今週も引き続き、藤田美術館館長の藤田清さんをお迎えしています。
今日は美術館のキュレーションについて話をしているみたい。
キュレーターとしてずっとやってきてるんだよね。
アートのキュレーターで、日本一にたくさん道具を持ってて、
なんかすごいお茶会やる、これ以上楽しい仕事ないんじゃないですか。
楽しい仕事ないですけど、すごくそういう意味では辛いというか、しんどいときもありますね。
この前の大司会なんかはちょっと、やるまでは本当にもうこれだって思っていったんですけど、
実はあれとこの飾りも、事前リハーサルはもちろんしてるんですよね、美術館で。
で、行ってかけて飾ったときに、これ選んでよかったなってあの日は思ったんですけど、
お客さんの反応を見ると、ちょっと悲しくなるときもあれば。
大司会というのは、第39回の配信でお伝えした、
今年の3月に禰豆美術館で開催されたお茶会のこと。
こんなくだり覚えていませんか?
僕たちが薄茶席、薄茶を担当していて、
で、実は藤田美術館って美術館なので、古くて格の高いというか利給が持ってたとかそういうお道具が多いんですよ。
そうすると今までのお茶会って濃い茶ばっかりだったんですよね。濃い茶席の担当お願いします。
今回僕たぶん美術館勤めてから初めて薄茶席だったわけですよ。
そうなんですね。
すっごい道具悩んで。
で、あのとき、とこの間に観音様かなんかで。
法隆寺の天人像ですね。
そうですね。で、そこの蓮のビラが木のやつがなくなっちゃってて、
そして下にビラが立ってすっごいかっこよかったんだけど。
ありがとうございます。
法隆寺の近道の天外っていう上にある天外に秘天がたくさん刺さってたんですけども、
そのうちの2体ですかね、うちに伝わってるので、
その中でも僕がすごく好きなやつをどこにかけたいと。
金具から全部オーダーで作ってはまるようにして、それをかけて。
じゃあ花がないっていうのがすごく僕も気になってたんで。
花いけると急に浮いてしまうんですよね。
天人像がなんでここに来たのとかいう理由がなくなっちゃうので、
木でできたこの蓮の花びらがもうないので、
じゃあ下に花びらを散らそう。
で、散らすときも木の板を持ってきて、
それも法隆寺の昔の縦札。
縦札の上に花びらを3枚4枚だけパッと散らして。
でもなんかいじめられたって言ってましたね。
お茶警察かなんかに。
そうですよね。
やっぱりお茶の世界って濃い茶はこうあるべきとか薄茶はこうあるべきってすごく、
ある程度の枠組みがあるじゃないですか。
そこと全く違う感覚で今回やったので、
それで花はどこにあるんですかとか。
花がないので。
でもなんか美術館のインスタレーションみたい。
そうですね。
でも美術館長だし根津美術館も美術館だから、
なんでお茶席で美術館っぽくしちゃダメなんだろうね。
むかしいんですよね。
今日のエピソードでは、美術館の館長としての苦悩や思いなどをお話しいただきます。
美術館、あれいつできたんですか?
2022年ですね。
2022年。
だから2年半ぐらい。
あそこはもうほとんど一般の人たちが来るんですよね。
そうです。
昔はどっちかって言うとちょっと専門的な人たちが。
ちょっとこうクロート好みの美術館だったりとか。
そもそも建物が昔の邸宅の塀に囲まれてたんですよね。
3メートルぐらいの塀に囲まれて。
出入口もよくわかんないというかわかりにくいとこなので。
本当に道一本南側のお宅に住んでる方が、
長期休館の前ですね、直前2017年の5月とかだったと思うんですけど来られて、
あそこに何十年か住んでるけど、ここが美術館だっていうことを昨日知ったんです。
で、開いてるのも初めて見た。
で、入ってくださったんですけど。
やっぱりそれじゃいけないなっていうのはあって。
開かれるっていうよりも、開いてて当然なんですけども。
美術館ってやっぱりいろんな人が来て、そこで人と人とか物と物とか、
人と物とかいろんなのが繋がる場所が美術館だと思うので。
あと文化ですよね。人と文化の。
海外との関係の話に戻ると、原けんやさんのジャパンハウスとか、
外国の人たちに本当の日本って言うと変だけど、
日本の本質を見てもらうっていうのってすごく重要なような気がして。
僕も最近海外から人が来ると、ちょっとお茶会をやって、
お道具の説明をしたりするっていうのもやってるんだけども、
そういう外国との接続っていうのも今やってるんですか。
今、直接外国の方だからこうしようとか、
外国の人にこうしようっていうのは重点的にはやってないです。
で、それでも今、来館者の3割4割ぐらいが中国の方が多いですかね。
3割ぐらいが中国で、1割ぐらいは欧米の方ですかね。
で、来られるんですけども、インバウンドもちろん来ていただくのいいし、
