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マンガにおける社会とフィクションの接続とは【よすみの様子見#7】
2026-05-27 30:40

マンガにおける社会とフィクションの接続とは【よすみの様子見#7】

ジャンルレスで刺激的なマンガ作品をお届けしているよすみ編集部のPodcast番組。
マンガ研究者のトミヤマユキコ、そしてよすみ編集長の藁谷周太郎が、日々生まれ続けるコンテンツに飲み込まれる前に一度立ち止まって、すみの方からじっくり様子を窺いながら、次の一手を考える番組です。

第7回は『マンガにおける社会とフィクションの接続とは』

【出演】
トミヤマユキコ(マンガ研究者)
藁谷周太郎(よすみ編集部 編集長)

【構成・制作(放送作家)】
澤村太星

Produced by よすみ編集部

■おたより、感想はこちらから
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#よすみの様子見 #よすみPodcast 

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サマリー

このエピソードでは、漫画における社会的なテーマとフィクションの接続について、マンガ研究者のトミヤマユキコ氏、よすみ編集長の藁谷周太郎氏、そしてゲストの電子コミック書店「めちゃコミック」編集者の牧野氏が深く掘り下げています。現代の漫画はエンターテイメントとしての消化力が高まり、社会性を帯びた作品が多く生まれているという認識から議論が始まりました。特に、渡辺ペコ氏の『恋じゃねえから』が、未成年の恋愛、創作と加害、被害者が加害側になる可能性など、複雑で多層的なテーマを扱いながらも、エンタメとして成立している点が賞賛されました。また、峯奈ユー氏の『AV女優ちゃん』は、AV女優という社会的にタブー視されがちなテーマを扱いながらも、個人の事情や女性の生きづらさをオムニバス形式で描き、読者の共感を呼んだ事例として紹介されました。これらの作品を通して、社会的なテーマを扱いながらも、キャラクターを深く掘り下げ、安易な二項対立に陥らないことで、漫画としての面白さとエンターテイメント性を両立させる手法が語られました。後半では、編集者のアプローチの違いについても触れられることが示唆されています。

漫画における社会性とエンタメ性の向上
ここ最近、漫画を読んでいて感じることがございまして、 社会的なテーマを扱うこと、そしてそれをエンタメとして消化させる底力が上がっているような気がするんですけど、
わらやさん的にはどうですかね。 僕もそれすごく感じていて、
漫画ってエンターテイメントだと思うんですけど、 一方で社会的なものというか、漫画が生まれる時代性だったりとか、
そういうものをやっぱりどうしてもどんなエンタメでも反映されていくと思うんですけど、 その反映される力をすごく信じているような作品は結構
生まれてきてるんじゃないかなと思ってますね。 よすみでは社会派って名物かどうかは別としても、そういうものも作りたい?
