台湾の探偵小説、「台北プライベートアイ」を読んだ感想を話しています。ネタバレしています。
サマリー
「台北プライベートアイ」は、ウーチェンという私立探偵が台北で発生する連続殺人事件に関わり、冤罪を晴らそうと奮闘する物語です。この作品は台湾の社会的背景や文化を反映し、シニカルな視点で描かれています。このエピソードでは、探偵小説『台北プライベートアイ』を通じて、台湾の風景や文化に対する独自の視点が探求されます。また、主人公のコミカルなキャラクターや探偵としての葛藤、ストーリーの進行方法も紹介されます。台北における監視カメラ社会の独特さと、その中で繰り広げられるミステリーが描写されます。主人公の物語を通じて、弁護士や警察官など多様なキャラクターが交錯し、犯罪解決に向けた葛藤や人間関係が鮮やかに表現されています。このエピソードでは、主人公の内面の葛藤や社会への不満が描かれ、現代日本の問題点に共鳴する様子が語られています。
物語の概要と背景
じゃあ、今回は、「台北プライベートアイ」という本を読んだ感想をしゃべっていきます。
はい。
じゃあ、あらすじから読んでいきます。
これは、僕らは文春文庫で読みました。オリジナルが台湾ですね。
はい。
台湾で2011年出版されて、で、日本でもそのすぐ後ぐらいかな。
いや、アマゾンで見ると、単行本は2021年。
そんな最近ですか。
はい。
一応、文庫が2024年、去年ですね。に出て、文春文庫で読みました。
じゃあ、あらすじからいきます。
台北プライベートアイ、劇作家で大学教授のウーチェンは、50歳を前に全てのしがらみを断ち、路地裏に私立探偵の看板を掲げる。
台北中を侵犯させる連続殺人事件に巻き込まれた素人探偵は、自らの冤罪を晴らすため、自力で真犯人を見つけ出すと誓う。
シニカルかつ哲学的なモノローグ、台湾らしい蝶々発誓の会話で読ませる。
歌文ネオハードボイルドの決定版。中華文学の歌文って言うんですかね。わからないですけど。
そういうあらすじでした。これが文庫版の裏のあらすじを見ました。
僕は結構勘違いしてたんですけど、もっといろんな次元がある本やと思ってました。
短編集。
そう、短編集というか連作みたいな。
はい、シャーロックホームズもそういう形で出てます。
結構分厚いから、いろんな次元が収まってんのかなと思ったら、2つでしたね。
そうですね、大きく2つですね。
だから、細切れに読むと忘れてしまうんで、続けて読んだほうがよかった本でしたね。
でも、僕が今回選んだんですけど、
これが僕はトランジットっていう旅行雑誌の台湾号に載ってて、
その台湾を知る文学というか小説みたいなの載ってたんで、それで知って買いました。
で、ちょっと旅行する予定があるんで、その前に台湾のこと全然僕は知らないんで、
台北どんなんかなと思って、知ろうと思って読んだとこもあります。
台北も行く予定なんですか。
台北だけですね。
台北だけですか。
はい。だからちょうどいいかなと思って。
そうですね。
思いっきり台北だけが舞台なんで、今回台北ちょっとハズレも出てくるの。
ちょっとドライの。
この本の舞台が2010年頃ですね。
台湾の文化と抑圧
で、本書かれたのが2011年なんで、その当時を描いた本。
2010年頃やからもう15年ぐらい前の台湾、台北が舞台になってて、
僕が2013年ぐらいに海外に行って、台湾の人と知り合ったりとか、よくしゃべったりとかしたんですけど、
当時確か台湾めっちゃ景気悪かったんですよね。
僕の記憶やと、2010年代とかはすごい給料安いって言われてた時代やったと思います。
台北が給料安い割に土地代がめっちゃ高いみたいな賃料とかが、だからすごい生活しんどいみたいな話は聞いてたなって。
今どうなんかあんま知らないんですけど、台湾の企業今、TSMCっていうのがめちゃめちゃでかくて、
台湾全体を引っ張ってるぐらいの。
TSMCって半導体のやつ?
