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2024-09-03 32:47

#090 J-WAVE「TAKRAM RADIO」コラボ企画 〜日本が世界で生き残るためには?〜

第90回は、J-WAVE「TAKRAM RADIO」とのスペシャルコラボエピソードをお届けします。デザイン・イノベーション・ファームTakramのコンテクストデザイナー・渡邉康太郎さんとレイ・イナモトが「日本が世界で生き残るためには?」について話し合いました。グローバルな目線で21世紀を生き抜くヒントを探ります。


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This is ReinaMoro's Podcast 世界のクリエイティブ思考
Hi everyone, this is ReinaMoro. 皆さんこんにちは、ニューヨークと東京を拠点にするグローバルイノベーションファーム
I&CO、共同創業パートナーのReinaMoroです。 目まぐるしいスピードで世の中が変化する中、この番組は変革の伴奏者として、日本人が世界で必要不可欠な存在となるためのヒントを探ります。
今回は、ラジオ番組 J-WAVE 「TAKRAM RADIO」とのスペシャルコラボバージョンです。 今日も番組を一緒にお届けするのは、プロデューサー竹村幸子さんです。竹村さん、よろしくお願いします。
はい、レイさん、よろしくお願いします。 今回は J-WAVE 「TAKRAM RADIO」とのコラボということで、私たちの番組の Ask Me Anything のコーナーに、デザインイノベーションファーム TAKRAM のコンテクストデザイナー渡辺幸太郎さんをお招きしました。
レイさん、このコンテクストデザイナーって、私は初めて聞く肩書きだったんですが、渡辺さん、独自のデザインテース学を持たれていましたよね。
そうですね。渡辺さんのこの TAKRAM RADIO を聞いていて、そのデザインっていうことを語ってはいらっしゃるんですが、いわゆるその装飾的な形になるデザインっていうことではなくて、
その背景の文脈が何なのかだったりとか、そしてその文脈をデザインというその目に見えるものだけではなくて、目に見えないコンテクストを作っていく、そのものが存在する条件を作っていくということを形だけではなくて、コンセプトの方からちゃんと話されている方だなっていうのを印象を受けていて、
今回このコラボ企画ということで、人気番組のこの TAKRAM RADIO にも僕がお邪魔させていただいて、そして渡辺さんにも我々の番組に遊びに来ていただいたというのが今回の背景です。
はい。この J-WAVE TAKRAM RADIO は、作家、詩人、アーティスト、ビジネスなど様々な業界で活躍するゲストと渡辺さんがトークセッションを行い、
そこで生まれたインスピレーションをもとに、新しい問いを投げかける実験的社会実装型の人気番組です。
今回はそんな渡辺さんと、日本が世界で生き残るためには、についてお解けしようと思います。
So, let's get started.
Ask me anything.
よろしくお願いします。
実は今回のエピソード、渡辺さんと2ヶ月ぐらい前にニューヨークで初めてお会いをして、僕の方からちょっとコラボをしませんかということで、渡辺さんが持ってらっしゃる J-WAVE の番組で僕も出演をさせていただいて、その話もすごく面白くて2回にわたって話させていただいたんですが、
僕は海外に日本を行ってます。そして渡辺さんは日本にいらっしゃるんですけども、アメリカだったりとかヨーロッパ、デマクタに行かれたりとか中国に行かれたりとかして、
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世界の潮流というのを文化とかそういうところから見ていらっしゃると思うんですけども、そこからどういう潮流が海外から日本、もしくは日本から海外にあるのかっていう話を1回目させていただいて、
2回目ではその文化という文脈から、その文化っていうのをどう翻訳するかという、すごく1つ1つ、そしてこの中にもいくつかテーマが話しているうちにどんどん出てきて深掘りできる話だなと思ったんですけども、
ちょっと今日渡辺さんとどうやって日本の良さを世界で通用するレベルにしていくかとか、どうやったらその日本のものがあったりとか日本のこと、もしくは日本の人が世界で通用するかっていうところに少しフォーカスを当てて、ちょっと掘り下げていきたいなと思います。
ということで、最近アメリカ、ヨーロッパ、中国とかに行かれたと思うんですが、何かその時に気づきとかありました?
