どういう風に口出しされるんですか?
ヤギさんの前で言いにくいかもしれないんですけど、あえて聞いてみました。
ヤギさん めちゃめちゃ喧嘩してましたよ。
大平 そうなんです。多分ヤギさんも分かっていらっしゃると思いますけど、
多分私すごい顔とか態度にすごい出ると思うので、
いいですねって時はすごい自分もテンションが上がって、これはすぐクライアントに話したいですってなるんですけど、
すごいものが出てくると、多分顔が曇ったりとか静かになったりとかするので、
それこそJRさんで駅スタンプを作っているにも関わらず、今駅がないところにスタンプを置こうって話が出た時は、
もう最初なんで?としか思わなくて、駅がないところだとそもそも鉄道で列車で行けないので、
JRさんの鉄道利用促進に直結はしないじゃないですか。
なので絶対鉄道利用促進に直結しないので、受け入れてもらえないだろうなと思っていたんですけれども、
そこでヤギさんから説明いただいたのが、今は駅がないかもしれないけれども、
昔あったってことは、そこの場所は間違いなく鉄道の歴史の一部として関与しているわけで、
そういうのがあるからこそ、今の鉄道の歴史が出来上がっていて、今駅がある場所も出来上がっているっていう。
鉄道開業150年っていうのを、ただの鉄道利用促進で終わらせるんじゃなくて、
今一度、皆さんが今は通勤通学とかでただの移動手段って思っちゃってる人が多いかもしれないんですけど、
そこまで至るには色んな歴史があって、この今の便利な鉄道っていう便利な移動手段があるんだっていうことをちょっとでも感じてもらえる、
気づいてもらえるようなきっかけになったらっていう、そういう一つのエキスタンプではないんですけど、
考えさせられるきっかけになるような面白いアイデアだったので、そこは確かにあった方が鉄道の歴史を感じれるな、
もっと皆さんに鉄道好きになってもらえるなと思ったので、無事クランチさんに通すことができました。
それの場合って、このプロジェクトって6社を相手にしなきゃいけないっていう結構特殊なところあると思うんですけど、
それって1社1社別々に丁寧に説明するんですか、それともまとまった時に一気に、どういう感じだったんですか、その辺は。
そうですね、大体の大枠みたいなものはJR東日本さんが幹事会社やられているので、JR東日本さんを通してお話しさせていただいて、
そこからの残りの御社の皆さんの合意を得るっていう感じにはなるんですけど、
それこそ本当に細かいスタンプのディテールの部分とかは各社さんとお電話して、
これはこういう意図でこういうデザインになっているので何卒みたいなお話は結構させていただきました。
それは各駅が承認出さなきゃいけなかったんですか。
そうですね、各社様によって結構やり方変わってくるかなと思うんですけど、
本当にすごいのだったのは各社様から支社に降りて、支社から各駅に降りて、
その各駅から普段関わりのある地元の自治体の方とかそういうお祭りの団体の方とかにまで降ろして、
全員がそのフェーズの全員がこのスタンプいいですねってなってやっと許諾になるので、
本当にすごい承認不老だったと思います。
なので本当クライアントの皆さんにもとっても感謝です。
私は対担当者さんとお話すればいいだけなんですけど、
その担当者さんは支社に話して駅に話して地元の人にも話してってされてた方もいらっしゃると思うので、
本当にクライアントさんのご協力なければこんな数のスタンプは作れなかったなと思ってます。
じゃあ一番手間暇のかかったスタンプってどの駅だったとかってありますか?
一番時間がかかった。
一番時間がかかった。
いやそうですね。
あとはその有名な動物園とか水族館がある駅ってなると、
JRさんがどんなにここの水族館をモチーフにしてこの駅はスタンプを作りたいってなっても、
その水族館の許可も取らなきゃいけないので、そこの許可取りも私がやってまして、
全国の水族館とか動物園とか美術館とか本当にいろんなところにお電話させていただいて、
自分もこの案件やりながら日本にどんどん詳しくなっていって日本が大好きになっていくっていう、
本当に楽しい案件ではありました。
時間はかかって大変なんですけど、そこを楽しめたのが良かったかなと思ってます。
営業である梅澤さんの立場で、
例えばクライアントからこういうお題とかリクエストいただいて、
これは絶対クリエイティブチームに嫌がれるみたいなことあるじゃないですか。
これ言ったらとか、でもお得意先がこれ言ってるんでどうしてもやらなきゃいけないですみたいな、
そういう場面とかってあったりしました?
