でも新規事業プランやチームを募ってもあんまり乗ってこない、手が上がらないパーパスとか作って掲げてみたんだけど、なんか冷ややかな感じっていう感じでしょうか。
に対してどうすればいいのかという前にどうしてそうなっちゃうのかを掘り下げた本というふうに私は解釈しました。
それを構造的無能化という独自のワードで解説しているんですね。
無能化って強い言葉ですよね。
あんた無能化している。あんたの組織無能化しているねって言われたらすごいショックです。
じゃあ無能化しないためにはどうすればいいのってすぐに解決策を知りたいなと思ってしまうんですけれども、そうではなくて、じゃあどうして無能化しちゃうんだろう。
もともとは優秀でモチベーション高い人が集まっているはずなのに、どうして無能化していってしまうのか。
これ固まってしまう前のやり方にこれ固まってしまうのはベテラン層のせいなんていうふうに単純化して決めつけていいんだろうか。
分からない、進まない、変わらない理由にまずちゃんと向き合うっていうことが大事なんだという本だなというふうに思いました。
この宇田川さんは経営学者で、他にはですね、他社と働くとか組織が変わるといったベストセラー出されていて、ビジネス書の賞も受賞されているようでして、文章がとても上手です。
簡潔で無駄がなくて頭にスッと入ってくるなぁと思いました。
もしその変革期の会社組織にいらっしゃる方とか、ちょっとどうにも進めたいプロジェクトがあるんだけどみんなが乗ってきてくれないみたいなことを感じていらっしゃる方がいたとすると、ぜひ読んでみてください。
さてどんどん行きましょうか。
第4位です。
4位は龍崎翔子さんのクリエイティブジャンプ、世界を3ミリ面白くする仕事術にしました。
龍崎翔子さんは1996年生まれ、若いですね、ホテルプロデューサーで、ホテルCやサンゴケアリゾートなんか、新しいコンセプトのホテル宿泊施設をプロデュースしている、あるいは古くなってしまった旅館なんかを再生させてリノベして、新しく生まれ変わらせられるみたいなことをやっている、敏腕のプロデューサーです。
先ほどの企業改革のジレンマが割と大きな企業、レガシー企業の経営者を対象にしている、中枢に近い方を対象にしている本なのかなという感じなのに対して、こちらはスモールビジネス、スタートアップとかアントレプレナー向けのノウハウ本になっています。
ただ、自分でビジネスを始められる方というわけじゃなくても、小さなプロジェクトを任されたとか、新商品のコンセプト作りからアイデア出しをしなきゃいけないとか、そういうプロジェクト単位の発想法にも役立つ本だなと思って、興味深く読みました。
私がこの本ですごく感銘を受けたのは、本質をディグルという章です。ディグルって何?と思ってググっちゃいましたけど、ディグルとググルはちょっと似ているが違くて、ディグって掘るってことですね。発掘する、掘り下げる、探して見つける、みたいなことでしょうか。
もともとは音楽系のスラングのようでして、DJがレコードショップで探して良いレコードを発見するっていうようなことをディグルと言ったらしいです。それを知って、やっとビジュアル的にこの言葉の感覚をイメージできました。
DJが、DJとかをやるようなタイプの人がレコードショップに行って、レコードが箱に刺さっている、立ててあるような山のようにある中から探し当てるみたいな感じですよね。
りゅうさきさんは、この本質をディグル、自分たちのアセットを再定義するっていうところが非常に大事だということと、ロジカルシンキングだけでは生まれないものがあると言っていて、それはクリエイティブジャンプって言葉なんだと思うんですけど。
これから始めようとする事業、ドメインの本質を掘り下げるアセットといって、自分たちの資源とか資本とか強みみたいなことでしょうか、を深掘りするっていうと、よくあることで言うとマーケティング会議みたいなものをやって、何とか分析、ソート分析みたいなのを用いてロジカルに落とし込むというのが一般的だと思うんですけど。
でも何だろう、そのディグルっていう言葉が表現している通り、DJがレコードを探し当てるように探すのだって言われると、非常に感覚的ですよね。それから、これって密着による心理観みたいなものが大きい気がしました。
リュウザキさんはホテル業を普通に定義すると快適な寝床を提供するみたいなことだけど、もうちょっと自由な発想で、旅の途中のセーブポイントみたいな意味合いだったり、漫画喫茶のような宿泊を伴う箱という定義ができるかもしれないみたいなことを書いていらして、そこの再定義によって提供できる価値の再発見があるとおっしゃってます。
リュウザキさんのプロデュースする宿泊施設はですね、この後のショーにつながる空気感の言語化とか、誘い文句のデザインが素晴らしいと思うんですけど、そこはちょっと感性の世界とか、世代的な感覚の自由さみたいなのがあって、読んだからといって簡単に真似できるものじゃないなという感じもしちゃいますが、