そうですね。
タクラムのオフィスが今あるのがダンボーですけど、ちょっと前まではブルックリンのグリーンポイントっていうあたりにいて、グリーンポイント周辺だと今同時打発的に日本カルチャーを扱うようなショップとかレストラン、フードスタンドが増えている。
これがニューヨークタイムズでも記事になったりして、ブルックリンのリトルトーキョーなんていうような書かれ方をしている。
これすごく面白い新しい現象だなと思ってます。
それこそ出汁屋さんからカツサンド屋さんから日本のインテリアショップ、和食とフレンチを混ぜたようなレストランもあれば、いろんなものが同時打発的に生まれていて、それぞれがそれぞれの人気を持っている。
こういうふうに、チャイナタウンみたいなのはいろんな国で見るけれども、リトルトーキョーみたいなものがぎゅっと詰まりながら、しかもそれがエキゾチックすぎない。
今のアメリカの人の現代の生活の中の一選択肢として入り込んでいる感じがちょっと新しいんじゃないかなというふうに。
そうですね。
実際に先日まさにグリーンポイントのフィフティーノーマンっていう日本のいろんなお店が入っているところで、日本食に携わっているビジネスオーナーの人たちを呼んでクロストークをやったんです。
例えばマンハッタンで抹茶をテーマにカフェを経営しているソラテっていうお店のオーナーは、実はイタリア人のシルビアさんっていう女性なんですけど、が来てくれたりとか。
あとはダッサイ、ニューヨーク州のアップステートで今作っている。
ダッサイとお酒のダッサイですか。
はい。
日本酒のダッサイブルーというところのブランドの責任者の人が来てくれたりだとか。
なので、日本人としてアメリカで活動している料理人もいれば。
アメリカに根付いている日、日本人なんだけれども日本食に携わっているっていう人も複数人、登壇者として集まってくれて。
パブリックイベントでやったんですけども、すぐチケットが売れてしまうっていう感じで。
注目を感じるきっかけにもなりました。
食っていうところで言うと、お茶っていうのも特に日本人じゃない方にとっては欠かせないものではない。
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至高品のところがあるじゃないですか。
そういうところに対して、例えばシルビアさんでしたっけ。
注目しているのはなぜとかそういう話を聞きました。
一つ言っていたのは、シルビアさんはもともとイタリアの方で、イタリアイコールエスプレッソのカルチャーですよね。
バールに立ってクッと一杯飲んで、そのカフェインを取ってテンションを上げながら色んな人とコミュニケーションを取るっていうのがイタリアの通廷する文化である中で、
ちょっとハイパーの側に偏る中国のカルチャーに馴染みきれないという思いがあったらしくて。
なのでどっちかというと同じカフェインかもしれないが、抹茶の落ち着くような雰囲気の方にむしろ惹かれて。
京都から宇治の抹茶を仕入れてマンハータンで出すということにビジネスの可能性を見出して、今それをやってらっしゃるということなんですね。
だからどっちかというと落ち着きの方向、興奮するためのコーヒーじゃなくて落ち着くための抹茶っていうところに注目されてるっていう。
ただ味っていうところを超えた飲み物の周りにあるライフスタイルとか捉え方、世界観っていうのへの眼差しがあるんだなというふうに思います。
でもそれって何だろう、日本人じゃないから気づいたところとかもあったりとか、日本人だったらこういうやり方はしないなとか、
日本の文化なんだけど、それこそ文化の翻訳の話じゃないですけども、
例えば日本の寿司職人が田中さんの番組で話したカリフォルニアロールを作るかって言ったら多分作んないだろうっていうところがあると思うんですけども、
その抹茶っていうのは進化のきっかけとかそういうのはあるなとかそういうのは思いました?
