妖怪古伝 第二シーズン 2-37回目の放送 今日の妖怪は「辻神」 今回のオリジナルストーリーは、平安京でおこる怪異を陰陽師たちが解決に、そしてその前に立ち塞がる怪人物とは....ぜひお聞きください。 また番組へのご感想やご意見は X(Twitter) @youkaikoden かメール youkaikoden@gmail.com でお待ちしております。またnote 妖怪古伝では過去のシナリオを公開していますぜひご覧ください。*この番組の効果音には「Oto Logic」「Mus Mus」「効果音ラボ」様の音源を 使用させていただいています。
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サマリー
辻神の由来と、交差点に置かれた魔除けの石が壊されたことで起こる怪異が語られる。平安京では平野波守の屋敷で大蛇や巨大なガマガエルが現れ、安明と源春政が調査に向かう。二人は地中から九本線の布で封じられた壺を発見し、毒虫を使う呪術で眠っていた辻神が起こされたと推理する。事件の背後には陰陽法師の八雲殿がいて、都そのものを壺に見立て、貴族たちに復讐する大規模な呪術を企てていた。安明は人々を守るため八雲に対峙するが、八雲は戦いを避けて姿を消す。屋敷の事件は収まったものの、安明は八雲の言葉が真実か偽りか分からないと警戒し、春政の正直さを評価する。
辻神の由来
お前さんひょっとして、妖怪古伝を探しておるのか?
それならば、わしが入口まで案内してやろう。
妖怪古伝
このポッドキャストは、毎回、この館の主人が、
勝手に作った妖怪の、誰も聞いたことのないオリジナルストーリーが聞ける番組じゃ。
さあ、着いたぞ。この扉の向こうじゃ。
気をつけてな。
辻神
辻神は辻、つまり、道が交差した場所にいるとされる魔物、妖怪の総称。
古より、辻は現世と来世との境界となっているという説があり、
そのような場所に住み着きやすいと言われる魔物が辻神である。
名称は神だが、いわゆる信仰対象の神ではなく、
災いをもたらす悪神と言うべき存在である。
南九州から南国にかけての地域では、異界より現れるとされる辻神を防ぐため、
辻、特に定治炉に石管塔と呼ばれる魔除けの石を炉房に備える風習がある。
平野波守邸の怪異
上原の月が平安郷の街並みを照らしている。
ここは御名寺、安倍の安明の屋敷。
二人の男が少し色づき始めた庭の楓を見つめていた。
もうすぐ山々も赤や黄色に染まっていくのだな。
安明よ、どうして木々は秋になるとこんなにも色を変え、
我々の心をとらえて離さないのだ。
夕刻よりこの屋敷に来ていた笛の名手、源の春政は、
角子の上に座して安明と酒を飲んでいる。
春政よ、本当にお前は良い男だな。
木々の紅葉にもそれほどに心の情を震わせるとは。
しかし春政、あれはな、気温と日照に合わせ木々が冬を越せるように力を蓄えているのだ。
人はそれを勝手に感動しているのさ。
そうなのか?
何か物の哀れが少し冷めてしまうな。
でも、来春も芽吹くためと考えれば、それも愛おしいものなのかもな。
やはり春政は良い男だ。
安明、またお前はそうやって俺をからかう。
やめだやめだ。
ところで安明、平野波守殿の屋敷に起こっている会員については聞いておるか?
ああ、実はそのことで、今夜、波守殿の使いが迎えに来ることになっているのだ。
話はこうである。
平安京一条王寺にある平野波守の屋敷でのこと。
家の者が夜中にうなされ、目を覚まし水を飲もうと起きると、
庭に人の背丈もありそうな大蛇がトグロを巻いており、悲鳴をあげ倒れ、寝込んでしまった。
また別の日には、真夜中に実写で帰ってきた波守の息子が、
屋敷の門をくぐると、目の前に牛並みの大きさのガマガエルがおり、息子をべろりとなめ、
息子は倒れ、高熱を出してその晩から床に伏している。
と言ったように、このところ毎晩のように会員が起こっているというのである。
安明の式神だと思われる家の者が平野波守の使いが来たことを告げた。
安明、今回の件は一筋縄では行かなさそうだが、大丈夫なのか?
春政、心配してくれるのか?ありがとう。
でも大丈夫だ。伊達にご先祖様の恩明寺の本、読み込んではいないさ。
それに心配してくれるなら、春政も一緒に行こう。
俺も一緒に行っていいのか?
ああ、お前がついてきてくれるなら、私も泥舟に、いや違った、大舟に乗った心持ちでいられよう。行こう。
ん?なんか馬鹿にされた気もするが、まあいい。行こう。
そういうことになった。
壺に仕掛けられた呪術
安明達が義者に揺られ、平野波守の屋敷に着いた頃には、月は雲に隠れがちになっていた。
安明は義者から降りると、屋敷の門にしゃがみ込み、地面を見ている。
どうした安明、波守殿の屋敷はこの門の中だぞ?それとも何かあるのか?
