肥料の固まる原因
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さて、今日のオモテじゃ語れないトークは、肥料について、なぜ肥料は固まるのか。
これについてお届けします。
肥料を使おうと思って封を切ったら、塊がゴロゴロと出てきたなんてことは、
誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
どうしてこういう現象が起きるのか、お分かりでしょうか。
もしかすると、保管状態が悪かったのかもしれません。
20キロの袋には、空気が出入りするようなピンホールが空いていることもありますし、
フレコンバッグであったとしても、もしかしたらうまく中のポリタイが縛られていなくて、
もしくは穴が開いていたりして、雨が、雨水が入ったりして固まってしまうことは確かにあります。
ただ、そうでなくても固まってしまうことは原理上あるんです。
それが肥料というものなんです。
なので運送、運搬してきた運送業者だとか、それから仕入れた業者ですね、
肥料メーカーさんだとか、ここにクレームを付けたくなる気持ちはもちろんわかるんですが、
実は肥料ってそもそも固まるものなんですっていう、ここの認識はすごく大事です。
肥料の特性と保管方法
製造中に水が入ったとか、さっき言ったようなフレコンの縛り方が悪かっただとか、
そういうことはもちろん可能性としてはあり得るんですけど、
メーカーとしてもおそらくクレームを受けたくないはずですから、
きちんとやっていることは多々あると思います。というか基本やっていると思います。
それでも塊が発生してしまうとか、混入してしまうという現象は起きてしまうんです。
これを業界用語で枯欠すると言います。塊に結合の欠で枯欠と言われたりします。
この枯欠現象がなぜ起きるのか、ここについて解説してまいります。
実は昨日の配信で、前回の配信でお話ししたリューアンと尿素の話に通じるところがあります。
尿素は水に溶けやすいというお話をしました。
これがほぼ答えだったりします。
肥料の原料というのはリューアンだったり尿素だったり、
リン酸で言ったらリン鉱石なんですけど、
重化石だったりリンアンだったり、色々な原料を使用していますが、
基本的に水に溶けるものが使われています。
リューアンと尿素を比較すると、尿素の方が圧倒的に水に溶けやすいんですが、
リューアンだって水の中に、例えばビーカーの中で試験してみると、
何十時間か淹れたままにしておくと、実は溶けるんです。
溶けて固形物がなくなるんです。
ということは湿気に弱いということなんですね。
つまり、この尿素だとかリューアンだとかが水に溶けるということは、
これは実は結露するなどということで、簡単に起きてしまうんです。
気温が上がったり下がったりすると結露しますよね。
冬場に外から持ち込んだ袋の中、
これが室温で汗かいていたりすると思います。
こういうことが肥料でも普通に起こり得るんです。
なので、この原料を実は尿素が多い配合設計とかを組んでいると、
非常に塊が発生しやすいということが起こるんですね。
最も溶けやすいと言っても過言ではない原料は、
硝酸カルシウムです。硝カルです。
キャベツだとかブロッコリーだとか、
ビートでも追肥で使う方はいると思います。
芋だとかバレーションですね。
この辺でも硝酸カルシウムを使うケースは多々あるかなと思うんですが、
なぜこれが追肥で使うかというと、速攻性があるからですね。
水でもちろん溶けるんですが、
夏場これを封切った瞬間すぐ巻かないと、
あっという間にドロッと水が滴るぐらい溶けていきます。
室温、室度で溶けてしまうんですね。
つまりこれぐらいすぐ溶ける原料もあれば、
尿素のように室度で溶けるとまでは言わないですけど、
湿気の多い中で気温が上がったり下がったりすると、
溶け出してくるものももちろんあるんです。
なので基本的に3要素が配合された肥料というのは、
固まるものだということで認識しておかないと、
どこか別な業者にクレームを付けるということになってしまうんです。
もちろんクレームを付けてその原因がメーカーにあることも、
先ほど言ったように棒と言ったようにあるんですけど、
きちんと保管されていないとそういうことも起こり得るんですね。
さらにたまに見受けられるのが農家さんの倉庫の中ですね。
倉庫の中でよかれと思ってブルーシートの上に肥料を置いてあることがあります。
フレコンバッグでたまにありますね。
これが実は厄介というか一番やっちゃいけないんです。
よかれと思ってフレコンを丁寧に大事に保管しようと思って、
ブルーシートの上にフレコンバッグを置いてしまうと、
実はこれが余計湿気の逃げ場がなくなってしまうということになってしまうんですね。
農協さんですね、北連の肥料の取り扱いのページなんかを見ますとですね、
きちんとパレットの上にフレコンを積み上げて保管するように記載しています。
これをやっていて、さらにいい環境で保管していたにもかかわらず、
塊が出てきたということは、それは保管状態に問題がないと思うので、
仕入れ先、肥料の購入先でぜひそこらは問いただしてもいいかもしれませんが、
やることをやっていないのにクレームを作ると完全にクレーマーになってしまいますので気をつけましょう。
経営者の責任
こういった肥料の特性、ここに知識を持っていると、実は肥料を安く、そして効率的に購入することもできるんです。
肥料の早取り制度というのが農協にも各社、商経にもあると思います。
翌年の春に使う肥料を秋のうちに、前の年の秋のうちに購入して収めておくと、
早取りとして奨励金がついたり割引をもらえる制度があると思うんですが、
ここで購入する肥料はくれぐれもこの溶けやすい尿素だとか、
それから焼酸性の窒素ですね、こういったものが入っているものは引き取らないようにしておく方が無難です。
こういったものは溶けやすいですので、温度の上昇、加工、さらに急激に温まったり寒くなったりということが起こると、
さっき言ったような湿気問題だとか、もちろんそれ以外もあるんですけど、
そういうことで塊が発生しやすくなってしまいます。
せっかく安く購入したはずの肥料が翌年ガチガチに固まっていたとしたら、
これは何をやっているのか分かりませんね。
その気持ち、確かにどこかに怒りをぶつけたくなる気持ちも確かに分かるんですが、
その先に入れる肥料を何も考えずに取る方にも原因はあるわけです。
もちろんその辺をアドバイスしてくれなかった担当者だとか窓口にも火はあるかもしれませんが、
そもそも知らないことが結構多いと思います。
担当者ですらこういうことを知らないことはよくあるんですね。
なので誰が最後責任を取るかといったら農家である経営者しかないんです。
その決断をしたのは肥料の販売に来た担当者ではなく農協の窓口ではなく、
決定権を持っているのは経営者でしかないんです。経営者しかありえないんです。
その決断を下したのはおそらく皆さんであるはずなんです。
なのでここを間違いないように怒りたくなる気持ちもあるんですが、
実は知っているか知らないかの差なんですね。
肥料の購入は価格だけ、成分だけで考えてはいけません。
ちゃんと中身をどういう肥料を使っているのか、どういう原料を使っているのかまで確認しないと
正しく完璧な仕入れはできないということを覚えておいてください。
ということで今日の内容は以上になります。
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では引き続き農業経営の価値通知を考えていきましょう。
ではまた。