そらてさんの抹茶については分かってないんですけれども、
フィフティーノーマンっていう場所の中で出汁おくめっていう日本からやってきた出汁屋さんが定食屋さんをやっていて、
そこがちょっと違うなと思ったのは定食屋さんで出てくるメニュー自体はオーセンティックな日本のご飯とお味噌汁と焼き魚と小鉢なんですが、
焼き魚が異様に美味しいんですね。
なんでこんなに美味いんだみたいな、ちょっとびっくりしてしまって。
値段を見ると6000円でそれもまたびっくりしたんです。
日本ではない値段ですね。
やっぱりニューヨークの値段ですね。
それはしっかりしたニューヨークの値段で。
話を聞いてみてなるほどと思ったのは、普段の日本の普通の定食ランチで出すクオリティではない、やっぱりものすごく上等な魚を仕入れて使っていますと。
日本からやってきてるんですけれども。
物価が違うしっかり食べるっていうふうになった時に、日本の中でやる定食屋と似ているようで全然違う素材とプレゼンテーションになってくる可能性がある。
つまり普通の日本の定食屋さんではない、ニューヨークだからこそその価格帯でちゃんと美味しいものを仕入れることができるっていうのが、日本の普通のお店の展開と全然違う進化、独自の進化を見せてるんじゃないかと思いました。
定食は流石に6000円になった定食屋じゃないんですよね。
その多分半分でも高いかなみたいな、せいぜい1500円か2000円ぐらいが定食みたいな感覚と思いますけれども。
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やっぱりそういう敷居がちょっと高くなると、プレゼンテーションも急だんぱなものはできないというか、ちゃんとしたものを出さないとそこにちゃんとお金を払ってくれるっていう意識にならないなっていうのは。
それはびっくりしましたね。
レイさん自身はどうですか、最近の日本文化の受け入れられ方で何か特徴。
そうですね、予想してなかったことが今だいぶ現実的になってるなっていうのが、言葉の壁に対するアレルギーが、それは日本人だけじゃなくて、言葉の壁に対する抵抗感っていうのがすごく世界中で下がってるなと思うんですね。
面白い。
例えば僕が海外に行ったのも30年ぐらい前なんですけど、その時ってやっぱり英語ができないとか、そういった時はヨーロッパのスイスのイタリア語圏に行ったんですけど、まだスマホもない時代でインターネットが出てくるか出てこないかの頃で、
でも一般に、例えば観光とか街に行った時にリアルタイムで翻訳できるってことがなかったんですよね。
だから強引に言葉を少なくとも基本的なものを覚えていくかとか、そうでもしないと多分メニューも読めない。
QRコードもその時はないし、Google翻訳でカメラで翻訳できる機能もないし、だから本当そういう世界で言葉の壁っていうのがすごく厚かったんですね。
30年早送りをして、今の世界がどうなってるかっていうと、すごくビジネス的な話ではあるんですが、例えばナイキのソーシャルメディアアカウントとかを見るとローカルのアカウントを作ってないんですね。
どういうことをやってるかっていうと、基本グローバルで英語で発信をしていて、翻訳っていう部分はプラットフォームごともしくはツールごとの自動翻訳に任せていて、
日本語でコピーを書くとか、タイ語でコピーを書くとか、韓国でコピーを書くとかっていうのはどうやらしていないようなんです。
そういう世界が10年前はなかったのが、ここ5年ぐらいでやたらとグワッとそういう境界線とか垣根がバッとなくなったっていうのは強く思うようになりましたね。
これ面白いですね。
ここ数年でちょっと注目してた話で、BORN TRANSLATEDっていうキーワードがあって、よくBORN DIGITALみたいなのがありますけれども、それと同じ考え方でBORN TRANSLATEDっていう考え方が文学にあるらしいんですよ。
BORN DIGITALっていうのはデジタルネイティブ的に最初からそういうので生まれてきた子どもたちもいるし、かつそもそもデジタル上で流通するためにコンテンツが作られる。
から一回も印刷技術を介することなく、RGBで作られてシェア前提でとかっていうのが想像できると思うんですけど、それの文学版だとBORN TRANSLATED。
それでいうと、ノビル賞を取った和夫石黒なんかもあらかじめ英語特有の表現っていうのを自分で書かないように自分を立していて、翻訳された時に違和感がないような文章になるようにあらかじめ自分の創作スタイルを、文体をそっちに寄せている。
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翻訳前提になっているっていうのがいろんな人の間で言われてるらしいです。
一方で田和田陽子さんみたいな日本の作家は、むしろ日本語のダジャレに思えるような言葉遊びを多用して、あらかじめ翻訳不能なものを極めまくるみたいな人もいるけど、その人はドイツに住んでいるみたいな。
国際的に活躍しているけれども、むしろ自文化を強調するような、そういう取り組みに邁進するという人もいたりする。
この広がりをすごく面白く捉えていて、翻訳不能なんである、でもそれをいかに翻訳できるかっていう、そうした次のチャレンジが生まれてくる。翻訳の面白さ。
もうトランスレートされなくていいんだと。言語のままでもたどり着くことがあるんだっていうのを、今のレイさんの事例は教えてくれて、なんで僕がウォッチしてた事例よりさらに先を行ってる話なんだなっていうことがわかってきました。
やっぱりその日本の未来って日本だけじゃないっていうのは結構確信していて、そういうことを考えると、いろんな形で日本の存在感を世界の中で高めていくというのが必要なことで、その一つのきっかけとして日本の文化っていうのがあると思うんですよね。
で、なんかその世界に通用する日本のものだったりとか日本の文化とか何があると思います?
