サマリー
このエピソードでは、村上春樹の「若い読者のための短編小説案内」を基に、庄野潤三の短編「静物」が議論されている。家族をテーマにした本作の独特な構成や、作品内での意味深いイメージの扱いについて詳しく掘り下げられている。また、物語の緊張感や不穏な家庭の雰囲気が深く探求され、作者の意図や詩的な要素が議論されている。作品に隠れたテーマやキャラクターの感情も探求され、村上春樹の文学スタイルとその解釈についても議論が展開され、特に自殺未遂に関する内容が重視されている。若い読者が日本文学をより深く理解するための手助けとなる内容が探求されている。
作品の概要とテーマ
静物の本。はい、静物の本に行きましょう。行きましょうか。今、「若い読者のための短編小説案内」っていう、
村上春樹のプリンストン大学の講義のまとめた本があって、それに出てくるというか、解説されている小説を読んでから、村上春樹の解説を読むっていうのをやってます。
講義を擬似体験するような感じで。今回は、庄野潤三の静物、静物画の静物ですね、がテーマになってるんで、それを読んできました。
庄野潤三、この人も全部同じですよね。第三の新人世代、戦後第三の新人世代の人で、そんな僕は知らないですけど。
初めてですか、庄野潤三。初めてですね。私は。短編が多いんですか。どうなんでしょうね。
私は昔、静物とプールサイド小系だけ読みましたね。でもね、もうすっごい昔なんで、全然覚えてなかったです。
静物、ほんまこれ、まだ今までと小説全然違う感じだって、結構びっくりしたんですけど、2、3ページの話が何個も続くみたいな。
そうですね、これは全部で。18かな。
18か。18までありますね。家族の話ですけど、まあいろんなシーンが式列をちょっとバラバラで、断片が重なって一つの作品になってますね。珍しいと思います、私も。
ていうかこう、何でしょうね。家族の話っていうのはわかるし、出てくる人もちょっと途中で変わったりとかするけど、この2、3ページの一コマみたいな、
長谷さん的な、一コマみたいなやつが順番にというか延々と続くだけで、これは何なんと思いながら読んでましたけど。
なんかあの意味深な回と、日常回みたいのがあるんで。
なんかこれほんま意味あるのかみたいな回も結構あるし、意味深っていうとね、なんかはっきり言わないですよね。
そうですね。
その含みだけで終わってしまうんですよね。
全部なんかちょっと、そういう意味深回は不穏なイメージだけポンって与えられて、でまた次別の話が始まって、それがなんてことない日常回だったっていうのが結構ありますね。
一応だから、それあれですね、1コメでつかみとして入れてますね、その意味深な言葉を。
そうですね。
不穏な伏線って向こうに書いてますよ。
あの日の朝みたいな。
作品の読み方と感想
それそれそれ、なんやねんそれって。
なんか一発目それをしかも素通りしていくんでね、何にも説明なく。
どっかであの日の朝の話すんやろうなって思うし、実際出てくるんですけど、通り過ぎてしまいそうな感じで出てくるんですよね、あの日の朝のことを。
ちゃんと読んでると。
そう、だから1回読んだだけだとわからないし。
いやほんまこれなんなんって思いましたもんね。
そうですね。
私はね、その2回目なんで、なんとなく雰囲気を知りながら、昔読んだとはいえ知りながら読んでたんで、結構ここ注意して読まなきゃみたいなのはわかりながら読んでたんですけど、
河野さんはもう最初めから何これって感じでずっと読んでたんでしょうね。
だからその1、1つ目のやつで医者が出てくるんでしたっけ?