そうですそうです。だから当時そんなあんま聞かへんかったなと思って。
最近、AI以降に余計出てきたんでしょうけど、今TSMCは時価総額の世界ランキングとかでもかなり上位でしてたと思います。
設立は87年ですね。
会社自体は前からあるんですけど、そんな世界の何位とかになるほど、今10位ですね、世界で10位。
1位NVIDIA、2位Apple、3位Microsoft、4位Alphabet、Googleですね。
5位Amazon、6位Broadcom、7位サウジアランコ、8位Meta、9位Teslaでその次です。
IT産業でかなり伸びたんでしょうね。
そうです。IT産業自体は結構昔から盛んやったし、イーサーとか確か台湾やったと思うんですけど。
だからその中でTSMCはちょっとダントツで、アジアで今1位ぐらいなんで。
九州のどっかにもすごい大きい工場、確か建てるとかいうニュースなってませんでしたっけ。
そうなんですか。だから今の方が全然景気がいいはずなんですね。
熊本か、熊本でできるみたいですね。
僕の知ってる台湾情報はかなりしんどかったっていう時期やった。
多分それぐらいの時期が舞台ちゃうかなと思って。
あんまり景気が良くないというか。
私は割と漠然としたイメージ、しかも河野さんよりもっと漠然としてたかなと思いますね、台湾のイメージ。
こういう現代の台湾の文学っていうのもそうだし、古典でもちょっと触れてこなかったんで。
知らないですからね。
そうですね。
僕も読んだことなかったんで、台湾の小説というか。
これは面白かったですね。私は一気に読めました。
僕はどんな本か全然知らん状態で、探偵ものぐらいの感じで読んだんで。
事件が2つしかないっていうのも意外やったし、思ってたのと違うなみたいなのはいっぱいありましたけど、面白かったは面白かったですね。
そうですね。
なんかほんまに文化伝わってくるなっていう感じもあったし、台湾ならではの、台北ならではの雰囲気とか。
食事のシーンもそうだし、文化的な台湾文化を感じましたね。
めっちゃ出てくるので、僕ほんま全然知らんかった、この呼び方知らんかったの。
木廊ってやつ。
木廊ってどんなんでしたっけ。
建物なんですけど、ビルみたいな、マンションじゃないけど、アパートみたいな建物があって、1階がテラスじゃないけど通れるようになってる。
ヨーロッパ建築とかでよくあるような感じで、絵で見たらわかりやすいんですけど、木は木畑の木ですね。
廊は建物の廊。木廊っていうのめっちゃ出てくるんですけど、本の中で。
そういう建物がいっぱいあるっていうのとかも、日本ではまずないし。
社会批判と愛憎
そうですね。
街中の商店街とかの、この木廊って言葉めっちゃ出てきたんで。
確かに出てきたかな。結構、ルビーが振ってる言葉だったり、漢字の独特の向こうの言葉ってのも結構出てきましたね。
中国語ですね。
そうですね。
わからないのは、結構文字というか字面で覚えて読んじゃってたんで、木廊って聞いてあったかなって言葉の音と漢字が今結びつかなかったですけど。
僕、でもこういう、中国語の本もまず読まないですけど、中国の文学とかも。
でもこの台湾の本とかでも、あんまり読むことないから、この漢字に一応現地の言葉のルビーが振ってるけど、どうやって読んでいけばいいかなと思って。
まあ、覚えれないじゃないですか。漢字と読み方違うし、日本の。
だから結局、日本語読みしてましたね、全部。
そうですね。
日本語にない漢字だけ、なんとなく字面で読んでましたけど。
そうですね。読むとき、自分だけのこう、なんていうかね、日本語読みで。
そうですね。
ってなりますね。
なんかこの小説やったら、リンさんとかはどっちも一緒ですけど、日本も、中国も同じ、リンって読めるんで。
あとは、なんか読めない人、アシンとかは日本語にない漢字やったね。
アシンってよく出てくるから覚えましたけど、近所の人ね、自動車整備かな。
そうですね。
だから、なんかその辺はちょっと最初戸惑うかもしれないですね。漢字どうやって読んでいこうかみたいな。
割と慣れていくんです。
女性の巡査部長のチャイさんか。
はいはい。