本質をディグるということに関しては、先ほどの企業改革の事例までは構造の無能化をどう解決するかっていう話をする前に、どうしてそうなってしまうのかっていうのにまずはちゃんと向き合うべきっていう話と、本質をディグるっていうのは通ずるところがあるなというふうに思いましたね。
新規事業というと、じゃあうちの会社何を提供できるのか、市場規模は、予算は、想定される収益、利益は、みたいな話に行って、どのようにどうやってっていう話にすぐ行っちゃうけれども、つまらないプランはやっぱり本質のディグリが足りないってことなんだなっていうのをこの本を読んですごく思いました。
さて、第3位に参ります。
第3位は、徳屋さとしさんの、「経営中毒。社長はつらい。だから楽しい。」です。
こちら、ポッドキャスト本なんですね。第4回ジャパンポッドキャストアワーズベストナレッジ賞を受賞した、同タイトルの番組、経営中毒という番組の放送の内容、音声コンテンツを大幅に加筆して書籍化した本になっています。
ジャパンポッドキャストアワーズの今、リスナー投票がちょうどやっているところなので、よかったら、真夜毒も皆さん投票応援していただけると嬉しいです。
ポッドキャストがベースになっている本って、本当の小泉京子さんの本とか話題になってたかな。読みましたけれども。
あと、ジェヘンスーさんは結構本も出してらっしゃるけど、なかなかそんなに元々の知名度がない限り、そんなにビッグヒットにはならないなというのが私の印象でしたが、
これはすごくビジネス賞として売れていて、未来があるなと思いました。そういう意味で3位に選ばせていただきました。
先日シドニーでビジネスカンファレンスに参加したんですけれども、
登壇される方、セミナーの講師としてしゃべる側に立たれる方の多くはビジネス賞のベストセラーの著書があって、
ポッドキャストの番組も持っててとか、そのポッドキャストを公開収録する様子がそのままセミナーになっているみたいなトークセーションも多くてですね、
ビジネスとポッドキャストの相性の良さというか、そういうビジネスポッドキャスト界隈みたいなのが形成されているんだなと思いました。
さてこの経営中毒は、いろんな会社の創業期、スタートアップ期、資金繰りの時期から、創業メンバー以外に人がどんどん増えていく時期、
そして組織の対立が起こりやすい時期、次のヒットが生まれないという時期、事業ごと売却する時期といった具合に、いろんなフェーズの経営者の苦悩があるあるを解説した本です。
私は経営者ではないし、スタートアップからは遠い会社、レガシー日本の企業なので、そしてオーナー企業なんで、株式公開もしていないですし、株価のアップダウンとか資金調達とか、
あとどんどん人が辞めていっちゃうみたいなことに悩まされる会社ではないので、ハウツーとして役に立つというよりは、ドキュメンタリーとして非常に面白く読みました。
特に第2章の会社は99.9%人の問題で崩壊するっていう章は、ああそうでしょうねっていう感じで、そういうスタートアップ企業のドキュメンタリーとか、そういうのをベースにした映画なんかもすごく好きなので、
ブラックベリーとかね、スポッティファイとかもあったかな、そういう映画を見ているような感じで面白く見ました。
私が前にいた、人事部の前にいたMIMOREというメディアは、私が入った時は本当に立ち上がったばかりのタイミングだったので、スタートアップに近いような総監メンバーでわちゃわちゃやっているときは部活みたいな感じで、
いろんなトラブルがあっても面楽しいみたいな一体感があったんですけれども、組織が大きくなり会社の期待も大きくなってくると、やっぱり創業時の志と、
わちゃわちゃだけではやっていけない部分がありまして、その辺はスタートアップ企業と似ているなと思って読んだりしてました。
さてさて、ここで一旦休憩と言いますか、いつもあまりビジネスの話はしないのに、一気に喋ったら好感、神経、有意になってしまったので、
一般的なランキングのお話をしたいと思います。
世の中、一般的には今年はどんなビジネス書が売れていたのかっていうのをご紹介しますね。
2024年の年間ベストセラー、日本産の調査によりますと、ビジネス単行本の第1位は、足立由也さんの頭のいい人が話す前に考えていること。
第2位は森永卓郎さんの書いてはいけない。
第3位は中野信子さんの新版、科学が突き止めた運のいい人。
第4位がより富士大輝さんと高山一恵さんの初めての新兄さん&井出子。
そして第5位が安藤光大さんのとにかくしくみかということでした。
皆さんも手に取った本があったでしょうか。
新書で言うとですね、第1位は何だと思いますか。
三宅花穂さんのなぜ働いていると本が読めなくなるのかです。
第2位が阿川沙輪子さんの話しから心をつかむ44のヒント。
第3位アンデッシュハンセンさんとマッツ・ベンブラートさん他のメンタル能。
この本の良いところはデータサイエンスで成り立っているところかなと思います。
