1. 真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜
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2025-06-25 13:04

EP212. 初心に返る。純粋な憧れと羨望を取りもどす本

「ふとした瞬間に繰り返し読み返したくなる本、手放したくない本は?」というリクエストに、辻村深月さんの『図書室で暮らしたい』をご紹介します。なぜか、どういうスイッチなのか自分でもわからないのですが、読むと必ず泣いてしまう箇所があって、仕事や読書に対する思い入れを失いかけたときに手にとってページをめくります。

<勝手に貸出カード>

辻村深月さん『図書室で暮らしたい』

https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000344165


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サマリー

第212話では、辻村瑞希による著書『図書室で暮らしたい』が紹介され、読者の心に響くエッセイの内容や、著者のサイン会のエピソードが語られています。また、読書への純粋な憧れや羨望という重要なテーマについても触れられています。

読書の喜びと影響
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
第212話を迎えました。今夜のお便りをご紹介します。ペンネームゆりねさんから頂きました。
バタやんさん、こんにちは。初めて送らせていただきます。こんにちは。ありがとうございます。
読書は好きなのに、読むことに波があって、もやもやしていたのですが、真夜読に出会ってからは読書欲をかきたてられ、以前よりも読書時間が増えました。ありがとうございます。
バタやんさんの声が心地よく、感想や紙フレーズのチョイスから伝わる読書愛に、とても影響を受けます。
私は、昔からふとした瞬間に読み返したくて、必ず本棚に入れていく本が3冊あります。
現実と空想の間にいるような気持ちになる西の魔女が死んだ、優しいゆっくりした時間に浸れる気がする博士の愛した数式、
自分を奮い立たせる人生のバイブルのような三つ国伝です。
バタやんさんは、常に閉鎖して複数の作品を読んでいると話していましたが、ふとした時に繰り返し読みたくなる本や、これだけは手放したくないというような本はありますか、良ければ教えてください。といただきました。
ありがとうございます。こちらのリクエストかなり前にいただいていたので、まだ聞いてくださっているかなぁ、ゆりねさん。聞いてくださっているといいです。
さて、ふとした瞬間に繰り返し読む本、あります。ありますね。私も読書は波があって、小説にあまり没頭できない気持ちが乗らない時もありますし、
仕事として、近しいところで働いているので、純粋に読書を楽しめない気分になる時もあります。
そんな時に、私が繰り返し手に取る本を、今夜の勝手に貸し出しカードに選びました。
今日の勝手に貸し出しカードは、辻村みずきさんの図書室で暮らしたいです。
これは2015年に単行本として刊行されたエッセイ集で、今は講談社文庫になっています。
ちょっと講談社の方が続いてしまいましたが、この本ね、何回読んでも泣ける箇所があって、なんかちょっとよくわかんないんですけど、私の心の柔らかいところをギュッとされる本なんですよ。
この類似線の壺をギュッと押されるみたいな感じで、もう一回泣いてしまう、どういう本かと言いますと、辻村さんが作家になられる前、そしてなお気性を取られてからっていうような、それぞれに好きだった作家さん、小説、映画、漫画などなど、好きなものについて書かれた文章をまとめた本です。
ご本人の作品のセルフ解説もあって、とても贅沢な、全部美味しいクッキーやソート缶みたいな本なんですよ。どっから読んでも楽しめる感じで、まだ2015年だと推し勝つとか言うのは言葉がなかった時ですけれども、まさにそんな感じのギュッと好きなものが詰まっている本です。
もちろん辻村さんファンなら筆読って感じですが、そうでなかったとしても、お手紙をくださったユリネさんのように、なしき加穂さんとか小川陽子さんとか産方藤さんの作品がお好きで繰り返し読んでますっていうような方にも、きっと共感するところがあるんじゃないかなと思ってこの本を選びました。
辻村瑞希さんのペンネームが綾辻喜人さんの辻から取られていることは有名、あ、有名かな。私の中では有名。でもご本人も公言されているので秘密じゃないと思うんですけれども、辻村さんは若い時に綾辻さんに102ぐらいファンレターを書いて送ってたそうで、
ストーカーじゃないですって書いたら返事が来たというエピソードもこの本に載ってて、すごい大好きなんですよ。私がこの章を読むといつも泣いてしまうっていうのはそことはまた違うところなんですけれども、17歳のサイン会っていうタイトルの章です。直木賞が決まってからの最後の章ですね。この本の最後の最後の章なんですよね。
タイトルの通り辻村さんが17歳の時に高校3年生の時に山梨の地元から埼玉の書店にある大ファンだった作家さんがサイン会をやるっていうので、そこにお友達と同級生と2人で行ったっていう話なんですよ。
何着てこうっていう話からお花を渡したいどうしようっていう相談からドキドキで1時間くらい前に着いたのかなでもすでにたくさん人がいて自分よりファンドが濃そうな人がこんなにたくさんいるんだって面食らったりしてね。すごいキュンとするお話なんですよね。
どの作家さんのサイン会で、いや果たして無事にサインをもらいお花を渡せたのかっていうところは言わないでおきますね。ぜひ読んでみてください。その辻村さんが17歳だった当時、女子高生ブームで制服さえ着ていれば最強みたいな若さと傲慢さがあったこと。