そうですね。
例えばその途中で日本人だったら誰もが知ってる有名なものとかでスタンプを作っても、
もうそれってこの駅そうだよね、これが有名だよねで終わっちゃうので、
ユイさんとかクリエイティブチームの方はそうじゃなくて、
そこの途中の新しい日本の魅力の再発見みたいな、
魅力を再発見してもらいたいなっていう気持ちもあったので、
まだ有名じゃない特産品とか、そういうのスタンプにされてる時があって、
そういうスタンプが出てくると、私も一般人として、
なんでこの駅でこのスタンプなんだろうって思って、
クライアントさんもクライアントさんで、
この駅はこの食べ物が有名だからこれにしてほしいって言ったのに、
なんでその食べ物じゃない、全然有名じゃないもののスタンプになってるのみたいな、
そういうやり取りはすごいあって、
仮にその駅ではどうしてもダメだったとしても、
別の駅で使えないかなっていうのは、すごい一緒に調べた思い出があります。
たぶん分かりやすいチャレンジが、結果的にはボーツになってしまったんですけど、
沖縄にJRを走っていなかったりするんです。
ただ歴史的には、いろんな事業が、
例えばサトウキビを運ぶための鉄道が引かれていた時期があったりとか、
もちろんモノレールみたいなことはあったりするし、線路の跡も沖縄にあったりするんですね。
My Japan Railwayっていうのは、自分にとっての鉄道を認識を新たにするっていうことだし、
歴史も含まれているってすると、沖縄だけ取り残して、みんなで楽しむよりも、
沖縄の人も一緒にこれをセレブレートするっていう、そういうビジョンなんじゃないかっていう発想が僕らのクリエイティブチームにはあったんですね。
そこと、やっぱりプロモーショナルなことっていうのが、どうしても食い違う局面があると。
そういう時に僕らの市長は、すごく理論武装してぶつけてるつもりなんですけど、
やっぱりそこが、鉄道乗らないじゃないかと。
でも目的は本当にお金と鉄道に乗せることなのかっていう、そこを問いかけ続けて。
クライアントも最後の方は、確かにそういう側面もあるかもしれない。
このビジョンがやっぱり大事なのかもしれないという、そこまでは言ったんですね。
完璧にはボツにならずに、別のところでそれをお使いいただけたんで、
そうやって少しずつ歩み寄っていった感覚もあったりとか、
そこら辺の市座の違いみたいなのが多少あったんですけど、
でも摩擦しながらも勉強し合ったというか、その時間はすごい学びがありましたね。
たぶんそこに挟まれて営業っていうのが、
ウメザっていうのがものすごく難しい立ち位置で、半分クリエイティブ半分クライアントで、
ウメザっていう鉄道オタクに通らないと、これをクライアントには持っていけないっていう、
これは可愛いっていうようなものじゃないと、半分だから最後ウメザCDにとって、
これは鉄道文化っていうのはちょっとダメですね、みたいな。
そうですか、じゃあちょっとやりましょうか、みたいな。そんな局面もありました。
クリエイティブディレクターとしてデザイナーだったりとかコピーライターとか、
クリエイティブチームにモチベーションを当てなきゃいけないっていう仕事もあると思うんですけども。
そうですね。
やっぱり僕の一番避けたいのは、作ったスタンプが事情でボツになっていくっていうことを避けないといけないですね。
それを作ったけどこういう事情で使えないってなると、それを許してしまうと、
デザイナーが意味のある仕事じゃなくなっていく。
なのでウメザとはそこはかなりやりあったかなっていう記憶があって、
こっちは絶対にこれを実装する。
お得意の事情は聞くけど、使えないって一言で返ってくるから。
そうじゃなくてこれが使えるようにするには、どこを修正すれば使えるようになるのか。
もしくは違う駅でも、もしかしたら少し変えれば使えるかもしれないし。
だから逆にそれ良かったなと今思うのは、知恵が出てきますよね。
そういうハードルがいっぱいあると、何とかして労力をかけずに、
無駄な仕事にならずに意味のあるものにしていくっていうふうにみんなが考えるので、そこは良かったんですけど。
ただ当時は本当にその問題に面しているわけだから、ものすごい感情的になるときもあったし、
ありますね、やっぱりJRさんの意思じゃなくても、
その下に支社さんがいて各駅があって、地元の人たちがあってっていう、
すごい多くの人が関わってるので、JRさんとしてはいいけれども、
JRさんもやっぱり地元の皆さんのご理解がないと鉄道っていうインフラが、
日本中を走ることはできないと思うので、
結構その地元の方々の気持ちを分かられてるところもあったりすると、
素敵なご提案ありがとうございます、とってもいいと思うんですけど、