チャイさんもちょっと自分の中で、あまり覚えられなかったですね、この漢字でチャイっていうのが。
そうですね。僕はだから、お茶のチャイとイメージを結びつけて。
なるほど。
結局だから、この主人公ウーチェンも、ずっとゴセイゴセイって読んでましたもんね。
なんかね、ありますね。
あとはこれ、ほんまいきなり超絶ネタバレをいきなり。
そうですね。今回はミステリーですけど、もうネタバレする回ということで。
超絶ネタバレやけど、ツウホンジっていう人がいるんですけど、この人がソっていう字なんですね。
そうですね。
で、僕はずっとソヒロシって読んでました。
私はソって読んでましたね。
ソヒロシ。
ソだけ、確かにヒロシですね。
で、そういう読み方をすると、割とスムーズに読めるなっていうのがあったなと思って。
ちなみにこの本、あれらしいですよ。続編も出てるの知ってますか。
出てますね。ミカンが。
2本だと2024年に出てますね。
まだ単行本で出てる状態ですけど。
完全続編みたいな感じで。だからそれ、後書きにも載ったかな。
そっか。
自立探偵2、死価探偵が現地の言葉やったら。
舞台がちょっと変わってる。
書いてますね。
これ、読んでて思うこといろいろあったんですけど。
序盤とか特に、台湾あんま良くない場所みたいな感じで、すごい言うなとか。
僕は景気悪い時期と重なってるからかなーとか思ったんですけど。
この登場人物、ウーチェン。語りモノローグって言うんですかね。語りで進んできますけど。
この人物がかなり口がちょっとこう、何でしょうね。
独舌もあったり、難しいところがあるんで。
その人の語りで台湾を描いてるから。
私はちょっとこう、言い方は結構台湾のことを悪いように言い方してるけど、台湾のことを実は好きなのかなみたいな。
そういう印象を持ちながら読みました。
なんか社会批判みたいなのも結構含まれてるような感じだったんで。
イメージとして、僕は台湾のんびりしてんのかなとか、住んでる人とか台湾好きで住んでんのかなとか、勝手に思ってたんで。
なんかそのイメージとだいぶ違ったから、こうシニカルというか批判的やなと思って。
それは結構意外でしたね。
自分の国とか制度のことを批判できるのって健全な証拠やから、全然悪くないんやと思うんですけど。
そうですね。
もう中国とかはできないじゃないですか、文学で批判とか。
国の外でやるか、メタ波でやるかしかできないんで、これはっきり批判的なことを書けないと思うんで。
そういうのに比べて全然言えるだけ健全な証拠っていうのはあるんですけど。
それにしても結構言うなと思って。
私がね、この語りが台湾について愛憎半分するなと思ったのは、205ページで台湾のこと書いてるところがあって、
台湾人って美の何たるかを知らないっていうふうに書いてるんですけど、
台湾の特殊な美
そこで台湾の風景は何とも言われない独特の情緒かもしだし、その醜さには親しみを伴う一種特殊な美が生まれているっていうふうに書いてるんですよ。
台湾の人は美がわかってないっていうような批判的なことを書きながらも、でもそういう台湾の風景っていうのは一種特殊な美が生まれてるっていう、
批判しながらもね、台湾のことでも決して批判するだけじゃない感じなのかなと思いましたよ。
なんか僕は皮肉かなと思ったんですけどね。
どうかな、皮肉なのかな。
どうなんすかね。
でもこの後残念なことに言って、本当に残念なこと書かれてるから、ここはそれなりに肯定的な。
そうですね、この後本当に見にくくなったって言ってるから。
これはでも僕はなんか。
単純な。
ちょっとやっぱり皮肉に聞こえるんでね、こういうのは。
どうなのかどうかな。
直接的に全然褒めてないやろうと思うんだったり。
探偵のキャラクター分析
でも確かにこの主人公の歪んだというか、キャラクターの目線っていうのがありますよね、この小説全体が。
ウーチェンの語りって、前読書会で読んだ、金は払う冒険は愉快だってあったじゃないですか、骨董屋の。
あの主人公も話し方がぶっきらぼうなところありましたよね。
そうですね。
彼に通じる表面上ちょっと皮肉だったりぶっきらぼうだけど、ただそれだけじゃないみたいな、そういうタイプの人物像なのかなって思いました。
