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辻村深月さんの『ファイア・ドーム』を読みました! ニュースにいっちょ噛みしたい私たち
2026-07-08 21:00

辻村深月さんの『ファイア・ドーム』を読みました! ニュースにいっちょ噛みしたい私たち

EP.252▶︎今夜のお話: 辻村深月さんの『ファイア・ドーム』を読みました!/ ビッグマッチを終えたような心地よい疲労感 / 上下巻セットで買うべしな理由 / 地方都市という名のスノードームに舞い上がる「噂の火の粉」 / 音楽準備室の火事のニュースと重なって / 私たちは他人の人生を「物語」として消費したい / 辻村深月ファンにはたまらないベストアルバムのような満足感 / 文脈による「誤読と曲解」

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地方都市で、25年の時間をまたいで絡み合う3つの事件。社会派ミステリーとして真相解明を堪能しながら、自分の中にある野次馬的なエゴを静かに突きつけられる、ずっしりと濃厚な上下巻です。

▶︎あわせて読みたい「地方の息苦しさと人間の多面性を描く」におすすめの本

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▶︎番組概要

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サマリー

今回のエピソードでは、辻村深月さんの最新作『ファイア・ドーム』上下巻を読了した感想が語られます。地方都市を舞台に25年にわたる3つの事件が絡み合う物語は、読者に心地よい疲労感と深い満足感を与えます。特に、噂がスノードームのように広がり、逃げ場を失う様子の描写や、現代のSNS社会における情報消費のあり方について、筆者自身の経験と重ね合わせながら考察します。ミステリーとしての完成度の高さと、登場人物たちの葛藤を通して、読者自身の内面にも向き合うことになる作品として紹介されています。

