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2022-01-28 24:58

音楽家にして天文学者!ウィリアム・ハーシェルの功績【第63号音声版】 #49

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天文学者にはどういうわけか,少し変わった経歴の持ち主が多くいます.例えばイギリスのブライアン・メイ博士はロックバンド「クイーン」のギタリストだったり.今週は天文学者でやはり音楽家だったウィリアム・ハーシェルを取り上げます.彼はまた優秀なエンジニアでもあったのです.

毎週金曜日朝7時にアート,リベラルアーツと科学技術に関するニュースレター『STEAM NEWS』を発行しています.詳しくは STEAM.fm をご覧下さい.

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Photo by Ryan Hutton on Unsplash

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[音楽]
おはようございます、いちです。
このポッドキャストは、僕が毎週お送りしているニュースデータ、スティームニュースの音声版です。
スティームニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
スティームニュースは、スティームボート乗組員の皆様のご協力でお送りしています。
[音楽]
改めまして、いちです。
このポッドキャストは、2022年の1月27日に収録しています。
このポッドキャストで、今回お届けしたいのは、少し変わった経歴をお持ちの天文学者、ウィリアム・ハーシェルについてです。
彼は音楽家にして天文学者で、エンジニアでもありました。
どうもですね、天文学者の中には変わった経歴の持ち主というのをよく見かけるんですね。
例えばイギリスのブライアン・メイ博士、ロックバンド、クイーンのギタリストとしても有名です。
他にも、ハップル宇宙望遠鏡にその名前を残しているアメリカの天文学者、エドウィン・ハップル博士。
彼はですね、ヘビーウェイト級のボクサーだったんですね。
第一次世界大戦の時は、小三位まで上り詰めていますので、軍人としての才能もおありだったんでしょうね。
彼は戦後に20世紀最高の天文学者と呼ばれるようになるわけで、天文学者というのはいろんな経歴の持ち主がいらっしゃるものですね。
そんな興味深い天文学者の中で、今回のポッドキャストでは、フレデリック・ウィリアム・ハーシェルについてお届けしていこうと思います。
ハーシェルは出生名をフリード・リヒ・ビルヘルム・ヘルシェルというんですね。
ドイツ語なんですね。
彼はドイツのハノーファーに1738年11月15日に生まれています。
彼は19歳でイギリスに渡って、英語風にフレデリック・ウィリアム・ハーシェルと名乗ることになりますので、このポッドキャストの中でもハーシェルで統一したいと思います。
当時、ハノーファーとイギリスはジョージ2世の元同君連合になっていまして、
フランスとの戦争の雲行きが怪しくなった1755年に、ウィリアム・ハーシェルの父親アイザック・ハーシェルがウィリアムをイギリスへ疎開させているんですね。
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その頃、ウィリアムは軍学隊で大声を吹いていたんですが、急いで英語を習得して、ついでに何でしょうかね、バイオリンハープシコード、それからオルガンも習得しています。
僕は音楽には全くの素人なんですけれども、それでも大声とかバイオリンとか単音のいわゆるモノフォニックの楽器ですよね。
ハープシコードとかオルガンとか鍵盤を使ったポリフォニックな和音が出せる楽器と両方、ウィリアム・ハーシェルは弾けたということで、
結構音楽の才能っていうのはあったんじゃないかな、結構失礼ですよね。めちゃくちゃあったんじゃないかなと思います。
ウィリアム・ハーシェルは24問の公共曲の他に競争曲、それから教会音楽も手がけています。
彼の公共曲ってyoutubeで聞くことができるので、是非ね、検索してみてください。僕がメールで送りしているニュースレターの方では、youtubeのリンクを貼り付けています。
彼はですね、イギリスに渡った後、ニューカッスルオーケストラの第一バイオリンを務めた後、リーズ、それからハリファックス、そしてバース、これイギリスの地名ですね。
それぞれの教会でオルガン奏者にもなっています。教会のオルガン弾きってなんか僕も個人的にはすごく憧れます。
ウィリアム・ハーシェルは18世紀のフィロマスという人種でした。フィロマスというのは日本語訳がまだないんですが、中国語で「愛学問的人」というそうです。