ありがたいんですけども、そもそも一本南に住んでる人が知らない美術館なんですよね。
で、まず日本人に知ってもらうのが先じゃないっていう話が出て、
日本人が知って、美術好きはもちろんなんですけど、
そうじゃない人も来て楽しいよってなったら、
自然と海外の人は来るでしょうと。
で、海外の人が来たときに最低限の情報が提供できるように。
今だとね、もう本当にうちの美術館って解説文もスマートフォンで見れるので、
そこで翻訳できちゃいますけど、
最低限の英語とか中国語があれば、
むしろその人たちのために何かしようっていうよりは、
ちゃんとやるべきことをやろう。
あとはあるとすればお茶の体験ができるとか、
そういうところをどういうふうに膨らませていくか。
アメリカ、海外のインバウンドでも、
表面的な日本だけ取っていこうとしてる人と、
本当に深く行こうとしてる人って分かれるので、
やっぱり深く行きたい人たちを行かせる道をもっと作りたいなと思って、
この間行ったときでもテーマの決め方とかってあるじゃない。
それも結構独特。
そうですね。うちはテーマを決めるときに漢字一文字なんですよね。
漢字一文字に対して思いつくっていうか、
関連する作品を展示するっていう。
このスタンス自体は最初決めたのは、
タイトルを考えるってすごく大変じゃないですか。
江戸の何とかとか、桃山のとかって付けるのがすごく大変なので、
それよりも漢字一文字って、見た人がいろんなものを連想できるし、
切り口が漢字一文字なんだけどいろんな方向から切れるからっていうので、
毎回漢字一文字にして、それをローテーション組んで、
1年通して急完備のない美術館にしよう。
そのためにはなるべくテーマを考えるとかタイトルを考えるっていうテーマを、
時間を少しでも短くして、違うことに割いてやっていこうっていうので決めたんですけども、
これからも多分そのスタンスは変わらずいくんですけど、
できれば例えば他の人と一緒に展示を作るとか、
テーマ一つを何か別の方が入ってキュレーションするとか、
美術館の中だけでずっとやってると、どうしても偏りが出たりだとか、
雑味が入るんですよね。これは前展示したからやめとこうかなとか。
そうではなくて、単純に自分たちがやって面白いと思うテーマを、
もちろん多くの人に見てもらうっていうのは美術館の大前提なんで。
お茶会の道具を選ぶのと全然違う視点で。
全然違いますね。お茶道具だけではないので、やっぱり、
じゃあどういうテーマで日本刀を展示しようかとか。
これもう両方パターンがあって、作品をこれを展示したいから、
これに合うテーマはこれにして、関連してこうしようっていうのもあれば、
なんとなくこんなテーマって面白いなーって感じが先に出てきて、
そこから作品を探す場合もあるんですけども、
どっちも、学芸員が今、私入れると5人いるので、
基本的には現場の3人4人でテーマ出して、こんなテーマで、
こんな作品でっていうのが上がってくると、みんなで会議して、
これはこっちの方がいいんじゃないかとか。あと順番入れ替えたりとか。
これとこれを一緒に見たいなっていうと、近い時期にしたりとかいうのはやりますけども、
そうやって見る人もそうですし、実は作ってる側の学芸員も考えなきゃできないんですよね。
タイトルが決まっちゃうと、結構偏るじゃないですか。
江戸の絵画って言ったら江戸の絵画しかほぼ出てこないんですよね。
うちの場合漢字一文字なんで、連想すれば何でも出せると言えば出せるので、
展示する側も頭を一生懸命動かして、
作品を選んでこういうテーマにしたほうがわかりやすいんじゃないかとか、
こうしたら伝わるんじゃないかなし。来た方も漢字から連想。
じゃあこれは何でこのテーマに置いてるんだろうって考えてもらうっていう。
ちょっと頭の体操をしながら見てもらえるっていう。
年に何回ぐらい、エキゾービって3つあるんでしたっけ。
3つあるんですよ。で、うちは展示室が実は4部屋あって、
そのうちの3部屋は展示をしてるんですね。で、1部屋はクローズにしてあって、
で、毎月そのクローズの部屋がずれていくんです。
1ヶ月かけて展示外をして、で、クローズだったとこを開けて別の部屋閉めるっていう風に、
ローテーション1ヶ月ごとに展示がずれていくイメージですかね。
そうすると展示外で休館しなくていいのか。
で、どのぐらいの頻度で。
月1回ですね。
月1回も。
月1回1部屋が変わって。
そうするともうそろそろ僕行ったら全部変わってる。
もう全然変わってると思います。
この前来ていただいたのが6月。もう変わってると思います。
じゃあちょっとみんなで行こうかな。
ぜひぜひ。お待ちしてます。
あと農とかなんかやってるんですか。
そうですね。農をやったりだとか、今度落語もやるんですけども、
