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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに
おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第125夜を迎えました。今夜のお便りご紹介します。
ペンネームmoonlightさんからいただきました。
大学3年生で絶賛就職活動中である私に
ぴったりの本を紹介してもらえたらとメッセージを送りました。
私は自分に自信がなく就活をしていても、
どこかでネガティブな考え方をしてしまうことが多いです。
そんな就活性を鼓舞するような、
寄り添ってくれるような本があれば教えてください。
また、好きを仕事にするということについてどう思うか。
バタやんさんのお考えを伺いたいです。といただきました。
ありがとうございました。
そうか、今ね、2024年入社の就職活動が過境を迎えていますもんね。
私もまさに今過境を迎えていますよ。
採用する側も結構緊張感、緊迫感の高い日々なんですね。
将来への熱い思いとか不安を受け止めるっていうのも、
なかなかエネルギーのいることだなと思っています。
風邪とかひかないようにお互いに一緒に頑張って、
この春に向かって乗り切っていきましょう。
さてさて、そんなムーンライトさんへ選んだ勝手に貸し出しカードは、
つむらきっ子さんのこの世に絶やすい仕事はないにしました。
この世に絶やすい仕事はないっていうタイトルで
答えを言ってしまっているような感じなんですけれども、
ちょっと一風変わった、つむらさんらしい一風変わった小説になっているので、
どんな作品か、そしてどこが好きでこの本を選んだのか解説していきたいと思います。
この世に絶やすい仕事はないは連作短編集になっています。
私この連作短編集っていうものがすごく好きなのかもしれないです。
一つ一つ独立しても読めるし、
全部読むと圧倒驚く仕掛けがあったりつながってたり、
あの人が、あの何話の主人公がここにつながってまた出てくるのかみたいなやつが、
まあすごく好きなんですね。多分グッと来ちゃいますね。
そんなこの世に絶やすい仕事はないの主人公はですね、
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30代の女性で大学卒業後に就いた仕事にちょっとバーンとしてしまって、
あの燃え尽き症候群みたいになってしまいまして、
すごく情熱を持って取り組んでた仕事だったんですけど、
あのちょっと燃え尽きてしまって、逆に少しやりがいがないって言ったあれですけど、
そんなに思い入れを持たずにやれる仕事をちょっとやりながらリハビリしたいなっていう気持ちで、
ハローワークに行って、スキンケア化粧品とかのコラーゲン抽出をずっと見守るだけみたいな仕事ないですか?みたいな相談をするんですよ。
そしたらその相談員の女性が、ありますってキリッと答えてくれるんですよ。
このマサカドさんっていう相談員の女性がすごくいいキャラなんですけど、
私もこのマサカドさんに相談したいって思いましたが、
紹介してもらった仕事が小説家を見守る仕事っていうちょっと謎のお仕事なんですね。
でもまたその仕事はちょっとやめることになっちゃって、その後てんてんとなんですね。
2つ目の仕事は、全部のどういう仕事か説明しちゃうと、
2つ目の仕事は路線バスの広告アナウンスを作る仕事です。
3つ目がおかきの袋の裏の豆知識を考える仕事だったかな。
4つ目がポスターを貼らせてくださいってお願いして回る仕事で、
5つ目が万博公園みたいな大きな公園で、
もぎりのチケットを作る、小屋の中でもぎりのチケットを作るみたいな仕事なんですよ。
今パッと聞いて、どれがやってみたいなって思いましたが、
おかきの裏の豆知識は結構楽しそうですよね。
私は一番この路線バスの広告アナウンスを作る仕事に惹かれたんですけど、
路線バスの中で、路線にあるお店を紹介するような、
社内広告アナウンスが流れることってあるじゃないですか。
例えばおまんじゅう屋さんがあったとしたら、
季節のご挨拶や、おしんもつになんとかまんじゅう店の貸し売りをどうぞみたいなやつとか、
おうちの困ったに応えるリフォームのなんとか店を使ってくださいみたいなアナウンスとか、
そういう広告のアナウンス原稿を考えるっていう仕事なんですけど、
そんなにああいうのってしょっちゅう変わるもんじゃないと思ってたけど、
結構季節に合わせて差し替えが発生するんだなぁと思ったりして、
とはいえですね、このどの仕事もありそうでなさそうというか、
リアルなのかフィクションなのか絶妙な感じなんですよ。
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これは津村さんが考えた仕事なのかもしれないなっていうところが面白いところなんですけど、
この世に絶やすい仕事はないっていうタイトルでも答えが出ている小説ではあるんですが、
逆に言うとどの仕事にも面白みがありそうだなって思える小説でもあります。
興味深いのはやっぱりどの仕事にもこの主人公は新人としてやってくるわけですよね。
転職してやってくるからこの仕事に就くのは初めてっていう状態で、
それに対してやっぱり必ず先輩とか教えてくれる人がいたりチーフと呼ばれるような人がいて、