この探偵小説を書くにあたって、もうハードブイルドをやろうとしてるみたいなのがあるっぽいんで、そういうのを習ってるところはあるんでしょうね。
ロンググッドバイとかのああいう。
007のことも書いてましたよね。
フィリップ・マーロ・カタリーを台湾風にやるじゃないけど、キャラクター全然違うけど。
でもハードブイルドをやりたいみたいなのがあったんでしょうね。
結構ね、ほんまにめちゃくちゃ言うなみたいなのがいっぱいあったんで。
警察とかを最初ほんま全然信用してないとか。
そうですね。
あと、これずっとですけど、マスコミ批判すごいじゃないですか。
すごいですね。
だから、その辺、やっぱこんだけ批判できるのは健全やなって逆に思いましたけど。
日本でもよく言われるけど、マスコミがどうとかっていうのは。
でも台湾も一緒なんやと思って。
安心は警察に直接批判してますよね。面と向かって。
そういう場所に住んでるみたいなところもあるんですかね。
治安の悪い場所じゃないけど、そういう吐き戸みたいなところに引っ越してからっていうのがあるじゃないですか、物語自体が。
だから、そこに住んでる人はわりとはっきり言うみたいなのもあるんかもしれないですね。
一応、この探偵小説だけど、もともと大学教授やって劇作家やって、探偵のこと何も知らんと急に私立探偵始めるみたいな感じで始まるじゃないですか。
55ページに出たんですけど、探偵のことは推理小説で学んだって書いてあって。
それぐらいのテンションなんですよね。
得意とかじゃなくて、すごい頭が切れるとかっていうわけでもなく、推理小説を読んでわかったのはこういうことだとか。
それぐらいのノリで始めるんですよね。
だから、最初特に読んでても、シリアスなんかコミカルなんかよくわからんところがあって。
だんだん読み進めていったら、これはだいぶふざけてるなみたいな、コミカルよりやなみたいなのはだんだんわかってきたんですけど。
結構最初はなんか真剣やったんで、ノリは。
73ページの5行目ぐらいから探偵になった理由書いてる箇所があって、他人を助けると同時に自分を救いたかったっていうふうに書いてるんですよね。
これはそもそも自分が今までやってた劇作家とか大学教授とかもう嫌になって、
もうちょっと自分のことを考えるんじゃなくて、人を助けたいとか。
この辺は割とシリアスというか、心に辛い部分を抱えてるのかなと思って読んでましたけど。
そういう気持ちはずっとあったけど、コミカルの要素もあって。
序盤はだから結構そういう自分のパニック障害の話とか、最初に結構語ったりとか、
あと仕事が大変やったんか嫌やったんかわかんないですけど、そういう揉めてやめたみたいな、離婚の話とかシリアスなことを書いてたから。
だからか、やっぱり後半に入って、もう少しコミカルだったりキャラクター同士の掛け合いみたいなところで、
ミステリーの期待
小説のテンションが上がってきてからの方が一気に読めましたね。
そうですね。
最初はやっぱりちょっとなかなか重めの話だったり、語りも独特なんで、
乗ると楽しいけど、乗るまでに人の好み出るかなと思いましたね。
あとはその読みやすさや読みにくさとかもね、慣れてくると結構スッと読めていくんで。
最初その話全然進まないんですよね。説明が結構ある。
一応最初の依頼人っていうのは割とすぐ来るんですけど、それがなかなか進まなかったりとか。
でも探偵だったけど、結局依頼は前半の一件だけで、後半は巻き込まれるっていう流れでしたね。
そうですね。自分から一応首を突っ込んで、そのうち自分も巻き込まれたっていう感じでしたね。
しかもこれ探偵小説だけど、推理してないですよね、別に。
だから推理小説じゃないなって僕は思ったんですよ。
でも謎、どうだろうかな、推理。
なんていうかな、ミステリーではないですよね、これ。
どうなんですかね。でもなんか地図から次犯人が何をするかみたいなの読み取るじゃないですか。
あの辺は推理。
推理って一応はそういう捜査とかあって、いろいろ考えるけど、結構外すじゃないですか。
そうですね。
主人公結構外して、後々聞いてみたら、ほんまはこうやったみたいなのがわかるとか、多いから。
