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2022-12-21 21:40

年末年始に一気読みしたい“ちょい怖”小説5選【2022年おすすめ本】

2022年に刊行された最新作の中から激推しの5作品を紹介します!
1.『方舟』夕木春央

2.『嫌いなら呼ぶなよ』綿矢りさ 

3.『終わらない週末』ルマーン・アラム(著)高山真由美(訳)

4.『嘘つきジェンガ』辻村深月 

5.『ここでは誰もが嘘をつく』嶋中潤

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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんことカハバタです。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになるをテーマに
おすすめの本や漫画紙フレーズをご紹介します。
こんばんは、今夜は年末年始におすすめの本特集をお届けします。
去年も同じくらいの時期に同じ企画をお届けしたんですけれども、
去年ご紹介したのはですね、
同志少女よ!敵を撃て!とか、
あやせまるさんの新しい星、
そしてゆずきゆう子さんのミカエルの鼓動、
ジェーンスーさんのひとまず上出来、
いちほみちさんのパラソルでパラシュートをご紹介していました。
この年末年始におすすめの本難選っていう企画は、
ミモレの頃から割と毎年恒例でやってたんですけれども、
ここで紹介した本が、
翌年本屋大賞を取ったり、
直樹賞を取ったり、
結構大きな賞を取ったりするので、
ぜひ注目してもらえたらとは自分で言っちゃったけど、
思っています。
で、ちょっとハードルを上げたところで、
今日おすすめする5冊はですね、
テーマを決めまして、
チョイコア小説五線としました。
少しホラー要素があったり、
ドキドキハラハラするサスペンスから、
詐欺とか不倫とかドキッとする人間の闇まで、
人気の作家さん、大好きな作家さんの最新作と、
少し新しい作家さんですね、
注目の申請を織り混ぜて、
2022年に刊行になった作品の中から、
5冊選んでみました。
では早速参りますね。
1冊目は、
結城春男さんの箱舟です。
こちらはですね、
毎年年末、今ぐらいの時期になると各都市で、
ベストブックとかミステリー大賞が発表になるんですけれども、
今年の週刊文集ミステリーベスト10のベスト1を始めとして、
2023本格ミステリーベスト10国内ランキングとか、
このミスですね、このミステリーがすごいとか、
ミステリーが読みたいとか、
ラビンチブックオブザイヤーとか、
のきなみランクインしているのが、
この結城春男さんの箱舟なんですよ。
どんなお話かと言いますと、
山奥にある不思議な地下建築を見つけた、
大学時代の友人らが、
そこに物珍しさに入ってみたところ、
なんと閉じ込められてしまって、
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かつ水がどんどん入ってきちゃうっていうね、
状況になるんですよ。
こういう偶然居合わせた人たちが、
一箇所に監禁状態になって、
自分が助かるには、
あるいは自分たちが助かるには、
誰かに犠牲をしなくちゃ、
誰かを犠牲にしなきゃいけないっていう、
いわゆるトロッコ問題というやつなんですけど、
よくある、
まあよくはないけど、
サスペンスのシチュエーションとしては、
よくある古典的な設定ですよね。
この設定を、
割と自然な形で、
この状況に持ち込んで、
かつ閉鎖空間の中の会話劇で、
最後まで緊張感を保ちながら、
そしてこれがですね、
最後、
どんでん返し、
文字通りのどんでん返しなんですよ、
とか言っても、
あんまりちょっと言っちゃうと、
ネタバレになっちゃいますけど、
このあっと驚くどんでん返しを迎えるまで、
いろんな小道具が出てくるんですが、
小道具っていうか、
特徴的なアイテムとか、
エピソードが、
一つ一つその伏線が、
ちゃんと回収されて、
どんでん返しに向かうところが見事ですね。
人物描写が割とあっさりしてるみたいに、
回収されているところもありましたけど、
それも含めて、
私は結構好みだなと思いました。