そうですね。いわゆる社会派みたいなものとかは意識して作ろうみたいなっていうよりかは、 漫画じゃなくてもですけど、人間って社会的な生き物なんで、
普通に食べて寝てっていうことをしても絶対社会ってやってくるものだと思ってるので、 社会的っていうものではなくて、どんな物語も社会性を帯びると思っているっていうスタンスなので、
なんかよすみの作品は作家さんが描きたいものは自然と社会的なものを帯びていくから、 そこをこうなんていうか、
逆さの描きたいものとか、編集部で今出したいっていうものによって、 ちょっとチューニングするみたいなイメージですかね。 ちょっと社会的なメッセージングを強めるのか、
そこはある程度隠していくのか、本当にこう いろんな多角的に見て話すみたいなイメージです。
なるほどね。 今回は漫画と社会的なテーマとの接続について様子見していきます。
ゲスト紹介と『孤独のグルメ』を巡るトーク
今回も始まりました、よすみ編集部のポッドキャスト、よすみの様子見。 この番組は漫画研究者の富山由紀子さんと、よすみ編集部編集長の我谷が日々生まれ続けるコンテンツに飲み込まれる前に、
一度立ち止まって、隅の方からじっくり様子を伺いながら、次の一手を考える番組です。 今回も一緒に様子見していくのは漫画研究者の富山由紀子さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。 そしてですね、ついに今回なんと
番組初めてのゲストが来ております。 やったね。今回のゲストはこの方です。初めまして、めちゃコミックという電子コミック書店で編集をしている
牧野さなおと申します。よろしくお願いします。 いらっしゃいませ。
初めてのゲスト。そうよ。大変光栄です。 こちらこそですよ。ありがとうございます。
富山さんと牧野さんは古い友人というか、古すぎるぐらい古い友人です。 一番最初に会ったのが、それこそ私が担当してた渋谷直角さんという漫画家さんの
初コミックになるのかな。 カフェでよくかかっているJ-POPのボサノバカバーを歌う女の一生というものすごい長いタイトル。いいタイトル。かまなかったなぁ。
あったんですけれども、そこの発売記念のトークイベントでゲストに富山さんが来てくださって、そこからの縁ですね。
2013年の発売なので、もう13年。
あの漫画の中に一瞬私のことが出てくるのよ。それでゲストに呼んでもらったのね。パンケーキの本を出したばっかりで。
パンケーキノートという書籍を出された後で、作品の中に私パンケーキの特集やりたいっていう女の子が出てきて、
いやそんな軽々しくパンケーキを取り扱うもんじゃないみたいな。もうパンケーキノートという完成された、パンケーキの研究については完成された本があるんだから、
なんか素人が軽々しく手を出して特集じゃないみたいな感じの。
高栄なことにあるのよ。
それで完成記念のイベントの一つとして、なんか私とかを呼んで、みんなでワイワイ喋るときに、担当編集者の牧野ですっていう感じで、そこで初めましてだったんですけど、その後結局お互いの家でクリスマスにワクワククリスマス会をやるぐらい
マブになったっていう。ちょっとアイデア端折りましたけど。
そう、だからびっくりしました。牧野さん、最初のゲストで呼びましょうって言われて。
私の友達呼ぶんだ、みたいな。
2人の関係性は僕も本当に浅いですけど存じておりまして、
本当にめっちゃコミックさんに、最近ですか?
2025年の9月に転職しました。
最近ですよね。
そうですね。その前は15年ぐらい、週刊スパという雑誌で編集をやってまして、
なので、漫画編集専門というわけではなくて、
いわゆる普通の一端性週刊誌の特集みたいなのもやりながら、漫画連載も担当しているっていうような、
ちょっと漫画編集としては若干オルタナな感じなんですけれども、
そこで、今話した渋谷直角さんとか、
あとは美根奈佑さんのアラサーちゃんとか、
あとは2巻からですけど、復活連載みたいな形で、
孤独のグルメを担当したりしてました。
っていう、孤独のグルメの編集もされててとか、
アラサーちゃんとかいろいろ作品とかも知ってて、
かつ富山さんとも関係性があって、
その方がめっちゃコミックに行くっていうのを聞いて、
いろいろ興味があるなと思ってお話したいと思って、
ちょっとオファーさせていただいたというところで、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
また、四隅の四隅では皆様からのお便りをお待ちしております。
番組に対する感想や取り扱ってもらいたいテーマなど、何でも送ってください。
詳しくは概要欄のリンク、また漫画ウェブサイト四隅から。
真木野さんといえば過去に、孤独のグルメに携わってたというところなんですけれども、
この番組でも実は結構早い段階で様子見をさせていただいておりまして。
はい。空島という会社のポッドキャストなのに、
もう孤独のグルメ好きすぎて、孤独のグルメの話もうしようみたいな。
もうしたんですよ。
2回目で?