これ推理してないよな、してるけど上手いこと言ってないよなみたいなのは。
結構失敗してる過程が多いかもしれないですね。
そうですね。だからなんかそのいわゆる名探偵的なやつではないなと思って、シャーロックホームズとかそういう探偵物といえばこうやろうみたいな勝手に思ってた、コナンとか金大地みたいな謎を解くみたいな要素があんまりないなと思って。
なんかそういう意味では探偵小説やけど、なんか別に推理者ではないなと思って。
しかもなんか伏線とかないやろうみたいな。
これだから読んでる人がミステリーとして、これってこうなんかなと思いながら読んでいっても、まずわからない。
そうですね。
答えが。
わからなかったですよね。
全然わからないです。わからないし、わかったところで、え?みたいな。だからそういう楽しみ方じゃないんやろうなっていうのは思いましたね。
読んでて面白いですけど、そういうミステリーを求めてるとちょっと違うかもしれないっていうのはありましたね。
だって最初の事件、これなんかすごい変な話ですけど、女性が来て、急にお父さん、父さんというか旦那さんと娘の仲が悪くなったみたいな。
なんかそれの理由を探ってほしいみたいな、そういう話だったじゃないですか。
で、もしかしたらなんか旦那さんが何かしてたんかとか、なんかそういう話があって、それをなんか理由を探っていくために、離婚するとか、そういうとこ始まるじゃないですか。
なんかそこめっちゃ普通なんですけど、結末というか、そんな話なんていう。
で、その夫と娘がギクシャクシャ理由のところですか?
そうですね。なんかその、なんなんやろうと思った時に、なんか全然その、ほんま予想外のとこから答えが出たみたいな感じだったんで。
こんなん、あれかもしれん、これかもしれんってこう、事前に予想できないやつ。
そうですね。なんかね、あの、夫の方で謎があったんですけど、その謎と娘とあんまり関係なかったですね。
関係なかったですね。なんかすごいだから強引やなと思って。
そこにたまたま娘が出くわしたってだけでしたからね。
娘の話は割と普通やったって、しかも。なんかその、マクドナルドかどっかわからないですけど、なんかファーストフードって誘われたとこに連れて行かれたみたいな。
それと、たまたま父さんと会ったみたいにそうだったんで。
そうですね。
あれが一番ね、別になんかどうでもいいやんと思って、なんかそんな話全然関係ないやんと思ったやつでしたね。
そうですね。だから夫の様子が最近変だぐらい、でも全然成立した話でしたもんね、娘関係なんか。
そうですね。なんかそういうのも、ちょっとなんか思ってたのと違った感じはあって、それはそれで面白かったですね。
あ、こんな感じでやるんやと思って。
私はそもそもミステリーあんまり読まないし、今回のは結構その登場人物が割と面白いキャラクター多かったんで、タクシーの運転手と主人公の協力してる感じとか、そんなに仕事熱心にしてるけど上昇志向のない警察とか。
なんかそういう掛け合いがかなりエンタメチックというか。
そうですね。
読んでて普通に面白かったんで、だからそこが魅力だったから、謎で唸るっていう感じじゃなかったけど、そこが気にならないぐらい面白く読めましたね。
ミステリー的な本じゃなくてっていう読み方になりますね、どうしても。
ミステリーとしての強度が強いかというと、ちょっとそれ以外のところでの魅力が強かったかな。
私ずっとその浮気疑ってた依頼人、夫がいるじゃないですか。夫がずっとこれからこの話ずっとどっかで出てくるのかなって。
リーンさんね。
リーンさん。気にしてましたけど、そうでもなかったですよね。
そうですね。2つ目の事件に関わってくるかどうかみたいなことですよね。
やっぱり最初に出てきた人物が伏線となって、これがこういう風に聞いてたのかっていう、やっぱりミステリーってそういうところがあるかなと思ってたから、絶対何か怪しい奴は気にしてようと思ってたんですけど、彼はそんなに。
そうですね、まさかみたいな人だったんでね。それ引っ張ってくるの?みたいな。
だからミステリーを期待せずに読んでた方が面白いかもしれないですね。
この小説読んで新鮮だったのは、謎を解く手段に監視カメラをすごい使うじゃないですか。
