして、
過去のやり取りがLINEほどは見えやすくなかったっていうのがあったので、
そういうのもあって、
結構昔のやり取り、
こういう話があったけどみたいなことを話したりしていたから、
LINEに比べると相対的に文章が長くなったっていうような話があったりとか、
あと、LINEって文章を入力する四角い欄があると思うんですけど、
そこに、ちょっと試しにやっていただきたいんですけれど、
すごい長い文章を入れると、
入力するスペースがどんどん広がっていって、
そうすると、過去のやり取り、
LINEの過去のメッセージが保有されているスペースが、
小さくなっていってしまって、相対的に。
過去のやり取りが見えにくくなるからっていうのもあって、
短い文章が好まれるのではないかっていうような話があって、
これはもう納得ですね。
そういうのを自分はこれまで全く意識せずに使っていて、
でもこの本にあるように、
確かにメールは結構長く丁寧に説明しがちで、
LINEのチャットはもう短く済ませがちだったなっていうことに気づいて、
自分が意識していないだけで、
こういうふうに、
この例だと文章を打つ道具であったりとか、
その打つ相手であったり、環境であったり、
そういうものに知らず知らずのうちにすごい影響されていることが、
ここにもたくさんあるんだろうなって思いましたね。
コミュニケーションツールの歴史的変遷
あとは結構この本を読んでいると、
かなり昔の歴史の話からしてくれていて、
それこそポケビルが登場したときの話とか、
この辺とか全く知らなかったので面白かったんですけれど、
数字だけでコミュニケーションを取るみたいな時代があったらしいんですよね。
どういうことかというと、
数字で0840って打ったら、
おはようっていう意味になるとか、
あとは決まりきったよく使う文章を事前に登録しておいて、
特定の番号を打つと文章が呼び出されるとか、
そういうコミュニケーションがあったっていう話。
これを使ったことがない世代なので、
ポケビルってそういう感じだったんだって思ったりとか、
あとは柄系の普及がどんな風に進んでいったかみたいな話。
僕が柄系を持ったのは高校生のときなので、
そこから適応していったっていうことなんですけれど、
2000何年で国民が何%どのくらいの利用率になったみたいな話があったり、
2012年頃にLINEが多数派になったとかいう話があって、
こういう風に広まっていったんだっていうのがわかる。
その辺のちょっとした歴史みたいな話も読んでいて面白かったですね。
入力インターフェースと縦書き文化
これは本に書いてあることじゃなくて、
僕が思ったことなんですけど、
柄系とかパソコンが出てきたことで、
結構みんな横書きに慣れ親しむようになったんじゃないかなと思って、
それまでって結構手書きで書くものって縦に書く、
縦書きのものが多かったのかなと思うんですね。
特に書道とかやってる人は、
日本語っていうのは縦書きだと美しく書きやすいんだとか、
筆の動きが縦に動くように自然にできてるんだとか、
そういう話を聞くことがあるんですけど、
携帯とかスマホのフリック入力で打つ言葉、
この本でいう打ち言葉ですね。
それだと書き順とか筆の動きっていうものを全く考慮せずに文字を打つことができるので、
横書きに対する抵抗感というか、
縦書きを使うメリットみたいなのが相対的に薄れた瞬間なんじゃないかなと思ったりもしました。
というところで、もう少し読んでいて面白かった打ち言葉の特徴とかをいくつか紹介しておこうかなと思います。
「というか」「あと」といった接続詞の多用
この打ち言葉、携帯メールとかLINEで統計的にすごく多い言葉の一つが、
というか、てか、あとっていう言葉が多いっていう話なんですね。
というかとかあとっていうのは、
というかの場合は話題を変えるような場合もあるんですけど、
情報を付け足すみたいなことを言うことが多くて、
何かしら何々をしてきたよって言った後に、
何々というか、
より詳しい情報を付け足すための言葉、
そして、というか何々っていうことを言う、
それからあと、
あと何々、あと何々をしたよとか、あとどこどこに行ったよとか、
どんどん情報を付け足していく性質があるっていう話をしていて、
