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EP2-33 沼御前(Numagozen = The ghost of the woman in the swamp)
2025-09-13 11:37

EP2-33 沼御前(Numagozen = The ghost of the woman in the swamp)

妖怪古伝 第二シーズン 2-33回目の放送 今日の妖怪は「沼御前」 今回のオリジナルストーリーは、すべてが嫌になった女の子とそれを助けたいと願う男の子のお話、とあるバンドの曲の世界観をイメージしたものです....ぜひお聞きください。 また番組へのご感想やご意見は X(Twitter) @youkaikoden かメール youkaikoden@gmail.com でお待ちしております。またnote 妖怪古伝では過去のシナリオを公開していますぜひご覧ください。*この番組の効果音には「Oto Logic」「Mus Mus」「効果音ラボ」様の音源を 使用させていただいています。

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サマリー

福島県の沼沢湖・沼沢沼の主とされる大蛇、沼御前の伝承が紹介される。物語では、両親の離婚、陸上競技の負傷、親友との喧嘩で絶望した高校生カエデを、沼御前が沼へ連れていく。同級生のリョウはカエデを追って水たまりの中へ入り、彼女に必要とされていると伝えて連れ戻す。沼御前は、自分もかつて救ってくれる人がいれば怪物にならずに済んだかもしれないと語り、霧のように消える。