いや1つ目は釣り堀に行くだけで、
2か。2で医者と男が話してるっていう回で、あの日の朝ってやって次に医者が出てきて、妻が喋らないんですよね、妻が一応出てくるけど2にも。
だから僕はてっきりこう、妻が亡くなるんかなみたいな風に思ってたんですよ。だからそういう感じでずっと読み進めてましたね。
じゃあちょっと奥さんに何かしらのことが起こるんじゃないかって。
いやこの僕の2の妻は死んでると思ったんですよ、ほんまに。でどっかで妻が亡くなるとこが出てくるのかなと思ったら、
割と最後まで読んでも素通りしてしまって、あのはっきり書いてないから、だからあれと思って終わりましたね。
確かに医者が一度やると何度もやるようになるっていう、これもね不穏ですしね。
そうなんですよね。
私ね、市で釣り堀に行くじゃないですか、家族構成は父親母親、長女、次男、三男っていう構成ですよね。
まあ長男、次男。
長男、次男。で釣り堀に行くのってこの長女の女の子って言ってるかどうかって分かりづらくなかったですか。
なんかね、230ページの後ろから2行目で釣り堀の入場料払うところがあるじゃないですか。
はいはいはい。
で、大人一人子供一人って言うから、子供一人とお父さんで行ってるはずなんですけど、
最初はもともと長男の2番目の男の子が行きたいって言ってるじゃないですか。
だからその男の子とお父さんの2人で行ってるっていうのはこのセリフからは分かりますよね。
まあこの2人が、はい。
でも女の子もその場にいるんですよ。
いますね。
だから私、子供料金で2人入ってんのか、なんか女の子がもしかしてこれ幽霊みたいなの持っちゃったんですよ。
あー。
だって子供一人料金で子供2人も入らなくないですか。
あれ、僕は竿の数で取ったんですけどね、普通に。
あ、そういうことか。
うん。つい竿を2本もらったって書いてるから。
あ、そっか。そっかそっか。そういうことか。
で、その竿。
子供一人、あー。そういうことか。
子供用の竿と虎用の竿っていう。
あー。私ね、ちょっとこれめっちゃ話飛びますけど、最近なんかジャンププラスやってるマトっていうやつ知ってます?
あー。ちょっとだけの中身じゃないですけど、なんかキリストみたいなやつ。
なんかエイリアン出てくる。
はい。
主人公キリストみたいなビジュアルが。
それでなんか、主人公の娘がいるけど、お父さんと喋ってるけど、実は死んでたみたいな設定があって、私最近はそれ読んですごい頭に残ってたんですよ。
はいはい。
だから、あれこれ女の子、これ死んでんじゃないかってずっと思ってて。
あー。
それで引っかかってましたけど、確かに。確かに次の行為。
それだけですか?
そう。次の行為って釣竿2本って書いてますね。
で、その不穏な話だっていうのを知ってたから、あれこれもしかして女の子があれだったっけってなんか変な思い込みで、すっごい思い込み強く読んでました。
え、でもそうなかったですよね。
え?
女の子が死んでるみたいな。
あ、なかったですよ。
なかったけど、女の子だったっけなと思って、すごい飛躍して読んでたけど、確かに釣竿2本か。
っていうことかなと僕は思いましたよ。この大人1人、お子ども1人っていうのは。
そういうことか。
え、でも大人1人、子ども1人って、なんか私釣竿、釣り掘りわかんないですけど、お父さん。
なんか入るのにお金がいるわけじゃないと思って。
そうか。
釣り掘り入るのは何か竿にお金がいるのかなって思ったんですけどね。
なるほどな、そうか、釣り掘りは。あ、でも、まあそういうことですよね。そうしないとおかしいな話ですもんね。
いや僕普通にそこは何かそういうふうに勝手に思ってましたけどね。
なんかすっごい私、ちゃんとメモして読んでやろうと思ってたんで、怪しんでましたけど、まあ確かにそうですね。
せっかくここはそのまま続きましょう。
あ、はい。そっか、そこは僕は特にわからんかったというか。
そんなに疑問にならなかったんですね。
なんかわからんことはいっぱいあったけど。
怪しいと思った。
いやでも怪しいこといっぱいあるんですよね。南米のすーじーちゃんの話とかどうでもいいじゃないですか。
そうですね、南米。
これなんでこれ出てきたんやろとかね。
まあそうですね、日常、日常を書いてメモします。
まあでもこれも死者の世界から帰ってきたとかそういう話なの?