2回目くらいですね。
早い。
早くも。
孤独のグルメのドラマ見てる方はたくさんいるかもしれないけど、
原作みんな読んでほしいっていうのと、
あとはそのご飯を失敗してる回。
ご飯チャレンジ失敗回が好きすぎて、
グルメの漫画でおいしそうみたいな流れよりも、
あの作品に関しては、
すげー失敗してんじゃんっていう回ですっごい笑ったりとか、
あと一周回ってなんか食べに行きたくなったりとか、
なんか不思議な作用がありますよねっていう話をしたんです。
もう1回だけお互いの好きな回言っときます?
私はアルバイトの男の子がイビられる話ね。
僕は新幹線でシューマイ、
真空シューマイ食べて口やけどする話が好きです。
って感じなんですよ。我々のシューマイ。
確かにあの2つは2大失敗ですよ。
2大失敗ですよね。
清けんのZシューマイは今は販売されてないんですけれども、
復活してくれないかなってずっと祈ってます。
あれも近い失敗はみんな経験がありますよね。
あると思いますね。
シューマイじゃなくても、肉まんとか新幹線で食べちゃって
結構周りがいいみたいな顔をするとか、
割とあるあるの失敗があったりして。
匂い問題とかね、やっぱり多いですよね。肉まん、シューマイとかね。
確かに。現代の方がより匂いにみんながあまり寛容ではないというか、
こんなとこでこんな匂いさせるなんてみたいな。
今のが厳しいですよね。
かもしれない。
放っておくと我々ずっとこの話をしてしまうので、
本題に入りたいと思いますが、
漫画批評の意義と『孤独のグルメ』の読まれ方の変遷
とにかくこのグルーメを2人で読みながら、
なんとなく漫画批評の方に話を進めていったっていうのが、
この間2人でやったことで、
批評ってなんか上から目線で物を言ってるとか、
ちょっと怖い感じがするとか、
批評家っていう人が批評するブランドみたいなとか、
なんか部が悪いっていうか、現代においてはね。
だけど批評って楽しい部分もあるし、
作品の可能性を押し広げる部分もあるし、
怖いばっかりじゃないよみたいなことを、
うちらはちょっと言いたいみたいなとこがあって、
担当編集としてはどうですか?面白いと思って見てますか?
それともなんかどっちでもないみたいな。
やっぱり面白がりポイントが増えるというか、
こういう読み方があったんだ、
こういう面白がり方があったんだっていうのを、
批評によって可能性を提示してくれるっていうのは、
非常に面白いことだなというふうに思ってます。
正しい読み方はこうだよとか、
こういう読み方は間違ってるよみたいな、
読み方を狭める批評っていうのは、
私はあまり好きではないですけれども、
ここも面白いよねとか、
特に孤独のグルメって、
連載当初は私は担当してなかったんですけれども、
最初どう読んでいいかわからないっていう意見が多い作品だったんですよ。
そうかな、そうですよね。
もともと原作のくすみまさゆきさんって、
結構シュールなギャグっぽい漫画を描いてる人で、
作画の谷口二郎さんは一方でぼっちゃんの時代とか、
常に文芸的な作品を描かれてる方で、
その二人のタッグで、
五郎がやってることって明らかにおかしいのに、
もうすごい性質な絵だから、
どっちなの?みたいな感じで。
どういうテンションで受け取ればいいの?みたいな。
そう、どういうテンションで受け取っていいか、
結構わからない読者も多かったと思うんですけれども、
だんだんそれを読んでるうちに、
読者が面白がって、
後は五郎のセリフを名言みたいな感じでどんどん引用して、
SNSが発達していった時期、
2010年前後くらいから、
五郎の名言集みたいなのがSNSで話題になったりしたので、
そこでまた作品が広がって、
認知が広がっていったっていうのもあるので、
読者であったり、批評する人であったりによって、
作品がまた可能性だったり、
面白さっていうのが広がっていくという意味では、
非常に豊かなことだなと思います。
ではここから、
社会的テーマと漫画の接続:『恋じゃねえから』
今日の様子見へ移っていこうと思うのですが、
まず前編である今回は、
社会的テーマと漫画がどのようにリンクしているのか、
いくつかの作品への様子見を通して深めていきたいと思います。
社会的テーマといえば、
具体的に差別の問題だったりとか、
性に関することだったりとか、
それだけじゃなくても色々とあると思うんですけど、
SNSの問題だったりとかもあると思うんですけど、
牧野さんの中で、
うまく社会と、社会的にこういうテーマとか、
漫画への接続がされている作品とかってあったりするんですか?