いや、一つはやっぱり食ですよね。で、次にあるのはデザインもあると思いますね。で、これ何を言ってるかっていうと、この間デンマークのデザイナーたちと話していてすごい面白いなと思ったのが、その日本に来るたびに何か新しいものを発見したって興奮しながら教えてくれるっていう姿勢が素敵なんですよね。
日本のものを、日本で発見したものを教えてくれる。
そうそう、こういうのあんだねとか教えてくれるんですけど、そのなんか24世紀とか72後とかその日本のその季節のそもそも細やかさっていうのが本当にあるんだなーっていうことを考え深くそのコメントしてくるとか。
っていうのもあるし、で、それを感じようと思ったら、ただただその景地図とか言っても土から本当に虫が上がってくるところに出会えるかっていうと出会えないから、何かのインターフェースが必要で、現代でそれをどう表現するかっていうのが一つの可能性は食だと思うんですよね。
で、食物の旬って10日間くらいしかないらしくて、今だったらいろんな産地から食が届くのですけれども、1個の産地でも本当に美味しい10日間っていうのをちゃんと逃さずに捕まえられるかっていうのがシェフの中ではすごく大事な観点らしいんです。
だから日々、例えば1ヶ月だったら1ヶ月の間同じメニューを作ってるように見えて、毎日素材から味見してその仕上がったものを味見してその微妙な味の変化に向き合い続けるっていうのがやっぱりその食の職人の生きがいでもあると。
お客様に出すことはあるんだけど、一番最初の味わう人になっているという意味を通してということを言っていて、この繊細さと季節の表現、細かい季節のその10日間の中でこれが一番美味しいんだっていう意識で持って作られる食って、やっぱり独特の世界観につながってくるなと思うんですよね。
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シェフ同士のネットワークって国際的につながってて、美容ワイン好きがつながるとか、オーガニックのレストランでみんなおすすめのお店がお互いのところを訪問し合うってカルチャーがあると思うんですけども、シェフのインスタを追ってるとやっぱりこの人はここ行くよねっていうのがじわじわ伝わってきて、僕が日本で応援してるお店の人が海外のこのシェフとつながってるんだって見るの自体もすごく楽しい。
このやっぱり食っていう根源的な文化が違っても試してみられる。それがエンターテインメントにもなればコミュニケーションの手段にもなって家族や大事な人と一緒に食べるための潤滑にもなるっていうようなものはやっぱりめちゃくちゃ強いから、やっぱり日本で何が一つ強いかって言ったら食は一個でかいと思いますね。
あともう一個おっしゃられていたデザインっていう言葉なんですけど、デザインって定義が結構広いじゃないですか。渡辺さんがやってらっしゃるデザインもいろんな形のデザインがあると思うんですけども、どの辺のデザインをおっしゃられてます?日本のこと、もので世界に通するデザインって考えたときにどういうデザインを渡辺さんはイメージされます?
やっぱり引き算のデザインで要素を削ぎ落としていった先に参加者受けて一人一人が参加して想像する余地が生まれるような、そんなデザインが日本の一番の強みかなと思うんですね。
例えば茶の本って岡倉天神が最初に英語で書いて、日本の茶の文化を英語話者に伝えようとした本がありますけど、あそこで岡倉天神が老朽を引いて、例えば茶室だったら、室の一番大事なところはその虚にあるんだと、空気の虚、空間のボイドの方にあるんだってこと言うんですね。
なので、壁とか天井っていうふうに室を構成する要素の方にあるのではなくて、内側に何もないっていう状況こそが大事なんだっていうこと言うんですよ。
これっていろんなことをここから想像するんですけど、そういえば運び出前ってその奥の方の水屋から道具を持ってきて、今まで何もなかった空っぽの茶室っていう空間にいつの間にかキッチンが即席でインストールされて、一服のお茶を立てたらそれが全部しまわれてまた空虚になって終わっていく。
だから一個のパフォーミングアーツでもある。何もなかった場所に何かが満たされるっていう可能性の空間としての部屋があるとも捉えられるし、またはその一人一人が想像力、天主の思考は何なのかな、テーマは何なのか、メッセージは何かっていうのを満たして、空っぽだった場所を自分の思いで満たしていくっていうような器としても捉えることができる。
それはあらかじめ何かが惹かれてるからこそ想像力で補うことができるんだっていうその土台になってると思うんですね。
で、情報で満たすんじゃなくてむしろ情報の無さによってアプローチするっていうのが日本ならではの面白い考え方かなと思ってるんですね。
引き算のデザインっていうといろんなそれも例えばさっきのその食の話にもなりました。
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例えばねお寿司って結構引き算をした食じゃないですか。
確かに。
で、その茶道っていうパフォーミングアーツっていうのもほんの何条っていう空間でもうそれだけしかやらないといういろんなものを削り落としてそういう一つの道になって茶道になってるわけじゃないですか。
他に例えば引き算っていうと、それってお寿司も茶道も結構伝統的な話だと思いますけども、もっと最近の近代の話で言う引き算のデザインって他には例えばどういうことがあります?