こういう事情でこれは却下ですっていうような時はありましたね。
なるほどね。
ただクライアントさんもその却下の理由はちゃんと教えてくださるので、
なんか雰囲気が嫌だから嫌だとか、そういうのはちょっと困っちゃいますけど。
もちろんだから細かいやり取りとかは、例えば梅山に預けて、
煩雑な時に細かいOKを取りに行かないといけない時はそうしてたんですけど、
チーム一丸となって営業と言えてて、襟を正して、
こうなんじゃないかって言って、却下みたいな。
その時に愕然としてみんなで帰るみたいな、そういうシーンがあって、
後輩の言葉で救われた言葉があって、
いろいろプレゼンテーションをクライアントにして、
そうするとクライアントの人がこだわりますねっていう仕事があったんですね。
こだわってるわけじゃないなと思って帰りしに、
その後輩がこだわってるんじゃなくて、
ヤギさんはそこはピュアなんですよって言ってくれたんですね。
そっかそっか、こだわってるんじゃなくて、
本当はこうあったらいいのにっていう、本当にピュアにそこを言ってる。
でも相手からするとそれがこだわりに見えてると。
だから特殊な人種なのかもしれないんですけど、
でも本当は別に突拍子もないことを言ってるわけじゃなくて、
ピュアにこうあるべき、こうしたほうがよくなるっていうことを提案している。
そこに摩擦、圧力が生じるのはしょうがないよなと。
そうやって納得がいったし、かといってこのピュアさを失ってしまうと、
多分良くないんだろうなっていうふうに思うので、
自分たちに嘘つきたくないから、やっぱり営業さんにはこういうふうなことを、
これからも多分やるんだろうなってその時思いました。
なるほどね。
でもだんだん理解がいってるという実感はあるので、
やっぱり効率を取っちゃうと、
多分こういうふうにやっちゃえばクライアントはうんと言うでしょと。
それは分かるんだけど、
でも本当に行きたい場所がどこなのかっていうと結構めんどくさかったりするんだと思うんですよね。
だけどそれを大事にするっていうことが、
クリエイティブっていうことにおいてはすごく大事だなっていうふうに思うので、
これを伝えていきたいですね。クリエイティブの人たちに。
昔はその広告の表面をアートディレクションしてたかもしれないんですけど、
今ってブランドが世の中にアートを投げかける時代というか、
そうすると僕らは自分のアートじゃなくて、
ブランドのアートをやってるっていうことになるから、
素敵な仕事なんだなと思って。
My Japan RailwayもこれはJRのアートだと思うんですよ。
こういうことが素敵っていう投げかけを、
彼らが世の中にしている。
その一端を僕たちが見直していただいているという、すごく幸せなケースだと思うんです。
クライアント側からのフィードバックで、
なんかこれは嬉しいなっていうようなことってあったりしますか?
そうですね。
クライアントさん自身もめちゃくちゃスタンプ集めてくださってる方もいて、
もう私もすごい集めてるので、
一緒に半分プライベートの話みたいな感じで、
この前どこ行ってこのスタンプ取りましたみたいなお話ができるのはとっても嬉しいです。
確かに。そんなに私鉄道好きじゃないのにって言ってた人が一番集めてました。
そうですね。
そうなんです。すごい集めてくださってて。
クライアントさんにもご愛されるトレイントリップっていうアプリになっているのがとても嬉しいです。
ずっとそこにあるものなので、
もしかしたら見る人によってこのクラフトがこんなに頑張って自己満足なんじゃないかとか、
こんなに効率の悪いことをやってどうなんだっていう見え方もあるかもしれないですけど、
これは半年とかで終わるものじゃなくて、
本当に10年20年使えるスタンプになっているので、
どっちが効率的なんだろうっていうことも僕らの中で問いかけもしてみたいとか、
でも継続になったことが何よりやっぱり嬉しかったですし、
それをなんとか継続しようとしてくれているクライアントの気持ちの最初からそう思ってくれていたのか、
やり取りする中でそういう気持ちの変化があったのかわからないんですけど、
そういうふうに評価いただいてますし、実際の参加人数も年々増えているんですね。
すごくCMをガンガン売って認知を取るみたいなことではこれは決してなくて、
実際に体験するとあんまりこっちからかすれるよみたいなことを言ってるわけじゃないんですね。
普通にそれは告知されずにローンチしてるんですけど、
今の時代SNSがやっぱりあるので、あっていう驚きが、
それは着実に割とダイレクトにみんながそれを見たり伝わったっていうことを見れたことがよかったですし、
