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2023-02-01 16:31

集中力の低下と本にのめりこむための環境の整え方について【第122夜】

今夜の勝手に貸出カード/『リバー』奥田英朗

ネタバレギリギリのあらすじと、600ページ超えの長編に挑む臨戦体制とは。

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真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんこと川端です。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる
をテーマにおすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
第122夜を迎えました。本屋のお便りご紹介します。
しょうこさんからいただきました。
もしかしたら、あきこさんかな?
生だてのしょうと書いてしょうこさんか、あきこさんか。
ありがとうございます。
私は小説を読んでも、人事や作り話と思ってしまったり、想像力が乏しいのか、
なかなか本の世界に入り込めません。
おすすめの本の読み方はありますか?といただきました。
そうですね。入り込めないっていうことはありますよ。
私もありますね。
私の中にこの答えは2つあって、
まず一つは、本を読むこと以外することがないっていう環境で読むことかなと思っています。
もう一つは非日常の世界で読むことでしょうか。
本の内容がどうこうっていうよりは、環境が結構大きいなって私は思っていて、
本の内容より他に意識が行っちゃうものがないっていうのが一番集中できるかどうかに影響する気がしています。
今はまあとにかくスマホを見ちゃうんですね。私の場合は。
スマホに流れてくるような断片的でかつ無料で見れて、
いつやめてもいいし、いつまででも見れちゃうっていうコンテンツというか、
物を読んで時間をとられる、眺めて時間をとられるということに慣れちゃったせいもあるのかもしれないですね。
集中力が断片的になっちゃったっていうか、長いこと物語の中に集中するっていうのが昔より難しくなっている気はしています。
あと私はよくソファーの前が好きなんですけど、テレビの前にソファーがあってソファーに座るんじゃなくて、
ソファーの角に肩を乗せるっていうか、地べたに座ってソファーの角を背もたれにして座るのが好きなんですよ。
わかりますかね。アグラを組んで地べたに座ってソファーの下に座ってるみたいな感じです。
そうやって本を読んでいると、ついてないテレビって画面が黒いから指紋が目立ったりして、
指紋がついてるなーって思ったり、テレビ台の下に無くなったと思ってたネイルの蓋が転がってたりとか見えて、
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あんなとこにと思って掃除を始めたりして、とにかく他のことに気が入っちゃってね、なかなかまた本もどこまで読んだんだっけなみたいになりがちですよね。
だから家の中で一番集中できるのはお風呂の中です。私の場合はお風呂でよく読みますね。
昔はそんなことしなかったんだけど、最近はタオルを2つね、
あのすごく薄い商店街の抽選とか、あるいは銭湯とか日帰り温泉みたいに行った時に100円、200円で買える薄いタオルあるじゃないですか。
ああいうのを取っておいて、あれを2つ持って入るんですよ。
1つは濡れた指を拭くためで、もう一つのタオルで本をくるんで浴槽の角に置きながら読むんですね。
そうやって本が濡れないように最新の注意を払いながら読むんですけど、そこまでしてお風呂で読む必要あるかっていうのはあるけど、
お風呂の中って静かだし、なんかこうちょっと狭い閉鎖空間っていうのがまた私としては落ち着くんですよね、すごく。
最近はちょっと文字の大きさによってはお風呂の明るさだとリーディンググラスを使わないと読めないのもあったりするんですけど、
そのためにね、レンズを高いやつにしてるんですよ。
湯気で曇らない加工がしてあるレンズ、ちょっと高くついたんですけど、その価値ありますね、お風呂でもラーメン食べても大丈夫なやつだから。
それはそうと、今日の勝手に貸し出しカードに参ります。
今日は先週予告したように奥田秀夫さんのリバーをご紹介します。