まあそうそう、意味深ではあるんですよ。
全部そうなんですよね。なんか何かあるんかなって思わせられるんですけど。
うん。
でもそれが何にどうなんかっていうのがわからなくて。
金魚の金魚鉢を置くとか。
そうですね、部屋のね、子供部屋の描写とかも。
それだけなの?
ああみたいなね。
めっちゃ短いし。
どっちかっていうとそういうなんてことない章の方が多かったんじゃないですかね。
うん、なんかそれが意味ありげやからちょっとわからないまま読んでいくっていう感じでしたね。
これ何を言おうとしてんやろとか。
大まかな感想ですけど、このいろんなシーンがパッパッパッと18章並んで一つ作品になっているので、
結構私好みというかいいなと思ったんですけど、どう思います?
これだから僕はアゴタイプリストフと一緒やなと思いますよ。
ああ、そっか、そうですね、本当だ。私もそれ思わなかったけど、そうですね。
本当ですね、私こういうの好きなのかな、じゃあ。
短いのをパッパッパッと。
読みやすいとは思いますし、あれはちょっと長編やったから、
その一個一個にそんな絡めとるような意味はないと思いましたけど、時系列で進んでいってたし。
なんか良かったな。5章、245ページから始まる5章っていうのが、寝床で妻のことを考えるっていう章なんですけど、
これもあんなことがあったみたいなことを書いてるんですよね。
これはかなり意味深な章でしたね。
あんなことがあってから一緒に寝ている。
別々の部屋で寝ていて、あんなことがあった後ではもう、もう一度元のように2人は同じ寝床で寝るようになった。
僕はメモって書いてますもん。あんなことがあった後ではあって。
それはほんま、なんか分かりやすく書かれてるけど、
これを多分、もう一回全部読んだら、全部なんか意味あるんかなと思ってしまいましたね。
繋がってるんじゃないかと。
なんかそういうふうに読めば、いろんなことが繋がっていくんだろうなと思って読んだ。
私、これ2回読んだんですけど、そういうふうに読んだりもしましたけど、
あんまりそういうことを考えずに、パッパッパッとそういういろんなシーンを思い描きながら、
あまり丹念に読まないっていうのでも結構面白く読めたんで、
どっちの読み方でも楽しめるなって思いましたね。
これ普通にこれだけ読んでたら、分かんないですからね。僕は分からなかったですけど。
その話はまた後で。
でもなんか問題抱えながらも、いい家族の描写のようにも見えるし、
オケラのこと書いてる話があるんですよ。13章。
それとかすごい、なんかいいシーンだなと思って読みましたよ。
ちょっと残酷なんすね。
子供がオケラ拾ってきてみたいな。
物語の印象と描写
そうですね。スケッチですもんね。ほんまに。生物っていうタイトルとの通り。
イノシシの話しするとかね。
そうそう。オケラの章の282ページの一番、13章の最後の一文が一番好きだったな。
生徒が一人もいない学校の運動場では、砂場のオケラも火山のオケラも黙ってトンネルを掘っている時刻だっていう。
これもすごい私好きですね、この一文は。描写が好き。
夜遅いっていう。
なんかこの遅い時間にオケラが黙々と掘っているのが絵に浮かんでくる。
そういうのも良かったな。
この話が一番印象的だったってあります?