これあの学問愛する人という意味ですね。このポッドキャストのリスナーさんもフィロマスだと僕は思います。
イギリスに渡ってからのウィリアム・ハーシェルは熱心に天文学を学び始めます。
彼の読書履歴が残っているんですけれども、こんな感じです。ロバート・スミス、和製音楽における音の科学。
同じくロバート・スミス、光学大全、光学オプティックスの本ですね。
ジェームス・ファーガソン、アイザック・ニュートン教の原理に基づく天文学の解説並びに数学を消さぬものへの詳細なる説明。
ウィリアム・エマーソン、三角法の基本。ウィリアム・エマーソン、光学の基本。
ウィリアム・エマーソン、力学の原理。
なんと勉強家なんでしょうかね。そんなハーシェルの天文学への貢献、これからご紹介したいと思います。
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イギリスのバースでオルガン奏者になったウィリアム・ハーシェルは妹のカロラインを呼び寄せ一緒に住むようになります。
カロラインはこの兄ウィリアムの天体観測の助手をしつつ、自身でも彗星の発見など功績を残しています。
彗星というのはマーキュリーじゃなくてコメットの方ですね。
今でもアマチュア天文学者の間で彗星、コメット発見するというのは結構憧れの業績で、一つ見つけるとコメットハンターと呼ばれたりとかするんですけれども、
カロライン・ハーシェルもコメットハンターだったということですね。
そしてですね、運命の1781年3月13日、ウィリアム・ハーシェルとカロライン・ハーシェルはバースの自宅で天王星を発見しました。
天王星は土星の外側を回る惑星で、時期によっては肉眼で見えることもあるようです。
僕は肉眼で見たことはないんですが、タイミングが良ければ肉眼で見えることもあるそうです。
実際1690年にイギリスの天文学者ジョン・フラムスティードがオウシザ34番星として観測記録を残した星が後に天王星であったことがわかっています。
ウィリアム・ハーシェルも当初は未知の彗星だと考えたようですが、彗星にしたら軌道が違うということがわかって、土星の外側を回る惑星だということが計算でわかったそうなんですね。
ハーシェルはこの新惑星に当時のイギリス国王ジョージIIIの名前をつけて、ジョージの惑星と呼んだんですよ。
これなかなかできないことですよね。自分の名前つけちゃいますよね。ハーシェルの惑星と呼びたいところですよね。
彼は謙虚にジョージの惑星と呼んだので、彼の名声ハーシェルの名声は高まったんですが、残念ながらイギリス以外ではこのジョージの惑星という呼び方は広まりませんでした。
残念ながらというか、当時のジョージIIIの影響権以外では逆に良かったのかもしれないですね。天体に王様の名前ついているとちょっと受け入れられない文化もあると思うので。
結局はドイツの天文学者ヨハンボーデが名付けたウラノスが普及して、その訳語である天皇星が漢字文化圏にも広まりました。
当時フランスではハーシェルの惑星という呼び方も普及しかけたそうなんですけれども、結局ウラノスの方になりました。
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これよくよく考えると非常にいいネーミングなんですね。ウラノスはギリシャ神話における天空の神なんですが、実はもっと重要な役割を担っています。
ギリシャ神話は大地の女神ガイアから始まります。何事も理屈を求めたギリシャ人ですから、すべての神々には海の母がいるんですね。
ところがガイアだけは例外で混沌つまりカオスから生まれたことになっています。
すべての神様に誰々から生まれたっていうね、母親を設定していたんですけれども、ガイアだけはすべての始まりということで、ガイアの前はカオスだったということになっているんですね。
そのガイアは3人の神を生んでいます。天皇制にもなった天の神ウラノス、海の神ポントス、山の神ウーレア、この3人です。
女神ガイアは自分の息子たちと結婚もしています。ガイアとウラノスの間には12人の子供がいます。
この子供たち、英語ではタイタン、あるいは古代ギリシャ語ではティターンですかね。日本語では巨神族というふうに呼ばれています。
12中の巨神ですね。巨大な神、巨神です。この12中の中の長に当たるのが大地と濃厚の神クロノスでした。
このクロノスなんですが父親ウラノスを殺して全宇宙の神を継承します。
土星を英語でサターンと呼びますが、これはローマ神話に出てくる大地と濃厚の神サテュルヌスから来ています。
大地と濃厚の神、そうなんです。サテュルヌスはギリシャ神話のクロノスと同一字されていました。
実際現在でも土星はギリシャ語でクロノスと呼びます。つまり土星はクロノスなんですね。
土星がクロノスだからその外側の惑星がウラノス、お父さんのウラノスということになるんですね。