ああ、実は昼間、少し調べたのだが、波守殿がここに屋敷を構える前、ここは南北と東西を通る辻であったのだ。
もともと辻は、いろんなものが交差するため、辻紙が出やすいとされる。
見てみれば、この屋敷の門の横に、その辻紙を防ぐ石管塔があったようだが、割られているのだ。
そしてこの門の前のところ。
すまないが誰か、この場所の地面を掘ってはくれないか?
安明の指示した場所を波守の使用人が掘ってみると、土の中から布で封をした大きな壺が出てきた。
そしてその壺を覆った布には、縦横に九本の線が引かれていた。
安明、何か出てきたぞ?
それにこの布に描かれている模様は何なんだ?
猫か何かのひっかき傷みたいだな。
これは銅鑼陰、陰陽道の九時の呪法を表したものだ。
そしてきっとこの壺は、孤独の呪術を行ったものであろう。
孤独とは何だ?
殻の国から伝わった呪術で、大きな壺の中に蛇やカエル、ムカネなどの毒虫を入れて、お互いに食わせ合い、勝ち残った者をより白に呪術をかける。
金鬼の法だ、とこの孤独を使い、眠っていた辻神を起こし、並盛殿の家の者に災いを起こしたのであろう。
そしてこの呪術を得意とし、銅鑼陰を使う陰陽法師といえば。
安明と春政が気づくと、並盛の使用人たちは、何かの術にかけられたのか、倒れ眠っていた。
八雲殿の復讐計画
そして暗闇の中から、ぼろぼろの着物を着た、髪も髯もぼうぼうと生やした法師姿の男が現れた。
やはりあなたでしたか?
足屋薬満殿。
ふんふんふんふんふん。
わしの仕事の邪魔をするならお前だと思っていたが、やはりその通りだったな、安明。
何を言われますか?
今回の件は必ず私が突き止めるとわかるように仕掛けたとしか思えない。
何故ですか?
ふんふんふんふんふん。
今回の件、誰に依頼されての呪いなのかがわかれば、平野並盛もその依頼主に仕返しの呪いをかけるように頼んでくるであろう。
そして別のところでも、同じようなことが繰り返されるのだ。
それがこの平安京。
それが人の差がといったものよ。
はっはっはっはっはっ。
わしの先祖はその昔、土器の権力者に呪いをかけ、それがばれてしまい、島流しにされた。
わしはそんなにお前は不満が、この都に我が一族は恨みがあるのでな。
少しは仕返しをしてやろうかとな。
八雲殿、まさかあなたは貴族たちを毒虫に見立て、この平安京という壺を使って、かつてないほどの孤独をやろうとしているのですか?
さすが安明じゃ。
察しがいい。
かつてないほどの呪術がかかった世界じゃ。
面白かろう?
それに、お前ほどのものなら、そんな呪術でも、なんなく気に抜けて、生きていけるじゃろう?
はい。しかしそのために、多くの者たちが苦しみを味わい、死んでいくでしょう。
安明の決意と事件の後
かつての私であれば、そんなことも気にせず、遠くから眺めていたことでしょう。
しかし、今は人も捨てたものではないと教えてくれたものもあり、この都を守っていきたいと思っております。
ほう、お前も変わったな。
それならばどうする安明?
わしと戦うか?
やめだやめだ。
わしはお前の先祖と争った、わしの先祖のように、お前と戦おうとは思わん。
逆にわしは、お前が気に入っておる。
わしは名前とは逆に、賭け事争い事は嫌いなんじゃ。
お前にかなわないと思えば、とっととやめるさ。
それではまた、どこかで会おう、安明。
安明、そして、源の春政殿。
そう言うと、ぼろぼろの宝石は、暗闇に消えていった。
あまりの二人の凄みに、押されて、俺は何も言えなかった。
安明、これで今回の件は済んだのか?
ああ、並盛殿の屋敷の件は大丈夫だろう。しかし…
しかし?さっきの足谷役満殿が言ったように、他の屋敷でも何か起こるのか?
でも、役満殿はやめたと言っていたぞ?
ああ、言っていた。
しかしあの御人は、どこまでが本当で、どこからが偽りなのか、わからんからな。
春政のように、何事にもまっすぐで正直なものは、貴重なのだ。
壺の中身と余韻
ん?春政、何をしているのだ?
いや、この埋まっている壺の中に、何が残っているのかと思ってな。
安明は何だと思う?
いや、やめろ春政。私は蛇が苦手なのだ。絶対に開けるなよ、春政。絶対にだぞ。
秋の山々が色づき始めた平安郷に、安明の悲鳴と春政の笑い声が響いていた。
おかえり。どうじゃった?今回の妖怪話は。
もし気に入ってくれたなら、またここに聞きに来ておくれ。
そしてフォローしてくれると嬉しいの。
それと妖怪古伝へのご意見ご感想は、この番組の概要欄を見ておくれ。
また、新しい話は毎週土曜日の午後5時に公開されるらしいから、楽しみに待っていておくれ。
そうそう、妖怪古伝の話はノートでも読めるようになっているらしいぞ。
よかったらそちらも覗いてみてくれ。
それではまた来週の黄昏時、大間が時にまた会おうぞ。
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