種子法廃止の違憲裁判が話題です。
何のための裁判なのか、自家採種を制限し、外国企業が日本のタネを掌握するのではないか、そんな懸念があります。
でもそれって事実でしょうか?
映画「タネは誰のもの」の問題点も併せて検証していきます。
noteと記事を読み込ませたNotebookLMで動画も作りました。
https://youtu.be/nGxy2c1cA38
映画「タネは誰のもの」を観て農家と語らう会をしたレポ
https://note.com/basesidefarm/n/n4e78aa3de61a
ご意見ご感想は匿名のgoogle フォームで承ります。
https://forms.gle/9p9r6pNiunT8MT1o7
何のための裁判なのか、自家採種を制限し、外国企業が日本のタネを掌握するのではないか、そんな懸念があります。
でもそれって事実でしょうか?
映画「タネは誰のもの」の問題点も併せて検証していきます。
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映画「タネは誰のもの」を観て農家と語らう会をしたレポ
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サマリー
種苗法と種子法に関する議論が行われるエピソードでは、自家採種の制限や日本の種の海外流出に関する懸念が取り上げられ、それぞれの法律の目的や影響が明確に説明されています。特に、種苗法の改正は開発者の知的財産を守るためであることが強調されています。また、種苗法と種子法の混同が引き起こす誤解の問題についても深く掘り下げられています。自家採種ができなくなる法律に関連して、農家の権利と開発者の知的財産権がどのように対立するかについて議論されています。
種子法の誤解
こんにちは。農家が自分で育てた作物から種を取れなくなるとか、日本の優れた種が海外に奪われるとか、ネットやメディアでこんなちょっと不安になるような言葉を、あなたも一度は目にしたことがあるかもしれません。
今日のテーマは、この日本の種をめぐる議論です。今回はですね、この非常に複雑で誤解が絡み合った問題をすっきりさせるための情報を集めてきました。
法律の専門的な解説記事から、あるドキュメンタリー映画を現役農家の方が鋭く分析したブログ、あとはその反対意見へのかなり詳細な反論サイトまで多角的な視点から見ていこうと思います。
私たちのミッションは、この議論の中心にある2つの法律、これを明確に区別して、何が事実で何が意図的に作られた噂なのかを、あなたと一緒に解き明かしていくことです。
では早速、確信に迫っていきましょう。まず、この話がここまでややこしくなっている最大の原因なんですけど、これ、多くの人が主治法と主病法っていう全く別の法律をごちゃ混ぜにしてしまっていることですよね。ここを整理するのが、えーと、すべてのスタート地点になりそうです。
まさにその通りです。目的も対象も全く違うこの2つを混同すると、もう議論全体が見えなくなってしまいます。まず主治法ですが、これは2018年の4月に廃止された法律ですね。
はい、もうない法律。
ええ、対象は私たちの主食である米、麦、大豆。目的は食料安全保障です。つまり、国とか都道府県が責任を持って、これらの作物の有料な種を安定的に農家さんへ供給するための仕組みでした。
なるほど、公的なインフラに近いイメージですね。
そうです。で、ここが最初のそして最大の誤解ポイントなんですが、この法律は新しい品種を開発するためのものではなかったんです。
あ、そうなんですか。
ええ、あくまで既に開発された優れた品種をどうやって品質を保ちながら全国の農家さんへ届け、広めるかという、いわば生産管理とか物流に関する法律だったわけです。
へえ、開発の法律じゃないんですね。それは知らなかったです。てっきり国が品種改良を主導するための法律だとばかり。
そこが大きな勘違いを生む原因なんです。一方でもう一つの種苗法、こちらは2020年に改正された今もある法律で、対象は野菜、果物、花とか、米、麦、大豆以外のほぼすべての植物です。
ほうほう。
で、こちらの目的は全く違ってまして、新品種の開発の権利を守ること、つまり知的財産権の保護が目的なんです。
知的財産権ですか。
ええ、これは音楽の著作権とちょっと似てます。素晴らしい曲を作ったミュージシャンには印税が入りますよね。
それと同じで、例えば10年以上かけて病気に強いトマトを開発した育種家にも、その努力に見合った権利が認められるべきだと、これが種苗法の基本的な考え方です。
なるほど、すごくわかりやすいです。
ということは、廃止をめぐって裁判になっているのは、種植の安定供給っていう公共インフラの話だった種子法。
社員マスカットの海外流出とか、農家の自家採取がどうとかで話題になっているのは、植物の特許に近い話である種苗法。
全く別の話なんだっていうことが、まず大前提ですね。
種子法の裁判と危機感
そういうことです。
ではその全く別の話を一つずつ見ていきましょうか。
まずは廃止された方の種子法の裁判です。
国の公共インフラだった法律がなくなったことに対して、なぜ一部の人たちは憲法違反だとまで訴えているんでしょうか。
ここには根深い価値観の対立があるんですね。
植の安定供給は、国が責任を負うべき生育なのか、それとも民間企業と競争に委ねるべき市場なのかという。
ああ、なるほど。
ええ。原告である農家や消費者の方々の主張は非常に強い危機感に基づいています。
種子法という公的な仕組みがなくなったことで、いずれ多国籍の巨大種子企業が日本の市場を支配するだろうと。
はい。
そうなれば、種の価格は高騰し、遺伝子組み換え作物が蔓延し、国民が安定的に食料を得る権利、
つまり憲法で保障された生存権そのものが脅かされるんだというそういうロジックなんです。
TPP交渉の頃からよく聞かれた議論ですよね。非常にパワフルで感情に訴えかける主張ですが、
市法はこれをどう判断したんですか?
