1. 真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜
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2025-12-24 14:35

EP.233 年末年始に。あとの予定を気にせず読み切りたい小説

「集まりのお誘いをドタキャンしちゃうクセがある」とのお便りに。読書量と共感性、MBTI診断と休日の予定の束縛……などについて考えます。

<今夜の勝手に貸出カード>

・葉真中顕(はまなかあき)さん『家族』(文藝春秋) https://amzn.to/4sg67BO


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サマリー

このエピソードでは、読書と孤独感についてリスナーの体験が共有され、他者理解や共感能力を高めることが小説を読むことで研究により示されています。また、浜中亜紀の小説「家族」が紹介され、天ヶ崎の連続変死事件をテーマにした社会派ミステリーとして、複雑な人間関係が語られています。そして、年末年始に読みたい小説として、家族の複雑な関係とその影響を描いた作品が紹介され、暴力や共感の難しさといったテーマを通じて家族の本質が考察されています。

リスナーの体験と孤独感
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは。第233夜を迎えました。
今夜はリクエストではないのですが、とても共感したお便りがあったので、そちらからご紹介します。
ペンネームイチョウさんからいただきました。
初めまして、こんにちは。こんにちは。
最近このポッドキャストを知り、気になるタイトルの回から遡って、ちょっとずつ聞くようになり、
先週全部聞き終わって追いつきました。
ありがとうございます。たくさん聞いてくださったんですね。
私は寂しがり屋のデブ症で、ご飯会のお誘いがあると、
のけものにされるのが嫌で、行きますとすぐ言うくせに、約束の日が近づいてくるとすごくめんどくさくなってしまって、
体調不良や子供が熱を出してしまって、などと言ってドタキャンしてしまう癖があります。
でも後で友達のインスタなどで見て、やっぱり行けばよかったなぁと思ったりする、めんどくさい性格です。
バタヤンさんはそんなことないですか。
真夜中の読書会は、私にとって行っても行かなくてもいい、プレッシャーのない集まりみたいな感じで、すごく心地いいのです。
ぜひ無理をせず、長く続けてくださることを願っています。
取り留めのない話になり、すみません。これからも楽しみにしています。
読書の効果と研究
質問いただきました。
すごい分かりますよ、ちょっと話がそれるんですけど、私MBTI診断っていうやつで言うと、INFJっていうタイプなんですね。
MBTI診断って、皆さんやられたことありますか。ちょっと前にすごい流行った性格診断みたいなやつでして、
それで、私のINFJっていうタイプは、内向的で直感とか計画性が高めだったかな、共感とか能力が高いのかな。
それによって苦手なこと、弱点として予定があるとスタンバイ状態になってしまうっていうのを、YouTubeチャンネルでしたかね、解説されてたんですよ。
すっごい分かる、なるほどそうだわって思って、スタンバイ状態ってどういうことかって言うと、例えば日曜日の夕方にご飯に行く約束している集まりの会があるとするじゃないですか。
そうするとその予定に向かって、何時に家を出ようかな、なんかちょっと手土産を買っていくとすると、そんなどこに寄ってどこに行ってとか考えて、
朝から夕方までスタンバイ状態になっちゃうっていうか、予定に向かって何を着ていこう、今ちょっと食べるとお腹が空かないかなとか、
髪の毛、私短いので、生髪量を朝つけちゃうとペターってなっちゃうから、いつ髪をセットしようかなとか、
今ネットフリックスを見始めると中途半端な時間になっちゃうかしらとか、その日の夜、夕方の予定のためにスタンバイの時間と化してしまう、その日一日が。
もっと言うと何だったら前の日の土曜日か、もう金曜日とか、その週中スタンバイ状態、今日この下着を着てしまうと日曜日に着れないなとか、