これはしょうこさんにお勧めっていうか、これを読み切った時の達成感がすごいですよっていう感じで、今日はこれをピックアップしました。
なんせ600ページ超えですからね、私もこんなに長いのは久しぶりに読み切った気がして、読む前は読み切れるか自信がなかったですね。
そして途中で挫折もしたという意味でこれにしてみました。
そんな感じで、じゃあどうやって読み切ったのか、そしてリバーがどんなお話か紹介していきたいと思います。
まずね、600ページもある単行本ってお風呂で読むの無理だったんですよ。
胃の腕の筋トレ並みだから絶対に湯船に落とす自信があるなっていう感じで、
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それでまぁ途中まで読んでちょっとだけ時間が経っちゃったら、これ後でお話しますけど、群蔵劇でいろんな人の視点で事件を描いていくんですよ。
だからすごくたくさん人が出てくるんで、途中で読んだままちょっと放置したらまたわかんなくなっちゃって、
これはもう一定の期間で一気に読んだ方がいい本だなって思って、
もうこの本を読むためだけに旅に出ようって思ったんですよ。
これがさっき言った非日常にって言った話なんですが、家じゃない場所に移動すると作り話に集中できる気がしています。
ちょっと日常的じゃない空間という意味では、銀行とか病院の待合室とかでも、なんか家よりはその作り話に入り込める気が私はしてますね。
新幹線とかも結構いいけど、結構こう、地位があるっていうか新幹線って早いから体に負担がかかるし値段も高いからね。
ロマンスカーぐらいが私はちょうどいいなって思ってるんですが、ロマンスカーで新宿から箱根湯本まで90分ぐらいですね。
往復で3時間なので、3時間あると1冊は読めるかなっていう感じなんです。
ただ600ページあるとね3時間は無理、3時間でも無理かなって感じでした。
一泊、この間ちょっと週末一泊しまして、どこにも出かけず寒かったし、ちょっと雪がちらついてたのもあって、
ひたすら読みふけて、総時間は6、7時間ですかね、フルマラソンを走り切ったぐらいの達成感がありました。
それで読み切ったって話はこのくらいにして、リバーのお話に戻りましょう。
簡単にあらすじを説明すると、渡瀬川の河川敷で女性の死体が発見されるところから始まります。
それが10年前の未解決連続殺人事件と手口が似ているということで、渡瀬川が流れる群馬県と栃木県、それぞれの群馬県系、栃木県系が捜査に動き出すんですね。
あんまり言うとネタバレになっちゃうし、もちろん犯人のヒントも言いませんけれども、3人怪しいなって人が途中から浮かび上がってくるんですよ。
私はこの中できっとこの人に違いないっていうのは、そう割と早い段階から確信を持ってたんですけど、
でもやっぱこっちかなぁ、いやこっちの可能性もゼロではないなぁと、ゆらゆら揺れながら読み進めていきます。
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この3人の容疑者というか怪しい人と、警察の合謀がメインではあるんですが、このたくさんの登場人物の中に千野京子さんっていうね、中央新聞の女性記者がいまして、
彼女がこの物語の良いアクセントになっているなって思いました。この事件を追っていく。
もともとは文化部に行きたかったのに、事件犯になっちゃったっていう20代の若い女性記者なんですね。
彼女が事件のことを調べる人に会って話を聞くっていうことで、読者が私が知りたいことがどんどん明らかになっていくっていう、
物語を前にぐんぐん進める推進役になっている感じになっていました。
それからもう一人のキーマンは、最初の事件未解決になっている10年前の事件の被害者、殺されたお嬢さん娘さんのお父さん松岡よしくにです。
10年前の事件と似ている新しい事件が起こったことで、もう半ばちょっと諦めかけていたというか、闇の中に葬り去りかけていた事件がもう一度犯人に近づけるかもしれない。
そして警察もまた本気を出して動き出してくれるってことで、景色盤で期待を込めてお父さんは独自に犯人捜査に動き出すんですよ。
このあたりがちょっと上記を意識してるっていうか、このお父さんは若干暴走気味なんですよね。
そこが、前回のこの配信でお話ししたお父さんの行き通りの持って行き場っていう話につながるんですけれども、