沼御前の伝承
お前さんひょっとして妖怪古伝を探しておるのか?
それならば、わしが入り口まで案内してやろう。
妖怪古伝。
このポッドキャストは、毎回、この館の主人が勝手に作った妖怪の、
誰も聞いたことのないオリジナルストーリーが聞ける番組じゃ。
さあ、着いたぞ。この扉の向こうじゃ。
気をつけてな。
Numagozen。
Numagozenは、福島県の沼沢湖、沼沢沼の主とされる大蛇。
約6メートルもの髪の毛を持つとされる乙姫のような女や、
大乳童などに化けるとされる。
凶暴な一面を持ち、人間に害を成して討伐されたという話もあれば、
実は生きていて、人間の少女を誘拐したが、直接殺さなかったなどの話もある。
また、討伐された後にも、旗織りをする女に化けたともされる。
討伐された大蛇の祟りを鎮めるため、
人々は神社を建てて大蛇を祀ったというNumagozen神社も存在する。
カエデを沈める沼御前
カエデは暗い沼の底にいた。光さえ僅かにしか届かない暗闇の中に。
私って何でいつもこんなになっちゃうんだろう。
心にも思っていないのに、ユミにあんなこと言っちゃって。
本当に私って可愛くない。大嫌い。もう消えちゃえばいいのに。
高校からの帰り道、カエデは不思議な着物の女に会った。
その女は、カエデの両親が先月離婚したこと。
今週、小学校からずっと続け、インターハイも期待されていた陸上で、
足に怪我をして、完治はしないと言われたこと。
そして、カエデのことを心配してくれた親友に、
私の気持ちなんて何もわからないくせに、知ったふうなこと言わないでよ、と喧嘩したこと。
初めて会う人なのに、すべてを知っていた。
そして、それらの苦しみから逃れられる方法を教えてくれたのだった。
女は沼御前というこの世のものではなかった。
沼御前は、カエデを沈めた足元の水たまりを覗き込みながら、冷ややかに笑っていた。
そこに、カエデの同級生、リョウがやってきた。
リョウはユミから話を聞き、学校から飛び出し、カエデを追いかけてきたのだった。
リョウは着物の女と目があった。
すいません、ここにマツバズエの女の子が来ませんでしたか?
女はにやりと笑いを浮かべて答えた。
ああ、来たよ。お前はあの子の彼氏かい?
い、いえ、ただの幼馴染です。
それよりも彼女は、カエデはどこにいるんですか?
リョウ、沼の底へ向かう
女はもう一度冷ややかな笑みを浮かべると、目の前のアスファルトの真ん中の水たまりを指さした。
え、どういうことですか?この水たまりの中にいるって言うんですか?
そうさ、あの子は、もうどうにでもなれと自分で自分を見捨てたのさ。
だから私が、もう誰にも会わなくて済む場所に連れて行ってあげたのさ。
そ、そんな、まだカエデに会うことはできますか?もしできるのなら、俺を会わせてください。
ふふふふ、たぶんまだ会えるよ。
あの子は心の闇にゆっくり落ち込んでいる途中さ。
お前の会いたいという思いの強さが増されば、きっとあの子に追いつくかもしれないね。
やります!どうすればいいですか?どうしてもカエデにもう一度会って伝えたいことがあるんです。
へえ、それなら目をつむり、その水たまりの前に座れ、私がお前の背中を押せば、この沼の中に入れる。
そうしたら、この底なしの沼のどこかにいる、あの子を探すんだね。
この沼の中では、あの子への思いとこの世に戻るという気持ちが、お前の中の空気だと思いな。
もしお前の息が持たなければ、あの子もお前も戻っては来られない。
それでもいいんだね?
リョウは首を縦に振って目を閉じた。
女はリョウの背中をトンと押し、水たまりに落とした。
二人を救った言葉
するとリョウは、とても深さなどありそうにない水たまりの水の中に落ち込んで消えていった。
リョウは目を開けると、暗い水の中に浮かんでいた。
まるで夜の大きな沼の中にでもいるような音のない水の中に漂っていた。
いけない!俺は水の中なんだ!息が続く間にカエデを探さないと!
リョウは辺りには目もくれず真下に向かって潜っていった。
全然何も見えない!どこにいるんだカエデ!カエデを見つけるまで俺の息が持つだろうか!
リョウはどんどんどんどん真っ暗な沼の底に向かって潜っていった。
カエデ!幼馴染の俺は小さい頃からずっとカエデを見てきた。
高校も同じクラスだったからこの数ヶ月のカエデの心の傷も見てきたつもりだ。
でもカエデ!お前は一人じゃない!カエデ!どこにいるんだよ!
リョウが見つめた先がわずかに光った気がした。
いた!そこにカエデがいた。
わずかに見えた光はカエデのSOSだったのかもしれない。
カエデ!リョウ!どうして?どうしてここにいるの?
カエデ!迎えに来たんだよ!俺と帰ろう!
リョウ!私は帰らない!私には何も残っていないし帰る場所もないのよ!
そんなことはない!みんなカエデを待っているんだ!さあ戻ろう!
嘘よ!誰も私を必要としない!消えたって誰も困らないもの!
バカ!勝手に決めるな!俺にはカエデが必要なんだ!
バカ!カエデのいない世界なんて俺にはいらない!
そう言うとリョウはカエデに口づけをし、空気を地上に戻る勇気を分け与えた。
沼御前の過去
水たまりの横にびしょ濡れのリョウそしてカエデが座り込み、荒い呼吸をしていた。
まさかお前たち二人で戻ってくるとはね。
大したもんだよ。初めてさ。今までの奴らは諦めて一人で戻ってくるか、
二人とも沈んだまま戻ってこなかったりさ。
お前、リョウって言ったかい?その子を大切に守ってやんなよ。決して手を離すんじゃないよ。
あたしも昔城が焼け落ちて沼に身を投げた時、たとえ助からなかったとしても、
あたしのために沼に入ってくれる人がいたら、こんな沼御前なんて言われる化け物にはならずに済んだのかもしれないね。
そう言うと、リョウとカエデの前から着物の女は霧のように消えていった。
あとに残ったのは一番星が映った綺麗な水たまりだけだった。
番組案内
おかえり。どうじゃった?今回の妖怪話は。
もし気に入ってくれたなら、またここに聞きに来ておくれ。そしてフォローしてくれると嬉しいの。
それと、妖怪古伝へのご意見ご感想は、この番組の概要欄を見ておくれ。
また、新しい話は毎週土曜日の午後5時に公開されるらしいから楽しみに待っていておくれ。
そうそう、妖怪古伝の話はノートでも読めるようになっているらしいぞ。よかったらそちらも覗いてみてくれ。
それではまた来週の黄昏時、大間が時にまた会おうぞ。
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