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2025-12-17 15:16

#56 【お便り回】温度の単位&硬さと粗さの表現

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温度も粗さも硬さも、何で色々な単位があるの?というお便りに回答しました。

私も苦手な領域です……なんとややこしいことか!

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サマリー

このエピソードでは、温度の単位である摂氏と華氏の違いや、絶対温度、ケルビンについて解説しています。また、粗さと硬さの測定単位についても触れ、それぞれの用途や特性について説明しています。

温度の単位について
どうも、かねまるです。
プラントライフは、化学プラントの技術者が、
化学や工場に関するトピックを分かりやすく紹介する番組です。
今回は、単位の話をしようと思います。
とっても理系的で、現場感あふれるようなお便りをいただいたので、読ませていただきます。
ヒロヒロイさんからのお便りです。
いつもお世話になってます。
モルの回を聞いて、単位についての質問が浮かびました。
1つ目、温度ってなんで加子と摂子があるの?
あと、絶対温度、ケルビンとの関係は?
2つ目、粗さの単位、RA、RZ、Rmaxと種類があるようです。
それぞれ算出方法が違うみたいですが、どういった用途で単位が違うのでしょうか?
社内ではRAを基本としています。
3つ目、仕事では硬さの単位も種類があって、HRCやHSとか色々あります。
化学の現場では主にどれを使っているかとかも添えていただけると嬉しいです。
とのことで、お便りありがとうございます。
正直なところ、私は粗さと硬さというのは甘い経験がなくてですね。
今回お話しするのは主に温度の話になると思います。
まずは温度の話です。
なんで摂子と加子があるか。
これは基準が違うっていう思想の違いですね。
私たちがよく使っている摂子の温度は、水が凍るのが0度、沸騰するのが100度です。
それに対して加子という温度は、水が凍るのが32度、沸騰するのが212度です。
一見すると中途半端な数字なんですけど、
実はこれ、昔は便利な使い方だったんです。
当時ファーレンハイトさんという方が考えまして、
その時に彼が実験室で作れる一番冷たい温度を0と決めました。
これは氷と水と塩カーモニウムを混ぜた時にできる冷たい温度。
これが0度の正体です。
0度は当時作れる一番冷たい温度。
そしてもう一つの上側の基準は人間の体温を選びました。
上側の基準は96度って設定されたんです。
これで0度から92度の何か中途半端なメモリができちゃったんですけど、
当時は職人さんが2等分しながらメモリを作っていくんで、
96÷2で48、24、12、6、3って感じで、
2でたくさん割れるような数字が求められてたんです。
それもあって、0から96っていうメモリが一旦作られました。
後から修正がかけられて、
氷32度から沸騰212度までっていうのを改めて採用して、
化子の温度が設定されました。
私たちが使っている0から100度の摂氏の温度っていうのは、
もともと氷から沸騰するまでの温度っていう設定の仕方をされていたんですけど、
ちょっとややこしい、化子の温度っていうのは、
一旦別の基準で作った後に、
氷から沸騰するまでの温度っていうので、
基準が作り直されているっていう考え方ですね。
絶対温度とケルビン
だから合いづらいんです。
そして分かりづらいんです。
ここからは絶対温度の話です。
今まで話した化子とか摂氏っていうのは、
水っていう特定の物質の状態に依存した相対的な摂度なんです。
さすがにそれだといろいろ不都合が生じるんで、
物質の種類に依存しない普遍的な、絶対的な基準を決めました。
まず身近な温度、度を使って、
何が不都合があるのかっていうのを考えてみたいと思います。
まず気温が10℃から15℃に上がったとします。
15-10で5℃、気温が上がりました。
5℃上がったっていう引き算はできます。
ただし10℃から15℃に上がったから、
気温は1.5倍になりましたっていう言い方ってしますか?
普段そんな計算しないですし、原理上できないんです。
こういう数字って感覚尺度って言ったりするんですけど、
数字同士の感覚に意味はあるけど、
数値同士の比率に意味がないようなものです。
そうなってくると温度を元にした計算式が作れなくなってしまいます。
当然温度を使って何か定義を作ったり、計算式を作ったり、
そんな場合はかけ算とか割り算も必要になってきますよね。
そういう温度を使った計算をするために、
絶対温度っていうのが必要だったんです。
ちなみにかけ算とか割り算もできるような数字っていうのは、
比例尺度って言ったりします。
数値同士の感覚だけじゃなくて、比率にも意味が出てくるようなものです。
この比例尺度を作るには基準となるゼロが必要です。
絶対温度では基準は絶対冷度を使っています。