『ファイア・ドーム』読了の達成感と作品概要
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、第252話を迎えました。 今夜はお便りのご紹介はお休みをしまして、
やっと読み終わったんですよ。 『ファイア・ドーム』辻村深月さんのですね、上下感独了してしまいました。
はい、今はなんというか、ビッグマッチ、大きな試合、大会の後の達成感と心地よい疲労感みたいなものに包まれています。
というわけで、今日はこちらの辻村深月さんの話題の新刊『ファイア・ドーム』について、私の感想を勝手に話したいと思います。
読もうかなと思っていて、まっさらな状態から読みたいな、先入観なく読みたいなっていう方は、ここで止めてもらって、読んでまた戻ってきていただけたらと思います。
これミステリーなので、謎解きの真相解明の部分はネタバレはしませんけれども、どういう事件があって、どういう関係者がいて、どこが私なりに印象に残ったポイントだったかというお話をしますので、
読みはあるけど、ちょっと迷っている。上下巻で900ページぐらいのボリュームがありますから、ちょっとボリュームに躊躇しているっていう方は、ぜひこういう話なのかっていうのを理解した上で読んでいただいても、決して面白さは損なわれないと思いますので。
はい、ということで、私も買ったはいいけれども、予約してたんですけど、読み切れるかなって、届いて自信がなかったと言いますか、並待ち本状態になるかもしれないなと思ってたし、
夏休みに、どっか遠出をする時の旅のお供にとっておこうかなって思ってたんですよね。でも、ちらっと冒頭読み始めたら、これは面白いぞ、これはいけそうだってなって、途中むしろちょっと意図的にスピードダウンしたと言いますか、ほっとくとどんどん読んでしまうなってなって、スピード落としたぐらいなんです。
だから、これから買うあるいは借りられる方に、まず持っておすすめしたいのは、荷物があまり多くない日に上下管はセットで買われたり借りたりされた方がいいと思います。
というのは、上管がここで終わるのかい、というところで終わるので、下管を手元にないと精神衛生上、良くないかなと思いました。
それから、後半下管に入ってから、本当に真実、真事実、事実の解明が怒涛の展開なので、下管はですね、まとまった時間なんてないよって話を先週したばかりなんですけど、でもちょっとこま切れじゃなくて、ある程度集中して読める時間をずっと確保してから取り組まれた方がいいと思いました。
というわけで、どんなお話か、ストーリーの軸をざっくりと整理をしてみたいと思います。
作品の舞台設定と事件の構造
この物語では大きく言うと3つの実験が描かれます。
一つ目は25年前に起こった百貨店の受付所の誘拐殺人事件というのがあります。
もう一つは、その事件の直前に起こった小学生の引き逃げ事件というのがあるんですね。
これはちょっと未解決のままです。
そして25年後になった現在、その百貨店の受付所誘拐事件と関連がある親族でもある小学生の男の子が行方不明となります。
この3つの事件には関連があるのかないのか、みたいなところがポイントなんですけれども、
さらに言うとこのポイントは、この小説の大事なところは、この舞台が山に囲まれた地方都市であるというところなんですね。
25年前に誘拐殺人事件という、本当に全国レベルの大々事件ですよね。
その一方で引き逃げ事件の方はあまりフィーチャーされなかったというか、霞んでしまったわけですよね、ニュースバリュー的に。
そんな背景がありつつ、そして現在の小学生が行方不明になってしまったという事件があります。
これもまた関係者の人とかいろんな憶測も混じって、現代ならではの格好のSNSの餌食となるわけなんです。
その地方都市のやや閉ざされたエーサ的な空間、人間関係の中で噂が一回回ると割って広がって、逃げ場がない。
その様子をスノードームに例えて、スノードームっていうのはちょっと揺らすと一回粉がバッて舞い散るわけですよね、そのドームの中に。
そうすると逃げ場がない感じというのがあって、それをファイアードームというふうにタイトルとして称してまして、
噂のヒノコがバッて舞い上がったら逃げ場がないっていう状態を指しているんだと思います。
スノードームっていうのはちょっと置いておくと沈静化しますよね、そのコナーが。
でも噂もそうか、少し時間が経つと、わーってなってたのが嘘のように沈下していきますね。
また新しい刺激が起こると、ヒノコがまた火の手が上がるみたいな話かなって思いましたね。
主要登場人物と物語の構成
小説の登場人物の話もしたいと思うんですけれども、主軸となる登場人物は2人で、
まず現代の事件、小学生姿を消してしまった小学生の担任である先生の美冬さんという女性が出てきます。
彼女は生徒さんが、児童がいなくなってしまった直前に彼を見かけてたっていうことが責任を問われ、
別の話もあってネットの餌食となってしまうんですね。
もう一人は美冬の恋人で地方誌の記者をやっているトーマという男性なんですね。
彼がこの物語のミステリーの探偵役といいますか、事件の真相を解明していく話を進めていく舵取役を担っているんですね。