最近読む作品は、
ほとんどの作品に、やっぱり色んなシーンで社会性を帯びているなという風に感じることが多いんですけれども、
特に印象に残っているのは、
2025年に完結した渡辺ぺ子さんの
恋じゃねえからという作品です。
はい。私も読んでるし、わらやさんも読んでるね、これね。
読んでます、読んでます。
ちょっと簡単にあらすじいいですか、私から。
はい、お願いします。
まず、赤根さんという40歳の主婦がいますと。
で、中学時代の親友、これゆかりさんがいるんですけど、
そのゆかりさんが当時通ってた塾の先生と、
一応その当時は恋愛だったっていうことで、恋愛関係にあったっていうことを思い出すか、
その四半世紀が経った後に、その先生が彫刻家として活躍してるんだけど、
その恋愛に関係にあったというその少女の裸体を作品にしてるっていうか、
明らかにモデルその子だろうみたいな作品を作ってるっていうことで、
昔のあれは何だったんだみたいな、それで今でもこういうふうに作品作られてるってどういうことやみたいな感じで、
40代の女性2人が、おかしいんじゃないかっていうようなことで、
行動をまずは起こしていくっていう話ですね。
無傷の人間が全然いない加害と被害の世界っていうのを、
かなり複雑で服装的に描いた作品というふうに私は読みました。
まずタイトルが恋じゃねえからって、
タイトルつけた時点で勝ちというか、なんてかっこいいタイトルだと思ったんですけれども、
たびたびニュースでも話題になったりしますけれども、未成年の、
中学生の女性と大人の塾講師の先生の関係っていうのが、
果たして恋愛と言えたのかどうかっていうところがまず一つ問題になっているし、
あとは創作の名のもとに、
過去付き合った女性の裸体というのをモデルにして作品を発表するということが許されるのかっていう、
創作と加害というテーマにも踏み込んでいる。
さらに二人の女性が過去の傷と向き合って戦っていく物語なんですけれども、
戦っていく過程で彼女たちもある種の暴力によって、
過去の傷と向き合って戦う、克服するっていう選択肢を取る瞬間というのがあって、
だからそれはもうシンプルな被害者ではいられない。
被害者だったはずの人が加害側に回ることもあるし、
加害者だった人にも被害者だった側面があったりするというような、
非常にどちらとも言えない服装的な部分というのを非常に丁寧に描いていて、
だいたい分かりやすいエンタメって完全調和区の方がいいみたいな、
悪者とかわいそうな人っていうのは役割がきっちり分かれていた方が分かりやすいし、
楽しみやすいというふうに言われているけれども、
そうじゃなくてもきちんと漫画として面白いエンタメ的な作品になるんだということを、
この作品で強く感じました。
本当そうなんで、これ完全調和区じゃなくてもちゃんと成立しており、
漫画として面白く、すごい、すごい、すごいじゃない、すごいですよね、だって。
僕もこの作品を読んだ時に、扱ってるテーマももちろん、
ニュースとかでも何回か騒がれたことのある、
今の現代人だったら絶対見たことがあるという、ある意味普遍的なテーマを扱いながらも、
漫画として面白すぎますよね。
軍蔵劇なんですよね、これ実はね。
主人公はちゃんとその、そのアカネっていうね、
主婦と、それから中学時代の性被害に遭っているユカリさんのこの2人が一応中心なんですけど、
この2人の戦いからいろんなところにキャラクターが派生していくんですよね。
この中年の女性の親の介護の問題がそこから入っていったり、
今生きてる子供たちの倫理が形成されていくプロセスだったりとか、
あとは実際に現場として性被害があっていくっていう、
本当に多層的というかいろんな時間軸で、
いろんなキャラクターたちがこの事件をもとにどんどん感情とか、
自分たちの価値観とか考え方が動いていくっていうのを、
なるべくこうフラットに捉えようとするみたいな試みを、
ちゃんと漫画としてやってるっていうのがめちゃくちゃ面白いですよね。
今日ね、2人が漫画の編集だから聞きたいですけど、