すごくクラフトのところに対しての言及というか随所があったので、
そこが喜ばしかったし、もともと僕らもデータの大部分で傾向を見てやるというよりはイメージ派のような、
どちらかというと鉄道バニアって少数派だと思うんですよ、日本の中で。
だけどその少数の人が素敵と思っている物事をたくさんの人に開いていくっていうのは、
これやっぱりカルチャーとしては自然なことだと思うので、
一部の人がこんなに味わっている素敵なことっていうのを、
全然その一部じゃない人に開いていくっていう作業がこれだった。
だからそこには普遍の何か価値があるはずだっていうのが僕たちのピュアなとこだったので、
それが明らかに反応していただいたっていうことが僕らにとって報酬かなと思いました。
じゃあある意味梅澤さんがちょっと変わった人種ってことですね。
ある意味。
梅澤が味わっている幸せをもっとあんたたちだけじゃなくてみんなに開こうよっていうのが、
多分今回のミッションだったんじゃないかなっていう風に思いますね。
結構アンケートとかで鉄道の旅を楽しんでますとかっていうお言葉と同じくらい多かったのが、
スタンプデザインが可愛くて集めてますっていうのも多くて、
あとやっぱりJR6社と一緒にお仕事をしていくっていうことは、
もう何百人何千人の人がこのプロジェクトに関わっていたと思うんですけれども、
それを円滑に進めていく上で、こだわりをピュアにこうだったらいいなっていう気持ちっていうふうに置き換えることで、
周りとの間にトラブルが生じたときとか、圧力を乗り越えなきゃいけなかったときに、
クリエイティブ思考をビジネスに生かして問題解決をしていたんじゃないかななんていうふうに思いました。
また梅澤さんの立ち位置もすごく、こうやってプロジェクトをサポートしたんだっていうのが新鮮でした。
営業というクリエイティブな肩書きというわけではないのに、すごくクリエイティブ思考を使ってたんじゃないかななんて思うんですが、
レイさんいかがですか。
そこのポイントで言うと、まさに僕一番の課題だと思うのは、クリエイティブとかクリエイティビティってそういう肩書きがある人のものっていう印象じゃないですか。
そうですね。
でもやっぱり本当にすごいことをやるには、そういう肩書きを持っていない人がそういう思考で考えて、そういう思考で行動することが一番大事だとずっと昔から思ってるんですね。
でもやっぱりだから世界で大成功をしている、特にデザインに強いとかAppleみたいな会社だったりとか、あと車の会社とかでも、
やっぱりそのいわゆるクリエイティブって言われてない人、デザイナーとかコピーライターって言われてない人たちがそういうことに対する意識が高いから最終的なアウトプットの質もすごく高くなると思うんですね。
はい。なので今回ヤギさんと梅澤さんのお話を聞いて、一方からはそのクリエイティブ、その作ってる人の目線。
もう一方向は、その作ってるのを横で見ながら、どうやってこのお得意先にこれを説明しようかとか、これってやる必要ないんじゃないかなみたいなことを、どうやって正当化しようかみたいなことを常日頃考えてらっしゃったんだなっていうのが、
なんか頭ではわかっていたんですけども、改めて生々しい話を聞いて、僕もあれはすごく面白かったです。
でですね、僕なりの今回の学び、いつものそのテイクアウェイなんですけども、3つありまして、
1つは点と点をつなぐ。2つ目はケア。このケアというのは人が気にしないようなところにまで気を配る。そしてケアをする。
そして3つ目にはやっぱりなぜかが大事。この3つだったんですね。
で、点と点をつなぐというのは、そのクリエイティビティー、そしてクリエイティブ思考を使うときにすごく重要なポイントで、結構ミソなんですけども、
例えばこういろんなものがバラバラあって、A、B、C、Dというふうに理にかなった順番で作っていくのっていうのは、それはその通りなんですけども、
実はもっと大事なのが、どうやったらAとZをつなげて同じところに持ってくれるかとか、AとTだったりとか、BとRだったりとか、全然違うものをつなげるっていうことが、
クリエイティビティー、そしてクリエイティブ思考の結構一番大事なところなんじゃないかなっていうのは昔から思っているんですね。
で、今回最初に来たお題が、その150周年のマークを作ってくださいっていうそこだけだったのを、そっからその、で、これもね、そのパンデミック中の全然こう人が旅をしてない、列車に乗れてないっていうときに、
その僕が子供の頃からあった、もしかしたらそれ以前からあった、その古いスタンプっていう、もうたぶん誰もやんないようなものを今誰もが持ってるモバイルで蘇らせようっていう発想、その発想のその古いものを2021年、2年、モバイル皆さんが持っていて、別に正直やんなくてもいいじゃんっていうことをつなげたっていうところが、