そこがまた面白いところでして、2023年3月の東京地裁の判断は、そうした訴えとは対照的に非常にドライなものでした。
ドライですか?
ええ。判決は、法律を作ったり廃止したりするのは基本的には国会の裁量の範囲内ですと。
そして、趣旨法が廃止されたからといって、直ちに食料危機が起きたり、国民の生存権が脅かされたりするという直接的な因果関係は現時点では証明されていません、として原告の訴えを全面的に聞けました。
はあ、なるほど。
もちろん、原告側は控訴しています。
なるほど。将来そうなるかもしれないという不安と、現時点で法的に権利が侵害されたとは言えないという司法のロジックの間に大きな隔たりがあるわけですね。
これは興味深いです。
ええ。一方で政府側は、廃止によって民間の活力を導入し、より多様な品種開発を促し、国際競争力を高めると主張しており、両者の水は全く埋まっていません。
種苗法の改正と在来種
趣旨法をめぐる対立の構図はよくわかりました。でも正直、世間で一番ざわついているのは、むしろもう一つの商用法の方ですよね。
そうですね。
特に、日本の宝である社員マスカットが海外に盗まれたという話。あれこそこの崩壊性が原因なんだ。法律が農家を縛ることで海外の企業が得をする仕組みなんだと思っている人も多いんじゃないですか。
そこがこの議論で最もねじ曲げられて伝わっている部分かもしれません。結論から言うと事実は全くの逆なんです。
逆?
はい。2020年の商用法改正は、社員マスカットのような事例が起きてしまったからこそ、それを防ぐために行われたものなんです。
社員マスカットが流出を招いた、あるいは促進したという話かとばかり、守るための法律だったのになぜ、奪われるという話にすり替わってしまったんでしょうか。
それはですね、改正前の法律に致命的な欠陥があったからなんです。以前の法律では、日本国内で正規にお金を出してて買った種や苗木を海外に持ち出すこと自体は合法だったんです。
えーと、合法?何の規制もなかったんですか?
まさにザルだったわけです。
うわー。
その結果、日本の研究者が10年、20年と途方もない歳月とコストをかけて開発した社員マスカットとか、甘いイチゴの品種なんかがですね、何の対価も支払われることなく海外に持ち出されてしまった。
で、彼の地で無断で栽培、販売されてしまったわけです。
それはひどい話ですね。
ええ。結果として、日本の農家や開発者が得られたはずの莫大な利益が失われるという事態が多発したわけです。
今回の法改正は、このザル状態だったルールにようやく歯止めをかけて、開発者の知的財産を守るためのいわば防衛策だったんですよ。
なるほど。開発者の努力を守るための改正だった、と。
では、もう一つの大きな不安の種。
昔からある在来種、つまりおじいちゃんの代から受け継いできたような伝統野菜の種まで、誰かが勝手に品種登録してしまって、農家は自由に種を取れなくなるんじゃないか、という話。
これどうなんでしょう。
これもですね、結論から言うと制度上不可能です。
この噂は、品種登録というシステムの根本的なルールを無視したシナリオに基づいています。
まず、農林水産省自身が在来種を含め、農業者が今まで利用していた一般品種は、今後とも許諾も許諾料も必要はありません、と明確に断言しています。
公的なお墨付きがあるわけですね。
そして、なぜそう言い切れるかというと、品種登録には新規性、つまりこれまで世に無かった新しいものであることが絶対条件だからです。
新規性。
はい、何十年何百年も前から地域で栽培されてきた在来種は、この新規性の要件を満たしません。
ですからそもそも登録の申請自体ができないんです。
もし誰かがこれは新しい品種ですって嘘をついて申請したらどうなるんですか。
それは詐欺行為にあたりますから、法律で罰せられる可能性があります。
ですから在来種が乗っ取られるというシナリオは、現実には起こり得ない話だと言えますね。
なるほど、2つの法律の違いも、個別の噂の真相もクリアになってきました。
でもこれだけ明確な事実があるのに、なぜこれほどまでに不安や誤解が広がってしまったのか。
情報源はその大きなきっかけとして、あるドキュメンタリー映画の存在を指摘していますね。