えー。何でしょうね。印象的だった。
でもそんなに浮き沈みがある感じでもないし、短いか長いかぐらいのはあったけど、
いやでも僕はやっぱりこのメインになってる話が一番ちょっとやっぱり怖いというか、あの14ですけど。
14、あーはいはい。
恐ろしいじゃないですか、この回は読んでて。
そうですね。
何が起こってんじゃろっていう感じだったんで。
ここをね、村上春樹も。
そうですね。
ここをすごい重点的にやってますね。
これが僕はメモも一番多いし、怖かったですよね。
なんか下の子がまだいない回とかも結構あるんですよね。
そうですね。
過去の、前の家の話とかね。
そうですね。前の家の話もありました。
全体的にやっぱりちょっとね、緊張感がある感じはありましたね。
そうですね。緊張感ありましたね。
その家庭の和やかな雰囲気もありつつ、子供に対しての接し方とかちょっとこう、恐ろ恐ろみたいなところがいっぱい。
家族の不穏な雰囲気
映画の見せ方とか。
ちょっと怖いんですよね。
鎮盗屋になんか言われるとか。
なんか300ページで、これまだ前の家に住んでた時の話なんですけど、300ページの3行目で下の部屋では2番目の赤ん坊が小さい布団の中で眠っていた。
で、上の女の子は外へ遊びに行ってっていう話があるじゃないですか。
2番目の赤ん坊っていうのがずっと小説に出てきている男の子、釣りぼりに行きたがっている男の子なのか、なんか別の子がいたのかなみたいな。
なんかそんなにちょっと怪しみもあって、もしかして別に2番目の子はいたけど早くに亡くなっちゃった子がいたのかみたいな。
なんかちょっとそういうことも考えたりしましたね。奥さんがちょっと不穏じゃないですか、全体的に。
だからなんか赤ちゃんに何かあったのかなーみたいな。そんなのも考えました。
どっちとも言えないですけどね、この話だけでは。
なんかやっぱり説明がない分、いろいろ自分の中で想像しちゃったりしましたね。
女の子と弟4歳差だよなーとか、いろいろ考えて。
このすすり泣きの結局何かわからなくなってたよね。
妻があの時泣くわけはなかった。実際に泣いてもなかったけど。本当かーみたいな思いますしね。
これ怖い話なんでね。なんかこの順番とかもね、謎なんですよね。
そうですね。
ミノムシの話で終わるのとか。
そうですね。
何かあんのかなって思って急に終わるから。
なんかね、こういうのってどれぐらい意識的にこれが最後だと絶対いいみたいなのがあるのかわかんないですよね。
17章と18章別に入れ替えてもいけそうな気もするし。
ちょっと順番に並べ替えてほしいな、当時。
でも全然いけそうな研究はあるでしょうね。
あるでしょうね。やってると思います。これとこれとこれの順番やと。
金魚の話とかのアベコベに出てくるんで、こんなんって普通そんな時系列バラバラで順番に書けます。調節とか。
いっぺんだから時系列順に書いた後に並べ替えたのかなとかね。そうでないと書くめっちゃ大変じゃないですか。
思い出して書くって感じなのか。
そうですね。いくつか書いた後にこれちょっと追加で書いてみるかみたいので、どんどんどんどん足していくって感じじゃないですかね。
それこそ最初はスケッチみたいにこういう家族の話書いてみるかみたいので書いていって。
場面ごと独立して考えてるといけるか。
ただやっぱり頭からこれを書いたとは思えない。
この順番で。
この順番でこれやっていこうっていうよりかは書きながら考えて作ったって考えた方が自然ですね。
あまりにも順番バラバラなの。その割にその時その時の時間がはっきりしてるから、この時のことっていうのが。
タイトルのこの生物っていうのも意味深ですし。
これは手法なのかなと思いましたけど、書き方のことなのかなと思いました。
そのまま書くみたいな。物語っぽくはないんでやっぱり。
起こってることをそのまま言えば。日記って言われてもね。
そうですね。
全然違和感ない。
村上隼の解説の方では。
はい。
これちょっとさっきの磯岡翔太郎のやつとかぶるというか、詩小説的っていう言葉が出てきますね。
そうですね。
ここでその詩小説的っていうのはどういうことかみたいな話もちょっとあったんで。
詩小説の入れ物を持ってきて当てはめるみたいな。そんなの書いてあったかも。