彼は取材という形で私たちの私たち読者の目となり足となり、過去の事件と今の事件の真相に足を運んで近づいていくという感じ、入り込んでいくという感じでしょうか。
こんな風に説明してみると、意外とすごいシンプルな構成なんだなと思いました。
事件が複数あって時間軸的にも行ったり来たりしますし、視点も変わるのと、それぞれ事件の遺族だったりご家族だったり関係者という人たちがいるので、
登場人物は決して少なくはないんですけれども、あまりごっちゃになったりはしないというのは、
この2人の視点に共感したり応援したりは大変だなと思ったりというのと、
遠間の視点でミステリー要素がだんだん解明されていくという、前にとても進みやすい構成になっていたんだなということに、
今しゃべりながら改めて気づきました。
印象的なシーンと現代社会への考察
上巻の中で私がとても印象に残ったところ、
ちょっとここから踏み込んだ話をしちゃいますね。
私がとても印象に残ったシーンがありまして、下りがあるんですけど、
他人の先生である美冬が学校の帰り道、遅い時間に行方不明になる直前の男の子を見かけるんですよね、道路で。
声かけるんですけど、いなくなってから思えば、
あの時ああしていれば、こうしていれば、気をつけて帰れないよぐらいじゃなくて、もっとこうしてればよかったと、
いろいろ後悔することはたくさんあるわけですよね。
世間も責め立てるんです、そうしなかったんだ、みたいな。
さらに先生には実はその後ちょっと予定があって、新級員に行く予約をしてたんですよね。
ハリーの予約ですよね。先生ってきっと腰も痛くなったりするでしょうし、
よく通っているハリーの先生のところがあったわけですよ。
だけど報道の過程で美容割りだったんじゃないかとか、エステの予定があったから急いでたんだとかっていうふうに、
荒らぬ噂となって今年赤にどんどん一気に広まってしまうんですね。
25年前の百貨店の事件があったときは、地方の都市のゴシップとして、
また誘拐された受付形状の素行についてもあることないこと言われてしまうんですね。
その時代には本当に口コミっていう噂話っていうやつだったと思うんですけど、
現代になるとそれはSNSを通じて地方の一小学校の話であっても、
全国に広まってしまうっていうそのコントラストもなかなか面白いなと思いましたね。
あっという間にこう自分の容姿にかまけて、子供を置いていっちゃった無責任な女教師みたいな物語に
仕立て上げられてしまうという。
これをちょうど読んでいたときに、皆さんもご記憶に新しいと思うんですけれども、
小学校の音楽準備室で火災があって、先生の咄嗟の判断で、
26人だったかな、児童を窓の外の日差しに避難をさせて、
怪我人はちょっといてしまったけれども、命はみんな助かったっていうニュースがありましたよね。
それがちょうど読んでたときと重なって、記憶としてはすごく鮮明だったんですが、
あれも当初は骨折をしながらも生徒を救った英雄みたいな感じで、
その音楽の先生が取り上げられたように記憶してるんですけれども、
その後、出荷原因が洗濯物を乾燥させてたからだって分かったときに、
先生の不注意だったんかいってなって、
でもそのバンドの、金管バンドのユニフォームを洗って乾かしてたみたいな話もあって、
そんな朝早くから部活のユニフォームを洗濯して乾かして、
子どもたちのために大変だなっていうふうに攻めないであげてよみたいな話が、
意見が多数上がったように私のタイムライン上はそうなっていました。
ただまたさらに数日後に事態は一変して、
燃えてたのはユニフォームじゃなくて、
その先生が家庭化室で自分の私服を、お洋服を洗って、
さらに私物の電気ストーブかなんか持ち込んでたっていう話も出てきたりして、
あっという間に数日間の間に子どもたちのauから、
燃えてたのはユニフォームだったとか、
あるいは私服だったっていうことで、
2点3点して、こうしこんどうした容疑者になってしまったという感じもあり、
実際どうであったかというのはちょっとここでは置いといたとして、
私のXとかスレッツとかそのSNS上のタイムラインですとか、
Yahooニュースとかそういうネットニュースの中では、
論調があっちに行ったりこっちに行ったり、
みんなが変わったり悪いと言ったりみたいにしてたっていう様子を、
本当にこの物語と重なるところがあって、
まあ胸が苦しかったですね。
他人の人生を物語として消費する心理
全く関係のない赤の他人たち、
矢島っていうか茅野外の我々は、
すごい良い話だなのか、すごい酷い先生だったなのか、
その分かりやすい話に仕立て上げて、
消費をしたいっていう欲求がどっかにあるんですよね。
ということかなと思いました。
小説にも出てくるんですけど、
私あの人のこと昔から知ってるんだとか、
実は美容室が一緒でとか、
言いたいっていうのがあるわけですよね。心の底で、今をときめく人に一気になったあの人と
自分は近しい人だったってことにちょっとワクワクしているという感じですかね。
自分の知っていることを悪気なく記者に喋っちゃうとか、人に喋っちゃうとか
こういう人だったんだよみたいなのは