ちょっとした恋愛要素もね、
あったりもするんですけれども、
ぐいぐい読める、
本当にこれこそ一挙見間違いなしのミステリーです。
と、このペースだとすごい時間かかっちゃうな、
どんどん行きますね。
2冊目は、
綿谷梨沙さんの、
嫌いなら呼ぶなよです。
この嫌いなら呼ぶなよっていう表題作は、
妻の親友の新築祝いに来た旦那さん夫が、
みんなの前で不倫を暴かれて、
吊るし上げを喰らうっていうとこの話、
嫌いなら呼ぶなよのほか、
なんていうんですかね、
いたたまれない状況みたいなのを描いた短編集ですね。
中でも私のお気に入りはですね、
老は害で弱もやからっていう、
老害と弱廃と書いて、
老は害で弱もやからっていう一編なんですけど、
これは雑誌のインタビューで、
作家とライター、
それから編集者の三人のいざこざ、
揉め事を描いた小説です。
若手というか37歳の女性作家をインタビューして、
そのライターさんが上げてきた原稿を、
作家の人は気に入らず、
全面描き直しになるんですよ。
だけどそれに対してライターさんは怒っちゃって、
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両者一歩も引かずで、
担当編集者は26歳の若い男性なんですけど、
彼はちょっとお手上げ状態なんですね。
しかし高齢のデッドは一刻一刻と迫ってきて、
どうするっていうお話です。
この出てくる作家さんが、
芥川賞最年少作家の綿屋って書いてあって、
本人のことじゃないかって思うんですけど、
でも読むとフィクションであることは明らかなんですが、
とはいえ大げさに書いてるとは思うけども、
こういう思いをしたことがあるのかなって、
なんか想像しちゃいますよね、どうしても。
私自身も作家さんとか俳優さんのインタビュー記事を
編集として担当することがすごく多かったので、
ここまで揉めたことはないですけど、
あり得るあり得るあり得る話だなーって、
脇汗をかきながら読みました。
ハラハラする。
最終的にどうなるかっていうのは、
ぜひ読んでみてみてください。
じゃあ残り3冊、後半に続きます。
3作品目は翻訳ものを一つご紹介したいと思います。
ルーマン・アラムさん著、高山真由美さん役の
終わらない週末です。
こちらはですね、ニューヨークマンハッタン在住の
高収入な白人の共働き夫婦が、
子供2人を連れてバカンスでカジベス草に行くんですね。
この奥さんの方は広告代理店の管理職をしていて、
普段すごく多忙な日々を過ごしているため、
束の間の一家談談を楽しもうと張り切っているわけなんですけれども、
この別荘で4人の家族がゆったりと過ごしているときに、
別荘の持ち主だと名乗る黒人の老夫婦が訪ねてくるんですね。
この辺りからちょっと不審な、不穏な空気に変わっていきまして、
彼ら、老夫婦の2人からニューヨークが大停電になったらしいということを告げられて、
ネットも電話も繋がらない状態になっちゃうんですよ。
そんな中でちょっと次々奇妙な現象が起こり始めるという話なんですが、
一体何が起こっているのかわからないけれども、
通信手段が遮断されてしまった場所で、
さらに子どもが熱を出しちゃったりするんですけど、
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その不安感みたいなのって、
コロナを味わった私たちは誰しもがすごくよくわかるというか、
何が起こっているのかわからなくて、
よくわかんない熱が子どもが出たりするって超不安じゃないですか。
またこの物語のポイントとなっているのが、
マンハッタン在住の高収入な共働き夫婦ではあるものの、
別荘を自分で持てるほどの大金持ちじゃないっていうところが、
アッパーミドル、ミドルクラスなんですよね。
本当の超大金持ちは自分の別荘を持っているからっていう、
この人たちのクラスの先民意識とか、
ちょっとその黒人の老夫婦のことをやや見下している感じがあったりとか、
その辺がこちら見栄するあたりも興味深い一冊なんです。
こちらジュリア・ロバーツ主演で、ネットフリックスでの映像化が決まっているということなんで、
とっても楽しみですね。
このアマンダっていう奥さん、主人公をやるんだと思うんですけど、
ジュリア・ロバーツぴったりな気がするな。