そうですね。なんかどん柄はあっちから引っ張ってきたが中身はこっちで勝手に入れ替えていって。
どん柄っていうのがちょっと私は。
入れ物のことかなと思ったんですけど。
詩小説的な構造っていうのはやっぱりちゃんと文学的な枠組みとして共通認識であるんですね。
なんでしょうね。事実を元にした創作っていうのが詩小説やから。
そういうのって結構グラデーションで全くゼロっていうものもないし。
ファンタジーとかになってくるとそもそも。
そういうジャンルがある小説とかSFとかも丸々創作やし。
でもこういう今回の作品みたいに特に平凡な過程を平凡なタッチで描いていると
小説家の生活をそのまま書いたような詩小説的なものとして受け止められるけど
意識的には全然詩小説ではないんじゃないか。
これは安岡翔太郎の話、すいません、私125ページのあたり読んでたけど。
超の純像はどこまでが現実でどこからがフィクションかの境目がないっていう話をしてる。
それが分からないっていうことをひたすら言ってますね。
詩小説っていうジャンル自体が作者自身が主人公やったりとかして
自分の実体験をもとに書いたあくまでフィクションっていうスタイルじゃないですか。
安岡翔太郎に関しては自分の実体験をもとに物語を書いてるけど
明らかに物語的な技巧のもとで描かれてるセリフだったりとか話の展開だったりとか
あとキャラクターの思ってることとかそういうのがちゃんと技巧的に見て取れるけど
諸の純像の生物に関してはそのまま書いてるのか
それとも作って書いてる部分があるのかどうかっていうのが全然分からへんみたいな
そういうことかなと思ったんです。
生物読んでたらそう思いますね。
そうそう。なんかほんま日記みたいに見えるんで、日記は基本事実じゃないですか。
ガラスの靴とは全然ね、やっぱり違いますよね。
明らかに生物の方が生感があるというか。
生活感そのままっていう家庭の風景そのままって感じですよね。
だからそこにある作者の意図みたいなのがすごい読み取りにくいっていうことなんでしょうね。
でもまあ元々そういうタイプでというわけでもなくて
作品の評価と詩小説的要素
プールサイド生計とかがいろいろあったけど
生物に行っちゃったみたいな書いてるから
変化があったけどそれの変化にどこまで色的だったのかとか
こういうのが分からない。
結構そのあたりからすごい作家の気持ちにすごい寄り添ってというか
村上春樹の著者としての姿勢というか
こういう風に考えていってやったんじゃないかなみたいなのを書いてますね。
僕も作家の端っことしてよく分かるとかなんとなく分かるって書いてますね。
安岡翔太郎の時もそうでしたけど
作品論に入る前の作家の気持ちとか
作家がこういう方針立ててやっていったんじゃないかみたいな
村上春樹の想像というか作者としての気持ちみたいなのを
自分で推察していくところは面白いですよね。
そうですね。これはでもほんま過去作読んでると分からないですけどね。
時系列というか変遷を踏まえて
そうなんだろうっていう想像をしてるって感じですね。
作品の移り変わり作風であったりとか。
でも映画の批評されるときとかも割と監督が
どんな順番でどういう作品作ってきたかみたいな
これまでがあってこの作品があるみたいな批評のされ方が多いんで
どうしてもそうなっちゃうんですよね。
だから反対ではちょっと測れないというか
そういうやり方になるんでしょうね。
特に小説のその傾向が変わっていくと
こういうこと思ってたよなみたいな感じが見えてくるんでしょうね。
書いてる側としては。
でも反対にその作品を独立したもので
それだけで論じるとまた違った感想が出てくるのかなと思うと
そういうふうなのも読みたいですけど
本当に生物だけで論した場合はどうなるのかっていうのは。
でもそうなってくるとやっぱり
作品の出来っていう感じの見方になるんでしょうね。
たぶん書く側も読む側も
作者のこれまでの変化とか
そういうのを踏まえて書いた方が書きやすいし
読む側も面白いと思うんですよね。
だからまあそういう。
そうですね。読み物にならないかもしれないですね。
ちょっとの感想で終わってしまうというか
技巧的な話とか
あとどっちにしても作者のプロフィールとか
過去作とかっていうのに対照化しなくても
