1. のれんラジオ
  2. 79: 村上春樹とその不確かな記憶
2023-04-30 50:09

79: 村上春樹とその不確かな記憶

村上春樹をめぐる冒険。池澤夏樹の世界文学全集から、柴田元幸、絲山秋子、堀江敏幸、小沢健二まで。言葉というアートフォームを語りました。
キーワード
村上春樹の新作、ねじまき鳥クロニクル、1Q84、ドライブ・マイ・カー、女のいない男たち、東京奇譚集、ジブリ、魔女の宅急便、崖の上のポニョ、千と千尋の神隠し、もののけ姫、風立ちぬ、天空の城ラピュタ、街とその不確かな壁、世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド、ノルウェイの森、渡辺徹、ノモンハン、国境の南太陽の西、怖かった、カンガルー日和、4月のある晴れた日、短編、小説にできること、小沢健二、重複率、好きとか嫌いとかじゃない、福田和也、夏目漱石、愛だの恋だの、アメリカ文学、柴田元幸、村上春樹イエローページ、納屋を焼く、映画化、メタファー、よってたかって考察、ボーイズラブ、まどかマギカ、かっこいい言い方、風の歌を聞け、辻褄が合わない、羊をめぐる冒険、長いお別れ、計算された空転、それでも手元に残っている本たち、フィルタリング、愛の見切り発車、文芸レアグルーヴ、百年の誤読、百年の孤独、池澤夏樹、世界文学、楽園への道、ヴァインランド、オン・ザ・ロード、ポール・オースター、何かにはなってる、行け!稲中卓球部、カート・ヴォネガット、きみのためのバラ、芥川賞、スティル・ライフ、文藝春秋、コンビニ人間、狭いところでやってる、アカデミー賞、堀江敏幸、保坂和志、爪痕残した、西武、関係ないです、橋本治、いい質問、SF、三体、視力、Audible、絲山秋子、文芸賞、ChatGPT、グッとはこない、医師国家試験、司法試験、一発ギャグでもいい、役に立つとはどういうことか、昔の貴族、ジャズバー、回転木馬のデッドヒート、アフォリズム、パン屋再襲撃、TVピープル、トニー滝谷、ノーベル文学賞、アンチ、ボブ・ディラン、変態、天使たちのシーン、ちょっと怒った、脱構築、俺調べ、ライナーノーツ、俺の話を聞け、サブカルおじさんホイホイ、などなどについて話しました。海辺のカフカもありましたね。

サマリー

村上春樹の新作『街とその不確かな壁』が話題となっており、彼の過去の作品や短編にも触れられています。作品のテーマやキャラクターについて語られる中で、村上春樹が日本文学において大きな存在であることが再認識されています。村上春樹の作品に対する多様な読み方や、彼の意図に関する考察が展開されています。特に「風の歌を聴け」や「イエローページ」の作品分析を通じて、文芸評論の楽しさと深さが語られています。村上春樹や関連作家についての考察が行われ、日本文学と世界文学の関係が探られています。また、彼の作品や影響を受けた作家についての話題が交えられ、文学の意味や印象について議論されています。村上春樹の文学とその影響についても語られています。AIの進化に伴う人間の学びの重要性や、文学の価値についての考察が展開されています。村上春樹とその不確かな記憶に関する音楽や文学の話が展開され、特に彼の作品に対する解釈が深まっています。

村上春樹の新作の話題
スピーカー 1
あ、一個気になる話題があるんですけど。
スピーカー 2
何でしょう?
スピーカー 1
村上春樹の新作が出ましたね。
スピーカー 2
あー、そうだね。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
分厚いやつ出たね。
読んだ?
スピーカー 3
読んでない。
スピーカー 1
俺も読んでないわ。
スピーカー 2
でも読むでしょ?村上春樹は。
スピーカー 1
いや、読まないね。読まないと思う。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
もう目が悪くなってからね、あんまり読んでないね。疲れるから。
スピーカー 2
じゃあ、今までのやつも結構読んでないやつあんの?
スピーカー 1
えっとね、ねじ巻き鳥までちゃんと読んでる。
スピーカー 2
あ、そのぐらいあんだ。その後長編で、1984とかぐらい?
スピーカー 1
そうじゃない?1984とか。
スピーカー 2
あと短編集みたいな時々出てるよね。
スピーカー 1
そうだね。1984以外何があったっけね。
スピーカー 2
ドライブマイカーの原作のね、短編だけど。
スピーカー 1
あー。
スピーカー 2
女のいない男たち。
女のいない男たちね。
スピーカー 3
そうだね。
スピーカー 1
なんか東京鬼談集ぐらいまでしか読んでないな、短編も。
スピーカー 2
そうか。
スピーカー 1
なんかほら、初期のものだけ読んで、ずっとそこに戯れ続けるタイプの人間なんで。
スピーカー 2
そうだね。
スピーカー 3
ジブリも魔女の宅急便までしか見てないんで。
スピーカー 2
あ、そう。ポニョとか、
スピーカー 1
ポニョ見た。
スピーカー 2
ペンと千尋の。ペンと千尋は。
スピーカー 1
ペンと千尋はね、なんかちゃんと見てないね。
スピーカー 2
そうなんだ。
あ、でもなんかテレビでやってたのをチラッと見たかなみたいな感じでね。
スピーカー 1
でもなんかさ、初期の頃と全然違くない?ジブリとかも。
スピーカー 2
うーん、全然。
全然、全部違うっちゃ違うけど。
スピーカー 1
なんだろうな。なんかテーマがさ、難しくない?
