1. レイ・イナモト「世界のクリエイティブ思考」
  2. #089 実例集「斬新なアイデア..
2024-08-27 41:31

#089 実例集「斬新なアイデアをクライアントに受け入れてもらうためには?」

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第89回は、実際にクリエイティブ思考を使って問題を解決した事例を紹介する新コーナー「Mind Shift 〜発想の転換〜」をお届けします。今回は、電通の八木義博さんと梅沢真実さんをゲストにお招きし、鉄道開業150年を記念したJRグループ6社による共同キャンペーン「MY JAPAN RAILWAY」についてお話を伺いました。デジタルとアナログを融合させた「旅をしながら集めるデジタル版スタンプラリー」実現の裏側には、何度も話し合いを重ねたクリエイターと営業の並々ならぬ努力があったそうです。「斬新なアイデアをクライアントに受け入れてもらうために営業は何をしたのか?」クリエイティブ思考を武器に21世紀を生き抜くヒントを紹介します。


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サマリー

このエピソードでは、マイジャパンレールウェイの制作チームが、クライアントに受け入れられる斬新なアイデアを提案するプロセスについて話しています。鉄道の歴史や文化的背景を活かした提案がどのように実現したのかに焦点を当て、クリエイティブ思考の重要性を強調しています。また、クライアントにクリエイティブなアイデアを受け入れてもらうための方法についても語られており、特にクライアントとのコミュニケーションやクリエイティブな人々との関わり方が取り上げられ、新たな発見や理解を促進する重要性が述べられています。さらに、レイナモトのクリエイティブ思考と発想の転換について、JRと電通の関係者との対話が展開され、ビジネスにおけるクリエイティブ思考の重要性や顧客の期待を超えるための具体的なケアの実践が強調されています。クリエイティブな発想の転換を通じて、斬新なアイデアをクライアントに受け入れてもらうための重要な視点が示されており、プロジェクトの意義や歴史を理解することが重要であると述べられています。

クリエイティブ思考の重要性
This is Reina Moro's Podcast. 世界のクリエイティブ思考
Hi everyone. This is Reina Moro. 皆さんこんにちは。
ニューヨークと東京を拠点にするグローバルインベーションファーム I&CO 共同創業パートナーのReina Moroです。
この番組では、世界で活躍するトップランナーのクリエイティブ思考に迫り、21世紀を生き抜くヒントを探ります。
今日も本番組のプロデューサー、竹村由加さんと一緒にお届けしたいと思います。
はい、レイさんよろしくお願いします。
今回も前回に引き続き、マインドシフト発想の転換をお届けします。
このコーナーでは、ビジネスシーンで実際にクリエイティブ思考を使って問題を解決した事例をご紹介します。
マインドシフト発想の転換に遊びに来てくれたのは、
昨年のカンヌライオンズのインダストリー・クラフト部門でグランプリを受賞した、
マイジャパンレールウェイの制作チーム、デンツーのヤギヨシヒロさんと梅澤マミさんです。
僕はずっとクリエイティビティ、そしてクリエイティブ思考っていうのは、デザイナーとか、
クリエイティブっていう肩書きがある人だけのものではなくて、
誰にでも役立つマインドセット、スキルだと思っているんですよね。
なのでこのお話で、このマイジャパンレールウェイのことの裏話を聞きたいっていう風に、
デンツーさんにお願いした時に、あえてクリエイティブの方、もちろんリーダーであったヤギさんにもお話を聞きたいんですが、
いわゆるクリエイティブと言われていない人にも話を聞きたいということで、
梅澤さんの名前が挙がってきて、今回番組に来ていただくことになったというわけです。
では早速お話をお伺いしましょう。
例えば営業の立場として、明らかにこれはやめた方がいいとか、これはちょっと違うなみたいな時に、
クライアントとのコミュニケーション
どういう風に口出しされるんですか?