これすごいですよね。
台湾の監視カメラってすごい多いんですね。
これほぼ反則ですよ、だって。日本でこれやったら。
台北の監視カメラ社会
台北市内に13000個のインテリジェンス型ビデオ監視装置を設置すると宣言したって書いてて、ほぼ監視カメラで謎解きしてますからね。
そうですね。で、実際その警察が監視カメラにしか頼ってないから何もできないみたいなそういう批判も確か最初あって。
検挙率がどうとかっていうのも全部その証拠が監視カメラだよりみたいな。だからなんか、ほんまそうなんやろなっていうのは。
仕掛けとしては新鮮だったから、まあ良かったかな。
だって事件の操作ほぼ監視カメラをひたすらチェックするだけですからね。
すごい量のビデオ見てますもんね。
すごいうんざりするっていうのがね、しんどくて。
こんなビデオの映像を見て謎解くミステリーっていうのはなかったんじゃないかな。
いやこれ台北ならではやと思うんですよ、ほんまに。成立しないですもんね、こんな監視カメラ社会っていうのはほんますごい独特やなと思いました。
台北行ったらキョロキョロしたらいっぱいあるんじゃないですか。
ほんまなんでしょうね、たぶん。本だけ書いてるから。監視カメラからどうやって隠れるかみたいな話が結構あったから。
これほんま終盤なのけど、そうやったんやみたいな。
なんかそれもちょっとしょうもないというか。
みんな壁際に歩いてるんじゃないとか言うけど、実はみたいな。
そうですね、実は。
そやけどみたいな。
そう思いましたね。
あとはなんかこの主人公のモノログめっちゃ多いじゃないですか。
はい。
特に序盤、この一人語りめっちゃ多い漢字ってすごいラノベっぽいなと思いましたね。
あーなるほど。
それでこんなページかと思いましたもん、最初。
これだって500ページ超えてますよね。
なんかその割に結構スッと読めるじゃないですか。
確かにラノベの読みやすさみたいのは確かにここにもあるかもしれないですね。
ラノベ読み慣れてる人は割と入りやすいんちゃうかなと思う。
なるほどな。
モノログで説明するみたいなのめっちゃあるんで、特にほんま序盤が多いですけど。
自己言及の多さもラノベっぽい。
これ登場人物やったら、僕は弁護士が好きだったんですよね。
弁護士ね。
トーヤオミンっていう。
ジョって読めたからジョって読んでましたけど。
なんかもうテレビに出てるタレント弁護士ですよね。
目立ちたがりあの。
なんか煽ったりする。
彼もすごいキャラクターしっかりしてたし。
なんかいそうな感じ。
ドラマ化とか映像化にすごい向いてそうなね。
だから全然今は弁護士じゃないけど橋本さんみたいなイメージ。
テレビですごい過激なことを言うみたいな。
なんかそういう印象でしたね。
タレント弁護士。
マスコミを訴えるっていう時に出てきたやつですね。
でなんか暴露されそうになって取り下げるっていう。
すごい派手なスーツを着てる。
私は主人公が捕まった時に取り調べで対決するワン刑事部長。
彼は結構好きだったし、彼だけじゃなくてその主人公とのやりとりが読みごたえありましたね。
自分の無実を証明しようと頑張る主人公とそれを切り崩そうとするワン部長。
でなんか他の警察はだんだんその主人公となんていうでしょう協力体制ができて仲良くなってきたりするけど、
最後の最後までちょっとこう疑いながらも男気のある男みたいな。
なんかほんまキイジっぽい人ですよね、ずっと。
同じワンでもタクシーの運転手のワンさんも良かったな。
彼が出てきてからやっぱりこの小説、会話が面白くなってきたんで。
そうですね。
一人語りからワンさんと主人公の会話が出て。
ベトナム人の妻がいる。
そうそう、美しい妻がいる。
この人かなりコミカルな人でしたね、序盤からずっと。
やっぱ一番天雷がハイライトというか、活躍っていうよりは面白かったのが、テレビに映った時に、
名前言っちゃうと。
下の名前は分からんかったのに全部言ってしまうっていう。
それでなんかマスコミが主人公ウーチェンを追いかけてしまうっていう。
実家まで来るとか言って。
全部バラしてしまったっていう。
すごい良いやつだけど、ちょっと抜けてるっていうね。