そうですね。一番わかりやすい世界で知られている事例だと深澤直人さんが白っていう色を大事に扱うとかやはりその要素を削ぎ落としたデザインだからこそ、
例えばアイデンティティデザイン、ロゴとか作るときにロゴ自体にそんなに情報量を込めずにある器として機能するようにする。
一人一人のイマジネーションを蓄えるための器なんだっていう風に扱うっていうのも多分似ていて。
デザインが主張するのではなくて、デザインの受け手側がそこに思いを乗せるためのプラットフォームなんであるっていう考え方で多分共通してると思うんですね。
水墨画ってこう例えばフスマとかにあった時に、実は書かれている部分はほとんどちょっとしかないけども、書かれていないところが例えば雲の表現になったりとか木の表現になったりとか書かれていないところとか、
そういう最終的には形に落ちてるんですけども思想から来ている日本デザインの深さっていうのはなかなか世界を見てもないなと思うんですね。
それって結構な日本にとっての武器にもなるし、日本という文化にとっての武器にもなるし、日本企業にとってもまだまだ開拓されてないところがすごくあるのかなって思ったことで、そこって僕はすごく可能性を感じますね。
まさに水墨画とかそうだなと思うのは、長谷川東博の松林図屏風っていう松を描いたやつがありますけど、あれも面積で言うとむしろ描いていないところの方が圧倒的に広いという風になっていて、ただ奥行き感がすごくあるんですよね。
手前にあるものは濃い墨で、奥に行くほど背景の地の色に消えていく。これ、東博さんちょっと墨が足りなかったのかなって。
もしかしたら外国の人はそう思う人もいるかもしれないけど。
なんでこんなに余白ばっかり見てるの。
途中で切れたかなって思うかもしれないんですけど、実際は奥行き方向の中で霧とか霞が重なると少しずつ色が遠のいていく。
もしかしたら屏風の前に立って息を吸ったならば、湿り気や涼しさすらも感じるかもしれないっていうのは、余白が表現に組み込まれているからこそで。
で、余白があるからこその想像が入り込む余地が生まれるっていうのはまさにその辺にあると思うんですね。
それをどうにかそのエッセンスを型としてものづくりに生かしていくっていうのは面白いチャレンジになりそうだなと僕も思ってます。
あとコンテキストデザインってするっていうのは、物理的なものをデザインするっていうよりかは見えないところをデザインすることだと思うんですけども、
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これはなんかどうやって考えてらっしゃいます?コンテキストデザインするっていうのは。
結局デザインって大量生産大量消費のカルチャーから始まってるので、一個の設計図で多くの人にサーブできるかっていうのがそもそも定義だと思うんですけど、
なんだけど私は隣の人と同じ人ではないし、同じものを同じように使うわけでもないっていうすごく当たり前のところが最終的にそこに立ち返ってしまう。
僕たちは統計を見るし、例えばウイルスの動向を見るとき統計を見るし、会社の動きを見るとき数字を眺めるけれども、
数字を大きい数字として観察することができても、1回の自分だけの外れ値としての人生しか歩むことができないっていう矛盾が起きてる。
大きな数字とたった1人の自分っていう狭間を行き来してると思うんですけど、デザインは今まで大きな数による活動だったと思うんですね。
多くの人になるべく手を差し伸べようっていうこと。そうじゃなくて、たった1人に手を差し伸べるようなデザインっていうのは何か可能なんだろうかっていう問題意識が僕の中にあります。
物によって結構いろんな広がりがあるんですけど、1つあるのは一世みやけのみなさんと作った事例で、
一世みやけのテクスタリを使ったコサージュ、それを包んでフラワーブーケのようにして送るっていうのをやったんです。
送り物、人にコサージュを送るんですけれども、フラワーの包み紙が実は手紙の便箋になっていて、中にお手紙を書けるよっていう仕掛けを作ってるんです。
手紙を書きやすいようないろんな仕掛けも含めて作られてるんですけれども、これで大事なのは、例えばコーヒーとかミュージアムとかシャンパーニュとかサタデイとかそういうキーワードがエンボスしてあるんですよ。便箋に薄く。
