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2023-12-20 13:58

丸くおさめない、わかりやすくまとめない、不器用な解決法

今夜の勝手に貸出カードは、枝廣淳子さんの『ネガティブ・ケイパビリティのススメ 答えを急がない勇気』です。

すぐには解決しない問題や正解がない問題に対して、保留をしながら、でも諦めない、希望をもちながら置いておける能力を伸ばすには?

もう1冊ご紹介したのは『ネガティブ・ケイパビリティで生きる 答えを急がず立ち止まる力』です。


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真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜へ、ようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室では、水曜日の夜に、
ホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに、
おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第157夜を迎えました。
今夜は、お便りのご紹介はちょっとお休みをして、
この1年の真夜中の読書会の配信の中で、
反響の大きかった回を振り返りながら、
勝手に貸し出しカードをお出ししたいと思います。
Spotifyの配信者向けのサービスで、
Spotifyまとめ2023という、勝手に集計をしてくれるサービスがあるんですよ。
Spotifyを使われている方は、一番聴いた曲とか、
今年一番聴いたアーティストとかをまとめてくれるやつを
見たことがあるかもしれないんですけど、
そのポッドキャスター向けバージョンがありまして、
それを見るとですね、2023年の真夜中の読書会は、
なんと47カ国で再生をされていまして、
チャート入りするチャンネルの上位20%に入っているんですよ。
すごいですよね。ありがたいことです。
真夜読のリスナーの方が他に聞いているポッドキャストのジャンルは、
1位お笑い、2位社会と文化、3位アートなんです。
お笑いかぁ、なるほど、意外だなぁと思いました。
社会と文化とかアートはね、
似たようなジャンルっていうことであるかなと思ったけど、
お笑いからは結構ほど遠いけど、
私自身もお笑いは好きなんですけどね。
いや、ありがたいことです。
そして今年最もたくさん聞かれた回は、何の回だと思いますか?
再生回数1位はですね、
川上芽子さんの黄色い家をご紹介した。
川上芽子さんの黄色い家、すごいと思った4つのポイントっていう回でした。
この回はもちろん、黄色い家っていう小説が強いからっていう理由が大きいんですけれども、
川上さんご自身がこの紹介した配信回を何度かリツイートしてくださった。
あ、今リツイートって言わないのか。
リポストXでリポストしてくださったんですね。
やっぱりご本人がシェアしてくれるっていうのが影響力がすごくて、
新しい方に、今までマヨ読を聞いたことなかった方にたくさん聞いてもらえた回でした。
そして今年最もシェアされた回は何かと言いますと、
こっちの方が少し意外だったんですけれども、
自分に解決しない事態と向き合う力、ネガティブケイパビリティを伸ばしたいっていう回でした。
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この回は他の回に比べてたくさん再生されたわけではないんですが、
すごく反響の大きかった回でして、配信後にコメントを結構いただいたんですね。
ご紹介したお便り、お悩みの内容はご自身ががんを告知されてという話をしてくださったんですけれども、
その話を聞いた後に、
ハギホウセイさんのネガティブケイパビリティ、答えの出ない事態に耐える力という本をご紹介しました。
その後メッセージをくださった方の中には、
お子さんが薬とか手術とかですぐに治るタイプじゃない病気を持ちという方だったり、
仕事の職種の環境が変わって、今自分に必要なのはこの力だと思いましたというコメントをいただいたり、
すぐに解決するわけじゃない問題と向き合っている方から反響をいただいたなと思います。
私はこのネガティブケイパビリティという考え方は、
全ての人に何らか必要が迫られることがあり得るんじゃないかなと思って、
考え方を知っておくだけでも楽になれるような気がしました。
ネガティブケイパビリティ、そもそも何かと言いますと、
すぐには解決しない問題とか、劇的に事態が好転するとかいうことが起こりづらい、
正解がないような問題に対して、
保留をしながらでも諦めない、希望を持ちながらも置いておける能力と私は理解をしました。
もっと知りたいなと思い、色々探したんですけど、
意外とないんですよ、このネガティブケイパビリティについて書かれた一般書籍が。
それで今日の勝手に貸し出しカードは、
ネガティブケイパビリティについて書かれた2つの本をご紹介したいと思います。
1つはネガティブケイパビリティで生きる、答えを急がずに立ち止まる力という本です。
こちらは哲学者の対談形式になってまして、
哲学者の谷川よしひろさんと同じく哲学者の朱飛鳥さん、
それから公共政策学者の杉谷和也さんの3人の教長でして、
お対談形式で進む本になってます。
哲学者の議論を読むって難しそうって思ったんですけど、
非常に読みやすくて、知的好奇心の刺激される話題が豊富な本でしたね。
もう一つご紹介するのは、枝広淳子さんのネガティブケイパビリティの進め、答えを急がない勇気という本です。
先ほどの本が概念を論じるような本だとすると、
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こっちの方が実用的と言いますか、ハウツーに近い。
どうやったらネガティブケイパビリティを育めるかとか、
どういう時に活用できるかっていう話が書いてある本でした。