なんか魔女の宅急便。
スピーカー 3
テーマは書いてあるんだから。テーマは書いてあるもん。
スピーカー 1
魔女の宅急便ぐらいまでのさ、なんか割と、なんかファンタジーなんだけど、
なんだろうな、その、なんだろうな、むちゃくちゃなことが起きないっていうか、
スピーカー 3
ファンタジー設定がカチッとしてるんだけど、なんかポニョとかさ、いきなり神様みたいに出てきたりとかさ、
スピーカー 1
なんかああいうのあるよね。
スピーカー 2
でももののけ姫もいきなり神様みたいに出てきたりするじゃん。
スピーカー 1
もののけ姫もあんま見てないわ。見てない。もののけ姫も。
じゃあ3本ぐらいじゃないの?ちゃんと見て。魔女宅とトトロと。
ナウシカと、トトロと、あとあれよ、ラピュタよラピュタ。
スピーカー 2
あーそうだね。4作品だね。
スピーカー 3
俺のジブリそこで終わってるから。
でもあれ見たな、あの、風立ちぬ。
スピーカー 1
あーはいはい。
あれはなんだっけな、映画館で見たね。
うん。
そうね。どうですか?村上春樹の新作は。
スピーカー 2
どうですかとは。
スピーカー 3
いやいやなんか批評とかしてくださいよ。
えーとなんだっけ、街とその。
スピーカー 1
不確かな壁みたいな。
スピーカー 2
不確かな壁。
スピーカー 1
でもさなんか俺の記憶だとさ、それってなんか昔、なんか文芸誌に載って、
でそれをなんかリバイスして、世界の終わりとハードボイルドワンダーランドになった気がすんだよね。
そのタイトルのやつって。
スピーカー 2
あーなんかそんなようなニュース。
発売ニュースでそんなことが書いてあったのを読んだ気がするな。
スピーカー 1
だからもうその話ってなんかあの、紹介されてたのかなと思ってたんだけど、
スピーカー 3
あ、もう一回そのタイトルで出すんだみたいな。
まあ街があるんだろうね、たぶんね。
スピーカー 2
で壁があるけど、不確かなってことだよね。
スピーカー 1
いやだから世界の終わりとハードボイルドワンダーランドも全く覚えてないんだけどさ、
なんかある世界と、もう一個はその主人公の夢の中っていうか、
文学の影響と意義
スピーカー 1
そんなやつだったよね。で行ったり来たりするみたいな。
スピーカー 2
ねじ巻き鳥クロニクルもそんな話だよね。井戸の中でなんか。
スピーカー 1
渡辺昇だっけ。
スピーカー 2
そんな名前だったような気もする。
渡辺、あれ渡辺君って言われてたのそれ。
スピーカー 1
それはノルウェーの森だ。
スピーカー 2
ノルウェーの森だよね。
スピーカー 1
ノルウェーの森、緑が出てくるやつでしょ。
スピーカー 2
うんそう、ねじ巻き鳥クロニクルは。
スピーカー 1
渡、なんとか登るっての出てこなかった?
スピーカー 2
岡田通るじゃん。
あ、違う、渡谷登るだ。
渡谷登る。
あ、惜しいね渡辺登る。
スピーカー 1
惜しいね。
スピーカー 3
渡辺通るって言ってる。渡辺通るは俳優さんだよね。
スピーカー 1
先日ね、亡くなられましたね。
うん、そうだね。
ご冥福をご祈りします。
スピーカー 3
はい。
スピーカー 1
ということでね。
で、村上春樹を語ろうよ、今夜は。
スピーカー 2
うん、語ろう。
スピーカー 1
新作も出たことだし。
スピーカー 2
うん。めっちゃ分厚いね、新作。
スピーカー 1
あれでもさ、あれ別に上下とかじゃないでしょ。あれで一冊でしょ。
スピーカー 2
一冊なんだけど、すごい分厚かったよ。
スピーカー 1
でもねじ巻き鳥とかさ、3冊くらいになってなかった?確か。
なったな。
文句になってると、上中下とかね。
スピーカー 2
1984もなかったしね。
スピーカー 1
ねじ巻き鳥とかなんかさ、読んだときさ、あの、モノンハンだっけ?なんかモンゴルの。
スピーカー 2
モノンハン。
スピーカー 1
なんか川を剥ぐみたいな描写出てくるやん、なんかすごい。
スピーカー 2
うん、あったね。
スピーカー 1
うん。
あれ4年かけて描いたって言っててさ。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
今でもなんかその感想覚えてるんだけど、4年で描けるんだと思った。
うん。
スピーカー 2
ね。
あれはすごいよね、なんていうか。
すごかったね。
かなり調べて描いただろうねっていう感じは。
スピーカー 1
そうだね、そうだね。
意外とあとなんだっけ、国境の南太陽の西とかあるじゃん。
スピーカー 2
これある、これ覚えてないな。
スピーカー 1
怖いのよ、なんだかその話結構。
スピーカー 2
どんな感じなの?
スピーカー 3
なんか怖かったなーって感じ。
スピーカー 1
いやいやいやいやいや。
スピーカー 2
いやいやいや。
スピーカー 1
ね、でもなんか村上春樹も若い頃読んだけど、もう覚えてないね。
なんか好きだったやつある?俺あのカンガルービオリ好きだったよ。知ってる?
スピーカー 2
知らない。短編?
スピーカー 1
うん、カンガルービオリ。
スピーカー 2
知らないわ。
スピーカー 1
4月のある晴れた朝に100%の女の子と出会うことについてみたいな。
スピーカー 2
その書き出しは知ってんの?
スピーカー 1
そうそうそうそう。
スピーカー 2
書き出し?タイトル?
スピーカー 1
タイトルだね。
スピーカー 2
タイトルか。
うん。
まあちょっとなんか今読むと微妙かもしれないね、当時の。
スピーカー 1
でも短編めっちゃうまいなと思うよ。
うまーっと思った、読んでて。
なんか小説っていうそのフォームというか、アートの手法を信じてるんだろうなっていう感じがする。
小説にできることがあるっていうのをなんかすごい信じてるなって感じする。
スピーカー 3
なんか俺の中では小沢賢治と村上春樹が好きな人はすごいなんか重複率が高いような気がする。
スピーカー 1
なんかちょっと分析してよ。
スピーカー 3
中二病なんだけどオシャレっぽい。
スピーカー 1
村上春樹読んでなかったの?
スピーカー 2
読んでたよ。
スピーカー 1
なんかさ、俺らの頃ってさ、村上春樹って好きとか嫌いとかじゃなくて、抑えとかなきゃいけないみたいな感じあったよね。
そうだよね。
やっぱりその、存在が全然大きいっていうかさ。
スピーカー 2
なんか若い人と話して、村上春樹とか好きなんですか?とかって言われるんだけど、好きとか嫌いとかじゃない感じだったじゃん、もう。
スピーカー 3
村上春樹ぐらいは読んどかないとオシャレじゃないなっていう感じだったよね。
スピーカー 1
いやなんかさ、何だっけな、福田和也だっけ?なんかいるやん、文芸評論家みたいな。
スピーカー 2
福田和也はいたよね。
スピーカー 1
福田和也だ。
福田和也が、村上春樹は夏目漱石みたいなもんだからっつってて。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
それを真に受けて。
スピーカー 2
通るべきものってこと?
スピーカー 1
いやなんかその、日本語の文学っていうものを考えたときの存在感の大きさじゃない?
夏目漱石なんてお札になってるからね。
夏目漱石もなんか好きだったな結構。一時読んでたな。
スピーカー 2
あれちょっと通じるものがあるかもね。
スピーカー 1
そうだね、そうだね。
スピーカー 2
意外と愛だの恋だのの話してるしね。
スピーカー 1
愛だの恋だの。でもなんかさ、村上春樹ってやっぱりなんか海外の文学読んでるみたいな感じのさ、セリフの言い回しっていうとこだけじゃなくて。
スピーカー 2
いやそうそう、そういうとこも含めてちょっと小沢賢治とか。
スピーカー 1
気に入った。
スピーカー 2
小沢賢治っていうのはフリッパーズギターだから。
スピーカー 1
いやだからそこを結んでたのが柴田本幸だって話だよね。
スピーカー 2
ってなるよね。
スピーカー 1
後ろで全部操ってたのが結局柴田本幸だったっていう。
スピーカー 2
黒幕がね。
スピーカー 1
操ってたっていうよりかはそのなんていうの。
おしゃれなのがきつく叫ぶ。
アメリカ文学みたいなものが通想低音として流れているということですよね。
村上春樹で言うとさ、イエローページって知ってる?