ヤギさんの前で言いにくいかもしれないんですけど、あえて聞いてみました。
ヤギさん めちゃめちゃ喧嘩してましたよ。
大平 そうなんです。多分ヤギさんも分かっていらっしゃると思いますけど、
多分私すごい顔とか態度にすごい出ると思うので、
いいですねって時はすごい自分もテンションが上がって、これはすぐクライアントに話したいですってなるんですけど、
すごいものが出てくると、多分顔が曇ったりとか静かになったりとかするので、
それこそJRさんで駅スタンプを作っているにも関わらず、今駅がないところにスタンプを置こうって話が出た時は、
もう最初なんで?としか思わなくて、駅がないところだとそもそも鉄道で列車で行けないので、
JRさんの鉄道利用促進に直結はしないじゃないですか。
なので絶対鉄道利用促進に直結しないので、受け入れてもらえないだろうなと思っていたんですけれども、
そこでヤギさんから説明いただいたのが、今は駅がないかもしれないけれども、
昔あったってことは、そこの場所は間違いなく鉄道の歴史の一部として関与しているわけで、
そういうのがあるからこそ、今の鉄道の歴史が出来上がっていて、今駅がある場所も出来上がっているっていう。
鉄道開業150年っていうのを、ただの鉄道利用促進で終わらせるんじゃなくて、
今一度、皆さんが今は通勤通学とかでただの移動手段って思っちゃってる人が多いかもしれないんですけど、
そこまで至るには色んな歴史があって、この今の便利な鉄道っていう便利な移動手段があるんだっていうことをちょっとでも感じてもらえる、
気づいてもらえるようなきっかけになったらっていう、そういう一つのエキスタンプではないんですけど、
考えさせられるきっかけになるような面白いアイデアだったので、そこは確かにあった方が鉄道の歴史を感じれるな、
もっと皆さんに鉄道好きになってもらえるなと思ったので、無事クランチさんに通すことができました。
それの場合って、このプロジェクトって6社を相手にしなきゃいけないっていう結構特殊なところあると思うんですけど、
それって1社1社別々に丁寧に説明するんですか、それともまとまった時に一気に、どういう感じだったんですか、その辺は。
そうですね、大体の大枠みたいなものはJR東日本さんが幹事会社やられているので、JR東日本さんを通してお話しさせていただいて、
そこからの残りの御社の皆さんの合意を得るっていう感じにはなるんですけど、
それこそ本当に細かいスタンプのディテールの部分とかは各社さんとお電話して、
これはこういう意図でこういうデザインになっているので何卒みたいなお話は結構させていただきました。
それは各駅が承認出さなきゃいけなかったんですか。
そうですね、各社様によって結構やり方変わってくるかなと思うんですけど、
本当にすごいのだったのは各社様から支社に降りて、支社から各駅に降りて、
その各駅から普段関わりのある地元の自治体の方とかそういうお祭りの団体の方とかにまで降ろして、
全員がそのフェーズの全員がこのスタンプいいですねってなってやっと許諾になるので、
本当にすごい承認不老だったと思います。
なので本当クライアントの皆さんにもとっても感謝です。
私は対担当者さんとお話すればいいだけなんですけど、
その担当者さんは支社に話して駅に話して地元の人にも話してってされてた方もいらっしゃると思うので、
本当にクライアントさんのご協力なければこんな数のスタンプは作れなかったなと思ってます。
アイデアの実現と挑戦
じゃあ一番手間暇のかかったスタンプってどの駅だったとかってありますか?
一番時間がかかった。
一番時間がかかった。
いやそうですね。
あとはその有名な動物園とか水族館がある駅ってなると、
JRさんがどんなにここの水族館をモチーフにしてこの駅はスタンプを作りたいってなっても、
その水族館の許可も取らなきゃいけないので、そこの許可取りも私がやってまして、
全国の水族館とか動物園とか美術館とか本当にいろんなところにお電話させていただいて、
自分もこの案件やりながら日本にどんどん詳しくなっていって日本が大好きになっていくっていう、
本当に楽しい案件ではありました。
時間はかかって大変なんですけど、そこを楽しめたのが良かったかなと思ってます。
営業である梅澤さんの立場で、
例えばクライアントからこういうお題とかリクエストいただいて、
これは絶対クリエイティブチームに嫌がれるみたいなことあるじゃないですか。
これ言ったらとか、でもお得意先がこれ言ってるんでどうしてもやらなきゃいけないですみたいな、
そういう場面とかってあったりしました?