まあそういうふうにボウでは考えたわけですね。
父親ウラノス、天皇星を殺したクロノス土星ですが、彼はですね息子ゼウスによって討たれているんです。
ゼウスはギリシャ神話の最高神魔オオガミで、天空で最も明るい星木星とみなされました。
木星はもちろん英語ではジュピターですがこれはローマ神話の最高神ユピテル、つまりギリシャ神話のゼウスです。
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ということは木星ゼウス土星クロノス天皇星ウラノスと3代続いているわけですね。
木星土星天皇星とね地球から地界樹に並ぶわけですけれども、それがそのままゼウスクロノスウラノス。
ゼウスのお父さんクロノスクロノスのお父さんウラノスという風にね3代続いているわけです。
ところがですね話はここで終わらないんですね。木星よりも一つ内側の惑星火星英語ではマーズですね。
もちろんローマ神話の軍神マルスが語源です。
マルスはギリシャ神話の軍神アレスと同じで火星というのは赤く見えるので古代ギリシャ人たちは赤く見えるからこれは戦争の神様軍神アレスと結びつけたわけですね。
でもうお察しの通りですねアレスゼウスの息子なんです。
というわけで火星木星土星天皇星アレスゼウスクロノスウラノスこれ全部お父さんつながりアレスのお父さんゼウスゼウスのお父さんクロノスクロノスのお父さんウラノス4代続いているんです。
地球の外側を回る惑星を外惑星と呼ぶんですけれどもハーシェルが天皇星を見つけた時点では外惑星がすべて順に親子となっていたわけですね。
これはだからネーミングウラノスというネーミングはもう必然的だったかもしれないですね。
これあのドイツの某ですごく強要人だと思います。
ギリシャ神話でね火星がアレスで木星がゼウスで土星がクロノスだから天皇星になんかジョージとかハーシェルとか名前つけるんじゃなくてウラノスと呼ぶ。
これはあの素晴らしいナイスプレイだと思います。
現在では天皇星の外側に海王星という惑星が見つかっています。
海王星は肉眼で見ることができないんですね。
天皇星の軌道を計算している中でどうしても計算が合わないと天皇星の外側にもう一個惑星があるはずだということでここにあるはずという方向に望遠鏡を向けたら見つかったのが海王星です。
海王星のネーミングはこの火星木星土星天皇星と続くシリーズでは名前をつけられなかったんですね。
アレスゼウスクロノスウラノスすべてお父さんつながりで行ったんですけれどもウラノスにはお父さんいないんです。
ウラノスを生んだのはガイアですけれどもガイアは一人で3人の神様を生んでいてその中の一人がウラノスなので
ウラノスにはお父さんがいません。
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どういう希札だったのか僕もよく知らないんですが天皇星の一つ外の惑星海王星ですね。
ローマ神話のネプチューンこれは海の神様ですね。ゼウスの弟にあたる海の神様の名前がつきました。
ネプチューンはギリシャ神話で言うとポセイドンにあたります。
ひょっとしたらゼウスクロノスウラノスとそれぞれ天空を支配した神様たちですからそろそろ海に行っておこうかということだったのかもしれないです。
さてそんな天皇星を発見したハーシェルなんですが生涯でなんと400台以上の望遠鏡を製作しています。
とりわけ有名なのは彼の妹カロラインとともに1785年から4年かけて完成させた40フィート望遠鏡です。
望遠鏡の性能を測る指標として望遠鏡の出鏡の大きさがよく使われます。
出鏡というのは望遠鏡のメインとなる鏡ですね。
ハーシェルは40フィート望遠鏡の出鏡に直径1.2メートルの鏡を使いました。
これがですねその後50年にわたって世界最大の望遠鏡だったわけですね。
50年もの間世界最大だったというのはすごいことですよね。
彼はこの40フィート望遠鏡を使って天皇星を発見したとも言われています。
このあたりちょっとね記録が正確じゃないので何とも言えないんですがおそらくはこの望遠鏡を使って発見したんでしょうね。
ハーシェルの望遠鏡なんですがこれはニュートン式を改良したもので現在ではハーシェル式というふうに呼ばれています。
残念ながら今は主流ではないんですが当時はニュートン式の弱点をカバーする設計でした。
ニュートン式というのは鏡を2枚使うんですけれども当時ね鏡の反射率というのが現在ほど高くできなかったのでその鏡の枚数を減らすというのでハーシェル式はね鏡を1枚減らして観測ができたということでニュートン式に比べてアドバンテージがあったということですね。
このメインの鏡主鏡の大きさ直径が大きいほどよりね天体暗い天体を見るとかあるいはその解像を高く見るとかいうことができたわけですね。
もう一つ望遠鏡のね天体観測のためにやることといえば標高を高くするんですね。