スピーカー 2
知らない。
スピーカー 1
黄色い冊子の村上春樹研究本みたいのがあってさ。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
それ結構面白いんだけどさ、読んだことない?
スピーカー 2
ないです。存在も知らない。
スピーカー 1
那也を訳っていう話知ってる?
スピーカー 2
うん知ってる。映画化もされたじゃないかな。
スピーカー 1
ホタル那也を訳その他短編っていう文句になってると思うんだけど。
那也を訳ってどういう話か覚えてる?
スピーカー 2
あのー映画化されたやつだよね。
スピーカー 1
映画化されてたと思う。
スピーカー 2
韓国でね。
スピーカー 1
そう、そうかな?
うん。
スピーカー 2
それを見たよ。
スピーカー 1
なんかさ、那也を訳男が出てくるわけよ。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、なんか話の中でなんか女性とかもなんか出てきて。
で、那也を訳男はなんかこっそりと実は僕は那也を焼いてんですよという話をしてくれてさ。
で、次はここの那也を焼こうと思ってるみたいな話とかをするんだけど。
で、その話はちょっと前後するんだけど、そのイエローページ。
イエローページでいいのかな?分かんないけど。
黄色い表紙の村上春樹研究本の何冊か出てて。
で、それって作品をさ、いろんな角度から研究してこういう解釈もあるよね、こういう解釈もあるよねっていうのをやってるんだけど。
スピーカー 2
その那也を訳の話ってさ、結局何も起こらずにいつも通り女性がいなくなって終わるんだけど。
スピーカー 1
男性じゃなかった?
いなくなるのは女性。
那也を焼いてる人もいなくなる。
那也を焼いてる人もいなくなるし、彼と付き合ってた人だとか誰か忘れたけど、女性の登場人物もいて、その人もいなくなるんだけど。
スピーカー 2
で、その那也を焼くっていうのは実は女性を殺すっていうことのメタファーになってるっていう話をしてて。
スピーカー 1
で、それ、那也を焼くを読んだ子供がこの話実はすごい怖い話じゃないっていう話をしてて。
那也を焼くって言ってるんだけど、それは物理的に那也を焼くっていうことじゃなくて、女性を殺すっていうことを理由として表現してるんだみたいな。
っていうふうに見るともう完全にそういうふうに読めるのね。
村上春樹の多様な読み
スピーカー 1
で、そのイエローページって色んな作品についてこういう読みもあるよねとか、ここはこういうメタファーになってるよねとかっていう、そういうことがいっぱい出てきて。
さっきちょっと話した国境の南太陽の西かな?っていうのは赤と青っていうのがいつもキーカラーで出てきて、
で、ちょっとどっちがどっちだったか忘れたんだけど、なんか本斎と愛人みたいのがいるのよ。
愛人だか忘れられなかった女かわかんないんだけど。
で、どっちかがいつも青い服着てて、どっちかが赤い服着てるみたいなことなんだけど、
それがなんかこの青山通りでタクシー拾うみたいなとこが出てきたりして、
で、青山通りっていうのは、青山通りだったかな?ちょっと忘れたんだけど、東京の通りの名前が出てきて、
この通りは赤坂と青山をつなぐ通りなんですみたいな。
で、そこで赤と青っていうメタファーとそこがうまくつながって、
で、そういう読みもできるみたいな。
で、一つのテクストなんだけど、なんかそういう多様な読みについて開かれてるみたいなところで、
で、普通何にも起こんないじゃん、この小説って普通に読むと読めちゃうんだけど、
実はこれってここにすごい怖い対比構造が描かれてて、
これが読めるとこの話が普通にこう話を表面だけ読むのと違って、
いろんな読みができるっていうようなことが書いてあったんだけど、
書いてあるその黄色い本、それが面白かったよっていう話ね。
作品の深い分析
スピーカー 2
そういう、ある特定の人物というか作品というかさ、
それにめっちゃ詳しい人たちが寄ってたって考察したタイプの本、好きだよね。
スピーカー 1
あれ、俺?
スピーカー 2
うん。なんか小沢賢治でもそういう話してた。
スピーカー 1
でもなんかよくあるのはさ、なんだっけな、
夏目漱石の心あるじゃん。
あれも実はボーイズラブの話だとかっていう読みがあるよね。
スピーカー 2
ああ、そうか。女の子を撮られた話じゃなくて、男の子を撮られた話だったっていうことなんだね。
スピーカー 1
だったかな。ちょっと忘れちゃったんだけど、こういう読みもできるよねっていう。
スピーカー 2
そういうのって、なんていうか、結構いろいろあるじゃん。
それこそ窓川麻衣科の考察とかってすごかったけど、
たぶん、本当にそういう意図で作ったり仕込んだりしてるものもあれば、
そうじゃないものもあったりするっていうレベルに、
スピーカー 1
これはこういうあれじゃないかとか、これの伏線だったんじゃないかとか、
スピーカー 2
すんごい掘り下げてやってたけど、
村上春樹のやつとかはどうなんだろうね。
スピーカー 1
どうなんだろうね。村上春樹自体が言ってんのは、
どこまでが意図して書かれたか、どこまでが意図してないのかみたいなことはもう関係ないと。
テクストが書かれた時点で、そのテクストを書いた人間も含めて、
テクストに対して全員同じ状態にあるっていうような言い方を本人はしてるけどね。
スピーカー 2
かっこいい言い方だね。
スピーカー 1
かっこいいよね。
スピーカー 2
かっこいいよね。俺も作家だったらそう言いたい。
明かしちゃうと、ひょうざめなところもあるし。
どうでしょうね。ご想像にお任せします。もうつまんないしね。
スピーカー 1
意図して書いたかどうかは関係ないっていうことなんじゃない。
もう書かれてしまって、そういう読みが可能になった時点で、
それは書いてあるっていうことと一緒じゃんっていうことなんじゃない。
書いたかどうかと別で、読むことが可能だったって時点で、
そこに意図を持って書かれたかどうかと別にして、そういうメッセージが書かれているっていう。
スピーカー 2
浮かび上がっている以上は、
そう受け取った人にとってはそうなんじゃないのっていう。
スピーカー 1
そういうこと、そういうことっていうものなんじゃないですかね。
スピーカー 2
作家がそういう意図がなかったって言ったところで、
そんなことも全員読んだ。
スピーカー 1
意図があるかどうかは関係ないと。
そうそうそう。
風の歌を聴けの分析もめっちゃ面白くて、
