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2025-06-18 15:33

EP211. 悪を生む会議。決断力のあるカリスマと一致団結の功罪 #211

映画『フロントライン』観てきました! 今日は、緊急事態や問題発生時の判断とネガティブ・ケイパビリティのお話です。

<勝手に貸出カード>

ほんとうの会議  ネガティブ・ケイパビリティ実践法』帚木蓬生(ははぎほうせい)

映画『フロントライン

Netflixドキュメンタリー『とんでもカオス!:アストロワールド2021

Netflixドキュメンタリー『潜水艇タイタン オーシャンゲート社が犠牲にしたもの


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サマリー

ポッドキャスト第211夜では、映画『フロントライン』や他のドキュメンタリーを通じて、コロナの影響や事故による教訓が考察されています。特に「悪を生む会議」や組織の意思決定における倫理的判断の重要性が強調されています。このエピソードでは、ネガティブケイパビリティと企業の会議におけるリーダーシップのあり方が探求されています。特に、決断力のあるカリスマが引き起こす問題やオープンダイアローグの重要性が強調されています。

映画『フロントライン』の考察
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
第211夜を迎えました。今日は最近見た映画ドキュメンタリーのお話からしたいと思います。
映画フロントライン見てきました。面白かった。面白かったという表現が適切かわかりませんが、良い映画でした。見てよかったです。
これからご覧になる方も多いと思うので、細かい感想は言わないでおこうと思うんですけども、
あまり先入観なく見ていただいた方が、コロナの入ってきたての頃の臨場感が思い起こされるのではないかなと思いますので、
この回見てみてから聞くっていう風にしていただいてもいいかなと思います。
フロントラインがどんな映画か簡単に解説しますと、2020年のコロナ感染者を乗せたダイヤモンドプリンセス号という大きな豪華客船がですね、
港に着いて、その中で何が起きていたかという実話をもとに描いた映画になっています。
DMATという災害派遣医療チームと厚生労働省の担当者、クルーズ船のクルーたち、中に乗っていた乗客の方たち、そして受け入れ先の病院の人々などが描かれます。
コロナに関しては私たちも当事者じゃないですか、だからいろんな思いもしましたし、皆さんいろんな思いをされたと思いますし、
当初のいろんな情報に振り回されたり、ここに出てくるようなDMAT緊急対策チームとか医療関係のメンバーじゃなくても、
日常の中でいろんな小さな決断や判断をしなきゃいけなかったと思うんですよね。
お仕事の中だったり家族の中だったり、誰にこの映画の中で誰に思いを馳せるかというのはそれぞれなんじゃないかなと思うような映画でした。
音楽フェスと潜水艇の事故
さてこのフロントライン、迷われている方がいたらぜひ見てみてくださいというのと、最近ネットフリックスで2つドキュメンタリーを見たんですよ。
その話からちょっとしたいんですけれども、フロントラインで描かれるような厚き人命救助の戦いとは真逆のタイプのドキュメンタリーを見まして、
1つはトンデモカオスアストロワールド2021っていうドキュメンタリーです。ちょっとポップなタイトルがついてますが結構悲惨な事故を描いておりまして、
2021年にアストロワールドという音楽フェスで起こった事故なんですね。お客さんたちが思いめくちゃのパニック状態になって、将棋倒し状態になって、
10名が圧死してしまい、100名以上の方が負傷したという悲しい事故、人災ですかね。どうしてそうなったのか。ライブ会場の構造的な欠陥ですとか、
途中で中止中断もできたはずだけど、続行されてしまって被害が拡大した関係者ですとか、亡くなってしまった方の遺族だったり友達の人への取材で構成されています。
この2021年っていうのも肝で、前年までコロナでかなりのイベントが中止になっていた。2021年って言ったら日本でしたら、すし詰めのイベント、マスクもしてないようなイベントを解禁するにはまだ早いっていう段階だったと思うんですけど、
アメリカのヒューストンで、屋外で開催されたこの音楽フェスはですね、抑圧されていた日々の鬱憤もあって、お客さんたちは半狂乱の恥けっぷりでして、最初から正義を不能って感じになっちゃうんですね。
