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心理師のはるかめです。この放送では、あなたが自分に優しくしていけるように、セルフコンパッションやセルフケア、心理学などについてお伝えしています。
今日はですね、言葉の力とその注意についてお話ししていきたいと思います。
人が生み出した偉大な発明の一つに言葉っていうものがありますよね。
これは本当に便利な道具だと思います。
人と人、別の個体同士が高レベルな内容を伝え合ったり、互いの仲を深め合ったり、問題解決したり、あるいは自分で考えるための道具として使ったりと、いろんなことに役立ってくれています。
もし言葉がなかったら、人は今でも他の動物同様の生き方をしていたかもしれないですね。争いも簡単に起きたと思います。
そんなとても高度で便利な道具である言葉ですが、やはり注意点もあるんですね。
あまりにも当たり前に使われすぎていて、いろいろと見失っている部分というものがあったりします。
それを今日は2つお伝えしていきたいと思います。
まず1つ目、言葉でまとめることで本質から遠ざかってしまうことがあるよってことです。
どういうことかと言いますと、以前、養老たけしさんが子どもたちに向けて授業をしている映像を見たことがあったんですね。
その時に子どもからこういった質問があったんです。
先生、人生ってどういうものなんですか?っていう質問です。
これに対して養老先生は解説をしてくれてたんですけれども、
本来は人生っていうものはこの2文字で説明できるものではないと、
実際には人生っていうものは長い長い人の一生の時間そのものであって、
その間では言葉では説明しきれないことが本当にたくさんたくさん起きると、
そのすべてを人生っていう言葉で表すことは到底できないというふうにおっしゃってたんですね。
これを人生っていう言葉を使うことで、安易に答えを求めようとしてしまうというところに危険性があるわけですね。
まあ細かい部分は若干違うとは思うんですけれども、
おおよそこのようなことをおっしゃっていました。
これは特に現代では顕著に現れているんだろうなと思えるんですね。
過剰なマーケティングとか、安易に答えを与えようとするプロモーションとか、
極論を言って人を惹きつけようとすることとか、
そういったことが発信とか通信ができるようになって拍車がかかっているように思えるんですね。
私たちが普段使っている言葉がその実態とかけ離れていないかっていうのを考える必要がありそうだなと思っています。
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養老先生の例の場合は、人生っていう言葉が問題なのではなくて、
人生っていう言葉にそのすべてをまとめ上げようと考えてしまうことに問題があったわけなんですね。
私もこういったことはちょっと注意して意識して言葉を使っていきたいかなと思います。
2つ目、論理的とか合理的。
こういった言葉は現代では結構重宝されたりするんじゃないかなと思います。
リスナーさんの周りではいかがでしょうか。
ですけれども、人の脳は理論とか言語だけでできているわけでは当然ないですよね。
感情とか感覚といった言語化できないものももちろん存在していますし、そちらも無視できないんですよね。
この感じるっていう感、フィーリングと言ってもいいかもしれないですけど、
これが割とないがしろにされていないかなーっていうことが結構あるんです。
確かに言語化することでより考えやすくなって人と共有することができるっていうのは素晴らしいことなんですよね。
しかし、この言語化できた部分っていうのはほんの一部に過ぎないんですね。
本来は感じるの感の部分が広くあって、その中に言語化できた部分が内包されているっていう状態なんですよね。
語感っていう言葉が存在していたり、現代ではマインドフルネスっていうものも流行っています。
これはどちらも感の世界ですよね。
それほどに感っていうものは生き物にとって重要なものですし、生きる充実感を与えてくれるものでもあります。
センサーとしても働いてくれますし、私たちが生物というものである以上、
この感がいろいろな面で役立ってくれて、なんとか生きていくことができるわけです。
自分のことを見たり考えたりするときに、言葉に振り回されずに、この感の部分をあえて大事にしてほしいっていう時がやっぱりあるんですね。
脳神経科学の世界でも、この自分の感を認識するのは有効だよということがわかっています。
それは自分を、自分の体を知るっていうことになるんですよね。
どういう時にこの体はどうなるのか。
どういう時に私はいい感じになっていて、嫌な感じになるのか。
語感は今何を感じているのか。
言語化できないところにも、いろいろなヒントとか気づき、答えがあったりするんですよね。
言葉はもちろん素晴らしいものなんですけれども、
それになる前の感だけの部分も、私たちの中にはたくさんたくさんありますので、
そんな自分も観察してみていただくといいかなと思います。
それでは、今日もあなたが自分に優しくありますように。
心理師のはるかめでした。