風の歌を聴けってさ、すごい時間が全部明記してあるのね。
何月何日の、何年の何月何日の出来事だったっていう。
で、それをプロットしていくと辻褄が合わないとこが出てくるんだって。
で、それで分析してたのは、
これは全部が実際に起こったことじゃなくて、
こっからここのはある種異界っていうか、
現実で起こったことと、
予味の国じゃないけどさ、
そういう別の空間で起こったってことが書かれているから、
この時間軸に落とし込んだ時に辻褄が合わなくなってんだって。
辻褄が合わなくなっているところを辻褄が合うようにプロットしていくと、
ここの部分は実は同じ時間軸じゃなくて、
違う空間で起こっていることなんじゃないかみたいな、
そういう分析していってさ、面白いよね、そういうのね。
スピーカー 3
面白いけど、めっちゃ時間ある人だよね、その人。
スピーカー 1
ちょっとせっかくだからその本を紹介しようかな。
文芸評論の価値
スピーカー 1
村上春樹、イエローページですね。
まんま。
スピーカー 2
何冊か出てるな、これ。
スピーカー 1
そうだね、何冊か出てた気がする。これ面白かったですよ。
加藤さんのやつですね。
パート2もあって、あんま構造がわかんないな、全体の。
なんか文庫にもなってたりするからね。
村上春樹の本だけ読んで、何が面白いんだろうってなったら、
このイエローページも一緒に当たると、なるほどと。
スピーカー 2
だから今の時代、そこまで時間をかけて読み込むっていうことがね、
なかなか難しいよね。
スピーカー 1
あれ読んだ?羊を巡る冒険。
スピーカー 2
いや、その辺はね、全部読んでるはずなの。
スピーカー 1
読んでるよね。みんな読んでたもんな。みんな読んでたよね。
羊を巡る冒険もさ、長いお別れみたいな感じでさ、
探偵モノみたいな感じの構成になってるじゃん。
構成になってるんだけど、北海道に羊探していくみたいなさ。
で、それで探偵モノで次どうなるんだろうってどんどん読ませるんだけど、
最後にいきなり羊男みたいなさ、ファンタジーみたいのが出てきて、
普通に読んでると、え?ってなるのね。
なんかこう、いきなり魔法みたいのが出てくるみたいなさ。
え?みたいな。
これリアルな小説だと思ってたら、急にそういうファンタジーみたいなの出てくるから。
スピーカー 2
羊とかネズミとかね。
スピーカー 1
そうそうそう。なんやろうなと思ってたら、
計算された空転みたいなことを書いてて、イエローページに。
未だに計算された空転っていう、すげえ言葉だなと思うんだけど、
ここで、わざとはしごを外しに来てるんですよ、みたいなことを書いててさ。
スピーカー 3
なるほどと。
スピーカー 2
そういう分析する人すごいよね。
スピーカー 1
すごいよね。だから文学部みたいなことなのかな。
スピーカー 2
多分、それこそ作者が意図してないようなこととかもいろいろはみしてさ。
ものすごいくだらない作品も、そういう人がやろうと思えば、
めちゃくちゃ価値のある作品に仕立て上げられるんじゃないかって思ったりもするから。
俺が小説を書いた暁にはそういう人に肉付けほしい。
スピーカー 3
計算された空転って言ってもらえたら、そういうことかみたいな。
スピーカー 1
アメリカだと、作家の方は定学歴とは言わないんだけど、
作家より批評家の方がインテリなんだって。
作家は自分で一時的に物を作る人じゃん。
スピーカー 2
思うままにね。
スピーカー 1
クラフト、自分の思いで作るっていう。
批評家の方はいろんな知識を知ってて、いろんなインプットしてて、
じゃないと分析できないからっていうような構造になってるって聞いたことあるけどね。
スピーカー 3
そう思うわ。
スピーカー 1
村上より短編がめちゃめちゃうまいよね。
東京奇談集かなの、ハワイのどっかで息子がサメに足食われて死んじゃって、
その遺体を引き取りに行くっていう話があるんだけど、
幸っていう女の人。
それとかもうむちゃくちゃうまいなーっていう感じしたけど。
スピーカー 2
うちの本棚にはあるけど、覚えてないなー全然。
スピーカー 1
うまいなーと。
だからそうだね、その辺は本当にめちゃめちゃうまいなって感じするし、
カンガルー日和とかはある種、終作みたいな感じだから、
小澤賢治で言うとフリッパーズ時代の作品とかを見てるみたいな感じするよね。
スピーカー 2
あの辺りの初期のやつは。
なんかさ、家に本棚とかあるじゃん。
昔買った小説とかいっぱいあるんだけどさ、
それをなんか手に取って読み返すことなんてないと思うのよ。
なくなったよね。
スピーカー 1
っていう時にさ、あれいるのかなと思って。
スピーカー 2
あのね、俺子供できた時に全部実家に送ったよ。
実家に送るね。
それって一時的な、どうせより読まなくなるだけじゃん。
スピーカー 1
なんかさ、でもなんだろうな、こう何回か引っ越しを繰り返しながらさ、
それでも手元に残ってる本たちってあるじゃん。
で、それはなんかさ、なんだろうな、
アイデンティティの一部みたいなもんだと思うわけですよ。
そうだよねー。
スピーカー 2
全部じゃないまでも結構あるから、
もうちょっとフィルタリングしてもいいかなと思うんだけど。
スピーカー 1
俺だからその、結婚して子供できて、
部屋バンって借りる時に一人暮らしのところから映る時に結構フィルタリングして捨てたのと、
あとこれはもう絶対捨てられないなというやつはまとめて実家送ったりとか、
その中のほんと一部は今の部屋持ってきたりとかしてるね。
スピーカー 2
その選びに、選び抜いた本とは何なの?手元にあるやつは。
スピーカー 1
でも文学結構好きだったから、
なんだろうな、それこそ柴田基行さんの翻訳したやつとかをさ、
愛の見切り発車っていうね、本があって、
ブックガイドみたいなのがあって、
なんかさ、俺そういうガイドみたいなの結構好きなのよ。
一冊持って。
そうそう、それを買って、いろんな紹介してるからそれ見ながら読んでいくっていうさ。
スピーカー 2
文芸レアグルーブとか流行ったな。
スピーカー 1
そうだね、だからその辺、知ってる知ってる、聞いたことある。
なんかさ、レコードディグルみたいなカルチャーとちょっと近かったのかもしれないね。
スピーカー 2
そうだね、百年の孤独っていうやつもあって面白かったよ。
スピーカー 1
なんか俺もそれ持ってる気がするんだ、誰だっけ?誰とかじゃないんだよ。
スピーカー 2
誰っていうかそのブックガイドだよ。
スピーカー 1
ブックガイドか、百年の孤独読んだ?