たぶん今同時代の作品の中での位置づけとか
そういうことになってくるかなと思うんですけどね。
こういう表現がなかったとか
今でも新しく感じるとかっていうのは
やっぱり時代性とかすごいあると思うんで
対照が変わるというか
参照するものの
3体で評価するっていうのも結構難しい。
難しいですよね。
結局何かの中でのこの作品っていう感じになってくるかなと思います。
作品の特徴とテーマ
そうですね。何かしら比較しないと
その作品の特徴って分かりづらいし。
そうです。自分が受けた印象っていうだけでも
やっぱり自分が今まで読んできたものとか
どうしても思うとこあると思うんで。
じゃあ謎の部分に入ってみますか。
いきましょう。
131ページから
生徒さんがまたね。
始まるんですよね。
なんか勘の鋭い生徒が。
これちょっと読みましょうか。
131ページで生徒Pっていうのは質問するんですよね。
主人公の奥さんはこれは自殺未遂をしたのですね。
私はそのように見ました。
でも彼女はどうして中折れ帽子と犬のぬいぐるみを買ったのでしょうか。
不思議な組み合わせだと私は思うのですが。
これが14の話です。
僕はこの生物だけ読んだ時に奥さん死んだと思ったんで。
自殺未遂やったんかっていうのはわからなかったですね。
でもかなりいい線いってるじゃないですか。
うーん。
読みというか。
2でねちょっと眠ったままの妻がいたんで。
でもこの14って
なんか違う着物を着てるからそれしか書いてないですよね。
そうそう普段と違う書いてますね。
だからそれで自殺未遂っていうのは読めなかったです。
妙なものを着ているって書いてます。
私はね、私特にその昔最初に読んだ時は全然そんなこと思ってなくて。
なんかあったなと思ってたんですけど、まさか自殺未遂とは思ってなくて。
はい、そうですよね。
なんなら不穏な話もありながらも結構日常回で割とほのぼの写真もあったし。
楽しく読んでたんですけど。
そんな感じなんと思ってびっくりしたのを覚えてますね。
この解説の時ですか。もっと前に知ってたんですか。
もっと前に昔大学生の時に読んで読んだ後どんな感じの話だったかなっていうか
ネットでちょっと感想みたいなの調べたら自殺未遂だったっていうのが出てきて
そんな話やったんやってびっくりしましたねその時は。
だから実際この14でも一切出てこないですよねその話が。
妙な服を着ているっていうのもようわからないし、妙なものを着ている、着て寝ているっていうのは。
そこしかないですよね、だってその違和感が。
まあ起きひんっていうのはありますけど。
この14の時系列的には14の後にこの2の湯担保の話、お医者さんのとこに繋がるんですよね。
そうやと思います。
でもなんか湯担保で自殺ってなんかおかしくないですか。
なんか事故みたいな話なのかなと思ったんですけど、低温やけどみたいな話ですよねこれ。
そうですね。
確かになんか湯担保訳でしたっけ、いくつかの箇所に入れてて。
自殺の仕方としてそういうのがあるんかと思って。
それ書いてないなと思ったんですよね、わからなかったんで僕は全然。
でこの妙な服っていう、妙なものを着て寝ているっていうのが色のことなのか、湯担保が膨れてることなのかな。
ああそうかそうか。
どういうことなのかっていうのも僕はわからなかったし、とにかく書いてないですよね、その辺は。
確かにこれで膨らんでたら妙な服ってそういうふうに繋がりますね、今コーンさんに言われるまで思わなかったですけど。
でもなんか結構この村上春樹の話の中では結構その自殺未遂だったっていうのはもう。
当たり前かな。
大前提のように今書かれてた。
みんな知ってると思うけどみたいな感じで語られるんで。
一つの文学的規制事実になっているって書いてますね。
文学的とかどうかは別として事実やと思うんですけど、たぶん実際事件があったってことなんでしょうけど。
作品をずっと追って読んできた読者はそれをすでに知っている。
他の作品でも触れられてるっていう感じですかね。
で、ここからひたすらこの中尾レボーについて。
これなんか本当に市民が足りないみたいな感じで、途中ここだけで終わっちゃいますもんね。
そうですね、ほぼこの話で終わりますね。
中尾レボーは何やったんかみたいな。
