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2024-10-17 09:59

heldio #89. color は-orか-ourか、そもそも何の違い?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #綴字 #正書法 #英米差
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、color、色を意味するcolorのスペリングは-orか-ourか、そもそも何の違い、という疑問です。
英単語にはスペリングの違いというのがいくつかありまして、colorのようにorあるいはourという形で、これが交代するというようなスペリングを持つ単語というのがいくつかあるんですね。
まともに有名なのはこのcolorだと思うんですが、例えば、名誉を意味するhonorというのもそうですよね。それからhumorというのもそうですね。
こういった単語の代表選手として、このcolorという非常に頻度の高い色を表す単語を挙げるわけなんですが、これ一般的によく知られているのはcolorで書くのはアメリカ英語の綴り字であると。
そしてcolourというふうにourと綴るのがイギリス英語であるというふうによく言われるんですね。これは確かに実態としては正しいんです。
じゃあなぜそうかといったときに、アメリカとイギリスで単語の綴り方が違うというものは、このour以外にもいろいろあるわけです。
例えばcenterというときのc-e-n-t、erと書くのかreと書くのかという問題であるとか、defense、offenseといったときのsの最後のsの音をseで綴るかceで綴るかというような問題。
さらにはtravellerというとき、あるいはtravelledというふうに言うときにlを一つで書くか二つで書くかというような問題。
これいずれも前者、先に行った方がアメリカ英語の綴り字で、そしてイギリス英語は後者ですね。
少しひねくれている方と言えばいいのかな。少しストレートでない方がだいたいイギリス英語で、アメリカ英語はだいたいストレートだということが定番なんですね。
colorについてもですね。このerという二音説明のerという部分なんですが、これは弱い発音ですので、erあたりで通じるのが一番いいんでしょうが、語源的な理由でorとなっているわけですね。
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orというと三文字分使っているので、あたかも発音が強い、あるいは長いというような印象を与えるわけなんですが、実際には短いわけですので、orと二文字で綴る方が、なんとなく発音とはうまく比例しているという感じですね。
なので、アメリカ英語のこのor通りの方がストレートで、そしてイギリス英語のourというのが少しひねくれたと言いますかね、ストレートでないような通り字として多くは認識されているのではないでしょうか。あるいは本当に慣れという問題がありますね。
目の上でも、このアメリカ英語のcolorという一文字少ない、非常に短いものに慣れている人も多いと思いますので、こちらの方がより相応しいというような感覚を持っている人も少なくないと思うんですね。
さて、端的に言えば、文符としてはorという単純な方がアメリカ英語、そしてourという少しひねくれた方が、持ってもらった言い方の方がイギリス英語ということになっていまして、これ全般的に言えます。
or関係の語については、大体これが言われるんですが、なぜこういうことになっているかというと、英語の歴史を勉強しますと、だいたいすぐに答えが教科書的には出てくるんです。
何かと言いますと、基本的にイギリス英語で英語の歴史というのが流れてきたわけなんですが、こういった単語、例えばcolorですが、これはcolourというふうに、これフランス語でそういう綴りだったので、
そのままこの語を借りてきた時に、フランス語から英語もそれを採用したと。綴り術としてもcolorを採用したと。ずっと歴史が流れていったんだけれども、その後、17世紀以降にアメリカ英語というのがイギリス英語から分かれた形で発展しますよね。
だから植民地、イギリスの植民地としてアメリカができて、そしてアメリカが合衆国として独立する。これ18世紀末なわけですが、独立すると。
そして、大体この18世紀末にイギリスから政治的にアメリカ合衆国が独立すると同時に、言語的にも独立させたいという動きが出るんですね。愛国心です。新しい国、アメリカの愛国心ということで。
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使っている言葉は結局英語ということで変わりない。読んでいる英語も事実上ほとんど変わりない。ただ差をつけたいんですね。なぜならばイギリスの植民地から独立してアメリカ合衆国という新しい国ができたから、ある意味プライド、愛国心ということで事実上同じなんだけれども、少しでも差をつけたいということですね。
要するにMake a Differenceということですよね。そこで出てきたのが、ちょうどアメリカ独立の時代に英語教師として活躍していたノア・ウェブスターという人物なんですね。この人は後に大きな時点、非常にインパクトのある、影響力のある英語辞書を作ったということで、ウェブスターの辞書と言われますけれども、
1828年ですね。この独立後、間もなくできた非常に影響力のある辞書なんですが、これによって、ある意味愛国心に訴えかけてアメリカの英語の辞書というのを作ったわけです。
その中で、今までのイギリスのcolourから、いわば独立した形で一文字短くしたという、ただそれだけなんですけれども、これは当時は非常に意味を持ったということですよね。愛国心に訴えかけるこのUの削除ということです。ということで、これが採用されることになったと。
他のスペリング上のAベーサーというのは、だいたいウェブスターが原因です。この人が独立直後の19世紀初めですけれども、愛国心に訴えかけて、アメリカ英語というのはイギリス英語から独立した一つの存在なんだということを知らしめるべく、
ある意味センターのREだったのをERにひっくり返すであるとか、colourのOURのUを削除するであるといった、実際にやっていることは非常に小さいことなんですけれども、これが持つシンボリックな意味というのは非常に大きかったわけです。
こういったことで、このウェブスターの力もあって、イギリス英語と違うアメリカ英語の綴り方というのが生まれたということなんですね。教科書的にはこういうことなんです。
ただですね、あまりにこれが言われるばかりにですね、ウェブスターの影響力、このアメリカの綴り字に対する、それを確立したウェブスターの偉大さというのがよく強調されるんですけれども、実はよくよく見てみるとですね、この1828年のウェブスターの辞書というのは確かにインパクトがあったと思うんですね。
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ところが、それが出たからといってですね、その辞書が出版されて、確かに多くの人に買われたと。そしてアメリカの綴りだという認識が広まっていったのは確かなんですけれども。
それは辞書出版の直後にものすごくインパクトがあったというよりはですね、実はその後数十年をかけて、ある意味19世紀中をかけてですね、数十年かけて、割とゆっくりと今までの伝統的なイギリス的な綴り字から出して、ウェブスターの提唱した新しい綴り字に変わっていったというのが事実なんですね。
時間がかかるもんです。
それではまた。
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