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ミシマ
みなさんこんにちは。ミシマ社ラジオです。本をあまり読まない人も、本好きな人も、思わずその本を読みたくなる、そんな時間をお送りします。
出版社ミシマ社が運営する、本との出会いがちょっとだけ広がるラジオです。
はい、こんにちは。こんにちは。ミシマです。アシスタントのフジモトです。はい。
今、9月の半ばですけれども、先日、僕がある劇団の演劇見てたんですけども、フジモトさんもそれ同じ場所で見てたという事実を後で知ったんですけど、まさか、会場ではお会いできなかったんですけど。
フジモト
はい、あのちょっとその演劇何かちょっとフジモトさんから。ヨーロッパ企画の「来てけつかるべき新世界」。はい、「来てけつかるべき新世界」。これあの再演ですね。はい。
ミシマ
これあの実は8年前に新作として、ヨーロッパ企画さんの本公演で公演されたものなんですけども、その時も見てました?はい。
京都で見ました。あ、そうですか。あの時ですね、僕ね、京都、大阪、東京3カ所で見た記憶なんですけども、ドハマリしてですね、えっとどうでしたか?
めちゃくちゃ面白かったです。ずっと笑ってました。いやー、ねえ、あのそうなんですよ、もう傑作なんですけれども、あのご覧になった方もご覧になってない方も、
あのちょっとこのネタバレしない範囲で申しますと、まあ舞台は大阪の新世界で、まあそこで串揚げ屋。はい、串かつ屋さん。串かつ屋さんのあの娘さんと、そしてそこにこう集うおじさんたちのまあ悲喜こもごもということなんですけれども、
あのそこに時代のこのいろんな流れが新世界もやってきてということで、まあひとつはドローンがやってくると。で、まあいろんなこのAIをはじめてですね。
まあ最先端テクノロジーが押し寄せてくるわけなんですね。そういう下町にも。で、そこで一体何が起こるかと。まあ例えば将棋をさせていても、まあ将棋の
新世界行くと本当にあの将棋のセンターというかですね、あの商店街の中にあってですね、もうすごい人たちがこうなんか熱中しながら
将棋を指しているんですね。あのちょっとあの入れる雰囲気じゃないんですけど、僕の友人はなんかでも入っと、あのある東京のデザイナーさんなんですけれども、一回打ったというか指したって言ってたので、ようやらんわと僕は思ってるんですけども、まあほんと名家ですね、だからそこにこの最先端テクノロジーが押し寄せた時、おじさんたちはどういう反応するかとかね、あの時代とそして古い下町の
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ミシマ
ぶつかり合いがまあ面白く描かれておりまして、なんか8年前、僕見た時結構衝撃だったんですけども、あの8年前とどうですか?変わりました?感覚。
フジモト
うーん、うろ覚えではあるんですけど、舞台装置とかもすごいなんか前よりリアルな感じがしました。確かにそうかもしれないですね。
ミシマ
確かになぁ。 ああなんか細部はいろいろとレベルアップしている感じがありましたね。
フジモト
あの見た印象はどうでしたか?見た印象、昔よりなんかこう笑いどころに気づくところが多くて、より面白く感じました。
ミシマ
なるほどね。それ面白いですね。だからある程度ストーリーは分かっているんだけれども、それでも面白いというわけですよね。
実際そうで、もう本当に最初から最後まで笑い話だったんですけども、
だから今フジモトさんの話聞いて、なんか落語みたいだなと思いましたね。
ある意味こう展開は分かってたりとか、まああのよくある落語だと、もう何度も何度も実は聞いたことがあるやつだってあるのに、
オチが知らないわけじゃないんだけれども、やっぱりその間の取り方とかですね。
言い回しで、もう笑わざるを得ないっていう風に。
だからヨーロッパ企画さんの演劇っていうのは、なんかちょっとそういう部分もあるかもしれないですね。
8年前だから3回見たっていうのもきっとそういうことですよね。何度見ても面白いんですよ。
もう次こうこうこうなるというか、なんかストーリーを追うだけじゃないんですよ。だけどやっぱそこを知ってても面白くて、
ただストーリーの衝撃も僕8年前すごかったなという記憶なんですね。