欲しいって言ったことないのに。
これを買ってきた妻の気持ちがわからへんみたいな。
そうですね、すごいです。そこからすごい推測するじゃないですか。
これすごい飛躍やなと思ったんですけどね。
これすごい想像力ですよね。
万年筆でも良かったんじゃないかみたいな話やけど、でも中尾レボーの描写がすごい質感があってみたいな。
しつこく防止にこだわるようで申し訳ないんですが。
父親が別にその中尾レボー好きとかそういうことなかったのに、中尾レボーを買ってくることから妻はどういう性格かみたいなことをすごい推理するんですよね。
それは面白かったな。
高いのになんでこんなん買ってきたんやろみたいなのも言ってるし、だからそんなに裕福ではなかった家庭やったけど、多分奥さんはそういうのに無頓着なんじゃないかとか。
お嬢さん育ちではないかとかね。
他人が何を求めているかよりは自分が何を他人に与えたいかということをまず第一に念頭に浮かべるタイプではないかってありますね。
相手が欲しいんじゃなくて自分が被って欲しいみたいな。
それをだから自殺未遂の日に渡してるっていうのはよくわからんっていう。
子供は子供がこれを好きやったんか、ぬいぐるみが好きやったんか。
それとも子供に対してもこれを与えてあげるのが自分の一方的な愛情やと思って渡したんか。
つながるとこはあると思うんですけど、押し付けですよね。
でもそれをわざとやってんのか、無意識にやってんのかわからへんじゃん。
キャラクターの感情解析
あてつけでやってんのか。
すごいですね、これ。
こんだけ言っといてその暴笑さとなくしてしまう。
そうなんですよね。私もこれ村上春樹に言われて。
自殺未遂をしたっていう前提で話を読んでいくと、確かに奇妙なんですよね。
帽子なくしてもそんなに困ってないというか、ああ、なくしたみたいな感じで。
なんか人が多かったから探しに行かへんかったみたいな。
そもそもそんな帽子を日常的に被るっていうのも変ですしね。
って書いてますけど。
なんて言ってたかな。ちょっと変なんですよね、その辺の。
そこはすごく変だけど、多分これ編集者だったらいろいろ気づくだろうおかしな部分だけど、
そこ特に流しちゃったっていうので、この辺かなり小説家としてわかる気がするみたいな。
そんな感じでしたね。
わからないことが多いっていうのがめっちゃ書いてある。
この形が出てきたらこれに行くしかないでしょう。
すごいこの辺の解説というか、めっちゃ難しいんですよね。
この結果的に自分の中の小説的ベクトルまで取っ払ってしまってるんじゃないかと。
140ページですけど。
僕が本当に言いたいのはそういうことです。
これは解体と言ってもいい。その解体はそのものには意味あるし、志してもらう。それは確かです。
すっごい村上春樹わかるんじゃないですか。
作者としてこの辺の。
これはわからないですよね。
私たちにはちょっと。
その後でそういう一緒に寝るようになったっていうところで142ページの頭ですけど、
村上春樹は僕はそれは主人公夫の一種のステートメント決意表明なものだろうと思うのですって書いてて、
たぶん父親は一家の大国柱としてやっていくんだっていう決意表明だって書いてるんですけど、
父親像の描写があったページがあったじゃないですか。
つりぼりのところで。
そこを読むと結構そんなに決意表明したようなお父さんには見えないというか、
あんまりお出かけにも連れていかないし、計画立てずにわりとのんびり休日過ごしているような父親だなと思ってたんで、
その印象と村上春樹の決意表明という言葉に結構ギャップを感じましたね。
何なんでしょうね。妻に対してってことですかね。子供に対してっていう。
自分はこれからこの女とこの女を含んだ家庭を守っていくのだと決意する。
決意しても別に休みの日におんびりすることぐらいあるとは思うんですけど、
私最初読んだ時のイメージがちょっとことは違ったなって気になりましたね。
そうですね。仕事ばっかりで家を開けっぱなしとかそういうことにならないとかって言ったのかな。
別に出かけなくてもんびり家族と一緒にいるっていう時間を大切にするっていうタイプなのかもしれないし。
でも一緒に寝る寝ないの話しかメインなのかなって思うんですけど、難しいっすね。