これっていうのはさっき言った話だよな、
直接会って話す時に比べると文字だけなので情報量が少ないから、
いろいろ付け足し付け足しで説明が不足しないように付け足していくっていう話があって、
これは僕自身LINEで使ってしまうので、
かなり納得感があったんですけれど、
自分自身が使っている言葉に、
それはこういう理由があるし、こういう研究もあるんだよっていう風に言ってもらえるのって、
すごい僕は快感というか、
あ、そうなんだ、これ研究があって裏付けがあるんだっていう、
謎のテンションが上がってしまうことがあるんですよね。
この本を読んでてそういう瞬間が多かったですね。
「え」という言葉の使われ方とその背景
それからこれも打ち言葉ですごく多い言葉の例として、
ひらがな一文字、え、もしくはえにちっちゃいつがついてえっていう言葉、
これがすごく多いっていう話があって、
これも僕使っちゃうので納得感があったんですけど、
これもすごく日常的にありふれた言葉なんですけど、
この言葉がデータを読み解くとこうとか、
言語学的に言うとこうみたいな話が展開されてるのがすごい読みごたえがあって、
このえっていうのはLINEでどういう文脈で使われるかっていう話がされていて、
準備していた知識に対して矛盾したり、
関連性が低いような情報を受け取ったときに、
えっていう単語がLINEで出やすいっていう話があるんですね。
これはそうだなと思って、
相手が変なこと言ってきたときとか、
予想していないことを言ってきたときとか、
ちょっと思ってもなくて軽くびっくりしてしまったときとか、
えって返すんですよね。
これってそういう理由で俺は使ってたんだと思って、
言われてみれば確かにその通りだなって思うようなことなんですけど、
裏付けがあるんだなっていう面白みはありましたね。
それからえっていうひらがな一文字だけで返すっていうのも、
これも結構独特な動きだと思うんですけど、
これはLINEの記録の機能が影響してるんじゃないかという話もあって、
LINEって相手のメッセージを読むと記録がつくと思うんですけれど、
記録がつくと読んだのに返答していない、
相手を無視しているような位置表示になってしまう場合があると思うので、
どちらかというとこまめな反応が求められる。
記録をつけたからには返事をしないとみたいな現象が起きるんですね。
もちろんケースバイケースで、
記録するとか未読するみたいな文化があったりもするんですけれども、
基本的には記録をつけたら返事をしないとっていう圧がある。
そういう環境で、とりあえず何かしら反応をするっていう時に便利な言葉が
このえっていう言葉だったんじゃないかなというような話もあって、
ここも自分が言葉を選んでいるようでいて、
LINEの記録機能に急かされて、
とりあえず何か言わなきゃで、
えって言ってる側面は確かにあるなと思いましたね。
えって言ってる間に次に言うことを考えたり、
えって言った後に相手がいやそれはこうなんだよって説明をしてきたり、
えっていうひらがな一文字で、
そういう記録に追われる気まずさとか、
相手に次の話を裏返せるっていうような機能があったりとか、
LINEっていう結構特殊な環境の中だけで便利な言葉なんだなって思いましたね。
そんな感じの例がデータをもとに無限に載っている一冊になっていて、
入力インターフェースごとの違いの考察
読んでいいと思ったのは、
おそらくこの書写の方の専門領域から外れるかもしれないんですけれども、
入力する道具ごとの違いっていうのも知れたら面白いだろうなと思ったんですね。
入力する道具っていうのは例えばキーボードとか、
柄系の赤サタナっていうボタンとか、
あとはスマホのフリック入力、
そういう入力するインターフェースごとにも、
きっと違いがあるんじゃないかなって思ったんですよね。
っていうのは、
ちょっと前に別の本で、
小川幸太さんっていう方の
発明で食っていく方法を全部書いたっていう本を読んだんですね。
これはフリック入力を開発した人の開発に至るまでのエピソードとかを書いた本で、
その中で書かれていたのが、
この方は柄系の時に自分の名前を打つ時に、
