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2021-01-06 14:00

【第40夜】この小説がスゴかった!2020年ベスト5

新年最初の「真夜中の読書会」は、2020年の私的ベストブックを発表いたします。2020年に刊行された新刊単行本の中から、これはすごかった!と言う小説ベスト5を選定し解説するものです。ノミネート作品はこちら⇨『愛されなくても別に』武田綾乃/『最高の任務』乗代雄介/『自転しながら公転する』山本文緒/『持続可能な魂の利用』松田青子/『星月夜』李琴峰

さて今年最も印象的だった小説とは?そしてコロナ禍で感じた読者と作家の新しい関係性とは?

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みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと河童です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになるおテーマに、
皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、第40回を迎えました。今年最初の真夜中の読書会は、この小説がスゴかった2020年ベスト5を発表したいと思います。
パチパチ〜。
バタやんの年間ベストブックというのは、みもれの編集ブログの方で毎年年末年始に発表しているものなんですが、今回はポッドキャストで発表しちゃおうと思います。
バタやんのベストブックに選ばれると、ドラマ家、映画家の声がかかったり、全国の書店の平台にドーンと積み上がったりとかは全くないです。
影響力は1ミリもないんですけど、いつか増殺になった本の帯にコメントくださいとか、依頼が来るような時が来たらいいなと、
そしたら皆さんはもう前から私は知ってましたっていう顔で自慢していただけたらと思います。
冗談は置いといて、さあ行きましょう。
2020年に刊行された新刊の単行本の中から、この小説はすごかったという指摘ベスト5を発表したいと思います。
まず第5位は、松田青子さんの持続可能な魂の利用です。
これはですね、おじさんには少女が見えないという現象が起こった日本。少女からおじさんは見えてるけど、おじさんには少女は見えないんですよ。
ですよって言われても意味がわかんないですけども、シーンが切り替わって、カナダから日本に帰国してきたケイ子という女性が、
日本の女の子たちは声が小さくてうつむきがちで、こんなんじゃ負けちゃう、ダメだと思っているというシーンが描かれます。
このケイ子、30歳。会社でちょっとした不運な経緯があって、男性側は辞めさせられないのにケイ子は職を失うっていうひどい話があって、
さて冒頭の見えないおじさん、見えないのは少女の方ですけど、話とどう繋がるのかっていう、特に説明もなく進んでいきます。
このケイ子さんは××という女性アイドルグループにハマっていくんですね。
××はおそらく欅坂46に当て書きされたものと思われるんですが、大人に抵抗する歌詞を歌う彼女たちを応援すればするほど、
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その後ろで動かしているおじさんの思惑にハマってしまうっていう矛盾、アイロニーにもやもやするわけです。
わかると思ったんですけど、このポッドキャストで宇佐美林さんの「星もゆう」という小説を以前にご紹介しまして、
周りの人からも結構反響があって、あれ読んだんだけどわかりみが深すぎるっていうコメントを何人かからいただきました。
星もゆうの主人公は本当共感しかないって感じなんですけど、こっちのケイ子さんはちょっと変わってるっていうか、やや異常な感じもする人なんですよね。
最強レジスタンス小説と帯にこの小説のこと書かれてるんですが、ケイ子さんは果たして誰とレジスタンス、何に怒っていて一体何と戦ってるんだろうっていうね。
この推しがいる人って何かと戦ってたりしますよね。
ツイッターとか見てると怒りの穂先は厄介とかガチ恋勢って言われる推しとファンとの距離感を間違ってしまっているファンの人と戦ってたり、
あるいは運営と本骨な運営のせいで彼女たちがかわいそうだとか、自分勝手な事情で脱退したメンバーに怒ってたりとか、
推しがいる状態っていうのは愛情と同じぐらいのエネルギーで怒りも抱えやすいのかもしれないなと思ったりしました。
このちょっと変わった人だなって人から見ると思われるっていうのは自分もそうかもと思ったりとか、
そんなところも含めてファン小説としては新しい形態の小説だなと思いましたね。
それはまた松田さんが書かれているという尊さもあります。
この本、カバーを外した中の表紙もすごく良くて、一面緑の中、少女たちが走っているという美しい写真なんですけど、
トートミーの境地ですね。
さて、第4位の発表に行きますね。
第4位は、リ・コトミさんの「星月夜」です。
こちらはですね、日本語講師の台湾人、東進校ウィグル出身で日本の大学院を目指す学生さんの恋物語です。
異国の国で言葉を学んでいる人と教える人の恋愛物ってすごくいいですよね。
それだけでグッとくる。
母国語じゃない人だけが気づく、その国の言葉の愛おしい部分ってあるんだなって思います。
これってどういう意味とか、なんで何々っていうのに何々とは言わないのとか、そういうのって母国語の人には気づかないけど学んでる人には気づいたりして、
そういうやりとりにすごくキュンときちゃいますね。
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この著者のDさんご自身が台湾籍の日中翻訳家でいらっしゃるので、
言葉に対する繊細な感度と独特な視点にグッときます。
この小説自体初めて食べた味なんだけど、でも昔から好きだったような、そんな何度も読みたくなるような味わいの小説でした。
りことみさんのすっかりファンになってツイッターをフォローしたら、
YouTubeチャンネルも開設してらして、作家たちのまったり文芸部っていうチャンネルなんですけど、
それがすごい面白いんですよ。
作家の収入はとかね、陰性ってどのくらい入るのとかセキララに語ってらして、