結構難しいけどね。呼び方の変化で役割が変わってるとか。
ここは気づかなかったです。言われるまで。145ページですよね。
父親母親みたいな書き方が事件が起きた直後の時点では男になっている。
でまた父親転換が行われている。
いややっぱり順番通りに習ってほしい。
実、わかりやすすぎるんでしょうね。多分それをやると。
でもなんか研究というか、読み解きをする時は絶対必要ですからね。
順番通りに考え直すっていうのは。
なんかあれでしたね、中折れ帽子からの話が膨らんでいったので、
あまりこの生物っていう18章が短いシーンがパッパッパッと並べて一つの作品できているみたいな、
その辺の構造の面白さとか、そういう話はそんなにバレてなかったのかな。
最初の方に自覚的だったかみたいなところで。
そうですね、そんな話は特になかったですけど、
単純にこの文体がすごいみたいなことは書いてますけど。
どの辺でしたっけ、文体。あっさり書かれてるってこと。
そうですね、スーパークールな文章の書き方っていうか。
この小説はもうちょっとボリュームして往復してもいい、もっと読みたかったですね。
元の方ですか。
いや、あの、中井春樹の解説。
まあやってるんでしょうね、実際は。
合い切らへんかったという。
暇があったら全部一つ一つ当たっていきたいという気持ちもあります。
どれだけ突き詰めてもたどしつかずは結局のところ同じような結論ではあるまい。
結構面白い。
そうですね、なんか文体の解説とかも面白いですね。
若い読者への案内
放りっぱなし手法とか言ってました。
この説明をしなさすぎる。
最後の方にあの、長女の年代、生まれた年代が自分とほとんど同じだみたいな書いてて、
ちょっと最後、なるほどなーって思いましたね。
自分の、そういう自分の同じ年の当時人物が出てくるっていうのを考えてみると、読み方の雰囲気変わるかもしれないなと思いました。
実際にそうなんですね、たぶん。小説もそうですし。
なんか、賞の巡蔵の家が今も残ってるんですよね。
うんうんうん。
なんか夏葉者の人が割と賞の巡蔵好きで。
本が出てるんで。
なんかそんな本が出てたとか。
全部そうなんですけど。
はい。
もうちょっと読んでもいいかなって思いますね、やっぱりこうやって話を聞くと。
そうですね。
人の話というか解説を聞くと。今まで全然知らんかったし、読んでこなかったけど。
私ももう一度プールサイド賞券を含めて読みたいな。
そうなってくると、ほんま膨大なんでね。
今は4人でできてるんですね。
みんな読んでるんやって、予想。
じゃあ今のうち、今の中だと誰が一番読みたいですか?
いや僕はでも結構、もう誰ってないですね。
そうですか。
なんか一人一人やっぱ気になるんで。買ったけど読んでないですけど、まだ全然。他の本も。
ほんまにいっぱい読んでるなっていうのを毎回思いますね。
そうですね。
全然日本文学もいっぱい読んでますよね。
この辺全部、ほんまに一人一人の作家、全部読んでる勢いじゃないですか。
そうですよね。
そうでないと語れないことがいっぱいあるんで。
そう思うとこの若い読者のための短編小説案内には、めっちゃハードル高いですよね。
これを読むまでに読まなきゃもう多すぎ。
読んだ上で理解するのも、この1回読んだだけではまずわからんし。
まあそうですよね。でもピンとくる作家はこれを読んだ後にもう一度ここに書かれてるものを読んで、
でもう一度取り上げて読んでっていう、これだけ読んで終わらないって感じですかね。
これだけではちょっと無理。
これだけでは無理やし、タイトル上がってる1個だけ読んでもあんまわかんないですよね。
でも言い口にはなるかな。
そうですよ、入り口ですよこれは。
前向きに言うとすごい広がっていくんで、楽しみ方というか。
こういうのいろいろあると面白いですね。
そうですね、普通はその評論になってくるんで、
そうですね。
1作とかそうなってくると割と結構狭く深くみたいな評論は多いですけど、
この中を順番にどんどん上げていくみたいな。
ちょうどいいのかな、これぐらいの。
だいぶ箇所ってるでしょうしね。
そうですね。
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