そこで何が起きたのかというのが、なかなか見応えのあるドキュメンタリーでした。もう一つ見たのが、潜水艇タイタン、オーシャンゲート社が犠牲にしたものっていう、これもネットフリックスのドキュメンタリーです。
こちらは2023年にタイタニック号の残骸を見るために、深海に海の底に沈んだタイタニック号を見るために向かったオーシャンゲート社の観光潜水艇タイタンが爆竹するという、そして乗員乗客の方々が亡くなってしまったという事故があったんですね。
爆竹って私初めて聞いた言葉ですが、深海の水圧に耐えきれず船ごとぐしゃってなってしまうってことなんですって、めちゃくちゃ怖いですね。
この潜水艇の、画期的な潜水艇の開発には専門家たちが関わっていますし、テストもシミュレーションもたくさんしているのに、なんでそんなことが起こってしまったんだっていうふうにすごく思ったんですけどね。
私もこれ安全性が担保できないですよって警鐘を鳴らした人はたくさんいたんですけれども、社長に次々と首を切られてしまって、解雇されちゃうんですよ。その人たち、社員の中でこれはまずいんじゃないかって言った人たちが、テスト潜水の時にも変な音がしてるんですね。これが映像の中で流れてきてます。
すごい怖いんですけど、そのキーキーというようなプツプツと変な音がしてるよっていうふうに、社員とか専門家から意見が出るんだけど、結局このイーロンマスクに憧れているワンマン社長にことごとく無視されて揉み消されてしまって、
結構されてしまうんですよね。どちらも音楽フェスは音楽フェスの専門家、プロがやってますし、その道のプロたちが集まっているはずなのに事故が起こってしまった。そして途中で引き返せた、中止にできたタイミングが何度もあったのに、結局ストップはかけられず痛ましい事故が起こってしまい、
複数の方が犠牲になってしまったっていうお話なんですけど、すごいいろいろ考えさせられるドキュメンタリーでして、じゃあ自分がその中に社員として会議にいたとして止められたかっていうとどうだろう、止められなかったかもしれないなぁと思うんですよね。
悪を生む会議の議論
カリスマ社長の功罪と成功体験の罪について考えさせられた。今までうまくいったから成功させてきたんだから大丈夫っていうバイアスが、みんなの判断を鈍らせるっていう感じもしましたね。
戻ってフロントラインを見ましたら、それぞれに葛藤があったり衝突があったりもするんですけど、結局一人一人の道徳心と言いますか、道義心というのでしょうか、一人一人の良心に則った判断に救われるという感じでしたね。
この2つのドキュメンタリーを先に見ててすごいドヨーンってなってたから、この映画を見て私の気持ちが救われたっていう感じがします。
さてさて、今日も勝手に貸し出しカードはお出ししたいと思います。
今日の勝手に貸し出しカードは母木宝生さんの本当の会議 ネガティブケイパビリティ実践法という講談社現代新書の比較的新しい新刊をご紹介します。
最初のこの話からどう繋がっているかと言いますと、この本の中に悪を生む会議と人を成長させるミーティングという章がありまして、
悪を生む会議というのに興味を持ったんです。 悪を生む会議の例として宝塚歌劇団のパワハラ虐待の話とか、ビッグモーターの不正、大発の不正問題などが出てきます。
この本はドキュメンタリーじゃないですし、ジャーナリスティックな本ではないので、それぞれの企業の会議に潜入したり関係者に取材をしたりしているわけじゃないですね。
だから、この会議のここがダメだったとか、ここの判断、経営判断が間違ってたみたいなことが明らかにつまびらかになるわけではないんですけれども、
組織として幹部たちの会議が機能不全を起こしていたっていうのは間違いないでしょうね。いつでも。
たぶん、自分たちの良心に乗っ取ったらこれはまずいよって思った人もいたでしょうし、警鐘を鳴らした人もいたんじゃないかと想像しますが、結果としては自体は歪症化されて捉えられてしまって、
もみっけされてしまっていたわけですよね。大きく社会的に問題になるまでかなり時間がかかっております。
頭の良い人たちが集まって会議をしているのにどうしてそうなっちゃうんだろうと、その結論はこの本には出てこないんですけれども、
ネガティブケイパビリティ、サブタイトルにあるネガティブケイパビリティという言葉はこのポッドキャストでも何回かご紹介してきました。
