どうも、かねまるです。 プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学や工場に関するトピックを分かりやすく紹介する番組です。
今回はお便り回です。 ヒロヒロシさんから面白いお便りをいただきましたので、ちょっと読んでみます。
かねまるさんはいつ頃から化学に興味を持たれたのでしょうか。 テレビなどでも、サイエンスの化学の方が取り上げられることが多く、
ケミカルの化学はあまり馴染みがない人が多いのかなと思いますが、きっかけなど教えてもらえると嬉しいです。
お便りありがとうございます。 ケミカルの化学、つまり化学の話ですね。
以降も、化学という言葉を使いますが、すべて化学の話だと思ってください。
まず簡単に私の経歴を話しますと、普通科の高校から化学系の大学に進学しました。
そのまま同じ学部の大学院、修士まで進んでいます。 その後は化学メーカーに就職して、今の生産技術という化学プラントで大量生産に携わる技術者としての道を歩み始めました。
一貫して化学に関わり続けています。 そしてなぜ化学に興味を持ったかと言いますと、
実は化学に興味を持った時期というのは明確に記憶にないんです。 高校2年生まではずっと教育学部を志望していました。
つまり教師になろうと思っていたんです。 もともと人のために何かするというのが好きで、自分の言動力は誰かが喜ぶ反応を想像するところだったりします。
あとは金八先生とか極泉ルーキーズなど、そんなドラマを見ていたのもあって憧れもあったと思います。
そこから高校3年生ぐらいから急に化学の世界に入ろうと志しています。 この方向転換の記憶がないんですよね。
当時のことを想像して少し考えてみました。 当時は大学入試共通テストがセンター試験という名前でした。
このセンター試験の模試を受けるときに志望校を入力して合格判定を示されます。 当時志望校は第一志望で教育学部、
第二志望以降は学部名に科学や環境という単語が入った学部を選んでいた記憶があります。
改めて高校3年生で何を受験するのかということを考えたときに、そこで化学の道を選んでいます。
技系科目の中でなぜ化学なのかと言われると、一番成績が良かったからですね。
3年生まであまり勉強してなくて成績が振るわなかったんです。 その中でも化学の成績は良くて、どちらかというと
理系科目の中でも数学や物理は嫌だなーっていう気持ちの方が強かったかもしれません。 あとは担任の先生が化学の担当だったのでたくさん聞けて
大学合格の可能性が高くなると思ったのも理由にあります。 高校自体が9割5分ぐらいの人が高卒で就職したり、もしくは専門学校に進学するようなところでしたので、
あまり大学進学のために学び合うような環境ではなかったかなと思います。 塾についても費用の面から言ってないです。
結局は置かれた成績や学習環境もあって一番合格の可能性が高い方向を選んでいます。 ここまで聞くと
この人、化学あんまり好きじゃないのかなぁと思いませんでしたか? 実はそうなんです。
分かるから面白いと思えることってありますよね。 新卒入者で配属された関係で、今は科学工業側に住んでいますけれども、
それも仕事を通してよく知っているからこそ面白いと思えています。 最後にお便りにありました科学の普及の話をします。
意外とサイエンスの話をしている時、裏ではケミカルの話が潜んでいたりします。 その潜んでいる部分を知ってもらえるような取り組みは大事かなと思います。
ちなみに皆さんは科学の中ってどれくらいの学問に分かれていると思いますか? 科学で大学に進むと様々な科学に関する講義があります。
だいたい20から30種類の講義を受けると思います。 世の中の科学に対するイメージに近いのは分子を作る部分、
有機化学や無機化学、高分子化学のあたりですね。 それだけではありません。
出来上がった分子は目に見えないので測定が必要です。 光や電気など様々な物理現象を用いて測定します。
この測定方法や測定精度を上げる方法を考えるのが分析科学です。 そしてアミノ酸やタンパク質、酵素、DNAなども原子が組み合わさってできた科学物質です。
こうした生命現象に関わる科学物質や反応を研究するのが生物科学、生化学と呼ばれる分野です。
分子の形や性質、反応の仕方など根本的な部分を物理的数学的に解明するのが物理科学、そんな分野もあります。
そして私が携わっている科学品を大量に効率的に作るための科学工学という分野もあります。
つまり科学って反応するだけではないんです。 これだけ広いと世の中のものって必ずと言っていいほど科学が潜んでいます。
そもそも人の体を含めて世の中の物質は小さな原子が組み合わさってできていますからね。
サイエンスのイベントなどはインパクトがあるので物理的な内容をよく見かけますね。
例えば、デンジロー先生がイベントで行うような段ボールで作った空気砲。
空気砲そのものは物理の中でも流体力学の分野です。 この時、球の流れが見えるように煙を入れますよね。
これは科学なんです。 イベントでよく使う白い煙は科学的にはエアロゾルと言います。
気体中に小さい粒子が浮遊している状態がエアロゾルですね。 もしドライアイスで煙を作っているんでしたら、
室温によって個体の二酸化炭素が気体に変わる消化という現象が起きたり、 空気の冷却で水蒸気が凝縮しています。
空気中に水の微粒子が存在するエアロゾルの状態です。 科学の領域ですね。
とは言っても、こうした内容って科学を学んだからこそ話せることが多いです。 今から科学はどう普及したらいいかと考えますと、
私の経験から形や色で、見た目で推してもいいのかなとは思っています。 最初の興味はそういったところからです。
ただ難点が、色はいいにしても形の訴求が難しいことです。 分子は小さすぎて目に見えません。
だからこそ分子模型というものがあったりします。 このあたりは科学構造式を見て形として楽しんでもらえるといいですね。
その形によってどんな科学的な役割を果たすのかもある程度決まっていきます。 形と役割をセットで紹介できるようになると興味を持ってもらえる方が増えるのかなと考えています。
逆に物理や数学が嫌いだから科学を選ぶと苦労します。 物理科学という分野があるように当然大量の数式と向き合うことになります。
まあそう言ってしまうとどの分野も計算はあるんですけどね。 もし科学が普及するといいなぁと思われる方はぜひとも私のポッドキャストを進めてみてください。