おしゃべりな図書室の紹介
真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜に、ホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに、
おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第188話を迎えました、今夜のお便りご紹介します。
ペンネームみいささんからいただきました。
そして、母の紹介でおしゃべりな図書室を先日から聞き始めました。
小説を読むことが減ってしまったので、とても面白く拝聴しております。
親子で聞いてくださっているんですね。ありがとうございます。
ご夫婦でっていう方も、時々聞くようになって嬉しいです。心が温かくなりますね。
さて、おしゃべりな図書室に影響を受け、本屋さんに行って本棚を見ていると、
上司力の本は置いてあるのに、部下力みたいな本は置いてない、
もしくは見つけられなかったことに気づきました。
私の上司は自分の倍以上の年齢で、思考や思想を他者からのアプローチで変えることはきっと難しい、
というよりおこがましいと私は考えているので、
自分が変わるために部下として力をつけたいと思いました。
私はまだ社会人2年目、25歳に突入したところなので、
もう少しこの会社で頑張るために、おすすめの本を教えていただけないでしょうか?といただきました。
エイミー・ギャロの基調講演
ありがとうございます。
そうですね、確かに上司側のマネジメント力とか、管理職に関する本はたくさん出ていますけれども、
部下側の本っていうのはあまりないかもですね。部下力っていいワードですね。
大事ですよね。部下力ね。誰にとっても必要かも。
さて、このお便りだいぶ前にいただいていまして、ずっと心に残っていた、
なんかいい本ないかなーって心の片隅にあったんですけれども、
それが先週行ってたシドニーで思いがけない出会いがありました。
今夜の勝手に貸し出しカードは、エイミー・ギャロさんの困った上司、厄介な同僚、職場のストレスに負けない人の考え方という本にしたいと思います。
ミーサさんの上司の方が困った上司ではないかもしれない。決めつけているわけじゃないんですけれども、
その部下力を上げるという意味ではぴったりな本だなと思ったのでご紹介します。
シドニーの話にちょっとだけ触れますと、
シドニーではサウスバイサウスウエストというビジネスカンファレンスに出席をしてたんですけど、
大きなカンファレンス会場や周辺のホテルの会議室なんかを1週間ほど貸し切って占領してまして、
同時進行でいろんなプログラムが開催されるんですね。
スタートアップ企業と出資者のミートアップみたいなのをやっている部屋もあれば、
AIとエンタメコンテンツといったテーマでパネルディスカッションをしているような会もあれば、
新しいゲームとか未来の乗り物みたいな体験できる体験コーナーがあったりする、
テック系のフェスのような国際的なお祭りなんですけれども、
一番大きな会場、大学の階段教室みたいなものをイメージしていただくと、
それよりもうちょっと大きいですかね、国際フォーラムとかコンサートホールぐらいの大きさがあるところで、
基調講演と呼ばれるそのジャンルの第一線の方の講演が毎日開催されてまして、
その一つが今日ご紹介する著者のエイミー・ギャロさんの基調講演でした。
エイミー・ギャロさんという方は職場環境問題の専門家で、
ハーバードビジネスレビューでも連載を持っている人気の女性の方だったんですね。
講演のテーマはエンバランシング・ヘルシー・コンフリクト&マネジング・テンションズ・オン・ユア・チームというタイトルで、
直訳するとヘルシーなコンフリクト、健全な対立を受け入れて、
チームの緊張感をマネジメントする、いかにマネジメントするかということでしょうか。
職場のチームにおいては健全な対立、意見の相違とか合わない人がいるとかがあって、
ある程度緊張感というのがあった方がいいよっていう、その方がパフォーマンスが上がるよという話でしたね。
会場はもう本当にぎっしりという感じで、前の方から埋まっていくのが日本のビジネスカンファレンスとの違いを感じましたけれども、
エイミーさんお話がすごく面白かったんですよ。
サイン会もやってらしたみたいで、人気がある人なんだなって思ったけど、
人気があるだけのことがあるエネルギッシュなトークで、テッドみたいなので人気がある人と似てるかも。
職場の例え話がいっぱい出てきて、あるある話にみんなめっちゃ笑ってました。
ただ今何を笑っているのか、多分シニカルなジョークなんだと思うんですけど、
私の英語力ではついていけないところがあったけど、
とにかくトークが上手なんだなっていうことは感じ取れました。
今本当にありがたいなって思うのは、アプリの文字起こしアプリがすごい進化してますよね。
私はのったっていうサービスアプリを使ってるんですけど、
リアルタイムで文字起こしをしてくれるんですね。スピーチとかオンライン会議とか。
文字起こしを見ながらだと英語もある程度ついていけるし、それを後でAI翻訳にかけれるんですよ。
そうすると60分の講演も1分もかかんないくらいで日本語訳で読めちゃうわけです。
ちょっと日本語が変だったりぐちゃっとするところあるんですけど、
だいたい言ってたことはつかめますね。すごいですね。いい時代になりました。
それでそのエイミーさんがお話しされててなんか面白いなと思った言葉は、