ネガティブケイパビリティの探求
答えの出ない状況だったり矛盾した状況に直面した時にすぐに結論を出そうとせずに、その状況を受け入れて熟考を重ねる力をネガティブケイパビリティって言うんですね。
決断力のあるカリスマが右って言ったらみんな右ってなるっていうのとは真逆の状況ですよね。
ジリジリと矛盾した答えの出ない状況にすぐに結論を出さずに、その状況に対して熟考を重ねるっていうことなんですね。
決断力とかカリスマ性ってリーダーには大事な資質だと思いますけれども、それが悪い方向に行った時に違う意見が出づらい。
ストップをかける人がいなくなってしまうっていうことがよくわかりました。
さっきご紹介したその2つのドキュメンタリーなんかまさにそういう状況だったんだろうなと思いますが、コロナ到来もそんなネガティブケイパビリティが試される。
答えが出ない状況で矛盾した状況、こっちを助けようとすると、この人を救おうとすると、こっちの人たちにリスクがあるみたいな状況ですよね。
映画はかなり疎行として描かれているので、かっこよくまとまっていくんですけど、実際には多分もっともっといろんな葛藤とか組織の衝突とか意見の相違があったと思いますし、あったと記憶しています。
この本当の会議という本では、依存症や心の病の治療をするオープンダイアローグという対話のメソッドが紹介されてまして、
今言ってきたような企業の会社の会議のファシリテーションのノウハウを期待して読まれると、そうじゃないんです。
そういうハウツー本ではないんですね。
ネガティブケイパビリティ実践法とありますが、どちらかというと実践的というよりは考え方を学ぶような本だなというふうに思いました。
オープンダイアローグのメソッドの7つの柱として以下が挙げられています。
今すぐの援助、社会とのつながりを大切にするネットワークの視点、柔軟な対応と流動性、チーム全体で責任を持つ、心の流れを断ち切らない、不確かさに耐えるネガティブケイパビリティ、あくまでも対話が中心とあります。
この7つですね、これってまさにフロントラインに出てくる状況であり、小栗旬さんが険しい顔で決断するときに、
久保塚陽介さんとか松坂通さんと何度も対話をして、こんな状況が出てくるので、ぜひそういう視点で見てみてください。
でもこの視点があったら、さっき挙げた悪い方の会議が防げたんじゃないかなって。
オープンダイアローグの重要性
いやーでもこれは後付けだし、強引なへりくつかもしれないです。
さて今日はこの本当の会議から紙フレーズをご紹介して終わります。
答えは質問にとって不幸であり、好奇心の病である。答えは質問を殺すとあります。
さらには知識は無知の病であるという言葉も出てきます。
すぐに答えを求めたがるっていうのにも継承ならしているフレーズなんですけれども、これは哲学者のモーリス・ブランショという方の言葉を、
フランスの精神分析のアンドレ・グリーンが解説したもののようでして、
この本は非常に哲学者の言葉とかがたくさん引用されていて、すごく知的好奇心が刺激される本でした。
とっても哲学的な言い回しなので解釈するのに時間がかかるところがたくさんあるんですが、
この答えは質問にとって不幸であり好奇心の病である。答えは質問を殺す。
知識は無知の病であるっていう言葉の私の解釈はですね、何でもわかっている、知ってるって思っちゃうことが真実から遠ざける、
思考をストップさせてしまうっていうことなのかなと思いました。個人としてもそうだし、組織としてもそういうリスクがあるっていう風に感じましたね。
はい、映画、フロントライン、そして
ドキュメンタリーのトンデモ、カオス、アストロワールド2021、
それから潜水艇タイタン、オーシャンゲート車が犠牲にしたものも、もしご興味がある方、ぜひ見てみてください。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室では、リスナーの方からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介しています。
リクエストはインスタグラムのアカウント、バタヨムからお寄せください。
お届けしたのは、講談社のバタヤンこと川端理恵でした。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみ。
15:33

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