そうですね。
例えばその途中で日本人だったら誰もが知ってる有名なものとかでスタンプを作っても、
もうそれってこの駅そうだよね、これが有名だよねで終わっちゃうので、
ユイさんとかクリエイティブチームの方はそうじゃなくて、
そこの途中の新しい日本の魅力の再発見みたいな、
魅力を再発見してもらいたいなっていう気持ちもあったので、
まだ有名じゃない特産品とか、そういうのスタンプにされてる時があって、
そういうスタンプが出てくると、私も一般人として、
なんでこの駅でこのスタンプなんだろうって思って、
クライアントさんもクライアントさんで、
この駅はこの食べ物が有名だからこれにしてほしいって言ったのに、
なんでその食べ物じゃない、全然有名じゃないもののスタンプになってるのみたいな、
そういうやり取りはすごいあって、
仮にその駅ではどうしてもダメだったとしても、
別の駅で使えないかなっていうのは、すごい一緒に調べた思い出があります。
たぶん分かりやすいチャレンジが、結果的にはボーツになってしまったんですけど、
沖縄にJRを走っていなかったりするんです。
ただ歴史的には、いろんな事業が、
例えばサトウキビを運ぶための鉄道が引かれていた時期があったりとか、
もちろんモノレールみたいなことはあったりするし、線路の跡も沖縄にあったりするんですね。
My Japan Railwayっていうのは、自分にとっての鉄道を認識を新たにするっていうことだし、
歴史も含まれているってすると、沖縄だけ取り残して、みんなで楽しむよりも、
沖縄の人も一緒にこれをセレブレートするっていう、そういうビジョンなんじゃないかっていう発想が僕らのクリエイティブチームにはあったんですね。
そこと、やっぱりプロモーショナルなことっていうのが、どうしても食い違う局面があると。
そういう時に僕らの市長は、すごく理論武装してぶつけてるつもりなんですけど、
やっぱりそこが、鉄道乗らないじゃないかと。
でも目的は本当にお金と鉄道に乗せることなのかっていう、そこを問いかけ続けて。
クライアントも最後の方は、確かにそういう側面もあるかもしれない。
このビジョンがやっぱり大事なのかもしれないという、そこまでは言ったんですね。
完璧にはボツにならずに、別のところでそれをお使いいただけたんで、
そうやって少しずつ歩み寄っていった感覚もあったりとか、
そこら辺の市座の違いみたいなのが多少あったんですけど、
でも摩擦しながらも勉強し合ったというか、その時間はすごい学びがありましたね。
たぶんそこに挟まれて営業っていうのが、
ウメザっていうのがものすごく難しい立ち位置で、半分クリエイティブ半分クライアントで、
ウメザっていう鉄道オタクに通らないと、これをクライアントには持っていけないっていう、
これは可愛いっていうようなものじゃないと、半分だから最後ウメザCDにとって、
これは鉄道文化っていうのはちょっとダメですね、みたいな。
そうですか、じゃあちょっとやりましょうか、みたいな。そんな局面もありました。
クリエイティブディレクターとしてデザイナーだったりとかコピーライターとか、
クリエイティブチームにモチベーションを当てなきゃいけないっていう仕事もあると思うんですけども。
そうですね。
やっぱり僕の一番避けたいのは、作ったスタンプが事情でボツになっていくっていうことを避けないといけないですね。
それを作ったけどこういう事情で使えないってなると、それを許してしまうと、
デザイナーが意味のある仕事じゃなくなっていく。
なのでウメザとはそこはかなりやりあったかなっていう記憶があって、
こっちは絶対にこれを実装する。
お得意の事情は聞くけど、使えないって一言で返ってくるから。
そうじゃなくてこれが使えるようにするには、どこを修正すれば使えるようになるのか。
もしくは違う駅でも、もしかしたら少し変えれば使えるかもしれないし。
だから逆にそれ良かったなと今思うのは、知恵が出てきますよね。
そういうハードルがいっぱいあると、何とかして労力をかけずに、
無駄な仕事にならずに意味のあるものにしていくっていうふうにみんなが考えるので、そこは良かったんですけど。
ただ当時は本当にその問題に面しているわけだから、ものすごい感情的になるときもあったし、
クリエイティブとの関わり方
お互いそれぐらいみんな本気でやってたから。
でも途中その熱意もクライアントさんに伝わって、ここまでやってるのかと思って。
なるほど、なるほど。
ちょっとこれはMy Japan L.A.だけのことじゃないんですけど、
僕も自分もクリエイティブを作ってる人間として、
ぶっちゃけ、これ八木さんもご自身でチームを統括している身として思われると思うんですけど、
クリエイティブの人たちって面倒な人じゃないですか。
こだわりは強いし、頑固だし、人の話は聞かないし、でも繊細だしみたいな。
そのクリエイティブな人たちとうまく付き合って梅沢CDになれるコツ。
そのコツってなんだと思われます?