漫画として面白くして、かつその社会的なものも描き、
あとその分かりやすく完全調揚にはしないっていうのは、
打ち合わせしのほど大変なんじゃないかと思うんですけど、
どうですかって直接の担当編集者じゃないけど、
想像するにすごくない、これ。
ものすごい大変だろうなっていうのは思いますけど、
でも実は完全調揚にならないように、
うまくキャラクターを配置しましょうとか、服装的に描きましょうみたいな、
外側から埋めていくんじゃなくて、
多分キャラクターをとにかく掘り下げるってことを大事にしてたんじゃないかなっていう。
この人は悪者です、加害者ですじゃなくて、
この人は過去にこういうことをした先生です。
じゃあなんでこういう決断に至ったのか、
どういう過去があったから被害を訴えられた時に、
きちんと向き合うことができなかったのかとか、
一つ一つキャラクターを掘り下げていけば、
自然と完全調揚にはならない。
自然とこうなるん?
すごい変動というか結果的にはそうなる。
そしてやっぱり描く人が逃げないなって気がしました。
ストーリー展開を優先してキャラクターを都合よく動かすんじゃなくて、
この人はこういう人だから、絶対こういうシチュエーションになったら、
こういう言葉を発するはずだとか、こういう判断をするはずだみたいなことを、
逃げないで描き続けることによって、
エンザメ性が担保されるのかなという気がしました。
でもとても難しいことですよね。
かなり高度なことね。
かなり高度だと思いますね。
でも本当に牧野さんがおっしゃる通り、
多分キャラクターの掘り下げっていうことをしてると、
どうしても白黒つけられないじゃないですか。
私こう多分キャラクターが多いからこそ、
より白黒つけづらい。
これ登場人物が半分くらいとかだったら、
ちょっと完全調揚的な話に多分気となったと思うんですよね。
白黒つけるって話の方が多分簡単なんで。
ただ多分、ちょっともう推測ですけど、
編集の仕事が適切に行われているのだとしたら、
もうちょっとこういう立場の人間を増やしましょうみたいな
ディレクションはしたんじゃないかなと。
はあ。
確かに。
人ね。
人。
人を増やしてみませんかを言った可能性があるのか。
人が増えると視点が増えて、
またその一つのキャラクターの多機性が生まれていくんですよね。
だからキャラクターの掘り下げって一人の人間と行うよりかは、
十人の人間と行ったほうが確実に多機性って生まれていくと思うんですよ。
でもそれをこう、漫画ってやっぱりデフォルメ化して過剰にして
エンタメにしていくって感じなんで、
多ければ多いほどめちゃくちゃ難しくなるっていう感じがあるんですよね。
はあ。面白い。
今日編集さん二人来てるから聞いてみたかった。
やっぱこういうある種難しいテーマっていうか、
なんかこう分かりやすい完全中枠にしたら
逆にみんななんだってなっちゃうような作品を
どう作家さんに寄り添いながらやっていくのかなっていうのは
すごい気になっていたので、
編集目線でどう読んでたかっていうのが分かって
私は満足しました。
いやまあ本当推測なんであれなんですけど。
そういう意味でちょっと牧野さんの担当作品の話とかも
ちょっと聞いてみたいなと思いまして
『AV女優ちゃん』に見る社会性と個人の物語
ちょっとAV女優ちゃんのお話を
ちょっとお聞かせいただけたらなっていうふうに思いますね。
AV女優ちゃんは先ほども紹介した
アラサーちゃんという作品を連載していた
漫画家のミニナユカさんによる
反自伝的な漫画となっております。
AV作品に出演することを決断した
主人公ミニナユカさんなんですけれども
その周りのそれぞれの事情だったり
AVに出演することを選択した女性たちっていうのが
何人か出てきて
家族関係だったりとか恋愛関係だったりとか
経済的な問題だったりとか
それぞれの女性が抱える背景っていうのが
オムニバス形式で描かれていくというような作品になっています。
これって立ち上げの時ってどんな感じだったんですか?