アーティフィカルハーモニーって言ったかな。人工的な調和。
チームが機能不全に陥る要因の一つがアーティフィカルハーモニーだって言ってて、
どういうことかっていうと、例えば会議で上司がなんか言うじゃないですか。
みんなはうなずいて、微笑み、同意して、はいと答えます。
いいアイディアですねとか、私の好みですとかって言うんだけど、
会議室から戻ってきたらすごいしょうもない話だったとか、あんなのうまくいくわけないとか、
まためんどくさいこと言い出したうちの上司とかってね、
その会議室では人工的な調和が保たれているんだけど、本音はそうじゃないっていうのはよくあることですよね。
でも仕事上のチームというのは大げん化する必要はないけれども、
なあなあにならないように表面だけ仲良くやってやり過ごせばいいってことじゃない。
緊張感、テンションはある程度コントロールしないとダメですよっていう話をされていました。
今は心理的安全性という言葉が日本でも流行っていますけれども、
騙されちゃいけないっていう話をしてたのかな。
作られた心理的安全性によって何にも言わない、何を言っても肯定される、否定されないっていうのが必ずしもいいチーム、
いいパフォーマンスにつながらないという話をぶわーっと膜仕立てるように喋っていらして非常に面白かったですね。
このセミナーは上司というかマネージャーをしている側の人向けの話だったんです。
エイミーギャロさんは職場のディフィカルトピープルとうまく付き合う方法という本も出しているので、
そっちもマネージャーじゃない人は特にオススメだからぜひ読んでねってその中で宣伝をされていまして、
職場のディフィカルトピープルっていう言い方が面白いなと思って読んでみたいなと思ったんですが、
あちらでは見つけられず、そもそも原書で買ったところでそんなさらさら読めはしないんで、
職場のディフィカルトピープル
アマゾンで検索をしたらディフィカルトピープルとかいろいろあったんですよ。
日本語訳版がちゃんと出ていた。
現代はGetting Along How To Work With Anyone, Even Difficult Peopleっていうタイトルでした。
日本語版のタイトルが先ほどご紹介した困った上司、厄介な同僚、職場のストレスに負けない人の考え方になります。
さてさて前置きがちょっと長くなってしまいましたけれども、
どんな本なのか、そしてなんでミーサさんにこの本いいなって思ったかをお話ししていきたいと思います。
ミーサさんが思考や思想を他社からアプローチで変えることはきっと難しいと考えているので、
自分が変わるために部下としての力をつけたいって書いていらっしゃったことにはすごい感動したんですよね。
そんなふうに考えている時点でめっちゃ部下力があるじゃないですか。
この本のイントロダクションにはこんなことが書かれていました。
私がこの本で提示するアドバイスはあなたが大人の態度を取る必要があるものがほとんどですというふうにありまして、
鍵となるのはあなたの同僚が別の人間に変身することはおそらくないということを認めることです。
結局のところその人が自発的に変わりたいと思うかどうかは他人にはどうにもできないことなのですからと冒頭から書いてあります。
そうか、そうだよねと言われてしまうと元も子もないんですけれども、
おっしゃってた通りのミーサさんが書いてらっしゃった通りのことかなと思いましたが、
それでもこの本を読む価値としては人とうまくやっていくのは簡単なことではありません。
しかし今こそそのためのスキルに焦点を当てるべき時です。
この本を読み始めたあなたはすでに大切な最初の一歩を踏み出したことになります。
理解と和解にたどり着くことを諦めずトライしてみようという意思があるのですからとあります。
すでに大切な最初の一歩を踏み出されている。
トライしてみようという意思があるというだけで本当に素晴らしいことだというふうに思いましたね。
この本は職場のディフィカルトピープル、難しい人厄介な人の8つのタイプを挙げていて、
それぞれのタイプに使えるフレーズとか注意すべきことといった具体的な対処策が書かれています。
8つのタイプ、ちょっと全部を言うとあれですけど一部紹介しますね。
皆さんの周りに思い当たる人がいるでしょうか。
例えば私ちゃんとやれてるよねっていう不安を抱えた上司タイプ。
あとは僕に言わせればこういうことなんだよって何でも言う知ったかぶりタイプ。
私だって苦労したんだからあなたにも苦労してほしい。苦しむべきっていう迫害者タイプとかですね。
あるわけなんですよ。
今日はその8つのタイプとそれぞれの対処法は詳しくは話しませんけれども、ぜひ読んでみてください。
私はこのタイプの人を典型的なこれだなって思う人は実は周りにはいなかったですね。
心のハイジャックのメカニズム
上司や同僚に恵まれてるんだなと逆に思った感じですけど、
むしろどのタイプの要素も自分にあるなって思いました。
分かってる分かってる、その話知ってるってつい知ったかぶりをしちゃうこともあるし、
不安だからこそ細かく確認しちゃうとか、自分に共有してほしいってすごい思ったりとか、
女であるということによって自分が苦労したことも、それをうまく使ってきたところも、
他人にも求めてしまうところも、もちろんあるかなと思いますね。
そういう意味でもどちらの側面から見てもとても実践的な本でした。
