Aくんの暴言と反応
こんにちは。お聞きいただきありがとうございます。あきねです。
こちらは、2人の小学生の子を持ついちお母さんの私が、ASDの息子を通して出会った行動分析学について語るチャンネルです。
今日は、また気軽に方言で喋ってみます。
ある一つの事例を行動分析学で見てみました。というお話です。
複数の子どもたちの支援の場で働くY先生と、小学校低学年のAくんのやりとりです。
ある日の午後、Aくんが自分で描いた絵をY先生に見せてくれました。
どんな状況だったかというと、Aくんが得意げな顔で、少し離れたところに立っていたY先生に、わざわざ持ってきてくれたんですね。
そしたら、当然Y先生は褒めます。
絵もかっこよかったですが、自分に見せに来てくれたことも嬉しいですからね。
え、これAくんが描いたの?かっこいい。丁寧に描くね。見せてくれてありがとう。
めちゃくちゃ笑顔で褒めました。
するとAくん、得意げな顔に、ちょっとはにかんだ様子もプラスした表情で、こう返してきました。
黙れババァ!
多いって感じですけど、実はY先生としては予想していた種類の返答でした。
普段からAくんはこういった、いわゆる暴言が出ることがとっても多かったからです。
黙れババァ!と言われたY先生は、心の中で何だそりゃと思いながら、
え?ババァ?ババァって言った?どこに?ととぼけて見せました。
Aくんは、チクチク言葉はやめましょうという指導はよく受けているので、
ババァがダメなことも、Y先生がわざととぼけていることも多分わかっています。
そんなAくんは、一瞬言葉に詰まった後、
Y先生の真後ろにあった窓をバッと指さして、
この窓!と一言つぶやきました。
ババァ?ババァってどこに?ということに対して、
この窓!と答えたんですね。
これもY先生としてはすごく面白かったんですが、
笑いをこらえて、
ああ、この窓ね、そうだよね、と満面の笑顔で返しました。
さて、この一連を分析してみます。
まず、Aくんの黙れババァという言葉に焦点を当てると、
Aくんはこういった暴言を発した後、日常的に怒られています。
にもかかわらず、暴言は繰り返されているわけです。
暴言の後に周りから非難されることは、
Aくんにとって暴言を減らす効果はないということですね。
むしろ注目だったり、感覚刺激だったりの好子が得られているのだと思われます。
なので、Aくんが想定しているであろう返答、
例えば、「そんなこと言わないで!」と怒った顔で睨むとかですね、
そういった傾向の反応を返さないでいれば、
好子をカットすることになるので、
暴言という行動の消去につながります。
行動の分析とコミュニケーション
それから次に、Aくんの、「この窓!」という言葉に焦点を当てると、
この言葉はY先生の、「ばばって言った?どこに?」という言葉への返答でした。
これは、もとはY先生に向けた暴言を、Y先生じゃなくて、
一応、Aくんの中では修正してくれているんですね。
なので、質問への応答、言動の修正という意味では、
より望ましい行動と言えます。
そんなAくんの、「この窓!」に対して、Y先生が返答すると、
Y先生はYくんに返答することになります。
そんなAくんの、「この窓!」に対して、Y先生が笑顔で、「ああ、そうだよね。」と応じた。
これは、ポジティブな注目として、Aくんの好子、教科書になると思われます。
こうして、不適切な言葉を使っても目的の注目は得られない。
けれども、適切な言葉でコミュニケーションを取れば、望ましい注目が得られる、
という経験を積んでいけば、Aくんの暴言の頻度が下がって、
適切なやり取りが増えるのではないでしょうか。
この地道な道のりを思うと、大人全員が行動分析学を知っていればな、
と思うY先生のお話でした。
ありがとうございました。
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今日も大事なものを大事にできる一日を。
あきねでした。