スピーカー 2
読んだよ。
スピーカー 1
なんかさ、最近のやつってさ、もう掛け絵図ついてたりするよね。
スピーカー 2
ついてたと思う。でもついててもわけわかんない。全部同じ名前だからね。
スピーカー 1
あのさ、池沢夏樹さんがさ、池沢夏樹でよかったと思うんだけど、
世界文学全集っていうのをカバーでから出したんだよね。こんな分厚い。
村上春樹と文学の影響
スピーカー 1
そのシリーズは結構好きで、そこにさ、今時世界文学っていうのが存在するのかどうかみたいなことも含めて、
本当に世界の中でこれ読むべきだっていうマスターピースを、
一つの地域に限定せずに集めるみたいな全集だったんだけど、
その中にもちろん百年の孤独とかも入ってたと思うんだけど。
スピーカー 2
あれでしょ、ブックカバーのデザインが上半分ベタな色面になってて、
下半分絵になってるみたいなあのシリーズだよね。
スピーカー 1
前編色じゃなかったっけ?下半分絵になってたっけ?
スピーカー 2
上がビビッドな色で、下がなんかそれぞれの色。
スピーカー 1
そうそう、ビビッドな色だった。
スピーカー 2
絵があった気がする。ピンクとか緑とか。
スピーカー 1
そうだね。あれで楽園への道とか読んだな。あとなんだっけ。
スピーカー 2
バインランドとかそれで読んだ。
スピーカー 1
青山みなみが役してた、オンザロードだ。オンザロードとか。
スピーカー 2
ケルアック?
スピーカー 1
そうそうそうそう。
スピーカー 2
まだその辺もだから村上春樹やら柴田本幸やら界隈っていう感じあるよね、日本では。
文学賞と新作
スピーカー 1
そうだね。まあ柴田本幸で言うとあれじゃない?やっぱなんだっけ。
ゴースト、幽霊たちとか。
ポール・ウォースター。
ニューヨーク三部作の。この間もこの話したな。
ポール・トマス・アンダーソンじゃなくて。なんだっけ。
スピーカー 3
ポール・ウォースター。
スピーカー 1
ポール・ウォースター。ポール・ウォースターね、孤独の発明ってやつがすごい怖くて好きだった。
スピーカー 2
それ読んでないかもしれない。わからんな、覚えてない。
こんなさ、読んだかどうかも覚えてないものって読んだ意味あったんだろうかね。
スピーカー 1
あったんじゃない?
スピーカー 2
何かにはなってんのかな。
スピーカー 1
何かにはなってると思うよ。
スピーカー 2
そうかな。だと信じたいね。
スピーカー 1
てかさ、よかったよね。やっぱ若い時にそうやって背伸びして読んだりするのすごい大事だなと思うけどね。
スピーカー 2
だったかもしれないし、何の意味もなかったかもしれないけど。稲中卓球部だけ読んでても同じだったかもしれないけど。
スピーカー 1
だからさ、村上春樹で言うとさ、カート・ボネガットだっけ?とかの漢字がすごい強いじゃん、初期のやつとかって。
で、一番、風の歌を聴けだけさ、英語で出してないもんね。日本だけでしょ。
そうなんだ。
何かね、あったんだけど、何かすごいこう日本で発売する用のやつだけだった気がする。
いやいやいや。
スピーカー 2
日本文学から世界文学について熱く語る会話ぐらいで大丈夫ですか?
スピーカー 1
池沢夏樹さんもよかったよね。
スピーカー 2
あんまり俺、なんか池沢夏樹さん個人のなんかアイデンティティというか、存在を強く感じたことがないんだけど。
スピーカー 3
なんかね、俺、君のための薔薇だっけな。君のための薔薇っていうのと、あと芥川賞取ったやつ。
スピーカー 2
池沢夏樹って芥川賞取ってるんだ。
スピーカー 1
取ってると思うね。君のための薔薇よかったよ。
まあよかったけど、なんかめちゃめちゃ上手いかっていうとそんな感じでもないから。
スピーカー 3
読んだことないかもしんない。この人の人生。
スピーカー 1
あとね、ハワイ気候って言って、ハワイの歴史とかをね、書いたやつがあって、それもよかったですよ。
スピーカー 2
スティルライフね。
スピーカー 1
あ、スティルライフだ。スティルライフは読んだね。スティルライフさんはもういかにも芥川賞取りそうな、その年代の頃に。
スピーカー 3
いかにも芥川賞取りそうな作品は俺結構好きだけどね。
スピーカー 2
結構読んでるよ。最近も芥川賞取ったもの。
スピーカー 1
あ、ほんと?
スピーカー 3
うん。
スピーカー 1
なんかでも読まなくなったな。読まなくなったね、俺は。
あの文芸春秋に載るじゃん。伝聞。取ったとき。
スピーカー 2
割と毎年買ってる。
スピーカー 1
あ、ほんと?
最近だと何がこう有名なの?
スピーカー 2
何年か前だけど、コンビニ人間とか。
スピーカー 1
あ、コンビニ人間ね。
スピーカー 2
うん、すげー得意だった。
スピーカー 1
本買ったけど読んでないわ、それ。
スピーカー 2
あ、ほんと?
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
気持ち悪い面白いよ。
スピーカー 1
なんかさ、こう、日本文学のさ、なんかこう、なんだろうな、謹慎勾配感っていうかさ、なんかこう、狭いところでやってる感じがどうしてもあるよね。
スピーカー 2
いや、あんまり俺そんな文学を知らないから。海外文学はそうじゃないのかとかって言われると。
スピーカー 1
そうだね。なんかさ、なんだろうな。やっぱりなんかこう、違う言語とか違う文化に開かれてないと、なんか新しいものも出てきづらいのかなーって思ったりするけどね。
スピーカー 2
アメリカ文学からは新しいものがバンバン出てきてんの?
スピーカー 1
アメリカ文学自体が新しかったんじゃない?日本人にとって。
スピーカー 2
アメリカ人にとっては。
スピーカー 1
知らない、それは。
だからさ、日本文学も、なんかフランス人とか読んだらすげーみたいになるのかもしれないね。
スピーカー 2
まあそうだよね。
スピーカー 1
こんなところに宝の山が、みたいになるのかもしれない。
スピーカー 2
だってアカデミー賞とかもね、最近ちょっとさすがに変わってきたけど、ずっと閉鎖的なおじいちゃんたちが、白人のおじいちゃんたちが決める賞だみたいな感じで。
スピーカー 3
だからどこの業界もそうなんじゃないですか。
スピーカー 1
そうね。あと堀江俊幸さんとか好きだったけど、日本文学で言うと。熊野敷石で芥菓子を取ってる気がするけど。
スピーカー 2
穂坂和志とか。
スピーカー 1
穂坂和志ね。穂坂和志はプレーンソングですよ。
それだとカンバセーションピース。穂坂和志って読むとさ、自分も小説書けるんじゃないかと思うよね。
スピーカー 2
なんかあれだよね、小説入門みたいな本出してるよね。
スピーカー 1
そうそう書きあぐねている人のための小説入門みたいなやつじゃなかった?