やっぱり美術館っていうのはお茶であれば本筋の家元だとか、お茶の家がすることとは違って、
やっぱり広くたくさんの人にまずはきっかけを持ってもらうっていうのが役割の一つだとは思うので、
例えば農を見に行こうってなかなかちょっとエネルギーじゃないですか。
予約して農のチケット取って行くぞって。
好きな方はもちろんそうなんですけど、今まで行ったことない人が急に農を見に行くって。
そうじゃなくて、じゃあ美術館に来てみたらたまたま農をやってたとか、
なんとなく家の近所の美術館チェックしたら今度農があるから、
こんなんだったら寄ってみようかなって思えるぐらいのところからのスタートでもいいかな。
農学士さんとも話をしてて、数年後なのか10年後かわかんないですけども、
藤田美術館で農をやりますって言ったときに、本当の満席になるぐらい農が広がってくれるといいなって。
それのまずスタートとして、今ここで農をやるっていうよりも、
農をまず知ってもらうところからスタートしようって言って、
今年の1月からいろいろイベント組んで、農学士が農面とか農所属の話をしたりとかいろいろやってくださって、
お客さんに農衣装を着せてくれたりとか。
そうすると皆さんやっぱり興味持つんですよね。
あ、面白そうだなって。
キュレーターには企画や展示などの他にももう一つ重要な役割があります。
それが美術館に収蔵されている作品の図録や目録を作るデータベースのお仕事。
実はジョイさんと藤田さんの間で美術館のコレクションに関するとあるプロジェクトが進行しているようなんです。
何やら最新テクノロジーを使ってコレクションを管理するみたいな話のようなんですが、
いったいどんな内容なんでしょうか。
例のお道具のデータベースの話なんだけど、
まず自分の使い勝手で作ってて、それから返信しようと思ってるんですけども、
実はジョイさん。
自分の所有するお道具や着物はもちろん、これまで主催した茶会記など、
お茶に関するさまざまなデータを一つにまとめているんですって。
このデータをジョイさんも開発に関わるオープンソースツールのマセザーと組み合わせて、
より多くの人々に活用してもらいたいと思っているみたい。
ここにゲストだとか、提酒だとか、消却とか、
ここに他のお道具もあるんだけども、
例えば花だったらその時じゃあこの花があったよねみたいなのがあって、
それで今は道具お茶会人っていうのがあって、
そうするとこのお茶道具とかがこの会に出たのが全部つながって出てきて、
これからちょっとずつ自分の、これ本当にパーソナルなんで、
着物とかそういうのも全部できるようにして、
個人の情報なんだけど、これ今データベースに引っ張り出すツールを今うちの研究者が一人やってて、
そこから僕のこのお茶道具のやつからエクスポートしてデータベースに入れて、
あとメディアを出して、そして自動的に茶会期を作ろうとか、
あとするウェブに出したりして、
これオープンなデータベースにしようと思ってるんだけど、
ちょっと考えてたのが、だからまずこれができると、
今度このお茶会に呼ばれた人がログインして、
自分の友達を設定すると、
自分が参加したお茶会の茶会品全部見えて、
お道具も見えて、
そのお道具をクリックするとそのお道具が出たお茶会も見れるし、歴史も見れて、
で、思ったのが結局そのパーミッションがあるじゃない、
だから例えばこの値段も見れるようにするとか、
あとは例えばその一緒に出たお茶会は自分の友達だけが見えるとか、
それかもしくはその自分は見えてもいいって言ったら誰でも見えるようにするとか、
で、お茶会も設定で例えばオープンなお茶会なのか、
クローズだったのかっていうパーミッションをセットして、
で、一つ思ったのがそのお道具に暗号化されたくせ番号つけちゃうと、
僕のお道具が藤田のお道具のセットと入ってたら繋がるっていう風にするので、
そうするとその戸田さんが藤田さんに売って、
それが僕のとこに来たら、
そのお道具がどのお茶会に出たかっていうのもちゃんと辿れるようにするとか、
履歴が全部残る。
全部横切って紐付けができるようにして、
暗号使えば、
だからこれブロックチェーンでもいいのかもしれないけど、
せ番号全部つけちゃうと、
その後は例えばその藤田とネズのコレクションがガンってやると、
お互い繋がってるのとか、
ネズのお茶会で藤田のお道具が今までどれが出たかっていうのも全部わかるように、
いずれこう進化していくっていうこともありえるかなと思ってて、
で、今この間送ってもらったやつとのこのレストと、
今僕のやつをデータベースに吐き出して、
っていう感じになっていて、
で、これがもうすぐできると、
もう一つあるのは、
だから美術館の展示会って設定すると、
解説文があって、
これはこういう作品でとか。
それが全部ちゃんとレコードにも残るし、