洗濯をするとしたらこっちを先に着ようかなとか、そういうスタンバイ状態になっちゃう、自分がめんどくさくて行くって言わなきゃよかったなとか、どんどん億劫になってしまうんですね。
計画を変えるのも嫌という性格なので、ドタキャンはできなかったりするんですけど、
だから最近は行けば楽しいんだろうけど若干気が重いかなっていう集まりは、最初から早めに断っちゃうことも多くなってきましたね。
ちょっとその月採用が忙しくてとか言って、でも寂しがり屋のデブ症というのはとてもよくわかります。
前読リスナーの方はそういう人が多いんじゃないかなっていう勝手な印象ですけれども。
なんでそう思ったかというと、最近またネットニュースで見たんですけど、これドイツの大学の研究で、
読書量が多いと他者を理解する能力が上がる、ノンフィクションをたくさん読んでいる人は共感したり他人の感情認知、認識したりする能力が高いっていうのは証明されたって発表されていて、
そりゃそうだろうなと思いましたけれども、本当にやっぱり数値的にも現れるもんなんだって認められたような嬉しい気持ちになりました。
映像だとそこまでの向上は見られないんですって、それも面白いですね。小説を読むっていう行為から生まれる、トレーニングされる能力なんですかね。
そこに書いてあったのは、小説を読むと一つの事象に対して多面的な視点を得ることができるっていう、よくあると思うんですけど、一個の事件に対してこの人から見るとこうとか、
犯人と思った人にもこういう背景とか内面があって、こっちが悪いと思いきや、この被害者側にもこういう一面があってとかっていうふうに、
多様な視点から物事を捉え直したりとか、内面とか背景を、それぞれの立場を想像したりっていう、トレーニング効果があるっていうようなことがね、書かれていました。
それって非常に利点だと思うんですけど、そういう能力が高い身につくっていうのは、
でもいろんな人の立場とか、口には出さない感情を思い巡らせてしまう、あってるかどうか別として、勝手に思い巡らせて思いを馳せてしまうっていうことでもあるじゃないですか。
だから最初にいただいたような集まりとか、例えば中の良さにグラデーションがある複数人の集まりとかって、すごい疲れちゃう。そのせいもあるのかなって思いました。
小説「家族」とそのテーマ
いちおうさんも私も多分多くのマヨ独リスナーの方も、多様な視点で内面を想像するトレーニングの副作用みたいな感じでしょうかね。
今日はちょっとリクエストのお便りではなかったんですけれども、せっかくなのでそんないちおうさんにも、年末もしよかったらぜひ読んでみてほしいなと思った、最近読んだ1冊をご紹介します。
今夜の勝手に貸し出しカードは、浜中亜紀さんの家族という小説にしました。
今度の直木賞候補作にも選ばれてますので、気になっている方はぜひちょっとね、年明けの直木賞発表前に読んでみていただけたらと思って今日ご紹介しました。
この小説は、天ヶ崎の連続変死事件をモチーフにした社会派ミステリーです。
天ヶ崎連続変死事件というのはですね、主犯とされている60代の女性が、複数の家族を精神的に支配して乗っ取って、お互いを暴行とか虐待などさせて、
結果として何人もの人が亡くなったり、死亡したりしていたっていう、戦後最大クラスと言えるような大量殺人、連続殺人事件なんですね。
この天ヶ崎の事件、私も印象に残ってましたけれども、こういう家族を乗っ取る、精神的に支配をして、お互いに虐待させ合うみたいな事件って時々ありますね。
以前ご紹介した早見一雅さんの8月の母もベストブックで紹介しましたがね、そういった実際にあった事件、疑似家族的な集団生活の中の支配と虐待みたいな事件をモチーフにしたお話でしたね。
この天ヶ崎の事件はそんな大事件なので、ノンフィクションの方は何個か出てたのを見たんですけど、実は小説には意外にもなかったんですね。
なぜかっていうと、たぶんすごい登場人物が多くて、家族も疑似家族なんですけど、だったりして、関係がちょっと複雑すぎて小説にしづらかったのかなと思いました。
レビューを読むと、この家族という小説を読まれた方のレビューを読むと、ちょっと登場人物が多くて覚えられないっていうコメントも散見されたりしましたね。