はい、映画種は誰のものです。
この映画を理解する上で最も重要なポイントは、この映画のプロデューサーである山田笹彦氏という方が、
種苗法と種子法の混同
何を隠そう先ほどお話しした、「趣旨法廃止は違憲だ」と訴えている裁判の原告団長だということです。
ああ、中心人物。
そうです。
ということは、映画そのものが裁判の主張を広めるためのキャンペーンの一環という側面が強いわけですね。
そう捉えるのが自然でしょうね。
情報源、特に実際にこの映画の上映会を開いたという現役農家の方のブログでは、かなり厳しい指摘がされています。
いわく、この映画は意図的に趣旨法と種苗法の話を混同させて、視聴者の不安を煽るような構成になっていると。
例えば、ある作物が登録品種で農家が困っているかのような映像を見せても、その品種が本当に登録されているのかとか、農家は許諾料をどう考えているのかとか、そういった核心部分の取材が抜け落ちていると。
ああ、不安だけを切り取って見せているというような批判ですね。
そうなんです。
それに、開発者の権利というもう一方の当事者の視点が欠けているという指摘もありました。
はい、ありましたね。
ねえ、コストをかけ新たな品種を作った人間に対して、食は人類共用の財産だから金の話はなしね、というのはあまりに乱暴ではないか、というレビューの言葉はこの問題の本質をついています。
農家の権利を語る一方で、開発者の知的財産権という視点を意図的に無視しているのではないか、という批判は非常に多いですね。
なるほど。つまり、この映画は中立的なドキュメンタリーというよりは、特定の立場から作られた意見表明としての性格が非常に強いと。そしてそれが、種子法と休業法の混同を加速させてしまった可能性があるわけですね。
自家採種と農家の権利
まさに。そしてですね、情報源をさらに深く読み解くと、この反対論の根底にはもう一つ、さらに深いレベルでの誤解があることがわかります。それは、種子法は安い種を供給するための法律だった、という思い込みです。
あ、そうなんですか?安価で供給する?というのが国の役割だったのでは?
実は、廃止された種子法の条文をどこを読んでも、「安い」とか、「安価」という言葉は一言も出てこないんです。
へー。
法律の目的は、あくまで有料な種子の安定供給、品質が保障された良い種を、という意味なんです。価格の話ではない。
また、よく反対論で引き合いに足される、アメリカでは遺伝子組み換え作物の種子価格が高騰して農家が苦しんでいる、という話も一面的な見方だと指摘されています。
と言いますと?
価格は上がったかもしれないんですが、それ以上に収穫量が劇的に増えたことで、結果的に農家の総収益は上がっている、というデータがあるんです。
だから、種の価格だけで物事の善悪を判断するのは、農業経営の全体像を見ていない議論だと、情報源は厳しく指摘しています。
いやー、今回は日本の種をめぐる複雑な議論を、かなり深く解き明かせた気がしますね。
公共インフラの話だった種子法と、知的財産権の話である種病法、この2つを混同したところから、すべての誤解が始まっていたんですね。
そして、その混同の上に、外資vs日本、大企業vs農家、といった分かりやすい善vs悪の感情的な物語が作られていた。
この一前の騒動は、法律や経済が絡む複雑な問題が、いかに単純な物語に回収されやすいかを示す格好のケーススタディだと思います。
本当ですね。諸空という、私たちの命に直結するテーマだからこそ、強い不安を感じてしまうのは当然のことかもしれません。
でも、その不安が、意図的に作られた物語によって増幅されているとしたら。
そこであなたに一つ、考えてみてほしい問いが浮かび上がります。
私たちは、何か情報に触れて強い不安や怒りを感じたとき、その感情の源にある物語そのものを疑うことができるでしょうか?
例えばこの問題なら、ところで今私たちが話しているのは、公共インフラの話?それとも特許の話?と一歩引いて自問してみる。
その小さな問いかけこそが、複雑な世界を正しく理解するための、最も強力なツールになるのかもしれませんね。
13:45
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