サカキバラの事件、一堂連続殺傷事件があったことなどの記述があって、あれもしかして私同い年かもしれないと思ってプロフィールを見たら同じ学年でしたね。だから辻村さんが高校3年生でいらした時、私も高校3年生で制服最強ルーズソックスを履いていれば世界は私たちのものみたいな。
特権的なオシャレの傲慢さをまといながら、私ももちろんその頃から小説好き、図書室っ子だったので、作家さんへの強い憧れみたいなのが同居してましたね。
もしかしたら辻村さんとどっかでお会いしていたかもしれないっていう同時代感を感じるので、余計この二人にグッと来てしまうのかもしれません。私もそうやって小説とか小説にまつわる世界、小説家さんというのにすごく強く憧れて、書く側にはいかなかったんですけど、
出版社に入って、中高生の頃に夢中になって読んだ作家さんにお会いする機会もありましたし、一人挟めばその方とつながれるかもしれないという世界にいて、女性審にいた時はかなりの数の作家さんにインタビューをさせていただく機会もありました。
そうなると、サインを待って並んでるだけで吐きそうとか、自分が自分の名前を書いてもらうために付箋に書く手が震えるみたいな感情は薄れてきて、緊張もしなくなるし、してますけどあんまり顔に出なくなるというか、仕事は仕事として徹するみたいなね、涼しい顔して業界トークするみたいな自分にがっかりするんですよね、時々。
そんな時にこの本の17歳のサイン会を読むとですね、また何度でも熱い気持ちがよみがえる、そんな大事な本です。
憧れとサイン会の思い出
ちょっと話がそれるんですけどね、ついつい最近アップルウォッチが、今はアップルウォッチを使っていて、心拍アラートが鳴ってしまう、心拍数が高くなりすぎてますっていうアラートが出るぐらいドキドキしたことがあって、何かっていうと、その話をちょっとだけしてもいいですか?
私今タイのアーティストさんを追いかけてまして、韓国ドラマもねすごく好きなんですけど、タイのドラマもすごい面白いんですよ。先日代々木公園でタイフェスがあって、その時期に合わせてタイのアーティストさんがたくさん来日されてたんです。
私が推してる人も日本に来てくれていて、ファンイベント、ファンミーティングっていうのに行ったんですよ。いわゆるハイタッチとか一緒に複数人で写真が撮れるみたいなのは、高い席のお金を買えば権利が買えるんですね。
でも抽選会があって、石器の番号で抽選で何名かの方だけにサインの機会が当たるっていうのがあって、ポスターにその場でサインをしてもらえる権利ですね。それがなんと当たったんですよ。私なんかそういうの初めて、人生で初めて当たりました。
何度も何度も石器番号を確認したんですけど、やっぱり私が当たってると思って、サインがすごい欲しいかっていうとそういうわけじゃなかったんですけど、サインをその場でマジックで書いてくれている数秒間、2人きりで向き合う時間があるってことですよね。
すごいそれでめっちゃドキドキして、並んでる間に何をって思って、対応で書かれたメッセージボードとか、それこそお手紙とか色々用意している方もいたんですけど、私特に何も用意してきてなくて、会社帰りにそのまま来ちゃったものですから。
そしたら後ろに、私の後ろに並んでいた女の子が、日本人でもタイ人でもないけどアジアから来た人だったんですけど、私は日本語もタイ語もしゃべれないけど、何て話すつもりなのって言って話しかけてきてくれて、話すこと決めてますかって言って、私も全く考えてないんだって言ったら、いつも応援してますとか、これからも頑張ってくださいって。
そしたら、私の後ろに並んでいた女の子が、日本人でもないとかをスマホで色々調べてくれたんだけど、いやこんな長いタイ語を言えないよってなって、でもそのうち自分の番が来てしまいまして、結局全然しゃべれなくて、でもあのとっても綺麗ですっていうことをね、それだけ言えたんです、タイ語でね。
そしたらアプローチの警報が鳴ったっていうね、20歳、20歳以上年下なんですけど、そのアーティストの女性ね、君も可愛いよって言われて、こんなにドキドキすると思ってなかったなという話です。
そしてタイ語を勉強しようと思いました。私の後ろに並んでいたあの子は何て言えたのかなーって気になりながら、ちょっと剥がされていきまして、その時にまたこの辻村さんの図書室で暮らしたいの17歳のサイン会のことを思い出したんですよね。
それで今日ちょっとご紹介しました。今日はこの本から紙フレーズをご紹介して終わりたいと思います。
私をここまで連れてきてくれてありがとう。この恩に報いる道を私はこの場所から一生かけて探していく。
とあります。これはこの本のまさに締めくくりで、この前の箇所もすごく好きなんですけれども、それは辻村さんの作家としての教示みたいなところだから、読まずにとっておきます。
手に取られた方は読んでみてください。私も仕事が流れ作業みたいになったり、慣れてくると繰り返しっぽくなってきてしまって、心意気や志を失った時にはこの下りに戻るんです。
ここまで連れてきてくれてありがとうっていうのは、その図書室かな。この番組がおしゃべりな図書室っていうサブタイトルで、図書館じゃなくて図書室なのも、17歳の頃の気持ちが今ここに連れてきてくれたことにありがとうという気持ちと、この恩に報いるやり方をこれからも探していこうっていう気持ちになれる本です。
リクエストありがとうございました。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、リスナーの方からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介しています。
リクエストはインスタグラムのアカウントバタヨムからお寄せください。
お届けしたのは、講談社のバタヤンこと川端理恵でした。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみ。
13:04

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