理論上これ以上取り出せない限界点のことを絶対冷度って言います。
温度で言うとマイナス237.15度。
ものすごく寒い状態ですね。
絶対冷度がゼロケルビン。単位も名前が変わります。
氷が凍るゼロ度は237.15ケルビン。
そこに100を足して水が沸騰するのは373.15ケルビン。
このケルビン、絶対温度だと比率計算ができます。
100ケルビンから200ケルビンに温度が上がると2倍です。
物理とか科学の計算式で使われる温度の単位は、
ほぼ必ずケルビンが使われています。
お便りでいただいた粗さと硬さの話は、
粗さと硬さの単位
ちょっと私は経験が少ないので簡単にお話しさせてもらいます。
まずは粗さの話です。
ザラザラとかツルツルとかを表します。
ヤスリみたいに表面がザラザラだとわかりやすいんですけど、
鉄のような金属っていうのは細かく見ないと表面の粗さってあまりわかりづらくてですね。
単位はマイクロメートル、1000分の1ミリで表します。
当然デコボコの深さっていうのは場所によって違いますので、
平均値をとったり最大値をとったり、いろんな種類がありまして、
お便りにあったRAとかRZというのはそこで分けられています。
一般的に使われるのがRAの算術平均粗さというものでして、
デコボコの平均的な大きさを見るような指標になっています。
複数のデコボコの平均値をとっているので、
1本深い傷があっても影響というのは相対的に少なめになるような感じですね。
それに対して凹凸の中でも一番高いところと低いところを足し合わせた粗さの単位というのもあります。
一番高いところと一番低いところを見ているんですね。
だから深い傷とかあると数値が大きくなっちゃいます。
平均を使うRAよりも実際の凹凸感を評価しやすいかなと思っています。
ただですね、最も大きいところと最も小さいところを見ているので、
測定値がばらつきやすい特徴というのもあると思います。
ちなみになんですけど、今話しているRZとかRmaxという粗さの単位って、
途中で意味が変わっているらしいですね。
最初に話したRA、平均値をとるやつは変わらずRAなんですけど、
その他お便りでいただいたRZとかRmaxっていうのはちょっとややこしい話になりそうなんで、
ポッドキャストで話すのはやめといたほうがいいかもしれないです。
凹凸の一番高いところと低いところの合計値を見ているのが、
どの単位なのかというのは、ひろひろしさんのほうの会社で見てもらうほうがいいかなと思いました。
その他に使われる粗さの単位としては、10点平均粗さというのもありまして、
山が高い上位5つの平均値と谷の深い上位5つの平均値の差分をとっているんですね。
今はもう規格が変わって、主には採用されないような算出の仕方になっているみたいです。
もし今も使われている場合だったら、昔から使っている評価法なので、そのまま継続して利用しているからかなと思います。
今度は硬さの単位です。
硬さの試験方法っていっぱいあって、それに合わせて単位がいっぱい出てきているので、とってもややこしいんですよね。
硬さの測定方法というのは、決められたもので材料を押し込んで、
その時にできるくぼみの深さとか大きさというのから算出しています。
当然どういうもので材料を押し付けるかというので、全然結果が異なるので、
測定方法ごとに硬さの単位というのが出てきちゃうわけなんです。
お便りでHRCやHSとか色々ありますってあったのはその理由なんですよね。
比較的いっぱいに使われる硬さの指標がロックウェル硬さですね。
直径1ミリのボールで押さえつけて、その深さで硬さを求めます。
調べてみると、プラスチック成形品の硬さもロックウェル硬さが使われているという記述がありました。
ちなみに硬さを測る試験方法というのは、大きく2種類あります。
1つが先ほどから話している何か硬いものを押さえつけて、どれくらい変形するかという指標ですね。
もう1つがハンマーみたいなもので叩いて、その時の反発の大きさとか角度とか見るような試験方法もあります。
この跳ね返りを見るのは、ショア硬さっていうのを覚えてたらいいと思います。
私はちょっと硬さの試験方法の使い分けっていうのはうまく話せないんですけど、
例えば鉄系のものだと焼き入れしたりとか、新炭処理したりとか、窒化処理したりとか、いろんな金属の処理があって、
どんな熱処理を行ったかによって試験方法が異なるみたいです。
なんだかんだ色々と喋っちゃいました。
ひろひろしさん、お便りありがとうございました。
そして、十分に回答できたかわかんないですけど、これからもお便り楽しみにしています。
さすがに間違ったことは言っちゃいけないので、わかる範囲で答えさせてもらいます。
今回はここまでです。
プラントライフでは、化学や工場に関するトピックを扱っています。
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それではお聞きいただきありがとうございました。
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