はい、はい。
そうですねって言っていいのかわからないですけど、今おっしゃってる通り、
クリエイティブの皆さんは会ったことのない人種の方々だなっていうのはすごい思ってますね。
でもそこが面白いというか、私が普段生きてる中では絶対に思いつかない。
JRさん担当してて沖縄の話出てくるって、意味がわからなすぎて最初。
鉄道ないですよ八木さんっていう話をすごいしたんですけど、
でもそういうのもなんでその思考回路になるんだろうっていうのを皆さんちゃんと自分の気持ちを伝えてくださるので、
そこの話を聞いてるうちにだんだんそうなのかっていう新しい発見があることは私自身すごい楽しいので、
もちろん衝突もあるんですけど、衝突していく中で結局は私がそうだなって、
最初は結構営業の立場でクライアントさん寄りで、本当クリエイティブの人たち何言ってるんだろうって思うこともいっぱいあるんですけど、
その意図を聞いてるうちに確かになる経験が今だんだん積み重なってるので、
そういうのを繰り返していくうちにクリエイティブの人たちの突拍子もないアイデアっていうのがだんだん好きになってきているので、
皆さんの不思議なところも含めて人間として好きだなって思ってます。
クライアントとの調整
それで言うと、デンズさんという会社の中にはたくさんクリエイティブの人たちがいらっしゃって、
今その梅山さんがおっしゃった、人生で関わったことない人たちがこの部署にいるっていう、
でも少なくとも同じ会社の中にそういう人たちがいて、チームと一緒に接して仕事も必要にするし、
もしかしたらご飯も一緒に食べに行くかもしれないし、みたいなことで歩み寄れるじゃないですか。
でもクライアント側、JRさんとかだと、そういう人種がまたさらに稀で全くいない、
いたとしてもすごく少ないと思うんですけども、
そうするともうここにいる人種と何回か離れて、
ここにいる人の人種に持っていかなきゃいけないときの、それはどうしてたんですか?
駆け引きというとちょっと言葉が違うかもしれないですね。
やり取りというか。
そうですよね。すごいクリエイティブチームとクライアントって一番離れてると思うので、
その離れてるところの間に営業って立ってると思うので、
クライアントから見ると私も十分不思議な人種になってると思っていて、
でも私から見るとクリエイティブの人たちがもっと不思議な人種なので、
そこをマイルドに伝わるような駆け足にならなきゃなっていうのは意識してました。
あんまりにも私が不思議な人種に寄っちゃうと、
それこそクライアントさんに何言ってるんですかって言われちゃうので、
でもだからといってクライアントさん寄りで、
そういう不思議な人種になりきれないとつまらないというか、
あんまり変化のないものになっちゃうと思うので、
そこの不思議な人種になり具合をこれからもっとうまく調整していきたいなと思ってます。
その不思議な人種であるクリエイティブの人たちから提案されて、
最初はちょっとうんって違和感あったかもしれないけども、
こうだよねって踏み落ちて、クライアントに持っていった時に、
クライアントの人が踏み落ちなくて、
いやちょっとこれわかんないですか、いやちょっとこれ違いますっていう風に、
却下されちゃった時とかってあったんですか?
フィードバックと評価
ありますね、やっぱりJRさんの意思じゃなくても、
その下に支社さんがいて各駅があって、地元の人たちがあってっていう、
すごい多くの人が関わってるので、JRさんとしてはいいけれども、
JRさんもやっぱり地元の皆さんのご理解がないと鉄道っていうインフラが、
日本中を走ることはできないと思うので、
結構その地元の方々の気持ちを分かられてるところもあったりすると、
素敵なご提案ありがとうございます、とってもいいと思うんですけど、
こういう事情でこれは却下ですっていうような時はありましたね。
なるほどね。
ただクライアントさんもその却下の理由はちゃんと教えてくださるので、
なんか雰囲気が嫌だから嫌だとか、そういうのはちょっと困っちゃいますけど。
もちろんだから細かいやり取りとかは、例えば梅山に預けて、
煩雑な時に細かいOKを取りに行かないといけない時はそうしてたんですけど、
チーム一丸となって営業と言えてて、襟を正して、
こうなんじゃないかって言って、却下みたいな。
その時に愕然としてみんなで帰るみたいな、そういうシーンがあって、
後輩の言葉で救われた言葉があって、
いろいろプレゼンテーションをクライアントにして、
そうするとクライアントの人がこだわりますねっていう仕事があったんですね。
こだわってるわけじゃないなと思って帰りしに、
その後輩がこだわってるんじゃなくて、
ヤギさんはそこはピュアなんですよって言ってくれたんですね。
そっかそっか、こだわってるんじゃなくて、
本当はこうあったらいいのにっていう、本当にピュアにそこを言ってる。
でも相手からするとそれがこだわりに見えてると。
だから特殊な人種なのかもしれないんですけど、
でも本当は別に突拍子もないことを言ってるわけじゃなくて、
ピュアにこうあるべき、こうしたほうがよくなるっていうことを提案している。
そこに摩擦、圧力が生じるのはしょうがないよなと。
そうやって納得がいったし、かといってこのピュアさを失ってしまうと、
多分良くないんだろうなっていうふうに思うので、
自分たちに嘘つきたくないから、やっぱり営業さんにはこういうふうなことを、
これからも多分やるんだろうなってその時思いました。
なるほどね。
でもだんだん理解がいってるという実感はあるので、
やっぱり効率を取っちゃうと、
多分こういうふうにやっちゃえばクライアントはうんと言うでしょと。
それは分かるんだけど、
でも本当に行きたい場所がどこなのかっていうと結構めんどくさかったりするんだと思うんですよね。
だけどそれを大事にするっていうことが、
クリエイティブっていうことにおいてはすごく大事だなっていうふうに思うので、
これを伝えていきたいですね。クリエイティブの人たちに。
昔はその広告の表面をアートディレクションしてたかもしれないんですけど、
今ってブランドが世の中にアートを投げかける時代というか、
そうすると僕らは自分のアートじゃなくて、
ブランドのアートをやってるっていうことになるから、
素敵な仕事なんだなと思って。
My Japan RailwayもこれはJRのアートだと思うんですよ。
こういうことが素敵っていう投げかけを、
彼らが世の中にしている。
その一端を僕たちが見直していただいているという、すごく幸せなケースだと思うんです。
クライアント側からのフィードバックで、
なんかこれは嬉しいなっていうようなことってあったりしますか?