アラサーちゃんが終わって次どうしますかっていう話を
まずしたんだよねきっと。
でも元々アラサーちゃんを描いていただいている時から
自伝的なものは描いてほしいっていう話はしてたんですよね。
頼んでたんだ。
だから自然とアラサーちゃんの次は
自伝漫画を描きましょうと。
タイトルもほぼ秒速でアドビジョイちゃうんだね。
まだアラサーちゃんを連載して2年目ぐらいの時に
結構寒い地域の出身でミネさんが
もう氷点下、真冬の氷点下なのに
超ミニスカートで
ブーツ履いて
寒楽街を繰り出していったみたいな
あぜ道を歩きながら
ミネさんの漫画でそれ読んだけど超面白かった
その話をされた時にその光景が浮かんで
最高すぎるって言って
それを描いてほしいっていうのは結構ずっと前から言ってましたね。
だからそこが漫画で実際にシーンになった時にはちょっと感動しましたね。
感動的な話ですね。
あのシーンだよー
今言われてすぐ思い出した
じゃあその社会的なことをテーマに描きましょうというよりは
とにかく自伝を
あるいはその氷点下の中のミニスカブーツの話をみたいな
ミネさんの個人の歴史を知りたいなみたいなところから
最初は走り始めた感じ
そうですね。女性の生きづらさを描きましょうとか
画性作手とはとかそういうことではなく
本当に田んぼあぜ道
ミニスカーみたいな
そのシーンを描いてほしいなっていうところから始まりましたね。
でも自分の話だけじゃなくて
いろんな女性、いろんな立場の女性が出てくるっていう構成は
ほぼミネさんが考えて
そうすることでやっぱりさっきも言ったような服装的な
描かれ方っていうのが可能になったのかな
AVに出演するっていうことは
性的な作手であるっていうような見方が基本的にはされるけれども
じゃあなんでそれを選択せざるを得なかったのか
ある側面では選択して
得たものがあったと感じる瞬間も
その選択した人にあったかもしれないし
っていうようなところは本当に
複数出てきたからこそ丁寧に描けたのかなと
結局この作品は週刊スパに連載されてたので
連載の時は男性読者が多かったと思うんですけれども
単行本は結構やっぱり女性が7割ぐらいだったのかな
ほぼ女性読者だったんですよね
だから自分とはかなり違う環境の人たちが描かれている作品なんだけれども
性的な価値というものを常に
ジャッジされて生きていかなければいけないっていうのは
普通に生きている女性たちにとっても
共感できる部分が大きかったのかなという
連載の時は男性
単行本になると女性の読者に
反省していくタイプの作品だったんだ
面白いね
わらやさんは AV女優ちゃんは
ちょっとしか読んでないんですけど
経済誌がまず男性の欲望といいますか
そこに載っているというところで
1話から結構衝撃的というか
イラストというか絵の情報だけ見ると
すごい面白おかしく描いているんですけど
結構ザックバランの描き方をしているというところが
最終的には女性の読者を獲得していくというのが
今話し切って面白いなというか
そうなんですよね
結構あるあるみたいな
AV業界あるあるみたいなところで
普通にカラッと笑って読める
という読み方もできるし
でも単行本1冊分とかでまとめて読むと
遠い世界のようで他人事ではなかったのであって
特に女性には思わせる力があったのかなと思いました
確かに
個人誌というか
作家さんの辞典とかそういうものって
切実さが出やすいというか
やっぱり切実さってすごく強度になっていくと思うんで
その切実さってやっぱり社会的なものを
どうしても帯びてくる
やっぱりどうしても