一番のお気に入りはりことみさんの一人前だったかな、受験の入試問題になってるらしいんですけど、
その問題を作家本人は解けるのかやってみたっていう回があって、
言っちゃうとあれですけど、本人も外すんだなっていうその解説、言い訳も含めて面白いです。
りことみYouTubeとか作家のまったり文芸部ってぜひ検索してみてください。
更新も楽しみにしています。
さて続けて第3位の発表に参ります。
第3位は武田彩乃さんの愛されなくても別にです。
まずね、表紙がすごくいいんですよこれ。
2人の女の子が並んで寝そべっていて、1人が寝てて1人が起きててこっちを見てるみたいなね。
女性史に私は割と長く居て思うんですけど、
女性を2ショットで仲良さそうに不自然じゃなく撮るって結構難しいんですよね。
あんまりベタベタくっついても気持ちが悪いし、かといって普通に立つと写真になるとやや遠い、
バックハグみたいなポージングも不自然だし、
この表紙のくっついてないのに2人が近しい、リラックスした関係がわかる、
寝そべってて片方が寝てて片方が起きてるっていう、そんな構図の撮り方があったかって思いましたね。
表紙は写真じゃなくてイラストなんですけれども、
タイトルもいいですよね。
愛されなくても別に、別になんだよ。
声に出して読みたいタイトル、愛されなくても別に。
表紙とタイトルだけですでに100点、あとはもう加算されていくしかないっていう小説でした。
親からの愛とか恋人からの愛とかが人生の絶対必要要素じゃないっていう、
それが欠けてたら何か人生の欠落なのかっていうとそんなことないよというメッセージなのかなと受け取りましたが、
武田彩乃さんがこの先年を重ねて、
どんなことをテーマにどんな小説を書いていかれるのかなという期待を込めて、
喜びを込めて第3位に選ばせていただきました。
この後は第2位と1位の発表です。
さて第2位は武田さんに続き、この先の期待だけで白ご飯が何倍も食べられちゃいそうな、
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森城雄介さんの最高の任務です。
最高の任務も最高なんですけど、
この本の前半に収録されている生き方の問題という小説がすごく好きですね。
2020年最高にドキドキした小説の一つです。
サスペンスとかサイコパスのドキドキじゃなくて、
最高の任務はこのポッドキャストでもご紹介して、
リクエストくださった大学生の方にお送りしたんですよ。
そしたら感想を書いたお手紙を送ってきてくださってすごく感動しました。
同じ本を読んだっていうだけのつながりで、
年の離れた人と文通がこの時代にできるっていうことに。
そんなおじさん発言をすると松田青子さんにこの世から消されてしまうけれども、
でも私はやっぱりポッドキャストをやったことで、
本好きな方と年齢も住んでらっしゃる地域も関係なくこうして、
毎週やりとりができるってすごいことだなと思ってますし、ありがたいことです。
というわけで残るはラスト1位の発表です。
1位は、じゃじゃん、山本美穂さんの自転しながら好転するです。
武田さんの小説で、親や恋人からの愛が人生の絶対要素じゃないっていうような話をしましたが、
山本さんの自転しながら好転するは幸せな選択の呪縛というか、
自分で決めるベストチョイスのプレッシャーに飲まれすぎないでっていうメッセージなのかなって思いました。
山本さんはこの本のプロモーションでNHKの朝市にも出てらっしゃいましたが、
インスタライブもやってくださっていて、話しされてるところをそれで初めて見て感動したんですけど、
質問の答えとかが深くて感動したのもあったんですけど、
インスタライブって他の人のコメントが見えるじゃないですか、先生お声も素敵ですとか、私もその本読んでみますとか、
どこのシーンがすごく良かったですとか、そういうコメントがどんどん流れていって、
もしコロナがなかったら書店とかで新刊記念イベントをやってくださってたかもしれないけど、
トークイベントだと他の参加者の方の脳内の声は聞こえないわけですけど、
インスタライブだとそれが目に見えてすごい楽しいなって思いました。
アイコンとかニックネームとかめっちゃチェックしちゃった。
好きな俳優さんなのかな、アイドルとかのアイコンの人もいれば、
ディズニーのキャラクターとかラーメンとか、キラキラ自撮りの人とか、
こういうアイコンの人が自転しながら校店スロ読んでいいなって思って、
今日のインスタライブを楽しみに夕飯を早めに済ましたりとか、
会社を急いで出たりとかしたのかなって想像すると、なんかいいなって思いました。
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まだまだいろんなタイプの人と本を通じて友達になれそうな気がしたというか、
作家さんと読者の人たちの新しい関わり方は見えたコロナ禍というか、2020年だった気がしました。
この自転しながら校店、それも表紙がまたすごくよくて、横に置いても縦に置いてもかっこいいんですけど、
おしゃれな表紙と海外のペーパーバッグみたいな柔らかい表紙が、
この本、びっくりするぐらい分厚いんですけど、それで柔らかい表紙がとても読みやすくて愛しい本の一つでした。
そんな2020年のこの小説がすごかったベストブックトップ5を発表させていただきました。
今日はちょっと長くお話ししてしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
皆さんもこれ読んだよっていう本がありましたでしょうか。
来週からはまたリクエストにお答えしてお届けしたいと思います。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりなと出出はこんな感じで、皆さんからのお便りをもとにしながら、いろいろなテーマでお話ししたり、本を紹介したりしています。
みもれのサイトからお便り募集しているので、ぜひご投稿ください。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。
14:00

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