そうですね。
クライアントさん自身もめちゃくちゃスタンプ集めてくださってる方もいて、
もう私もすごい集めてるので、
一緒に半分プライベートの話みたいな感じで、
この前どこ行ってこのスタンプ取りましたみたいなお話ができるのはとっても嬉しいです。
確かに。そんなに私鉄道好きじゃないのにって言ってた人が一番集めてました。
そうですね。
そうなんです。すごい集めてくださってて。
クライアントさんにもご愛されるトレイントリップっていうアプリになっているのがとても嬉しいです。
ずっとそこにあるものなので、
もしかしたら見る人によってこのクラフトがこんなに頑張って自己満足なんじゃないかとか、
こんなに効率の悪いことをやってどうなんだっていう見え方もあるかもしれないですけど、
これは半年とかで終わるものじゃなくて、
本当に10年20年使えるスタンプになっているので、
どっちが効率的なんだろうっていうことも僕らの中で問いかけもしてみたいとか、
でも継続になったことが何よりやっぱり嬉しかったですし、
それをなんとか継続しようとしてくれているクライアントの気持ちの最初からそう思ってくれていたのか、
やり取りする中でそういう気持ちの変化があったのかわからないんですけど、
そういうふうに評価いただいてますし、実際の参加人数も年々増えているんですね。
すごくCMをガンガン売って認知を取るみたいなことではこれは決してなくて、
実際に体験するとあんまりこっちからかすれるよみたいなことを言ってるわけじゃないんですね。
普通にそれは告知されずにローンチしてるんですけど、
今の時代SNSがやっぱりあるので、あっていう驚きが、
それは着実に割とダイレクトにみんながそれを見たり伝わったっていうことを見れたことがよかったですし、
すごくクラフトのところに対しての言及というか随所があったので、
そこが喜ばしかったし、もともと僕らもデータの大部分で傾向を見てやるというよりはイメージ派のような、
どちらかというと鉄道バニアって少数派だと思うんですよ、日本の中で。
だけどその少数の人が素敵と思っている物事をたくさんの人に開いていくっていうのは、
これやっぱりカルチャーとしては自然なことだと思うので、
一部の人がこんなに味わっている素敵なことっていうのを、
全然その一部じゃない人に開いていくっていう作業がこれだった。
だからそこには普遍の何か価値があるはずだっていうのが僕たちのピュアなとこだったので、
それが明らかに反応していただいたっていうことが僕らにとって報酬かなと思いました。
じゃあある意味梅澤さんがちょっと変わった人種ってことですね。
ある意味。
梅澤が味わっている幸せをもっとあんたたちだけじゃなくてみんなに開こうよっていうのが、
多分今回のミッションだったんじゃないかなっていう風に思いますね。
結構アンケートとかで鉄道の旅を楽しんでますとかっていうお言葉と同じくらい多かったのが、
スタンプデザインが可愛くて集めてますっていうのも多くて、
クリエイティブ思考の重要性
鉄道好きの行ったっていう証のコンプリート欲を満たすだけじゃなくて、
デザインが可愛いから集めてくれる人っていうのがいっぱいいることを知って、
これは鉄道好きだけじゃない、可愛いから集めるっていう人たちにまで踏み込めてるのは、
さすがヤギさんたちのスタンプデザインだなっていうのは感じました。
なるほど。
さてここまでお送りしてきましたレイナモトの世界のクリエイティブ思考。
今回は新コーナー、マインドシフト、発想の転換をお届けしました。
マイジャパンレイルウェイの制作チーム、電通のヤギヨシロさんと、
営業担当である梅澤真美さんにお話を伺いましたが、
竹村さん、こういう裏話とかを聞くのはほとんど、僕でもなかなか、
想像はつくんですけども、あそこまで根掘り葉掘り聞くことはないんですが、どうでしたか?