スピーカー 2
それもうちにある気がする。
スピーカー 1
読むよな、あれは絶対。
書けるかもしれない。
スピーカー 3
穂坂さん、思うよね。
スピーカー 1
穂坂さんの小説感みたいのってやっぱりちょっと面白いよね。
小説を読んでる時間の中にしか小説なんて存在しないんだみたいな話とかさ。
読まなくなったよね。
俺、穂坂さんの講演会行ったことあるんだよね。大学時代に。
スピーカー 2
どうだった?
でね、質問したのよ、俺その時、穂坂さんに。
スピーカー 1
で、穂坂さんのホームページか何かにその講義録みたいので載っててさ。
俺の発言も載ってたよ、ちゃんと。
スピーカー 2
爪痕残したね。
スピーカー 1
爪痕残したよ。
何の質問したの?
穂坂さんがその時出してた本が別の作家のタイトルとすごく全く一緒だったのね。
で、穂坂さんってセーブって企画やってたの、昔。
スピーカー 2
セーブ?
スピーカー 1
そう、デパートって言うか百貨店のね。
スピーカー 2
企画?売り場とかの?
スピーカー 1
あのね、これは俺らも微妙にその世代じゃないんだけど、セーブがその文化のさ、中心だった時代があるわけよ。
スピーカー 2
あることかね。
スピーカー 1
そうそうそう。で、そういう時代に、例えばわかんないけど、アンディ・ウォーフォルの企画展やろうとか。
多分そういうこと、なんかイベントをやったりとか、カルチャースクールやったりとか、多分そういうことをやってたと思うんだけど、
30過ぎぐらいで、そっから小説家に移ったみたいなことだと思うんだけど、
その企画やってた時代に一緒にやってた作家のタイトルと全く同じ本出してたからさ、これなんか影響を受けてるんですか?とかって聞いたら、
関係ないですって言われたっていうのはね。
スピーカー 3
それは関係あるかどうかは、その作品が世に出た時点でっていう話にはならなかったんだ。
スピーカー 1
いや、なんだろう、すごく尊敬してたみたいだから、なんかこう、影響を受けたのかなと思ってたんだけど、もうその作家のことはあんまり好きじゃないみたいな。
スピーカー 2
あ、そう。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
どの作品だろうな。
スピーカー 1
それね、橋本さんなんだけど、橋本さんの生きる喜びっていう本があって、
生きる喜び。
で、細川さんの作品にも生きる喜びっていうのがあるのね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、その、なんかこうタイトル一緒じゃないですか?みたいな、なんかちょっとこうインスピレーション受けたとか、なんかそのあるんですか?みたいな、そういう話したら、
いや、もうあんま関係ないし、もう橋本さんはあの時こういう発言してからちょっと僕はどうかと思ってますみたいな話してて、はぁーみたいな。
いい質問難しいね、するのもね。
いい質問難しいよね。
スピーカー 2
いい質問だねって言うのは簡単だけどね。
スピーカー 1
ね、簡単だったら言ってほしいよね。
うん。
いやいやいやいや、でもまあ本、あとSFとかも好きだったな、なんかハードSFみたいな。
だからギリ3体読んでないんだよね、俺。
スピーカー 2
ああ、だからそれで言うと俺一番直近で読んだの3体だわ。
1冊目しか読んでないけど。
スピーカー 1
だから3体が出た頃にはもう俺の視力が読書に耐えれなくなってたっていう。
スピーカー 2
なるほどね、オーディブルで聞くしかないね。
いやだからなんかね、若いうちに読んどいた方がいいですよね、本2のはね。
そうだね。
スピーカー 1
でもSF好きだったな、結構。
SF割とあれだね、大人になってからいろいろ読んだね。
そういう感じですかね、小説界は。
スピーカー 2
パンパンとした回になったね。
スピーカー 1
そう?なんか90年代プレイリストみたいな回じゃない?
スピーカー 2
あったあったみたいなさ。
そんなにあったあったでもないしな。
スピーカー 2
やっぱり歌のようにはこうなんていうか、再生されないというかね。
そうだね。
スピーカー 1
どんな内容だっけ、ああそうだったかもなーぐらいの感じだもんね。
確かにね。
スピーカー 2
俺あれ好きだったわ、伊藤山明子。
スピーカー 1
わかんないわ。
伊藤山君わかんない?
伊藤山明子はね、海の仙人っていうのがあるんで、もうこれを読んでもらったら抜群ですね。
そうか。
あのね、美しいんですよ、すごい伊藤山さんも。
スピーカー 1
伊藤山明子。
スピーカー 2
伊藤山さんの作品もね。
スピーカー 1
この糸がね、糸を2つ並べて糸って読むんだねこれね。
スピーカー 2
そうそうそうそう。
伊藤山の糸。
すごいねこれね、1個でも同じ読み方なのに2個並べるんだね。
スピーカー 2
知らんかった。
スピーカー 1
It's Only Talkだっけな、そんなあったよね、デビュー作かな。
スピーカー 2
作品一覧はIt's Only Talk、これがデビュー作だね。
スピーカー 1
そう、それ出たから文学界の新人賞かなんか取って。
で、そうね、海の仙人は何か取ったのかわかんないけど、俺はそれが一番好きだな、綺麗で。
すごいビューティフルですよ。
小説ね。
で、最近ちょっとね、小説の話出たからちょっと考えてることがあって。
AIと小説執筆の可能性
スピーカー 1
文学界の新人賞が9月?10月?その辺だと思うんだけど、で、あと群蔵もあるじゃない?
これさ、チャットGPTに書かせて取れないかね。
スピーカー 2
そう、同じこといろんな人が考えてると思うけど。
スピーカー 1
で、俺応募横読んだのよ。
そしたらAIに書かせちゃいけないとは書いてなかったね、少なくとも。
でもさ、多分、なんだろうな、どうなんだろうな。
最終的に自分で書いた方が早いってなんのかな。
スピーカー 2
どこまで監修するかって話もあるね。
スピーカー 1
それこそプロンプトエンジニアリングが問われるんじゃない?