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高いところに行くとその分だけ空気の影響を受けなくなるのでできるだけね現在では望遠鏡というのは山の上に立てることになります。
標高何千メートルというところにね望遠鏡を設置するというのが現在でもよく行われています。
ハーシェルの40フィート望遠鏡なんですが老朽化のためにハーシェルの息子ジョンによって解体されてしまいました。
まあなんかね壊れてきても崩れてくるということで解体されてしまったんですがその代わりといってはなんですけれども彼の名前は残っています。
ウィリアムハーシェル望遠鏡と名付けられた大型望遠鏡が大西洋のカナリア諸島の標高2344メートルの山の上でこちらが現在も稼働しています。
ウィリアムハーシェル望遠鏡の主鏡はですね直径4.2メートルとだいぶね大きな望遠鏡になっています。
そしてまた今週あの嬉しいニュースが入ってきました。
ジェームズウェップ宇宙望遠鏡というですねNASAとそれから欧州の宇宙開発機構が共同で開発した宇宙望遠鏡ですね。
予定されていた第二ラグラン寿典に到達しました。
この場所はですね地球上のどんな山の上よりも天体観測に適している場所なんですね。
それどころか地球から周囲に訪れるわけにはいかないという点を除いてはハップル宇宙望遠鏡が周回する地上600キロメートルの軌道よりも優れている場所です。
第二ラグラン寿典は太陽の光が地球の影によってブロックされる場所なので、なおかつね重力的にも安定した軌道になるので天体観測に最も適した場所なんですね。
ジェームズウェップ宇宙望遠鏡の主鏡メインの鏡は直径6.5メートル相当に達しています。
めちゃくちゃ大きいですね。
ジェームズウェップの名前はアメリカ航空宇宙局NASAの2代目長官ジェームズ・エドウィン・ウェップから取られました。
ジェームズウェップ宇宙望遠鏡はどんな宇宙を観測してくれるのか楽しみにしたいと思います。
新しい発見がまたされたらこのポッドキャストでも取り上げていきたいと思います。
今週はウィリアム・ハーシェル、妹のカロライン・ハーシェルを中心に物語をお届けしました。
メールでお送りしているニュースレターの方では、おすすめ書籍として日本のスバル望遠鏡の話も取り上げています。
スバル望遠鏡はハワイのマウナケア山の山頂に建設されている日本の国立天文台の望遠鏡なんですけれども、
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こちらは直径が8.2mある主鏡を使っています。
世界最大級の望遠鏡です。今はもう少し大きな望遠鏡もありますが、これでも最大級というふうに読んで差し支えないと思います。
めちゃくちゃ大きいです。
ニュースレターの方でいつもおすすめのテッドトークもご紹介しています。
このテッドトークの方ではさらに大きな望遠鏡の話のトークをご紹介しています。
巨大マゼラン望遠鏡という望遠鏡で、これはチリに建設中なんですが、直径8.4mの主鏡を7枚備えているということで、
これ完成するとですね、直径22m相当の性能を発揮するそうなんですね。
22mというとすごいですね。
こちらは宇宙にあるジェームスウェブ宇宙望遠鏡と同時に稼働させて、両方のデータを付き合わせながら活用される見込みです。
現在ではね、地上の望遠鏡と宇宙望遠鏡と同時に稼働させて、そのデータを両方使うというのが主流なんだそうで、これも楽しみですね。
一体どんな宇宙が見えるようになるのか。
世の中にはね、その宇宙を観測して何になるの?それは知的好奇心を満たす以外に何かご利益はあるの?っていう風にね、思われる方もいらっしゃると思うんですけれども、
宇宙を知るということは、地球を知る、太陽系を知るということでもあるんですよね。
僕が個人的に師匠と呼びしている京都大学火山天文台の元大臣の柴田一成先生がですね、宇宙の星々を観測することで、太陽が太陽フレアという巨大な時期嵐を起こすということを突き止められて、警告を出されていました。
実際その時期嵐、地球にやってきました。
宇宙を知ることで、地球レベル、太陽系レベルの危機というものをですね、我々は事前に知って備えることができるようになるわけですね。
だからその天文学っていうのが決してその知的好奇心のためだけにあるわけではなくて、我々自身を守るものであるということもこのポッドキャストの中でお伝えできればと思いました。
今回も最後まで聞いてくださってありがとうございました。また次回お会いできることを楽しみにしています。
24:00
いちでした。
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(字幕視聴ありがとうございました)
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