すごくデータが豊富に掲載されているので、
感覚的にそれはそうだよねっていうだけじゃなくて、
筋から見るとこうですって言われる納得感が高い本でした。
この本の中に罰ゲーム化の兆候となる現象チェックリストというのがありまして、
今日はちょっと読み上げませんけれども、拡大して各職場に貼った方がいいんじゃないかと思うくらいです。
さあ、ついに第1位の発表です。
ドラムロールとか用意すればよかったなぁ。ないんですけれども、
じゃあさらっといきますけど、バタヤンテキ2024年ビジネス賞第1位は、
手志がわら舞さんの職場で傷つくリーダーのための傷つきから始める組織開発です。
この前にご紹介した罰ゲーム化も組織のジレンマも社長の辛さも傷ついてるんだと思うんですよね。
そこには傷があったわけです。
でもそれをあんまり言わないできたビジネス上は、自分のことを信頼してない部下がいれば傷つくし、
私評価されてないかもって思ったら傷つくし、
一緒に辞めてきた人が辞めると傷つくし、こうしようぜって声をかけても誰も反応してくれなかったら傷つくわけですよ。
こういうのを全部コミュ力というよくわからない個人の能力でカバーせようと被されてきたから、
傷ついたとは言えない、言いにくい土壌ができてしまっているんじゃないかと。
私は今、就活生と接することが多くて、無駄に傷つくことからは逃げていい、
あなたを傷つける企業からは逃げていいと言いたくなることがありますね。
就活ということ自体、この本にも出てくるんですけど、傷つくことが多いですからね。
傷つきの方向、そして傷ついたとは言えない方向だと書かれています。
そんなに自分が評価にさらされることって、一生の中でそこまで多くはないと思うんですけど、
わざわざ自分でさらされることを求めなくていいのにって思うところもあって、
非常に最近の赤い学生さんとか新入社員の方とか、フィードバックしてくださいとか、
どこが足りないか言ってくださいって言われることもあるんですけど、
大人が公平にジャッジできると思ったら大間違いと思ったりして、無駄に傷つく必要ないよって思っちゃう。
ネガティブなことはフィードバックしないですね。
あえて言うならば大丈夫そうに見えちゃう感じがするから、緊張してたら緊張してますって言っていいし、
分かんなかったら分かんないって言った方が、アラートは自分で出した方がいいっていうことを言うぐらいかな。
あとその面接という専攻課程では、うちっぽくないとかチャームがないという、
よくわからん理由で落ちてしまうことがいっぱいありまして、この本にもそのことが書いてあるんですけど、
だからこそなんでって落ちた理由は言われないので傷つくと思うんですけど、
分からん評価に合わせに行くよりは、自分らしくいて心地よくいられる評価してくれるところを探した方がいいと思いますね。
うちっぽさやチャームが大事なら、それをちゃんと発揮できる機会が用意されているのかっていう採用する側の問題の方が大きいと思うんですよね。
はい、というわけで、この触話で傷つくから、今日は紙フレーズをご紹介して終わりたいと思います。
個人の見え方は、今の状態に過ぎないという前提を持つこと。発揮しやすい機能の持ち寄りを考えること。
組み合わせ、過去関係性を調整し続けることとあります。
この3つはですね、完成というのはなくてずっと微調整をし続けることであると書かれていまして、
それは組織としても個人としてもなんだと思うんですけれども、もしうまくいってない、今うまくいってないなと感じているとしたら、
それは単に今の状態を表しているだけ、今の状態に過ぎないのであって、機会を与えられているのか、
あるいは関係性はどうなのか、フィットしてない関係、組み合わせだとするならば、それは変えられるのかとかっていうふうに、
一足跳びにはなかなか変えられないとしても、微調整をしていくっていうことなのかなと思いました。
はい、さて、今年の5冊をご紹介しましたが、気になる本はありましたでしょうか。
もし読まれた本があれば是非ご感想を、またこれ読みたいなとか、気になってたっていうことでもリクエスト、リアクションいただけると嬉しいです。
では次回も2024ベストブックを引き続き発表したいと思いますので、お楽しみにしていてください。
そしてもしかしたら良いお年をかもしれません。また来週お会いしましょう。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は、皆さんからのお便りをもとにおすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介しています。
リクエストはインスタグラムのアカウントバタヨムからお受けしております。
お届けしたのは講談社のバタヤンこと川端理恵でした。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。