いやーすごく新鮮な経験でした。
普段広告っていうのを目にすることはあっても、
そのどういう気持ちで作ったかとかってあんまり想像したこともなかったので、
いやーこのコーナー面白いなーなんていうふうに思いました。
マインドシフト発想の転換ということで、
どんなところで発想の転換使ってるのかなと思いながらお話を伺っていたんですけれども、
JRというインフラの会社が今後どう成長していくのかっていうのを考えたときに、
普通の人が思いつくのは、テクノロジーの力でもっと効率化しようとか、
もっと早い鉄道を作ろうとか、そういうことを思っちゃうと思うんですけど、
原点に立ち戻って利用者のマインドをただ移動するっていうところから、
いやー旅って楽しいよねっていう、そういう気持ちのところまで変えていくっていう、
アナログなところが大事っていうことに気づいたっていうお話を伺って、
テクノロジーとは真逆のところに答えがあったんだっていうのが、
すごいクレイティブ思考による視点の転換だなっていうふうに思いました。
ケアの実践
あとやっぱりJR6社と一緒にお仕事をしていくっていうことは、
もう何百人何千人の人がこのプロジェクトに関わっていたと思うんですけれども、
それを円滑に進めていく上で、こだわりをピュアにこうだったらいいなっていう気持ちっていうふうに置き換えることで、
周りとの間にトラブルが生じたときとか、圧力を乗り越えなきゃいけなかったときに、
クリエイティブ思考をビジネスに生かして問題解決をしていたんじゃないかななんていうふうに思いました。
また梅澤さんの立ち位置もすごく、こうやってプロジェクトをサポートしたんだっていうのが新鮮でした。
営業というクリエイティブな肩書きというわけではないのに、すごくクリエイティブ思考を使ってたんじゃないかななんて思うんですが、
レイさんいかがですか。
そこのポイントで言うと、まさに僕一番の課題だと思うのは、クリエイティブとかクリエイティビティってそういう肩書きがある人のものっていう印象じゃないですか。
そうですね。
でもやっぱり本当にすごいことをやるには、そういう肩書きを持っていない人がそういう思考で考えて、そういう思考で行動することが一番大事だとずっと昔から思ってるんですね。
でもやっぱりだから世界で大成功をしている、特にデザインに強いとかAppleみたいな会社だったりとか、あと車の会社とかでも、
やっぱりそのいわゆるクリエイティブって言われてない人、デザイナーとかコピーライターって言われてない人たちがそういうことに対する意識が高いから最終的なアウトプットの質もすごく高くなると思うんですね。
はい。なので今回ヤギさんと梅澤さんのお話を聞いて、一方からはそのクリエイティブ、その作ってる人の目線。
もう一方向は、その作ってるのを横で見ながら、どうやってこのお得意先にこれを説明しようかとか、これってやる必要ないんじゃないかなみたいなことを、どうやって正当化しようかみたいなことを常日頃考えてらっしゃったんだなっていうのが、
なんか頭ではわかっていたんですけども、改めて生々しい話を聞いて、僕もあれはすごく面白かったです。
でですね、僕なりの今回の学び、いつものそのテイクアウェイなんですけども、3つありまして、
1つは点と点をつなぐ。2つ目はケア。このケアというのは人が気にしないようなところにまで気を配る。そしてケアをする。
そして3つ目にはやっぱりなぜかが大事。この3つだったんですね。
で、点と点をつなぐというのは、そのクリエイティビティー、そしてクリエイティブ思考を使うときにすごく重要なポイントで、結構ミソなんですけども、
例えばこういろんなものがバラバラあって、A、B、C、Dというふうに理にかなった順番で作っていくのっていうのは、それはその通りなんですけども、
実はもっと大事なのが、どうやったらAとZをつなげて同じところに持ってくれるかとか、AとTだったりとか、BとRだったりとか、全然違うものをつなげるっていうことが、
クリエイティビティー、そしてクリエイティブ思考の結構一番大事なところなんじゃないかなっていうのは昔から思っているんですね。
で、今回最初に来たお題が、その150周年のマークを作ってくださいっていうそこだけだったのを、そっからその、で、これもね、そのパンデミック中の全然こう人が旅をしてない、列車に乗れてないっていうときに、
その僕が子供の頃からあった、もしかしたらそれ以前からあった、その古いスタンプっていう、もうたぶん誰もやんないようなものを今誰もが持ってるモバイルで蘇らせようっていう発想、その発想のその古いものを2021年、2年、モバイル皆さんが持っていて、別に正直やんなくてもいいじゃんっていうことをつなげたっていうところが、