そのマークを作ってくださいっていうお題から、そこに発想の転換、マインドシフトしたっていうのが、この点と点をつなげるっていうところの、その他にもたくさん点と点がつながってるんですけども、そこが一番、この今回聞いたお話の中で一番の出発地点だったなっていうのをわかったんですね。
だからやっぱりこの点と点をつなぐっていうポイントが非常に大事だと。
で、2つ目にケアという言葉を使ったんですが、これどういうことが言いたいかっていうと、やっぱりそのデテールだったりとか、あとその目に見えるところ、目に見えないところにも、こう気づくっていうことがすごく大事なんですよね。
このスタンプラリー、各駅に行って、そこでそのGPSでそのモバイルのサイトを開くと、そこの駅のスタンプが出てくるんですけど、これ手で押すときに、こう強く押せば押すほどインクがギュッとなるっていう、本当のいかにも実際のアナログのスタンプをデジタル上で触れないんだけど、その触った感を生み出すっていう、そういう細かい気配り。
それも効率的なことを考えたらやらなくてもいいじゃないですか。
そうですよね。
インクのカステみたいな。
だからそういうところ、言われてみるとそうだよねって思っちゃうかもしれないんですけども、やらなくていいことなんだけど、やっぱりそういうディテールにこだわるっていうことは意外と大事なんですよね。
スタンプ軽く押しちゃったらカスレちゃいますしね。
そう。
濃く押したらにじんじゃうし。
やっぱりどう感じるかっていうことなんですね、その胸の中で。
ちょっとこれ違う事例でレクサスさんの話で聞いたことがあったのが、それこそ80年代90年代、アメリカでトヨタさんがレクサスというブランドを高級車として立ち上げましたと。
そこそこ伸びてきたんですけど、レクサス車の営業だったかの人がそのジャーナリストと話したんですって。
レクサスってすごく質はいいんだけどつまんないっていう、ボーリングだってつまんないっていうことをそのジャーナリストが言ってたんですって。
確かにいろんなとこまでほぼ完璧にできてるし、安全だし、やっぱりトヨタさんならではの安全っていうところもあるし、すごくよくできてるしてると。
ただ車としてつまんないっていう風にジャーナリストがしれっと言って。
どういうことなんですかって聞いたらしいんですけど、ただあんまり車として面白くないんですよみたいな感じで、あんまりジャーナリストもわからなかったみたいですよ。
そっからそのレクサスのチームの人たちがなんでだろうっていうことを探すために、いわゆる車好きの人たちが週末に集まっているようなところにいろいろ行って、いろいろ話を聞いて。
やっぱり車に乗る楽しみって外見がいいとかっていうことだけじゃなくて、やっぱり座席に座った時の質感だったりとか、ハンドルの握り具合だったりとか、匂いだったりとか、音だったりとか、エンジンのかかり方だったりとか、
そういういろんなセンスからくる、感覚からくる、心の中に響く感情、なかなか目には見えない、いろんなものが積み重なって。
これもうほんとすごく細かいところで、こういうのがもう何百ことあると思うんですけども、そのエンジンのかたとデザインのかたがおっしゃったのが、ドアが閉まった時の音にこだわったって言ってたんですよ。
バタッと閉まった時の、なんて言うんですかね、シュッてブッてする音。それにこだわったっていうことを聞いて、もうマニアックだなって思ったんですけど。
で、結構それってね、すごくデザイナーとか作ってる人じゃなきゃわかんないんですけども、でもやっぱり使ってる人の気持ちをどこに持っていくか、どこにあるのかっていうのをできるだけ理解をして、じゃあそれを生み出すにはどうしたらいいんだっていうことを考えて、そのドアの閉まる音みたいなところにこだわるなんて、やっぱそういうケアがなきゃ、こだわりがなきゃできないじゃないですか。
そうですね。すごい。
で、それって大事なのは、もちろん作る人がそういうところにこだわるのも大事なんですけども、それ以外にその大事なことをなぜやるべきなのかっていうふうに、営業の人だったりとか、経理の人だったりとか、それってね、こだわればこだわるほどお金がかかるから、ビジネス的には良くないんじゃないかっていうふうに思っちゃうじゃないですか。
うんうんうん。
でもそれを受け入れて、ちゃんと理解して、そしてビジネスとして持っていくっていうところがすごく大事だと思うんですよ。
いや、そうですよね。なんかパッとドアの音変えますって言われたら、何言ってんだって思いますからね。
そう、そう。え?みたいな感じじゃないですか。