確かに、でも最後のページに人物相関図がちゃんと載ってまして、私もかなり行ったり来たりしながら読みましたけれども、
家族の複雑な関係
年末に一気読みをお勧めするのはその意味もあります。時間が空くと名前と関係性がわかんなくなっちゃいそうなので、まとまった時間が取れるときに一気に読まれるのをお勧めする小説でもあります。
この浜中さんの家族の話が、そんな風に登場人物が多いんですけれども、散漫にはならずキュッとまとまっていて引き付けて話さないのは、
主反覚の60代の女性をメインに置いてないところなのかなと思いましたね。それぞれのことをあまり深く掘り下げすぎず、
ある一人の取り込まれてしまった男性を軸にして、なぜその人が家族の一員として取り込まれ、結果として妻を殴る奥さんに暴行を加えるようなことに落ちてしまった、至ってしまったのかっていう、そこに彼を中心に据えることで、
あまり脇道にそれすぎず、ストーリーが終える作りになっています。しかしですね、これ本当胸クソ案件と言いますか、後味の悪い、胸クソの悪い話なので、途中の暴力の描写もしんどいですし、
共感力の高い私でさえ、ちょっと自分で言ってあれなんですけど、共感力が高いと自負している人でさえ、なんでそんなことになっちゃうのか、なんでそんな気持ちになってしまうのか、意味がわかりたくないっていう気持ちになっちゃう話でしたね。
私たち家族だから、血がつながっている家族以上に家族だからって何度も何度もその家族を強調されるんですね。そこが気持ち悪いなっていう、気持ち悪いからこそ何か理解したいなという気持ちで読み進めてしまいました。
でもわかんないな、わかりたくないなっていうのを言ったり聞いたりして読みました。さて今日はそんな小説家族から紙フレーズをご紹介して終わります。
愛による支配こそが家族の本質です。そしてね、刑事さん、人の集まり、集団はあまねくこの家族の在り方を拡張して作られているんですよ。
とあります。この小説の一つの肝となっているところは、なぜ警察は介入できなかったのか、何回か助けを求める瞬間があるんですけれども、警察があんまりこの家族に踏み込んでいけてないんですよね。
これが事件を深刻化させた複数の被害者を出してしまったポイントなんですけれども、その理由としては、家族っていうのは正義で、警察も踏み込めなかったっていう話が書いてあるんですけれども。
愛による支配を擬似的に作る集団っていうのは、結束力が高い集団っていうのは、家族の在り方を模倣する形で作っていると。警察もそうだし、宗教とか町内会とか、そういったものもそうなんじゃないかっていう話なんですね。
この小説の中で一緒に食卓を囲むっていう食事のシーンが何度も出てきまして、その味付けがやけに甘みが効いているらしいんですよ。肉料理でも焼肉みたいなものとか揚げ物とか、ちょっと甘じょっぱくて甘辛くて後を引いてしまうっていう描写があって、そこも絶妙に気持ち悪いけどうまい描写だなと思いました。
同じ釜の飯って言いますけども、別に好きでもなんでもない、むしろちょっと嫌悪感があったりしても、同じ釜の飯、同じ食卓を何度も囲んでいると共犯感、共同体感が醸成されていくんですかね。大会系とかもそうなのかもしれないですね。
そんなわけで、一応お好みに合うかどうかちょっとわかりませんけれども、乗り気がしなくなった飲み会、ドタキャンしたおかげでできた時間で、ぜひちょっと読んでみていただけたらと思ってご紹介しました。お便りありがとうございます。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室では、リスナーの方からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介しています。
リクエストはインスタグラムのアカウント、バタヨムからお寄せください。
お届けしたのは、講談社のバタヤンこと川端理恵でした。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみ。
14:35

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