そのマークを作ってくださいっていうお題から、そこに発想の転換、マインドシフトしたっていうのが、この点と点をつなげるっていうところの、その他にもたくさん点と点がつながってるんですけども、そこが一番、この今回聞いたお話の中で一番の出発地点だったなっていうのをわかったんですね。
だからやっぱりこの点と点をつなぐっていうポイントが非常に大事だと。
で、2つ目にケアという言葉を使ったんですが、これどういうことが言いたいかっていうと、やっぱりそのデテールだったりとか、あとその目に見えるところ、目に見えないところにも、こう気づくっていうことがすごく大事なんですよね。
このスタンプラリー、各駅に行って、そこでそのGPSでそのモバイルのサイトを開くと、そこの駅のスタンプが出てくるんですけど、これ手で押すときに、こう強く押せば押すほどインクがギュッとなるっていう、本当のいかにも実際のアナログのスタンプをデジタル上で触れないんだけど、その触った感を生み出すっていう、そういう細かい気配り。
それも効率的なことを考えたらやらなくてもいいじゃないですか。
そうですよね。
インクのカステみたいな。
だからそういうところ、言われてみるとそうだよねって思っちゃうかもしれないんですけども、やらなくていいことなんだけど、やっぱりそういうディテールにこだわるっていうことは意外と大事なんですよね。
スタンプ軽く押しちゃったらカスレちゃいますしね。
そう。
濃く押したらにじんじゃうし。
やっぱりどう感じるかっていうことなんですね、その胸の中で。
ちょっとこれ違う事例でレクサスさんの話で聞いたことがあったのが、それこそ80年代90年代、アメリカでトヨタさんがレクサスというブランドを高級車として立ち上げましたと。
そこそこ伸びてきたんですけど、レクサス車の営業だったかの人がそのジャーナリストと話したんですって。
レクサスってすごく質はいいんだけどつまんないっていう、ボーリングだってつまんないっていうことをそのジャーナリストが言ってたんですって。
確かにいろんなとこまでほぼ完璧にできてるし、安全だし、やっぱりトヨタさんならではの安全っていうところもあるし、すごくよくできてるしてると。
ただ車としてつまんないっていう風にジャーナリストがしれっと言って。
どういうことなんですかって聞いたらしいんですけど、ただあんまり車として面白くないんですよみたいな感じで、あんまりジャーナリストもわからなかったみたいですよ。
そっからそのレクサスのチームの人たちがなんでだろうっていうことを探すために、いわゆる車好きの人たちが週末に集まっているようなところにいろいろ行って、いろいろ話を聞いて。
やっぱり車に乗る楽しみって外見がいいとかっていうことだけじゃなくて、やっぱり座席に座った時の質感だったりとか、ハンドルの握り具合だったりとか、匂いだったりとか、音だったりとか、エンジンのかかり方だったりとか、
そういういろんなセンスからくる、感覚からくる、心の中に響く感情、なかなか目には見えない、いろんなものが積み重なって。
これもうほんとすごく細かいところで、こういうのがもう何百ことあると思うんですけども、そのエンジンのかたとデザインのかたがおっしゃったのが、ドアが閉まった時の音にこだわったって言ってたんですよ。
バタッと閉まった時の、なんて言うんですかね、シュッてブッてする音。それにこだわったっていうことを聞いて、もうマニアックだなって思ったんですけど。
で、結構それってね、すごくデザイナーとか作ってる人じゃなきゃわかんないんですけども、でもやっぱり使ってる人の気持ちをどこに持っていくか、どこにあるのかっていうのをできるだけ理解をして、じゃあそれを生み出すにはどうしたらいいんだっていうことを考えて、そのドアの閉まる音みたいなところにこだわるなんて、やっぱそういうケアがなきゃ、こだわりがなきゃできないじゃないですか。
そうですね。すごい。
で、それって大事なのは、もちろん作る人がそういうところにこだわるのも大事なんですけども、それ以外にその大事なことをなぜやるべきなのかっていうふうに、営業の人だったりとか、経理の人だったりとか、それってね、こだわればこだわるほどお金がかかるから、ビジネス的には良くないんじゃないかっていうふうに思っちゃうじゃないですか。
うんうんうん。
でもそれを受け入れて、ちゃんと理解して、そしてビジネスとして持っていくっていうところがすごく大事だと思うんですよ。
いや、そうですよね。なんかパッとドアの音変えますって言われたら、何言ってんだって思いますからね。
そう、そう。え?みたいな感じじゃないですか。
