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2024-11-24 10:00

heldio #127. -ly が付かない単純形副詞の用法と歴史

#英語史 #英語学習 #英語教育 #副詞 #接尾辞 #品詞転換
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、-ly が付かない単純形副詞の用法と歴史、という話題です。
通常、副詞というと、ly の語尾、副詞語尾が付いた語が想像されると思うんですけれども、
単純形副詞といって、形容詞の形にりをつけて副詞を作るというのは普通なんですが、そのまま形容詞と同じ形で、そのままの形で副詞というのも実は少なくないんですね。
例えば、He ran fast fast なんてのはそうですよね。だから、I studied hard っていうのもそうですし、She came very late みたいな言い方ですね。
このように、形容詞と同じ形でりはつかずにですね、副詞になるもの、これを単純副詞、英語では flat adverb というふうに呼んでるんですね。
今挙げた fast, hard, late あたりは非常に標準的な英語で使われるんですが、そうではなくですね、例えばアメリカの口語なんかではよく現れるんですが、
good とか real っていうですね、形容詞がそのまま副詞として用いられるっていうのが口語表現、俗語表現として非常によくあるんですね。
普通であれば good は well になって、real っていうのはもちろん really なるわけですね。
例えば、He ran good とか real bad news みたいな言い方ですね。非常に口語っぽくて俗語っぽいアメリカンっていう感じがするわけで、ちゃんと言えば He ran well とか really bad news っていうところをですね、good とか real っていうのはそのまま副詞として使うっていうことですね。
このきびきびとした、生き生きとした響きがありますね。もちろんこれは悪く言えばちょっと軽い、軽々しいということになりますが、非常に口語ではよく好まれて使っているわけですね。
もともと形容詞っていうのは、副詞に比べてですね、より直接的っていうことがありますので、例えば real bad news っていうのも、日本語ではすごく悪いニュース、知らせと言いますが、日本語でも口語ではですね、すごい悪いニュースというふうに、いわゆる real bad news のような言い方をするわけですね。
すごい悪い知らせという、口語的ですごいっていうのが副詞的に使われているっていうのはありますので、この感覚は近いんだと思うんですね。ただですね、実は歴史的に言いますと、非常に大雑把な話です。
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個々の形容詞、副詞に関してはですね、それぞれの歴史があるんですが、まず大枠を言いますと、実はこの単純形副詞の方がですね、起源としては古いと言いますが、オリジナルであることが多いんです。
つまり、形容詞と副詞が形を変えずにですね、文での使い方によって機能を変える、役割を変えるということで、同じ形で形容詞かつ副詞でもあるっていうのは、古くからずっとあったんです。
で、小英語からある意味ですね、存在した。ところがですね、主にですが、中英語機構に形容詞と副詞、働きが違うんだからという意識がどこまであったかわかりませんが、副詞の場合には明確にこのlyをつけることによって、副詞であることを明示するというような習慣が徐々にでき始めたんですね。
で、形としてlyがつかない形が形容詞、元の形ですね。lyがついたら副詞というふうに場合分けと言いますかね、段々区分されてきたっていうのが歴史で、もともとはですね、形容詞と同じ形でそのまま副詞として使われるっていうことが多かったんです。
なので、現代に残っているですね、いわゆる軽々しい、口語的、俗語的、アメリカンなあの用法というのは、一つの見方によればですね、実は最近の新しい語法というよりは、ある意味古くからあった語法の継続という見方すらできるんですね。
なので、単純形副詞と言ってもですね、比較的新しく、最近になってできてきたっていう口語のものもあるにはあるんですね、確かに。ですが一方で、実は古くからあったものがそのまま継続しているっていう場合も少なくないっていうことなんですね。
ではですね、同じ副詞なんだけれども、リがついた形、通常の形とリがない、いわゆる単純形の副詞が並び立っている、2つとも両方とも副詞として使われるっていった場合があるんですけれども、こういった単語においてはですね、どういう場合に単純形副詞が使われる傾向があるんだろうかということですね。
いくつかパターンがあるんですね。まずアメリカン、アメリカ英語で口語、俗語としてよく使われるっていうのは、最初から述べてきた通りですね。
それ以外のケースでも、単純形副詞がむしろ好まれるであるとか、よく使われるっていうケースはあるんですね。
まず強調語として他の語を修飾するって場合で、これはのリアル・グッド・ニュースとかリアル・バッド・ニュースの例に相当するんですが、他には例えばマイティ・コールドであるとか、
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Burning Hotであるとか、Terrible Strongであるとか、Dead Tiredのようなですね、これもやはり口語、俗語っぽい響きはありますね。
他にはですね、比喩の表現であるとか直言ですね、similarlyにおいては、この単純形副詞というのが割と許されるんですね。
例えば、come as quick as you canというような言い方ですね。例えば、come quicklyというふうに言う場合には、come quicklyが普通かもしれませんが、come as quick as you canのように比較表現にする場合ですね。
であるとか、他には例えば、こんなのもそうですね、I can't stay longerというようなlongerっていうのは比較級でありますが、確かに文の中での働きとしては副詞ですよね。だから、more longlyという言い方はしないわけです。
longが、ERがついた形ですが、形容詞と同じような形でそのまま比較級になっているっていうことですね。
それから単純形がですね、2つ組み合わさって、つまり形容詞と同じ形で&で結ばれるような場合ですね。これは割と理がつかないことがあって、例えばspeak loud and clearですね。
もちろんspeak loudly and clearlyって言っても意味は変わらないんですが、やはり表現の勢いとしてはspeak loud and clearのように、理つけないほうがうまくいきますよね。
他には、例えばshe was brought up short and sharpのような文ですね。
あと命令形ではよくありますね。drive slowってやつです。drive slowlyと言っても意味は同じなわけなんですが、drive slowというふうに、いわゆる単純形の副詞を使うことが多いっていうことですね。
他にはですね、面白い特徴がこの単純形副詞にありまして、位置、奥位置は動詞の後ろですね、に置かれるっていうのが普通で、例えばhe drove slowという言い方ですね。
he drove slowlyと、lyがある場合には、これはslowlyはドローブの後であっても、前であっても許されない。he slowly droveと言えるわけですね。
ただ単純形副詞の場合は、大体後ろに行く。he drove slowというような、ちょっとした統合的な癖みたいなのもあるわけですよね。
このようにいくつかのパターンがあるんですが、全体としては非常にキビキビした、生き生きした表現になるっていうのは、やはりlyを加えると一音節多くなるんですね。ちょっと理屈っぽくなるんですね。
ただでさえ長い形容詞だとですね、それにさらにlyをつけると、副詞だからlyをつけるんだよという主張が強すぎて、ちょっと理屈っぽくなる。
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これがないと、キビキビした感じですね。生き生きとした感じになるっていうことですね。おそらくこの辺が交互的、俗語的な用法ですね、単純形副詞。これに結びついてくるのかなと思うんですね。
シェイクスピアあたりのですね、近代なんかにたくさんラテン語が入ってきたんですね、ラテン語の形容詞。大抵長いので、形容詞であってもさらにlyをつけてより長くした副詞よりもですね、やっぱり短い方がいいってことで、例えばシェイクスピアだったら
thou did it excellent、つまりyou did it excellentlyの意味で言ってるんですが、lyと言っていない。他にgrown at instant coldにgrown at instantly coldという言い方をしていないっていう例がありますね。それではまた。
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