スピーカー 2
そうだよね。
スピーカー 1
GPTの3.5だともう使い物にならなかったんだけど、4だと結構書かせられる感じがするんだけど。
でもあんまり文学的な表現にしてくださいって言ったらそれっぽいの出てくるんだけど、
それを文学的かどうか、素敵かどうかって判断するのって人間じゃん。
だからグッとはこないんだよね。
派手な表現にはなってるんだけど、その派手さが人の心を動かすように設計されてるかっていうと、
そういうわけでもないなっていう、そういう感じだったね。
スピーカー 2
なんかそれで本当に審査員が票入れるような小説書けるんだったら、それこそ小説家いらなくなるかもね。
スピーカー 1
そうだね。
スピーカー 2
それを読めばいいっていう。
スピーカー 1
そうだね。
でもさ、チャットGPTとね、これ本当かどうかわかんないんだけど、よくできた話だから話半分に聞いてほしいんだけど、
こうやってAIが何でもできる時代になったと、
石国家試験も受かるし司法試験も受かると、みたいな時にね、
人間は何を学んだらいいと思いますかっていうふうにAIに聞いたんだって。
スピーカー 2
誰が?
スピーカー 1
誰かが。
おとぎ話、AIおとぎ話だと思って聞いた。
わかりました。
AIおとぎ話ね。
AIに聞いたんだって。
もうさ、そういう論理的な思考とかさ、
順列組み合わせみたいなことだと人間にかなわないわけじゃん、AIに。
そんな時に、じゃあ人間は何勉強したらいいんですかって聞いたら、AIが文学だと。
人間は文学をこれからに真摯に向け合うべきだと言ったと言うね。
本当かうそかわかんないですけど。
スピーカー 2
なぜですか?
なぜ文学なんですか?
スピーカー 1
だからその人間の心の合理性とか存得とか、そういうことで消化できない部分が文学っていうところに詰まってるんじゃないかと。
スピーカー 2
だったら一発ギャグでもいいみたいな話になる?
スピーカー 1
一発ギャグでもいいんじゃない?
何かこう効率性とか何かの役に立つとかね。
いうことじゃないこと。
村上春樹の作品
スピーカー 1
例えば経済を学んで、そうすると就職がうまくいくとかそういうことじゃないわけじゃん。
哲学を学ぶとか文学を学ぶとかって。
そもそも役に立つとはどういうことなのかとか、そういうことをやるわけじゃないですか。
スピーカー 2
そうだよね。
本当、昔の貴族に近づいてくるんですね。
スピーカー 1
なるほどね。
我々は数学やって詩を読んでればいいと。
それさ、あれに出てくるよね。
また村上春樹の話に戻るんだけど、風の歌の機嫌の一番最初に出てきて、
あの冒頭がやっぱ素晴らしいんですよね。
新しい作家が生まれるなっていう態度を感じさせる風の歌の機嫌を最初のね。
文学っていうのはギリシャにしか存在しないみたいな話でさ。
奴隷が仕事をしてる間にやるもんだと。
だけど僕はこれをジャズバーやってたじゃん。
ジャズバーの店が終わった後のキッチンで書いてると。
スピーカー 2
自分語りから始まるのか。
スピーカー 1
そうそう。
あのさ、やっぱり一人称なんだよね。
一人称小説じゃないかな、風の歌の機嫌って。
フィクションに入ってく時の語りがさ、まず自分語りみたいなのから始まって、
そこからフィクションに入ってくから、すごい小説読み慣れてなくても読みやすいっていうか。
三人称とかだといきなりお話になっちゃうから、
まずそこのフィクションに入ってくってことがすごく一つハザードになるよね。
孤独の発明も一人称なんだよね。
スピーカー 2
小説の二人称ね。
スピーカー 1
あの頃村上春樹が三人称になったのってどこからだっけ?
スピーカー 2
三人称だっけ?後半。
スピーカー 1
いや、どっかからなったよ。
えっと、僕じゃない。僕、主人公が。
僕って言ってる時点で一人称じゃん。
風の歌の機嫌も一人称だし、ピンボールも一人称でしょ。
スピーカー 2
なんか一人称のイメージがすごいある。
スピーカー 1
一人称だよね。
羊だっけその後。羊も一人称か。
スピーカー 2
わからん。
スピーカー 1
全然なんか話だからどんどん思い出してくる。
回転木馬のデッドヒートも面白かったね。
覚えてないわ中身。
なんかね、やっぱ短編結構好きかもしれないな。
あ、でもそもそもさ、なんかあの風の歌を聴け自体がさ、
そういう扱いになってんじゃん。
断章になっててさ、すごく細かく章が分かれてて、
いきなりアフロリズムみたいなのがポンと投げ込まれるみたいなさ。
あれもさ、風の歌を聴けもさ、
俺も小説書けるかもと思うよね。
あれ読むと。
そうそうそうそう。
スピーカー 2
薄いしね。
スピーカー 1
薄いしね。
スピーカー 2
本が。
確かに短編集もいろいろ読んだな。
パン屋最終劇とかテレビピープルとか懐かしいな。
全部うちにあるはずだけどな。
何にも覚えてない。
スピーカー 1
トニーたきたにってなかったっけ?
あ、あったね。
スピーカー 2
それは映画化もされたやつじゃない?
スピーカー 1
そうだね。
スピーカー 2
確か。
スピーカー 1
でもなんかテレビピープルとかあんまり上手くいってなかった気すんだ。
スピーカー 2
いや、結構好きだった気がする。
スピーカー 3
あ、ほんと?
スピーカー 1
うん。
なんかそう、だから、その風の歌を聴けの冒頭で文学っていうのは本来は奴隷が働いてる間によかでやるもんなんだけど、
僕がやってんのが文学って呼べるかどうかわかんないけどとかっていう話とかさ、
あと自分が語れることがいかに少ないか。
例えば象については語ることができるかもしれないけど、象使いについては語れないかもしれないみたいなさ、話がね、美しいですよね、あれも。
スピーカー 2
今読んだらどう思う?
文学の深い意義
スピーカー 1
今読んだら、昔読んだよりもわかるんじゃない?
スピーカー 2
そうだよね、たぶんね。
スピーカー 1
ノーベル賞取りますかね?
あれ毎年言われてるでしょ?
めちゃめちゃ欲しいと思うよ。
スピーカー 2
欲しいかね、ノーベル賞とか。
スピーカー 1
いや、めちゃめちゃ欲しいと思うよ。
スピーカー 2
そう?そんな名誉な感じある?
スピーカー 1
いや、なんかね、割と小説家としてその小説世界を広げるとともに、
小説家っていうものとしてどれだけパワフルに生きていけるかみたいなことをすごく考えてるなって感じがして、
日本以外の市場をどうやって取りに行くかみたいなのもすごい戦略的だったりするし、
ノーベル賞も。
スピーカー 2
いや、もう売れてるじゃん、十分。
割とあんまり文学者っていうよりは娯楽文学として売れてるみたいな話を聞くけど、
もう有名じゃん、国際的に。
スピーカー 1
お墨付きが欲しいんじゃないですか。
スピーカー 2
博をつけたいのかな。
スピーカー 1
博というか、博というかなんていうのかな。
自分がやってきたのは文学だったんだっていうね。
なんかいろんな論争があるじゃないですかね、村上春樹も。
アンチも多いし。
スピーカー 2
文学界の最高峰の賞っていうのはノーベル文学賞なのかな。
ノーベル文学賞じゃない?