なぜかの重要性
はい。そこ?みたいな。
車のその運転にほとんど関係ないじゃないですか。
はい、関係ないですよね。
でも乗っている人にはそういうところが大事だったりするっていう。で、それをやっぱりその受け入れる組織っていうのはすごく強いなと思います。
で、それって今後もっともっと重要視されると思います。っていうのも、やっぱりそのAIとかでその人間が作ったものじゃないものがどんどん世の中にあふれてくるんで、そういうそのAIだけではできないことっていうのが今後価値が上がると思うんですよね。
これがその2つ目。
はい。
で、3つ目がこの延長線上なんですけども、最初に言ったみたいに、なぜかが大事。
うんうんうん。
で、これはですね、やっぱりその梅澤さん、クリエイティブ担当ではない方をお呼びして、僕もこう再認識したんですが、
はい。
彼女が言っていたエピソードで、そのヤギさん、そしてヤギさんのクリエイティブチームが、その今駅がないところのスタンプも作りたいって言ったらしいですね。
うんうん。
で、なぜかって聞いたら、実はそこに昔駅があったからと。
うんうんうんうん。
そういう、なんか過去の歴史、ストーリーがあると。
はい。
で、最初にその話を聞いた時に梅澤さんは、え、なんでって、そんなのやる必要ない、これどうやって取引先に説明すればいいの?みたいなことを思ったらしいんですよ。
で、そういう場面がすごくたくさんあったらしくて、それは一つの例なんですけども、やっぱりその裏側に何があるのかっていうことを、彼女も自分の腑に落ちるまで何回もクリエイティブの人に聞いて、
で、これってその最初1個のマークだけを作るっていうところから、最初こう480個でしたっけ?のスタンプを出して、で、最終的には何千とある駅の、そして今となってはない駅のところのスタンプを作るっていう、もう壮大なプロジェクトというか、もうライフワークになってるわけですよ。
ヤギさんもこれ、あの話の中でこう半分苦笑い半分嬉しそうに言ってたのが、僕がこれ定年するときまでやるんじゃないですかね?みたいなことをおっしゃっていて、もうそれぐらいライフワークになっていて、そしてこれってそのヤギさんだけの個人的なエゴじゃなくて、
いやーそうですよね。だってお金すっごいかかりそうですもん。
お金も労力も、だってこれ数ヶ月に何十個ぐらいしか出せないペースで、あれ全部手作りでスタンプを作ってるので、で、AIでやってみたとはおっしゃってましたけども、結局違ったんですよねっていうふうにおっしゃってましたけども。
だからそのなぜかっていうところを、最初そのね150周年の記念でこれちょんと出して、で151年目になればもう忘れちゃう。次のことに行く。次はじゃあ175周年なんか50年後の200周年なんかみたいなことになると思うんですけども、いやそうじゃなくて、これは残していくべきです。
で、こういう新しいものを作っていくべきですっていうちゃんともうすごく深い意義を見出したからこそ、こういう壮大なプロジェクトになってんだなっていうのはやっぱりそのなぜかっていうのはすごい大事なんだな。
本質的なことに目を向けるっていうのは、これがもう本当にそのクリエイティブ思考の中で一番大事なことなんじゃないかなって思うぐらいです。
発想の転換の重要性
なのでちょっと僕のテーカーをまとめますと、1番目は点と点をつなぐ。2番目は人が気にしないようなことにも気づく。そして3つ目になぜかがやっぱり大事。
この3つのことがクリエイティブ思考の中でもすごく今までも重要視してきたことではあるんですが、再度こういう別の方がやられたこと、裏話を聞くことによってそれがやっぱり大事だったんだなっていうのは再認識させられましたね。
そうですね。今回みたいな発想の転換を生かして、多くの人に日常の問題解決につなげていただけたら、私たちもこの番組作っていて嬉しいですよね。
はい、それこそなぜこの番組をやっているかっていうところの真珍にもなりますので、僕らも嬉しいです。
世界のクリエイティブ思考、お相手は李奈本と竹村幸子でした。
デジタルガレージは、危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを、創業以来大事にし続けています。
これからくるWeb3、オープンソース時代を見据えた、テクノロジーで新たなビジネスを生み出す仲間を募集しています。
番組詳細欄にあるリンクよりぜひご覧ください。
ニューコンテックスデザイナー デジタルガレージ
41:31

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