その人がどんな工夫をしたりこの仕事に思い入れだったりとか、
どういうノウハウを持ってこだわりを持ってやっているのかっていう話は、
結構どの仕事も面白いし、なるほどなって思ったり、
どういうふうに手を抜くかみたいなことも含めてですけど、
面白いなって思うところではありました。
この主人公の女性は仕事はできないわけじゃないんですよ。
今はちょっとバーンアウト状態で、長い文章があんまり頭に入ってこないとかあるものの、
一応真面目にいろいろ取り組みたい、ちゃんとこなしたいっていう気持ちが高いので、
そこもまたこの小説の面白い共感できるところというか、
この子が頑張ってほしいなっていう仕事に慣れてきたり褒められたりすると嬉しいなって一緒に思えたりするんですよね。
ご質問にあった好きをしごとにっていうのをどう思うかっていうお答えをするとしたら、
好きをしごとにってダブルミーニングな言葉に騙されないでって思うっていうか、
好きなのは対象を好きっていうことがほとんどだと思うんですよ。
例えば私だったら本が好きとかビールが好きとか映画が好き音楽が好きとか、
そのジャンルが好きっていうことが多いと思うんですけど、
そのジャンル対象が好きであることとそれを仕事としてやるのが好きであるかどうかっていうのは全然別問題なんだけど、
そしてやってみなきゃわからないんだけど、
結構好きを仕事にしようっていう時はそれをごっちゃに言ってますよね。
人に教えるのが好きとか人を助けたり人と話を聞くのが好きみたいなのはもしかすると結構イコールですかね。
ただまあそれを仕事としてやるのが好きかどうかっていうのは結局はやってみないとわからないわけで、
でも就活っていうのはそれをやる前に決めて、
それが自分が向いてそうだってことを宣言しなきゃいけないところが難しいなって思いますね。
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以前にご紹介した後生者、後越者のムタさんの文を当たるっていう本に、
この仕事が向いてるって思う人は向いてないのかもしれないっていうセリフが出てくるんですけど、
それは死になりっていう感じがしますね。
そういうとこあります。
向いてそうって先に想像できちゃう仕事は実はあまり向いてないのかもしれないみたいなね。
この本の最後まで読むとこの人が何で辞めちゃったのか、
最初にやってた燃え尽きるほど情熱を注いでやってた仕事が何なのかっていうのは最後まで読まないとちょっとわからないんですけど、
最後に出てきてああそういうことだったんだってすごく納得したっていうかじんわりしちゃって共感しましたね。
そんなラストに近いところから今日は神フレーズをご紹介したいと思います。
私たちがやっていた仕事だけでなく、どの人にも信じた仕事から逃げ出したくなって、
道からずり落ちてしまうことがあるのかもしれないと今は思う。
とあります。私たちがやっていた仕事っていうのは何だったのかっていうのはちょっと言わないでおきますけれども、
どの人にも信じた仕事から逃げ出したくなって道からずり落ちてしまうことがあるってすごい言い回しだなーって思いました。
この世にたやすい仕事はないっていう本について、
これドラマにもなってるんですけど、ドラマになったタイミングか文庫になったタイミングかで津村さんがインタビュー、
大談に出てらっしゃったことがあって、それの中でこの小説で何を伝えたかったかっていう話をされていて、
パワハラに合うみたいな明確な理由がやめるような理由がなくても迷ったら映画なみたいなことを言いたかったんやと思うっていう話をされてたんですよ。
天の失望にとらわれているより次行こうみたいな、そういう時期もあっていいんちゃうっていうことを言いたかったんだっていうようなことをおっしゃっていて、
なるほどすごいいいなって思って、天の失望にとらわれちゃうことってやっぱりすごくあるし、迷ったら映画なって、
大阪弁の良さもあるけど、本当に収穫とかをしている時はやっぱり天の失望にとらわれちゃうし、結構引きずりますしね、
あとこれで一生が決まるって思うかもなんですけど、迷ったら映画なだし、あかんかったら次行こうだなと思いますよ、入ってからもあかんかったってこともあるでしょうし、
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信じた道だったり好きだと思った道だったけど、やってみたら違かったってことはきっとあると思うんですよね。
この本の中にはどの仕事もたやすくはないが、やってみると面白みを見つけられることもあるし、好きで始めたはずの仕事でも道からずり落ちてしまうこともあるし、
また道に戻るというか、同じとこじゃないですけどね、たどってきたことは無駄じゃないから、それに近いところに戻ることもあるのかなっていうのを思ったりしました。
こういうモラスな語り口もあって、あと政門さんにどんどん魅了されていく楽しい小説なので、ぜひ手に取って読んでみていただけたらと思います。
終活ね、こんなに自分のこと考えたり、こうなんかへこまされたりすること、なかなか一生でない気もするので、本当悩みすぎず、でも迷ったらええがなで、頑張ってください。応援しています。
はい、最後までお付き合いいただいてありがとうございます。
さて、今夜もお時間になってしまいました。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。