お母さんと兄弟はどこかもうお姉ちゃんのいない今を受け入れかけているというか、雰囲気もあるんですよね。
でもお父さんだけが必要に犯人を追いかけて、何かそこにカタクナになっている。
警察にも怒鳴り込んだりして、しかしそのおかげで捜査が進展するっていうところもあるんですよ。
3人のうち、やっぱりこの人かもってなってからのもう一波乱がすごくてですね、
この辺が見事、この後半の畳み掛けがすごいですね。
奥田さんの散らばってたあれがグーって一気に進んでいくような感じがあって。
最後はちょっと賛否両論っていうか、そこで終わるの?みたいな意見もあるようでして、
ネットの感想なんかを見ると、確かに私はこの終わり方がいいなぁとは思いました。
だからいいというか、無理っくり掘り下げたりしないで、バツッと終わるところがかっこいいなぁとは思いましたね。
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ちょっと皆さんももし読まれた方は是非どう思われたか。
続編あんのかなって思う人もいるかもって思ったんですけど。
ご感想も聞きたいところです。
さて今日はそんなリバーから紙フレーズをご紹介します。
家を出る時妻が憂鬱そうな顔で見送った。こんな毎日がいつまで続くのかというのが妻の率直な心境だろう。
吉久には十分理解できた。自分は厄介な家族なのだ。
犯人が捕まった暁には、商工組合の恒例行事である熱海旅行に夫婦で参加しようと思っている。
過去の10年は娘の供養が済んでいないとの思いから欠席していた。
もっとも妻が夫とついきたがるかは疑問なのだが。
はい、ここがまあもうお父さんの悲しみというか、家族が奥さんがもう鬱陶しいなって思ってるのをわかっているのにやめられないっていうね。
松岡吉久にさんは写真館で働いているんですけど、実はちょっとだんだん目が見えづらくなっているんですよ。
でもそれを妻にも言えずに、何とか犯人を自分で見つけ出したい、捕まえたいっていう、自分の暴走を止められないんですよね。
ここ、吉久には十分理解できたって、吉久にはって書いてあるんですよ。
こうやって下の名前で書いてあるところは、その人の視点で書かれているシーンなんですね。
松岡はって苗字で書かれているところは、第三者の視点で描かれているシーンになっていて、
この下の名前と上の名前を視点の使い分けに使ってるっていうのに途中で気づいて、
なんで急に下の名前で呼ぶのか、上の名前で呼ぶときもあるのかって、途中までそれがわかってなかったので疑問に思ってたんですけど、
この吉久にはっていう時は本人の視点で描かれていて、そうやっていろんな人の視点で描くことによって、
その人その人に感情移入しやすい、それぞれが主人公感があるっていうのは、こういうことがあって、ちょっと鳥肌が立ちましたね。
皆さんも読んでみて、その途中で読むのをやめると、上の名前と下の名前がごちゃごちゃになっちゃって、わかんなくなるっていうデメリットもありますが、
一気に読むとこの視点がどんどん入れ替わるのに混乱しないっていうんですかね、
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ごちゃごちゃにならなくて、あっちからもこっちからもカメラで撮ってるみたいな感じがあるのがすごいなって思いました。
一気に読める時間を無理やり作るっていうのはなんと贅沢なことでしょうと思いましたが、それだけの価値がある一冊でした。
はい、ぜひトライしていただいた方は検証演にならないように、お風呂に落っことさないように気をつけて、
はい、ご感想も伺ってみたいなと思った一冊でした。
今年のベストブックに選ぶかなぁ、どうしようかなぁ、
うーん、映像かもね、してほしいような作品でございました。
さて、今夜もお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室はリスナーの方からのお便りをもとにおすすめの本や漫画をご紹介しています。
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それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい、おやすみ。
16:31

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