この本の中で私が得になるほどって思ったのは、実はこの8つのタイプの話からは外れるんです。
すごく嫌な思いをした時に、脳の中の変動体という部分にハイジャックされるっていう表現をしていた、
事例を話されていたところがありました。
エイミーさんはご自身の体験をこんな風に書いています。
ちょっと短くかいつまんで話しますね。
ある知り合いからハーバードビジネスレビューの書き手にどうかって言って、
ブラッドさんの仮名ですけど、ブラッドという男性を紹介されたらしいんですよ、エイミーさんが。
自分が書いたものを読んでみてって、その後電話で話したいというふうにブラッドさんからメールが送られてきたんだけど、
エイミーさんは超売れっ子だから超絶忙しいわけですよね。
ちょっと今そこに時間を避けないので、別の編集者から連絡させますねって返信を丁寧にしたんだけど、
またどうですか電話で話せませんかっていう連絡が来て、
手帳に時間が都合がつかないことをご説明し、電話で話すのは難しいですって返したそうなんですよ。
そしたらそのブラッドという人から、人との繋がりは大事なのにこんな傲慢な人とは付き合えない。
原稿は他の会社に送りますっていうメールがピシャッと送りつけられてきたんです。
そしたらびっくりもするし腹も立ちますよね。なんて勝手な人なんだって。
しばらくそのメールのことで頭がいっぱいになるんだけど、返信しないって決めて、メールボックスから削除して無視するんですよ。
でもやっぱりちょっと経って夜になって気になって、傲慢な人だって言われたってことが、
リフレインしたり、人との繋がりは大事って説教されたってことを思い返したりして、気持ちがぶり返してきちゃうんですよね。
あとは自分にも悪いとこがあったのかもっとへこんだりとか、
そのブラッドを言いまかすものすごい長文のメールを送り返してやりたい衝動に駆られたり、
無視しようって決めたのに結局そのメールにすごい支配をされちゃっているわけです。
この状態を扁桃体ハイジャックだというふうに説明してました。
心のリソースをモニターする方法
扁桃体っていうその脳の部位は、例えば道を渡ろうとしている途中に車が飛び出してきたとか、
恐怖を察知してそれに対して適切な対処を体に準備するところなんですね。
脅威を感じた時に戦うか逃げるかっていうのを瞬時に選択する動物的な本能で、
車が飛び出してくるとかライオンが飛び出してくるみたいなことと、
嫌なメールがピュンってきたのを読んでしまったとかっていうのは、その脅威は脳にとっては同じらしいんですよ。
本能的な反応が優先されて自動操縦状態になっちゃうから、その状態をハイジャックと名付けているわけですね。
心に余裕がない状態であればあるほどハイジャックをされやすいと、
例えば別の仕事の締め切りが迫っているけどまだちょっと手が付けきれてない、完成してないとか、
大きな会議が近くにあってプレッシャーが高い状態にあるとか、
あるいはプライベートで家族やパートナーとうまくいってないとか、体調が悪いとか、寝不足であるなんていう、
そういうリソースが足りてないところに嫌なメールとか、傷つくこととか、会議で自分の意見を誰かに否定されたり、
手柄を取られたり、そういうエッて思うことがあると、途端に操縦感のコントロールを失ってしまうわけです。
誰でもそういうエッと思うことを言われたり、メールを読んだりすると心拍数が上がったり、カッとなるような感じがあったり、
背中が痛い固まるような感じがあったり、そのことでしばらく頭がいっぱいになったりすると思うんですよね。
ただ心のスペースに余裕があれば、しばらくするとハンドルをまた楽に取り戻せるというわけでした。
その心のスペース、リソースの余裕を図るモニタリング方法もこの本に紹介されていたので、
今日はそこをちょっと読んで終わりたいと思います。
水分補給はできているか?お腹は空いていないか?昨夜はよく眠れたか?他に心配事はないか?
大事なプロジェクトや締め切りなど気にかかっていることはないか?
友人や家族など大切な人間関係がギクシャクしていないか?
最後に楽しいと思えることをしたのはいつか?
というので、自分の精神的な状態をモニターすることで見通しを立てることができるというふうに書いてありました。
私はこの最後の、最後に楽しいと思えることをしたのはいつかっていう問いが神フレーズだなって思いました。
心のリソースが足りてない時は、それも思い出せないくらいかもしれないですね。
最後に友達とご飯に行ったのはいつだろうとか、ライブに行ったのはいつだろうとか、大笑いしたことさえ思い出せない時もあるかもしれないですよね。
皆さんはどうでしょうか?最後に楽しいと思えることをしたのはいつですか?
今、心のリソースに余裕はありそうでしょうか?
この本には、仕事の人間関係は悩むだけの価値があるってまず書いてあって、そこもいいなって思ったんですけど、
ミサさんが上司との関係に悩んでらっしゃるかどうかはわかりませんが、対策をしよう、自分の側が何か準備をしようっていうふうに時間と心を割くのは非常に価値があることだと。
人生にとって多くの時間を職場の人間関係の中で過ごすので、悩むだけの価値があるっていうのはその通りだなというふうに思いました。
よかったらチェックしてみてください。リクエストありがとうございました。
さて、今夜もお時間になってしまいました。
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おやすみなさい。
おやすみ。