というのも、あの当時まだまだ今ほどですね、AIっていう言葉がそこまで定着してなかった。
AI?ぐらいな感じだったんですね。だから人工知能がなんかビッグデータを使いながら色々こう勝手に動き出すのかな。シンギュラリティって何だろうみたいな。
本当にそんなこと起こるのかなみたいなやや恐怖心と、あと自分たちの仕事だとかなんか生活がどんどんそっちに取って変わられるんじゃないかっていう恐怖心とかですね。
なんか結構未知なるものがこうある中、単にそれをこう人間はでもあの滅びないんだとかですね、そういうふうに描くんじゃなくて、
全部こう笑いにして、なんかただその最先端のテクノロジー批判というかですね、この批判っていう形を取らないこの批判っていうのが脚本された上田誠さん見事だなって僕はなんかちょっと震えたのが8年前はっきり覚えてるんですけども。
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ミシマ
あのそれがやっぱ今回見て少しだからこのなんかあそこで描かれてたのが、あのより僕らの日常に近づいてきてるなっていうのをちょっと実感したんですけどね。どうですかそのあたりは。
フジモト
確かにその今見てもなんか新しい感じがする。確か8年経ったとは思えない感じがします。
ミシマ
全然新作でも言えるし、だから逆に8年前の段階でかなり先取りして描いてたなっていうのが、もうなんか予知的な舞台でもあったなということを再確認できました。
今あれを描く人たちは増えてるような気がするんですけども、やっぱなんかあれが8年前描いてた通りもう1回再演されてるっていうのがなんか、いやーちょっともうすごい、ちょっともう追いつかないなっていう、改めて上田さんの凄さを感じたわけなんですけども。
上田さん、なんとなんと、来月のですね、24日発売、10月24日発売の『ちゃぶ台13』にエッセイ寄稿してくださってます。それが次号の、そもそも特集テーマが「三十年後」なんで、今回のヨーロッパ企画さんの舞台なんかにもすごい直結するような企画だったわけなんですが、上田さんが「劇団と劇の残しかた
時をかけるか、劇団」というタイトルのエッセイを書いてくださっていて、まあこれがめっちゃ面白いですね。とにかくこの上田さん舞台で存分に楽しんでいただきたいなと思う、本当それを願うのみなんですけれども、今回のその再演と、今回のその上田さんのエッセイにも通じるんですが、やっぱこの残すっていうことが、
なんかやっぱ面白いなぁと思っていて、ミシマ社で8月に『なんといふ空』という、最初はずきさんのエッセイを復刊したわけなんですけども、それもともと他社さんが出てたやつを復刊したと、一方でミシマ社は、ミシマ社の本に関しては絶版をしないという方針を19年間掲げておりまして、
まあそれって結構難しいんですね。本当はどんどんどんどん、品切れ重版未定といってですね、刷っていた部数の在庫がなくなってきたら、もう次1500とかの単位で増刷するほどは出荷できないかなと思うと、品切れ重版未定、実質も絶版なんですけども、
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ミシマ
で、まあだいたい出版社は増し刷りをしないっていうふうな判断をすることが多いんです。そうすると、いつか手に入らなくなるということなんですね。だから、紙の本にしたら永久に残る。確かに国会図書館とかに置かれるし、残るっていうふうにも言えるけれども、
すぐに今の読者の人たちが読めるかどうかっていう点において、ちょっとっていうところがやっぱりあるんですね。だからこの、もちろんデータとしては、電子書籍とかしたら残ってるでしょうけれども、この形あるものとしての本が残るかどうかっていう点において、どうしたら出版社として残していけるのかっていうのは常々、僕たちにとっても課題でありまして、
答えがまだ僕の中では見つかってないという中で、今回のこのヨーロッパ企画さんの再演っていうのを見て、
なんかやっぱ考えること多かったですね。
はい、その考えたことのいくつかが多分、来年以降形になっていくかなと思うので、そちらも楽しみにしていただければなというふうにも思います。
エッセイも、上田誠さんのエッセイも読まれたと思いますけど、どうでした?