今日はこの答えを急がない勇気の方を中心に紹介していきたいと思います。
私はこの本を読んで新しい発見があったんですよ。
最初に読んだ葉垣法成さんの本でも、哲学者たちの提談でも気づいてなかったんですけど、
この本で一番そうかもって思ったのはですね、
ネガティブケイパビリティって自分一人じゃなくて、
それに関わる周りの人も一緒に巻き込んでキャパシティを大きくしていくのが大事なんだなと思ったんですね。
組織とか地域とか家族の問題だとしたら、
家族の関わる人たちみんなが持っているのが大事なんだなって思ったんですよ。
私一人がその能力が高くて意識していても、
周りを巻き込んでいかないと結局そんなに大きなケイパビリティにはならないと言いますか、
例えばこの本の中で非常に興味深い事例だなと思ってすごい参考になったのは、
原子力発電所を抱える町づくりの事務局のファシリテーターを、
著者の枝広さんが手がけられたという話が出てくるんですね。
町の住民の中には原発反対派と推進派がいて、長いこと対立状態にあったわけです。
それはそうですよね。恩恵も大きいでしょうけど、受け入れがたい気持ちを持っている人もいて、
そういうのってまさにすぐに白黒つけられない問題じゃないですか。
どうやってファシリテーションするのかな、こんな難しい状況にって思ったんですが、
ここがネガティブ・ケイパビリティの発揮どころなんですね。
すぐに結論を出すんじゃなくて、この場は結論を出すための会じゃないですよ、
という念押しをしながら双方の言い分のある人たちを集めるんですね。
それで50年後にどんな市だったらいいか考えてくださいというお題を出すそうなんですよ。
未来の理想の形みたいなものを言い合ってもらうと、
実は原発反対派の人も推進派の人も、私たちの街がこうだったらいいなっていうありたい姿は、
結果として同じようなイメージだったと。
つまりゴールは一緒で、そうかそうか同じようなことを考えていたけど、
アプローチが違うということが分かれば、聞く耳を持つっていう感じなんですかね。
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何が不満で何が不安なのかとか、相手の話を聞く体制を作る前に、
考えていたことは最終的には結構一緒だったんだっていうのを認識するっていうのが大きいんだなと思いました。
こういうことって多分夫婦とかでもありますし、
学校とか組織と組織の対立とか、そういう意見の対立、利害関係の対立関係があったとしても、
子どもの将来を考えてとか、いい学校にしたいとか、いい会社にしたいとか、
ゴールは一緒なんだけど、会話すらしない状態に長いことになっちゃって、
相手の話を聞く体制がそもそもないっていう、あり得ますよね。
私がさっきネガティブケイパビリティは自分だけが持っててもしょうがないって思ったっていうのはそこなんですよ。
ケイパビリティは夫婦なら夫婦、組織なら組織、全体で広げていかなきゃいけないんだなって。
枝広さんのようなスーパーファシリテーターがいてくれればね、話し合いの補助線を引いてくれると思うんですけど、
そうじゃなかった場合、自分で広げていかなきゃいけないとするならば、もっと考え方が知られてほしいなって思いました。
答えを急がない能力の大事さがもっと知られたらいいのにって思ったのでした。
さて、今日はこの本から紙フレーズをご紹介したいと思います。
あの人にはだらしないところがある、でもそうでもない時もある、というのが現実でしょうけど、
現実が複雑すぎると考えるのが大変になるので、頭の中で現実を単純化したモデルにして、
かっこイコールメンタルモデル、そのモデルをもとにいろいろと考えるのです、とありました。
このいろいろ複雑だと大変だ、めんどくさいから、単純化したい気持ちっていうのはありますよね。
このことについてさらにですね、推論のはしごをかけあがるっていう言い回しをされていて、
自分の経験や思い込みから、Aはこうに違いないって推測して決めつける、
現実を単純化して決めつけていく、結論を出しちゃうということを、
推論のはしごをあっという間にかけあがるっていう表現をされていて、すごく面白いなって思いました。
推論のはしごをかけあがったり、かけおりたりしちゃいがちですよね。
それを、今かけあがろうとしちゃってたってちょっと気づいて立ち止まってちょっと待って待ってと、
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だらしないところもあるけどだらしなくないきちんとしてるところもあるなとか、
なんでルーズになっちゃうのかっていうのはその人が悪いんじゃなくて、
片付けるところが決まってないからいけないんだとか、
原因を考える仕組み自体を考え直すとか、そういうことですかね。
そうやって行ったり来たりして決めつけた結論を保留にしながら、
ぐるぐると考えるっていうのがネガティブケイパビリティってことなんだなと思いました。
あとサスペンスが好きな人はネガティブケイパビリティがあるタイプって書いてあって、
面白いなっていう、確かにそうかもって思いました。
ハラハラした状態を長く続けられるっていうことですもんね。
サスペンス好きな方はどうでしょうか。
さてさて、いつの間にやら今年も配信は残すところあと1回となりました。
来週は2023年ベストブックを発表したいと思っています。
ぜひお楽しみに。来週も聞いてください。
さて、今夜もお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室はリスナーの方からのお便りをもとに、
おすすめの本や漫画を紹介しています。
インスタグラムバタヨムからメッセージをお寄せください。
それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。
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