その時時代はどうだったのかって絶対
言わなきゃいけないじゃないですか
そういうところがやっぱり何というか
読者が引き寄せられる部分だったんじゃないかな
というのは思いますよね
美音さんって特にその
社会性の帯びさせ方というか
染み出させ方みたいのがすごい独特
というかなんか面白いなっていつも思う
結局は社会のみんなで考えるとか
社会で引き受けるべき問題とか書いてるんだけど
なんかその美音さん流の
なんかこうじわーって染み出させ方みたいのがあるなと思って
でもなんか積極ささとかないですよね
ない
みんなでこの問題について考えましょう
みたいな書き方は一切しないですよね
単純にこう
本当シンプルに面白く読めるっていうか
笑えるみたいな感じの読み方だけど
本当一冊読むと
どこに連れてかれてるんだ私たちはみたいな
気持ちにさせるっていうのがすごい
学級会が開かれないタイプの
でも社会的なんだよ
むちゃくちゃ社会的だし考えさせるんだけど
なんかこう学級会系ではない感じが
確かに
私はなんかあまり他の作家さんにはできない手つきかなと思って
どうしても真面目に考えちゃうというか
学級会やりたくなるじゃん人は
まあそうですね
大した問題ですねとか思うとさ
脳内学級会が開かれがちなんですけど
美音さんの場合は教室から出ろみたいな
そこで学級会やってんじゃねえみたいな
なんかそういうふうに尻を叩かれる感じもあり
大好きな作品ですが
編集者としてはどうですかっていうか
どういうふうに寄り添って
例えば取材に行ったりとかもするわけですよね
途中からはいろんな外部の人も出てくるから
なんで基本的な構成は
かなり美音さん変な言い方なんですけど
漫画が上手いっていうか
あ出た
構成が上手いんですよめちゃくちゃ
見るからにそうですよね
引きの作り方とか
連載のときは一回6ページだったんですけれども
6ページでよくか不足なく
毎回いい感じの引きを作って
でも通してみると
大きな物語になっていてみたいな
構成がめちゃくちゃ上手いので
そこに関してはほぼ私ができることなどなく
みたいなお任せだったんですけれども
取材に関しては
じゃあこういう人の話聞きに行ってみましょうか
みたいなことは
いろんな方に話を聞きに行きましたね
そこで感じた感情みたいな
生々しい感情っていうのが
最終的には漫画に立ち現れたりはして
そこがリアリティであり
さらに社会性というものに
接続していったのかなという気がします
取材ね
編集者のアプローチの違いと後半への予告
さっき打ち合わせのときにも
ちょろっと話が出てもしかしたら
次回も話すかもしれないけど
この取材する系漫画編集者と
取材というカルチャーがそんなにない系漫画編集者が
どうもいるようだっていう話があって
これはおもろかったとこですけどね
もうちょっとこれは後半に
話そうかなと思ってるんですけど
編集者として
牧野さんは取材とかをがっつりして
掘り下げる漫画の編集をされていて
僕はフィクションというか
全職少女漫画っていうのもあって
フィクションってやっぱり基本的には
そんなに綿密な取材をしないんですよね
フィクションの想像力とか物語の型とか
キャラクターの作りの型を使って
エンタメにしていくっていう
漫画編集者は割と僕タイプが多いというか
基本こっちだと思うんで
意外とアプローチが違う編集者だっていうことを
さっき打ち合わせで知りまして
これは面白いぞということで後半に続く
30:40

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