じゃあどうして聞き手の視点からすると困る平板化が進んでいくのかっていう話を、また改めてご登場ですね。
UCサンタクルーズの伊藤潤子先生とアーミン・メスター先生という非常に有名な音韻論の先生が研究されています。
2016年の論文なんですけれども、これが非常に難しい音韻論の世界の最新理論ですね。
最適性理論というオプティマリティティオリーというすごい難しい理論があるんですけれども、これを使ってすごく鮮やかに説明してまして、今日はこちらの論文をちょっとご紹介したいと思います。
この論文の最大の面白い点はですね、このアクセントの平板化が起きる理由っていうのを、2つの制約の板挟みから逃げるためだよっていう風に説明してるんですね。
まず前提として、最適性理論っていうのは音の変化をこういうルールがあるからだよねっていう風に捉えるんじゃなくて、制約のランキングで捉えるっていうことをしてるんですね。
例えば1っていう制約と2っていう制約があったときに、2の制約の方が弱かったら破ってもいいよねみたいな。
1の制約の方が強いからこっちを守ることが大事だよってなったら2の制約を破ってもいいみたいな、そういう考え方で作られている。
ぶつかったときにより強い方を反映させるから弱い方は守れなくてもやむを得なしみたいな、そんな感じですかね。
そうです。そういう感じ。なので一番最適な形の音韻変化が残る。音の形が残るっていう前提の理論だとお考えください。
はい、わかりました。
このときに日本語の音韻規則の中には2つめちゃくちゃ強いルールがあると。
こいつらがバチバチにぶつかり合ってて、その2つをなんとか守ろうとした結果が平板からんじゃないかっていうことをおっしゃってるんですね。
その2つのルールっていうのの1つが、なるべく単語の後ろ側にアクセントを置きたい。
2つめが一番最後の音節、一番最後の音ですね、にアクセントを置くのは嫌だっていう。
できるだけ後ろに置きたいけど、でも一番後ろになるのは嫌だっていう。
絶対こうしたくないっていうルールを守るために、第3の解決策としてアクセント取っちゃえっていう。
結局アクセントがあるから問題が起きるわけじゃないですか。
じゃあアクセントなくしちゃえばよくねっていう。
そういう第3のとんでも解決策的な感じでアクセントをなくすっていうことを行っているんじゃないかっていう仮説を提唱されてるんです。
つまり簡単に言うとアクセントがなければ争いも起きない。
ノーアクセントノーコンフリクトっていう究極の平和主義のもとに平板化が起きてるんじゃないかと。
なるほど。
そこまで難しいことを考えてなくても、世の一般名詞の彼氏じゃなくて、私の場合の彼氏みたいな。
何て言うんですかね。辞書に載ってる彼氏の話じゃないんだよ感を出したかったみたいなのが最初なのかなーみたいには思っちゃったりしましたけどね。
社会言語学的な側面で見たときに平板化するってもう一つ要素があるというか、特徴があるというか、エフェクトがあるっていうふうに言われて、効果があるっていうふうに言われていて、それが業界人っぽく聞こえる。
なんかこう一般に辞書に載ってる話の普通名詞の話じゃないんですってギターもそうですよね。
なんかそういう自分他とは違うんで感が掘ったんで、でもなんかそれが市民権を得ちゃって二大論争みたいになってるというか、彼氏派と彼氏っていう派とみたいになってるみたいな側面も何も考えずに発している中ではあるんじゃないかなというのは聞いている中では感じましたね。
見逃せない側面としてはあると思います。ただ、音韻論という言語学の界分野の中で言われていることで一番有力だとされているのはアクセントがなければ問題も起きないっていう究極の平和主義なんじゃないかというお話でございました。
ちょっとくまモンの話から始まってやや遠回りをしたような感じもありますけれども、平板化の裏側には実はこんなメカニズムが隠れてるんじゃないかという面白いお話でございました。
では今日の101講師の言語学はこの辺で次のコーナーに行ってみましょう。
このコーナーでは大学のオフィスアワーになぞらえて視聴者の皆様からの質問にお答えしていくそんなコーナーとなっております。
本日も言語に関する質問が来ておりますので、もち子さんお便り読みをお願いします。
はい、ラジオネーム卵焼きは甘めさん。