フジモト
30年、なんかこう残す、長く続けていくからこそ残すとか、そういうことに意識を持たれていて、
まだこの自分が三十年後とか、まだそういう想像が全然できていないので、なかなか難しいことではあるんだなと思いました。
ミシマ
そうですよね。だから実感を持ってやるってすごい難しいし、だから上田さんのこれを読むと劇団って消えて、
演劇っていうのはその瞬間性のものであって、消えてなくなるものだっていう前提で、でも一方で、その美を分かりつつ一方で残るっていうものに対しても、かなり先取りを実はしてたっていうのが読んだら分かるんですけども、
なんというかそのあたりの、かなり先んじての手の打ち方はやっぱりもうなんかちょっと抜きんでてるなっていうことをやっぱりすごい思いますし、
なんか、この『ちゃぶ台13』、「三十年後」っていうテーマでですね、今回本当にいろんな方々が書いてくださっているんですが、
益田ミリさん、松村圭一郎さん、そして、万城目学さんも、来るべき時代というタイトルで書いてくださっていて、
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ミシマ
万城目さんのこのエッセイなんかちょっと本当にもう、
なんか、スケールが違うというかですね、全く予想してない展開が待っていまして、
こういうふうに確かにというか、もう本当に目から鱗なんですね。ちょっと本当に早く読んでいただきたいんですけれども、
あと、土井善晴先生の、「私たちの『私』を知る」っていうこのエッセイ、もう本当に素晴らしいですね。
あと、『ビボう六』っていう小説でデビューされた佐藤ゆき乃さんも今回書いてくださっているんですが、
この佐藤さんのタイトルがまた素敵でですね、
「永眠のためのアイスクリーム」という。
いやぁ、永眠のためのアイスクリームという、この20代前半で、
この、30までに、この、
自分は、
なんというか、死ぬんじゃないか、みたいなことを思ったことがあったので、
そこと三十年後を考える、
この20代の立場でですね、三十年後を想像した時に佐藤さんが何を思ったかというのは、ちょっと面白すぎて、
本人はすごい真剣に思っていらっしゃると思うんですけども、読んでる方は面白すぎてたまらないんですけども、
ちょっとこの「三十年後」というテーマで、もう6名の方が、あと坊さんの白川密成さん、そして『野生のしっそう』の猪瀬浩平さんも書いてくださっていてですね、もうなんかちょっとたまらんので、
ぜひ読んでいただければなと思います。
で、あの連載人もやっぱ今回またすごく面白くてですね、
あのいつも書いてくださっている斉藤倫さん、齋藤陽道さん、榎本俊二さん、藤原辰史さん、伊藤亜紗さん、
はじめ、寄藤文平さん、そして益田ミリさん、平澤一平さんの漫画などなんですけれども、
あと尾崎世界観さんのですね、書き下ろし小説「げーと」、ひらがなで「げーと」というのを書き下ろしてくださったんですが、まあこれはもう本当に傑作です。
まじですごい原稿をいただいてですね、まあちょっとこれも本当に痺れますんで、ぜひ読んでほしいなと思っています。
まああの本当にすごい原稿ばかりが『ちゃぶ台13』収録されておりますので、10月24日楽しみにお待ちいただければなというふうに思っております。
表紙はミロコマチコさんが描き下ろしてくださっておりますので、それもすっごいいいんで、カラフルで。
「三十年後」っていうテーマで、もうミロコさんにお任せして描いてもらったら、こういう絵が出てきて、
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ミシマ
この絵を見ながらもいっぱい話したいんですけれども、ちょっとこれは皆さんもお手元に届いてからまた何かそういう時間も
設けられたらなというふうにも思います。何かフジモトさんからございますか?
フジモト
12をミシマ社に入る前に読ませていただいて、それから10ヶ月経ってすごく楽しみにしてたので。
ミシマ
本当だったら半年に一編だったんで、6月に出てる予定だったのが、年に1回にもう1回変えました。
それで4ヶ月延しての『ちゃぶ台13号』ということなので、本当にもう
延ばした甲斐があったと。それで延ばして、待った甲斐があったと皆さんに言っていただける、そういう内容になっておりますので。
楽しみにしていてください。ではまたラジオでお会いしましょう。今日もありがとうございました。
フジモト
ありがとうございました。