スピーカー 1
ゴブディランに挙げたりしてるからね。
ゴブディランってさ、そんなにすごいのかね。
すごかったね、最近も来日してたね。
スピーカー 2
なんていうの、分かんないけど、
スピーカー 1
俺ら日本人だから分かんないんだけど、
彼が書いたテクストっていうのがさ、
ものすごい高みに達してるっていう風に思うのかな。
ボコボコじゃないからいまいち分かんないんだよね。
スピーカー 2
何年か前にフジロックに来てたから見たんだけど、
昔の名曲とかもやるんだけど、
構成から歌い方から全然違う感じで、
なんていうか、その曲か分からないぐらい崩してるのよ。
サビで聞こえてくる歌詞とかで、
ああそうかも、あの曲だったのかみたいな感じになってて、
すごいなと思って、変態だなと思って。
それどう思った?
いやもう何回だなと思った。
別にキャッチーになってるわけじゃなくて、
むしろアンキャッチーになってるというか、
スピーカー 3
キャッチーさを消しにいってんじゃないかなっていうぐらいの
スピーカー 2
アレンジになってたりとかして。
俺さ、小沢賢治で言うとさ、
スピーカー 1
天使たちのシーンが一番好きなんですよ。
めちゃめちゃ好きなんだけど、
なんかライブ行った時に、
なんか違う歌い方してて、
ちょっと怒ったもん、俺。
コランス。
良くないぞって。
スピーカー 2
良くないぞっていうか、
なんかさ、もうCDで向き合ってさ、
スピーカー 1
俺の中だけでもう天使たちのシーンの世界ができてるわけよ。
ものすごく美しい。
それを勝手に、
そんな外して歌わないみたいな。
俺の天使たちのシーンを。
そうそうそう。
スピーカー 2
いやだからさ、テキストっていうのはさ、
スピーカー 1
世に出た時点でね、
全ての人は遠距離なわけですよ。
いやでも分かる分かる。
スピーカー 2
でもボブ・ディランはもう、
そういう歌い方が違うとかっていうレベルじゃなくて、
もうなんだか再構築してる感じなんだよね。
再構築というかバラシバラシというか。
なるほどね。
脱構築というか。
スピーカー 1
そうそうそう。
スピーカー 2
すごいなあ。
そんなとこですかね。
スピーカー 1
いやいやいや。
スピーカー 3
天使たちのシーンいいですよ、音楽。
スピーカー 2
分かる分かる。
特にやっぱり深い小沢賢治ファンは、
天使たちのシーンを愛する傾向が強い気がするね。
俺調べ。
天使たちのシーンと、
スピーカー 3
あと犬は吠えるがキャラバンは続くの、
スピーカー 1
ライナーノーツね。
今ないんですよ、ライナーノーツ。
ライナーノーツって買うとさ、
書いてるじゃんCDの。
CDに入ってるやつね。
スピーカー 2
貸しカード。
ライナーノーツ貸しカードと一緒に、
スピーカー 1
なんかね文章があるの。
その文章がすごい若書きって感じがして、
今ね、今再販されたやつに入ってないのそれ。
それは小沢賢治が書いてるの。
スピーカー 2
書いてる。
評論家とかじゃなくて。
スピーカー 1
自分で書いてるんだけど。
自分で書いてて、
そのなんか曲の説明とかじゃなくて、
もう文章なの。
でそれがね、すごいね、
美しいんですよね。
スピーカー 3
でその、
スピーカー 1
それが多分好きだと思う。
深いファンは。
スピーカー 2
さっきの話で言うとね。
スピーカー 1
サブスクないのよ。
天使たちのシーン。
あーそうかもね。
スピーカー 2
サブスクなくて、
スピーカー 1
そうそう、ハットリ、
ハットリなんとかさんっていうのが、
あの、
えーと、
村上春樹の文学と音楽
スピーカー 1
オーケストラバージョンにしたやつがあって、
天使たちのシーンを。
ハットリたかやきだね。
これもね、いいんですよ。
スピーカー 2
それ歌は、
小沢賢治が歌ってるの?
スピーカー 1
いや入ってない歌。
スピーカー 2
あ、もうオーケストラで編曲したりするの?
そうそう。
いいね、そういう人が作った曲を、
演奏するだけだって。
スピーカー 3
フフフ。
スピーカー 1
このアレンジいいなと思ってね。
なんかもう歌がいらないってとこまで来たんだなと思って。
なるほど。
スピーカー 3
はい。
スピーカー 1
じゃあちょっとこれは、
スピーカー 2
こんなところで。
スピーカー 1
これちょっとアレだけ、
まだ切らないで。
あの、タイトル決めようよ。
分かった。
タイトル決めましょうよ。
スピーカー 2
こだわりありそうだから。
フフフフフ。
スピーカー 3
風の歌を聞けから、
スピーカー 2
裏髪。
俺の話を聞け。
スピーカー 1
裏髪貼って入れた方がいいのかな。
フフフフフフ。
スピーカー 3
風の歌を聞け、
スピーカー 1
というか俺の話を聞け。
スピーカー 2
フフフフフ。
スピーカー 3
いいんじゃない?割と。
いやもうせっかく美しい、
スピーカー 1
こう文学の話してたんだから、
もうカッチョイイセンスのいいタイトル付けてくださいよ。
でもさ、あんまりさ、
センス良すぎると聞かれないよね。
スピーカー 2
いや、そうそう。
スピーカー 1
センス良すぎるとっていうか、
うーん、澄ましてるとね。
俺の話を聞けとか言うと、
スピーカー 2
タイガー&ドラゴンかなって思う人もいるからね。
クレイジー鍵盤とかなって。
俺の話を聞けとか言うと、
スピーカー 1
俺の話を聞けって、
もう聞かない感じになりそうだよね。
でも村上春樹とか入れとけばいいんじゃないの?
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
ホイホイなんじゃない?
スピーカー 2
おじさんホイホイ。
スピーカー 1
おじさんホイホイ。
スピーカー 2
サブカルおじさんホイホイ。
スピーカー 1
サブカルおじさんホイホイで。
で、サブカルおじさんがこの辺りまで聞いて、
クッチクショーってなんじゃない?
俺のことかーって。
フフフフフフフフフ。
俺のことだったのかーってなって。
スピーカー 2
お前のことだって。
スピーカー 1
感じですかね、今回は。
一回切りますかね、これで。
フフフフフ。
50:09

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