何が起こっていたのかっていうのは言わないでおきますけれども、
面白さはそこではないんですよね。
ちょっとファンタジー要素もあり、不思議な作品です。
この物語自体は夏のバカンスを描いているんですけれども、
冬休みのお休みの時期にちょっと実家に帰るのか、
あるいは旅行に行かれた先で読むとさらに臨場感があって、
面白いんじゃないかなと思って選びました。
さて続いては4冊目です。
4冊目は辻村光さんの嘘つきジェンガにしました。
これはですね、ロマンス詐欺、受験詐欺、サロン詐欺っていう、
3つの詐欺を描いた短編小説になっています。
辻村さんがコロナ禍でオンラインサロン詐欺っていうテーマを選んだっていうところに、
もうなんかワクワクゾクゾクしますね。
なんでこの子に興味を持ったんだろうなぁって思うのも興味深いですね。
いわゆる成りすまし者なんですね、これ。
カリスマ漫画原作者の谷崎レオっていう人がいて、
その人は顔出しを知ってないみたいなんですけど、
その人に成りすまして全然関係ない人が、
ファン向けの創作オンラインサロンをやっているっていう話で、
いやバレるだろうって思うけど、意外とバレないのかなぁと思いつつ、
いやすごい私も精神者だからこんなことは絶対できないと思いますが、
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サロンの運営していく大変さも知っているゆえに、
ファンの人たちをちゃんと喜ばせるようなコメント力だったり、
リップサービスとか、ちゃんと作品のことをものすごくこの人自身が愛しているので、
どういうふうに設定を考えたみたいな話が上手なんですよ。
そんな能力があるんだったらもっと他のことに活かせばいいのになって思ったりして、
ミモレ編集室っていうオンラインサロンがあるんですけど、
ここで講演とかしたら人気が出そうだなって思ったりしました。
その他の2つ、ロマンス詐欺と受験詐欺の方もありえそうだなという感じで、
すごく面白いのでぜひ読んでみてください。
さて、じゃあ最後の1冊をご紹介します。
こちら私が今回選んだ5冊の中で一押しなんですけれども、
島中隼さんのここでは誰もが嘘をつくという本にしました。
これはですね、医療刑務所っていうのが舞台になっているんです。
医療刑務所って私この本で初めて知ったんですが、
一般の刑務所では収容できない、専門的な医療行為を必要とする受刑者の方を収容するものらしいんですね。
治療を行う刑務所が舞台となっています。
医療ものも大好きだし、警察ものも大好きな私としては、
このミックスバージョンがありえたんだっていう、
医療刑務所っていう新しいジャンルにすごいワクワクしましたけれども。
この作品の主人公はそこで働く矯正医官、
矯正医官っていう言葉も初めて聞きましたが、
歯の矯正の矯正とお医者さんの医に関して、矯正医官って書くんですね。
ドクターのことですけれども。
2年目の金子優衣さん、28歳っていう若い女性のヒロインなんですが、
このヒロイン像がすごくいいんですよね。
今っぽいっていうか、無駄にオッチョコチョイでもなく、過剰に一本気でもないっていう。
だいたいこういう2年目とかのヒロインだと、
オッチョコチョイでドジッコっていうかドタバタしたりとか、
すごい一本気で、なんか上の人とかいろんな人とぶつかりながら成長していくみたいなのが、
結構典型的だと思うんですけど、この優衣先生は割と淡々としていて、
しかし暑いところの芯のある人ではあるんですけれども、
彼女の成長劇としても読めますし、
キャラクターキャラクターしていないキャラクターたちが、私はなんか非常にいいなって思いました。
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ここに収容されている受験者の人たちというのがまたね、いろんな大変な人ばかりで、
経の重さもいろいろですが、高齢だったり重篤な病気を抱えていたりするだけじゃなくて、
嘘ついてサボりたいからって言って嘘の症状を言ったりとか、むちゃくちゃ暴れたりとか、
本当大変そうなんですよ、優衣先生が。
この誰かがやらなきゃいけない仕事をする人たちって、
このジャンル以外にもいろいろあるとは思うんですけど、本当に大変だなって思いましたね。