あそこがちょっと面白かったですね。
ウーチェンを取り巻く人と言うと、天雷とシャオパン。
破室署の警官。
この人も結構活躍したというか。
そうですね。
ずっと出てくるんで。
なんかうだつの上がらない警官で全然仕事してなかった人だけど、事件に巻き込まれてからはもうずっとツキッキで。
しかもこの人のせいで疑われる。最初。
これは2つ目の事件ですけど、殺人事件、連続殺人事件があって。
事件の犯人像というか何もとっかかりがないっていう時に、この主人公のウーチェンの現場で監視カメラをチェックしてたシャオパンに、監視カメラのチェック範囲をもっと広げたらいいんちゃうってアドバイス聞いて。
調べた。
それで調べたら、事件の範囲の近くで毎回ウーチェンが映ってたっていう。
それでなんか容疑者になってしまうっていう。
放物しちゃうんですよね。
お母さんとかもだいぶ面白かったですよね。
そうですね、お母さんも良かったですね。キャラ立ってましたね、お母さんも。
そうですね。だから序盤にちょっと出てきて、後半の事件でもマスコミがいっぱい来た時にすごいちょっと出てくるっていう、すごい図太いお母さん。
この小説のメインの後半の方の犯人、犯人像というか殺人の動機って結構なんか怖かったというか。
結局ちょっと動かして言うと、主人公を尊敬してるとか崇拝してた人が勝手に失望してっていうのが契機じゃないですか。
私はそういうことないだろうけど、される側って怖いなと思いましたね。
よくはやっぱり目立つ。
そうですね、なんかこの主人公、劇作家っていう主人公が実はめっちゃ有名な人やったみたいな感じですもんね。
この界隈で知らない人いないみたいな劇の、演劇とかの。
ここは結構コミカルじゃなくて結構怖い話というか、著名人ってやっぱり不特定多数から見られてて期待もされて、でもそのイメージから逸脱すると勝手に失望されて。
それ以前にやっぱり僕は犯人やばすぎやろと思って。
この2つ目の事件が始まった時に、台湾にまずCLキラーなんているわけないみたいな。
今までそんな人1人もいなかったって言って、そういうなんか凶悪犯みたいな連続殺人みたいなやるのは、文化的な成熟がある程度進んだ国でしか起こらない。
そういう国の方が件数が多いみたいな。だから台湾でそんなことがあるのが想像できへんみたいな感じで始まったと思うんですね。
そうですね。
で、その犯人がどんな人かって分かった時の、この台湾で出てくるとしたらこういう人かなみたいなのが、今まで聞いたことないよな。
すごいオリジナルやなと思いましたもん、この犯人。
でもオリジナル、めっちゃオリジナルだけど、でもなんかこういう事件って多分聞きません?
もっとなんか軽いやつだね。
怖いですよ。
なんかあれですね、251ページに書いてますけど、アジアの中で連続殺人事件の数がトップなのが日本なんですね。
結構日本論が多いですね。
この辺だから、このような行動は文明と理性の現れって言って、進歩した社会にふさわしいって書いてあるんで。
アジアの中でやったらそういう意味では日本が一番早かったから、日本が一番そういう猟奇殺人みたいな連続殺人とかも多いっていうことなんでしょうけど。
世界で見たらアメリカがダントツで、その次がイギリスでみたいな。
だからなんか台湾にはまだ早いみたいな、そういう話があって、そんな余裕がないみたいな感じでしたね、確か。
結構文化論もね、その辺は書かれてますね。
最初だからこの2つ目の事件が起こったときに、最初連続殺人についてウィキペディアで調べるってところから始めてましたね。
それ探偵小説でそんなことを。
そうですね、ウィキペディア。
それぐらい遠かったみたいな感じですもんね。台湾っていう場所から。
だからなんかほんまに、この僕はこの2つ目の事件の犯人がかなり後半になってから、誰か分かってどういう人なのかどんどん分かってくるじゃないですか。
もうこれほんま台湾でこういう事件があったとしたら、こういう人物なんじゃないかっていう犯人像をすごいイメージ膨らました感じかなって思いましたので。
なるほど。
実際にこういう人がいたのかどうかは分からないですけど、そのモデル的な人が。
国の背景みたいなのをすごい感じるなと思って。