例えば僕がレイさんにこれを送りたいってなった時に、あのサタデイのコーヒーとか言って、たくらむのオフィスに遊びに来てくれたあの午後のことについて共通の思い出がある。
それを思い返しながらそこに丸を引くことができるかもしれない。その瞬間に印刷されてた言葉が大量生産から2人だけの秘密の言葉に変わっていくっていうのがあり得て、
その大量生産されたものがたった1人とか2人の間のものに変換されるっていうのをデザインは本当はできると。まだなかなかできてないと思う。
たった1人にしか大事じゃないけど、それは多くの人に翻訳できる歌詞ではないけど、でも私たちの間では交換不可能なものなんだっていうのがもっと世界に必要だと思ってるんです。
その補助線としてNイコール1の物語を作るデザインがコンテクストデザインっていうそんなイメージですね。
今後の日本に、社会の中での日本に期待するっていうことは、まとめるとしたらどこにあると思います?
やっぱり文学みたいな話ともつながってくるかもしれないんですけど、文学ってビジネスの言語からしたら無駄に見えると思うんですね。ノイズとか無駄。
24:03
何でかっていうと時間を省略してなるべく効率を上げてすぐ売り上げにつなげたいって思うんだったら小説を読んでる暇はなくて、Googleってあらすじでも探しておこうっていう方がコスパがいいっていう考え。
でも文学の楽しみってそもそもコスパにない。時間をかけてその世界に入り込むのが目的だから、あらすじを検索すること自体はあんまり意味がない。
何を重視するかによって価値があるなしが変わってくるビジネスの効率を重視するのか、文学の文字の間に沈んでいくことを良しとするのかっていう対局があったときに、
日本的な価値って結構文学寄りの方にヒントがありそうだと思うんですよ。
例えばビジネス、パワー、規模、マチズムみたいなのが課題あるとしたら、日本って逆だと思うんですよ。
小さいけどどうだろうないし、儚さを重んじてしまうって、いわゆる経済の常識とは真逆の何か価値観が動いていく。
でもそれって何かいいじゃんって直感的に思う部分がある。
つまり今のビジネスの世界で取り上げられてないけど、絶対いいものって世の中にたくさんあるはずで、その良さの方向性を増やしてあげるっていうのが日本のカルチャーができることなのかなと思いますね。
合理主義に巻き込まれない価値みたいのが日本の文化にはあるんじゃないかなと思う。
ありそう。
ここからはライトニングクエスチョン1問1答です。
ゲストの方に直感的に10個の質問に答えていただきます。
渡辺さんが今のご自分の仕事、これをしてなかったら他に何をしてると思いますか。
映画監督に憧れますね。
映画監督、なるほど。
2つ目、世界のどこでも住めるとしたらどこに住むと思いますか。
今だったらブルックリンですかね。
ブルックリン、ぜひ来てください。
3つ目、次にプライベートで旅行したいところはどこですか。
デブロブニク裁縫、以前行ったんですけどね。やってみたいな。
僕も2年前にいいとこですよね。いいとこです。素晴らしいとこです。
4問目、一番好きな食べ物は。
株。
株、えっと漬物とかってことですか。
生でも美味しいし、炊いても美味しいですね。
5問目、ご自分の一番好きな時間、1日の中の好きな時間はいつですか。
写真を撮ってるとき。
じゃあ何時とか朝とか夕方とかじゃなくて。
じゃなくて。
写真を撮ってるとき。
本当はiPhoneでパッと撮れるものをあえてマニュアルのカメラを取り出して試行錯誤して下手になっちゃうんですよね。
下手だけど下手なりに何かがイメージが浮かび上がってくるっていうのの贅沢な時間。
これが楽しいかもしれない。
6問目、一番好きな歌。
ジョン・デンバーのLeaving on a Jet Plane。
7問目、人生の一番のターニングポイントは何でしたか。
27:04
大学1年生の頃、高校時代からのバンド仲間のベーシストが文化人類学者の先生の家に一緒に遊びに行かないって誘ってきたんですね。
それに乗っかったのがいろんなデザインの世界により引きこもれる一個のきっかけになったかなと思っていて。
自分で選んだというよりも親友の誘いに乗っかったことかなと思います。
8問目、自分の気持ちがダウンしている時にどうやって切り替えますか。
本を読むか人と会うかですね。どっちもいつの間にか笑っちゃってちょっとどうでもよくなってくるっていうのがあるかしら。
9問目、自分のスーパーパワーとは何ですか。
スーパーパワー?