このある受験者が亡くなるんですけど、この中で、その人の死をめぐって、
事故なのか、医療加護なのか、あるいは殺人なのかっていう、医療ミステリー的な要素もありつつも、
お医者さん同士の人間模様だったり、いくつか起こるハプニングエピソードなんかがバラバラとしていったように見えて、
どんどんつながっていくっていうような構成も見事でした。
いやーもうこれはね、大支給ドラマ化してほしいですね。
あとシリーズ化してほしいです、この医療刑務所で、優衣先生のね、ヒロインで。
優衣先生ではドラマだったら誰がいいかな。
パッツンボブで、表紙からするとパッツンボブで、ちょっと華奢な感じで、中には歩くのが早いと書いてありましたが、
ちゃきちゃきっと歩くのが早くって小柄なのかな、芯がある感じもあり、
少し前なら高畑美月さんとか春さんとかが私のイメージなんですけど、
ちょっと新米と呼ぶにはお二人は大御所になりすぎちゃったかな、誰だろう。
今なら今田美雄さんとか浜辺美奈美さんとかあたりでしょうか、イメージとしては。
この舞台がね、ちょっと寒そうな場所なんですよね、そこもまたすごくいいですね。
釣り好きの皮膚科医の熊谷先生っていう先生がいるんですけど、
その人とか大泉陽さんあたりにやっていただきたいなと、
早く妄想がすごい広がっちゃうんですけれども、
医療者や犯罪者、刑事者とかがお好きな方はぜひ読んでみてください。
どれか気になった作品ありましたでしょうか。
最後にこのご紹介したここでは誰もが嘘をつくから、神フレーズをご紹介して終わりたいと思います。
世の中には大切でなくてはならない仕事が山ほどある。
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いや、ほとんどはそういったものだ。面倒で汚くて臭くて吐き気がして、
本当なら見たくもねえ、触りたくねえ、関わりたくねえ、そんな仕事が腐るほどある。
だがな、こうしたことを誰もが避けてたら世の中は回らねえ。
誰かがしなけりゃならねえ。腹が立っても我慢して、ふざけるなと一括することもこらえる。
社会のゴミ野郎なんか死んじまえって思っても口には出さない。
それが俺たちの仕事だ。それができねえならさっさとやめろ。
っていうところなんですね。
これはユイ先生たちが飲みに行って、私たちがやってることって意味あるんですかねって言い出す人がいて、
その人に対して、ユイ先生たちに対して熊谷っていう、さっき私が大泉洋さんにやってほしいなって言った先生が
悟すっていうか、それができねえならさっさとやめろっていう、すごむシーンなんですけどね。
この受刑者の方たち、犯罪を犯した人たちの病気を治す仕事っていうのは、
どこに価値を見出したらいいのかっていう疑問もね、なかなか深くて大変だなと思いますし、
すごい怒鳴られたりとか、ギャブ医者とかすごいひどいこと言われたりしてるんですよね。
だから治してもらって感謝されるばかりじゃないところも含めて、
しんどそうな仕事だなって思いましたが、
この矯正医官というお仕事以外にも、ここで言われているような、なくてはならない仕事で、
誰かがやんなきゃいけないけど面倒で、汚いとか臭いとか大変とか、見たくなかったり、
やりたい人が少ない仕事っていうのはね、きっとたくさんありますし、
仕事に限らず家の中のことだって、地域の何かだって、学校の何かだって、
結構誰かがやんなきゃいけないけど、できればやりたくないこととか仕事ってありますよね。
それが誰かがやってくれないと回っていかないっていうね、
皆さんももしかしたらそういうお仕事をされてたり、
そういう役割を時折引き受けていらっしゃるんじゃないかなと思ったりして、
そんな1年もお疲れ様でしたっていうことをお伝えしつつ、
今日のポッドキャストを締めくくりたいと思います。
さて、来週は2022年のベストブックをいよいよ発表したいと思っております。
こちらもぜひお楽しみに聴いてください。
21:10
さて、そろそろお時間になってしまいました。
今夜も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみー。
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