犯罪と人間関係の葛藤
思っきり仏教なんで、仏教の話出てくるんで。
出てきますね。
こんなん、まあまあ今の日本ではなかなかないなって思うし、どっちかっていうとね、カルト宗教とかの方が。
全然救われもしなかったし、犯人は。
自分の影みたいな感じでしたけどね。
そうですね。
主人公、物語的にも多分そうですね。
自分と向き合う話みたいな感じでしたね、2つ目は。
自分と向き合うで言うと185ページのあたりで、パシンさんとかタクシーの運転手とかみんなでご飯食べて宴をするシーンがあるんですけど、
そこで主人公が自分では認めたくもないし受け入れたくもない感動が沸き起こってきたっていうのが185ページの最後にあるんですよね。
今までこういう世界をむしろ抱きしてきたっていうふうに書いてるけど、実は自分はこういう場面に感動する自分に出会うみたいな。
ここはそういうもう一人の自分というか自分になかったと思ってたシーンに出くわすっていうシーンでしたね。
なんかこういうとこがね、犯人が気に食わなかったんでしょうね。
これ気に食わなかったんでしょうね。
犯行に至ったきっかけみたいなんで謝罪の手紙を送ったりとか。
ガッカリしたっていうね。
そんなはずじゃなかったみたいな。
あの辺とかすごい分かりにくいっちゃ分かりにくかったんですよね。動機というか、本人が言うまで分からないじゃないですか、これ。
そうですね。
なんか主人公が推理してたりとかワン部長とかがこうなんじゃないかと思ったこと全部違った。
主人公の葛藤
なんか自分を救うためやと思ってたら違ったって。
そうですね。本筋じゃないですけど、この主人公サファリハット被ってちょっと髭生やしてるじゃないですか。
私ちょっと河野さんを思い浮かべてましたよ。
河野さんみたいな感じの風貌かなと思って。
しかも公園をうろつくと。目的もなく、それでなんか犯人やと思われるって。
ちょっとこう不愛想な感じみたいなんで、これ河野さんっぽいんかなと思いながら読んでました。
僕でもなんかこの主人公にちょっと共感しつつも、違うなっていうところもあるんですけど、かなり終盤のとこで、なんかこういうとこあるなっていうのは僕はすごい。
470ページ。
確かに俺は生き延びてきたが、そのことに感謝するでもなく他人への恨みを積み上げてきた。
いつもいつも他の人たちはあまりにも気楽に生きている。
彼らは得をしていると思ってきたって。
なんかこういうのってすごい今の世の中にもあるし、僕もそういうとこあるなと思って。
世界は自分に対して公平ではないと思ってきたみたいな。
僕は別になんかそれに対して、なんか存在になったりとか不満を持って吐け口にするとかは、この主人公みたいなのはなかったんですけど。
でもなんかその、ちょっと自負してるとこがあって、なんかその辺は僕はちょっと気持ちわかるなって思いましたね。
人が悩んでないことで悩んできたみたいな、そういう自負みたいなのが。
で、なんかそれを犯罪のきっかけにする人とかも現代はすごい多いやろうなと思って。
なんかその辺は今の日本社会にも結構通じるとこあるなと思ったんですよ。
そうですね。気楽に生きてる。自分はそういう気楽には生きてないけど、少なくともそういう悩みをちゃんと正面から捉えて、それに向き合ってきたみたいな。
そうですね。なんかそれをちょっと誇りに思ってるみたいな。
なんか昔、僕はあんまはっきり覚えてないですけど、ダザイオさんをすごい呼んでた時期、高校生ぐらいの時に呼んでたんですけど、
ダザイオさんが言ってたのが、あの人はすごい金持ちの家に生まれて、自分は苦労は全然してこなかったけど、問題がいっぱいあって苦悩は人よりいっぱいしてきたんだって。
で、この苦悩してきたから自分は小説を書けるみたいなことを言ってて、苦悩を厳選に、それを自信にして本を書いたりしてるっていうのがあるから、
なんかそれが糧になるみたいなとこは。で、この人はそれがおごりになったって言ってたんですけど、主人公は。
だからなんかその国が違っても、文化が違っても、わりとその辺で共感できたのかも。
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