スーパーパワーの無さなくていいんだよっていうことを常に人に言ってるような気がしていて、仕事を通して。
それを言い続けてることかな。
では最後、渡辺さんご自身にとってクリエイティビティとは何ですか。
やっぱり人が語り出したくなる。人が表現したくなるっていうのに火をつけられるか。
自分自身じゃなくて周りにいる人を想像的にできるかどうか。
なるほど。
さてここまでお送りしてきましたレイナモトの世界のクリエイティブ思考。
今回はJWAVE、たくらむラジオとのスペシャルコラボバージョンをお送りしました。
実際お話しされてみていかがでしたか。
彼自身が文学というところにすごく興味があって、いろんなそういえばこういう人のこの本があるんですみたいのが自然にいろいろ出てきていて、
僕にとっても非常にインスピレーションをもらえるいい機会でした。
なんか結構文学の話だったり水墨画の話だったりっていう芸術の話が出てきて、
でレイさんがなんで渡辺さんはそんなに芸術の話とか文学の話するんですかっていうふうに質問されたら、
渡辺さんの方から日本の価値はビジネスの世界よりも文学とか芸術寄りのところにヒントがあるんじゃないかって思ってるんですっていうお話しされてましたよね。
そうですね。海外に身を置いていると日本の存在感っていうのが確かにビジネスっていう方面から言うと減ってはいるんですが、
芸術、アート、音楽、映画、文学みたいなところで言うと最近どんどん上がっているなっていうのが実感できます。
最近たまたまなんですけどニューヨークのブルックリンミュージアム、これは結構メジャーな美術館で、
ブルックリンで一番大きいニューヨークでも僕の個人的なものさしで言うとトップ5に入る美術館なんですけども、
30:05
そこでですね、宇多川広重の浮世絵の展示会がされていたんですね。
それもただ浮世絵を見せるだけではなくて、宇多川広重名所江戸百景のその100枚の浮世絵を現代アーティストである、世界的アーティストである村上隆さんが描き起こすという、そういう試みだったんですね。
その絵も非常に結構忠実に浮世絵をそのまま現代の彼なりの手法で描いているんですけども、すごく伝統的なものがなんかポップな雰囲気も醸し出しながら新しいものに生まれ変わっているっていうのを見たんですけども、まあ観客の数が多いんですよ。
そういうところで確かにそれ直接のビジネスというわけではないかもしれないんですけども、日本の価値っていうのが直感的言葉を超えたお金を超えたところで海を越えてるっていうのは素晴らしいなと思いますし、それこそなんかその今後日本が世界でプレゼンスを上げていく、そして世界で生き残っていく一つの大きなチャンスときっかけになるっていうのを強く思います。
いやー今回のトークは私たちの世界のクリエイティブ思考はもちろんですけれども、先方のたくらむラジオの方も合わせて聞いていただけると、日本にやってくる潮流やってこない潮流とかですね、日本の文化をどう翻訳するのかなっていう話をたくらむラジオではしていますので、日本の魅力に改めて気づけるかもしれません。ぜひ聞いてみてください。
はい、非常に楽しい回でございました。
次回はニュースコネクトとのコラボイベントの模様をお届けします。どうぞお楽しみに。世界のクリエイティブ思考、お相手はりいなむとと竹村ゆき子でした。
デジタルガレージは危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを創業以来大事にし続けています。
これからくるWeb3、オープンソース時代を見据えたテクノロジーで新たなビジネスを生み出す仲間を募集しています。
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番組詳細欄にあるリンクよりぜひご覧ください。
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