なんか誰にでもあるエゴと高揚感っていう感じがしますよね。
それは悪気ということではなくて、軽薄って表現されてたかな。
この本の中では、ファイアードームではそうなんですよね。
軽薄まさに、落とし目ようとかすごく深い意味とか意図があったわけじゃなくて
ただ自分の願望の乗っかった物語として消費したいみたいな気持ちですよね。
この上下感を通して、そんな自分の中の癒しさ、軽薄さみたいなのを
ずっと突きつけられているような、そんな息苦しさがありました。
作品の完成度と辻村作品の魅力
しかし非常に辛いだけの話でもなくて、爽快感もありまして
エンタメとしての完成度が本当に高いんですよね。
満足感が高いと言いますか。
それは何でだろうって考えたんですけど
そうだ、辻村さんってメフィスト賞を受賞されているから
ミステリーの人だったんだよなっていうのを改めて
分かったというか、気づかされたみたいな感じで
あとは地方都市の息苦しさ、閉塞感みたいなのも
しかしそこで生きていくみたいなことも
辻村さんの中ではもしかしたらテーマなのかなと思ったりして
拷問と善良とかもね
そこから繋がって恋人の人間性を疑ってしまうみたいな要素もありますし
青春小説も好きなんですけど、辻村さんの
そのお得意な子供たちの生き生きとしたやり取りみたいなところも
堪能できますし、ほんと辻村さんを好きな方には
ベスト版、ベストアルバムみたいな
セリフトリビュート感がありました。
というわけで、今日はファイアードームから
冒頭のフレーズと文脈による解釈
神フレーズを読んで終わりたいと思います。
イーヌマサイが職場を後にしたときのことを
ある人は楽しそうだったと言い、ある人は不安そうだったと言う
期待に満ちた目でウキウキしていたという人もいれば
心没そうで、どうして上司は彼女を一人で生かせるんだろうと思った
といった人もいるとあります。
これはですね、本当にこの本の書き出しの部分なんですね。
いやー、ぐっと聞きましては面白そうだなって思ったってことなんですけど
鞘さんという女性は誘拐されてしまう受付状なんですね。
ウキウキしてたって証言する人もいれば
心配してたんだよっていう人もいるし
ただどっちにもうっすらワクワク感があるっていう感じが
ここから読み取れるといいますか
世紀の大ニュースになった後だと思うんですけど
そのニュースになっている人のことを自分は知っている
関係してた、直前を見てたとかっていうことに
うっすらワクワクしちゃっているのがにじみ出ているという
数行なんだと思いました。
ここから始まってこの鞘さんはどうなってしまうんだろうか
事件はどうなっていくんだろうか
そして25年前の事件なので
今の話にどこからつながっていくんだろうという風に
読み始めたわけなんですけど
全部読み終わった今、またここの冒頭に戻ってくると
ここに集約されてたんだな、この本は
っていうことをとても感じましたね。
都合の良い解釈のリスクと皮肉
前回の配信で文脈をわかっていれば
つまり背景をちょっとでも知っていたら
著者の方だったり話し手の方の背景を知っていたり
この話を何で知っているのかという文脈をわかっていれば
英会話だろうと少し難しい本だろうと
かなり理解をしやすくなるっていう
理解の助けになるって話をしました。
しかし今回その口座を突きつけられた形になりまして
自分で言うといてなんなんですけど
つまり文脈を知っていると
書かれてないこととか喋ってないことを
自分の頭の中で勝手に補って
補修して誤読をしたり
曲解したりしてしまうっていうリスクがあるってことなんですよね。
一方ですごく楽に解釈したり
こういう話なんだっていう風に理解をできるっていう
助けになるよってことを言ったわけなんですけど
それはひいて言えば
自分の想定している物語で
理解しやすい形で理解しちゃうってことでもあるわけです。
コンテキストリーダーシップというのは
そういう都合のいい物語家だったり
都合のいい自分の願望を反映した解釈っていうのを
うまく使えよっていう人を動かすには
集団を動かすにはうまく使えよっていう話だと思うんです。
その講座でいうとこううまい使い方っていうのがある一方で
今回のファイアードームは
他の他人から他人たちが都合のいい解釈
都合のいい物語家をすることが
いかに人を破滅に追い込むかという
お話でもあったっていう私の中の皮肉
すごい物語でした。
ぜひファイアードームになっている方は
挑んでいただけたらと思って今日ご紹介しました。
番組告知
最後まで聞いていただきありがとうございます。
さてお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では
皆さんからのお便りをもとに
おすすめの本や漫画紙フレーズをご紹介しています。
お便りご感想はインスタグラムの
バタヨムよりお寄せください。
お届けしたのは講談社のバタヤムこと
川端理恵でした。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。
21:00

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