小川幸太さん、幸太さんっていう名前なんですけど、
この字を書く時に、
柄系だと書きふけこって、
かのボタンを5回押さなきゃいけなくて、
それがめんどくさくて、
何かもっと便利な入力方法はないかって言って、
フリック入力に行き着いたらしいんですけれど、
このエピソードでも分かるように、
文字を入力する道具、
柄系のボタンとかフリック入力とかキーボードとか、
そういう道具ごとにこういう文字は打ちやすいとか、
こういう文字は打ちにくいとか、
こういう変換はしやすいとか、
入力速度の問題もありますよね。
キーボードならさっさと打てるから、
長い文章を打つのは別に苦手じゃないけど、
柄系のボタンでそんなに長い文章はあんまり打ちたくないよねとか、
そういう話もあるんじゃないかなと思って、
それってもう行き着いてしまうと、
同じ人が書いた文章でも、
そういう道具が違うとまた文体が違ってくるとか、
そういうことも全然あり得るんじゃないかなと思ったんですよね。
僕自身はキーボードで文章を書くことがほとんどなんですけれど、
たまに手書きでメモを取ったりすると、
もう脳みそが退化してて難しい漢字を書けなくなっていたりして、
キーボードならベースキーをポンポンと押して変換できるような言葉が、
手書きだと書けないみたいなこともあったりするので、
その人自身が持っている文章の流儀みたいなものに、
どの道具で書くかっていうものを掛け合わせて、
その結果出てくる文章があるんじゃないかなと、
道具によっての影響っていうのは少なからずあるんじゃないかなっていうのが、
今個人的に思っていることで、
それを調べたような本ってないのかなと今探しているところです。
学術研究の積み重ねと出版支援
ちょっとこれは脱線しましたね。
この本の最後の後書きの部分を読んでいくと、
結構先行している研究、
携帯の言葉の文化的な研究とか、
そういうものが山のように参照されていて、
それから先輩研究者たちの指導がありがたかったとか、
こういう意見でこういう着想を得られたとか、
そういう話がたくさん載っていて、
学術的な研究の世界って、
よく巨人の肩の上に乗るみたいな言い方をされたりしますけれども、
これまでの無数の積み重ねの上に、
プラスアルファ、
少しの自分の新しい着想であったりとか発見、
調べたこと、時代の変化による新しい情報とか、
そういうもののステイク板のみなんだなと思いましたね。
あとこの本に関しては、
学術出版女性っていう女性研を受けているらしくて、
そういうものがあるんだというのも初めて知りましたね。
こういうかなり絞られた、限定されたテーマの本って、
出版するのが難しいようなものもおそらくあると思うんですけれども、
多分同じ領域のことを研究する人とか、
僕みたいな一般人ですけれど、
こういうテーマに興味がある人にとってはすごくありがたい本なので、
そういう女性を出している団体って素晴らしいなと思いましたね。
というわけで、まだあと喋ってきましたが、
本書のまとめと推薦
この本、自分の言葉が道具によってどういう影響を与えられているのか、
変わっているのかっていうのがわかるすごい面白い本で、
自分の言葉に自覚的になれる本だなと思いましたね。
自分はこういう環境だとこういう言葉を使っているんだとか、
こういう道具だとこういう言葉を使いやすいんだとか、
そういうことがわかりますね。
なので、言葉の扱い、
どういう言葉をどういう時に使うのかということに詳しくなりたい人、
詳しくなりたいという人というか、
自分の言葉を形作る要素を知りたいというような人、
あとは単純にガラケーとかスマホとか、
いろんなデジタルメディア、
そういう便利な道具の浸透する歴史みたいなものに興味がある人にも
おすすめできる本かなと思います。
エンディング
というところで、今回はこの辺で終わりにしようかなと思います。
番組への感想やお便り、その他質問や雑談など何でもお待ちしてますので、
概要欄のホームからお送りいただければと思います。
それではまた次回の放送でお会いしましょう。
ここまで聞いていただきありがとうございました。
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