Kさんもち子さんこんにちは。いつも楽しく聞かせてもらっています。
今日はKさんに質問があってメッセージを送りました。
ワンチャンってこれもう死後ですか?死後についての質問もなんなんですけど、私は奈良に住んでいるので普段関西弁を使っているのですが、ワンチャンあかん、ワンチャンあかんなーとかワンチャンないなーとか言うんですよね。
そもそもワンチャンってひょっとしたらいける的な時に使うように思うんですけど、自分で使いながらワンチャンあかんってなんやねんって思ったり、本来の英語のワンチャンスの意味って何なんでしょう。
これはKさんに聞くと教えてもらえるかもと思いまして、よろしくお願いしますとお便りをいただいております。
はい、卵焼きは甘めさんお便りありがとうございます。ワンチャンね結構よく使いますよね。
使いますね。
ワンチャンあるぞこれとかって結構よく使う気がするんですけど、そんなに死後っていう認識ではないかなと思ってるんですけどどうなんですかね。
私が会社でワンチャンあるかもしれないんですけどって話をした時に、この子は若い世代なんだなって思ったってベテランの方からは言われました。
じゃあやっぱり若い認識は結構あるのかな。
やるの言葉みたいなほどではないけれども、それをナチュラルに使う、それをネイティブっぽく使うっていうのは、少しミドル世代の方にはやや若者言葉っていう普通の語彙じゃないなっていう感覚がやっぱりやばいよりは歴史が浅いと言いますか。
そんな位置づけの言葉で、死後というよりは個人的にはもう普通の語彙になっちゃった流行語ではなくて、普段使いになっちゃったかなっていう感覚はありますね。
ワンチャンっておそらくですけど、完全に和製英語だとは思うんですよ。
この卵焼きはあまめさんも書いてくれてますけど、たぶんひょっとしたらいけるよねとか、わずかながらなんかできる可能性があるよねとか、本当にチャンスが1回分くらいはあるかもみたいな意味で使ってますよねおそらくね。
大義語がノーチャンなので。
大義語がある、そうか確かに。
ノーチャンはノーチャンスなんですよ。ゼロなんですよ。だからゼロか1かってなった時にワンチャンは1ないかもしれないけど、0.1かもしれないけど、見込みはちょっとはあるっていう状態でノーチャンとワンチャンの区別があると私は勝手に区別をしています。
なるほど、分かりました。今すごい言われて納得しました。そうですね。なので、わずかではあるかもしれないけど、チャンスがあると。
ビレゾンですよ。
はい、微粒子レベルで存在しているのですね。
質問にお答えしていこうと思うんですけど、英語でワンチャンスって使うかなって思った時に、あんまり聞いたことないんですよね。おそらく単体でワンチャンスって使うってことはあんまりないと思うんですよ。
ハブチャンスも使わないですもんね。
そうですね。オポチュニティとかっていうふうには使うこともあると思いますけど、機会があるとかっていう。でもそのワンチャンスって多分直訳しても
使わないですよね。Is there one chanceとかないですもんね。
ないですね。1回の機会があるかないかみたいなくらいにしか意味が伝わらないと思うんで、英語の僕は相手にワンチャンスって言っても、日本語と同じ意味ではおそらく伝わらないだろうなというような気がします。
例えば英語でもしワンチャンスって使う機会があるとすれば、You have only onechanceとかチャンスは一度きりだぞみたいな、そういう場面、映画のね、もう外したら終わりだぞみたいな、そういう場面で使うくらいが自然かなとかっていうふうに思ったりしました。
なんかチャンスの意味がカタカナのこちらのチャンスとまた違う部分もあるでしょうし。
逆にもしその日本語のワンチャンみたいな意味本当にそのチャンスあるかもみたいな感じで使いたかったらYou could make itとかYou might make itできるかもよくらいのニュアンスが正確かななんていうふうに思ったりしましたね。
10個ぐらい意味のあるメイクイットですね。
そうですね。メイクイットはすごく使いやすいのでいろんな場面で出てきますけれども。
卵焼き屋天目さんのご質問にお答えするとこんなような感じかなと思います。
卵焼き屋天目さんお便りありがとうございました。