よすみの様子見というわけで、漫画研究者の富山由紀子です。
よすみ編集部のポッドキャスト【よすみの様子見】第2回が始まりました。
この番組は、漫画研究者の私、富山と、よすみ編集部編集長の和良さんが日々生まれ続けるコンテンツに飲み込まれるその前に一度立ち止まって、
すみの方からじっくり様子を伺いながら、次の一手を考える番組です。
というわけで、和良さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
2回目になっちゃったよ、もう。
もう2回目ですか。
どうですか?
いや、おしゃべり楽しいんで、すごく楽しいんで、第1回もめっちゃベラベラ喋って、すごくいい気持ちです。
よすみって何?って思ってる人がいるかもしれないので、簡単にお願いします。
よすみ編集部はですね、漫画の編集部なんですけれども、ジャンルレスで刺激的な漫画作品を集めつつ、漫画を分析点にして文芸、映画、演劇、音楽、生活などのカルチャーを横断して影響する、挑戦をする編集部でございます。
はい。というわけで、いろんなことを漫画を核にしながら展開していくということと、よすみっていうぐらいですから、なんか真ん中の方にはいないっていう。
そうですね、隅っこにいるっていうニュアンスは絶対伝わってくれるかなっていう感じですよね。
隅っこの方から様子見していくということで、よろしくお願いします。
さて、今回ね、我々2人で様子見したいのは、孤独のグルメでございます。
大好きでございます。
孤独のグルメいいですね。
よすみの作品とも関係ない作品の話を2回目からしていきますよ。
そうですね、もう本当に、第1回の時にもお話ししたんですけど、基本的によすみっていうのは、いろんなところに越境したりとか、一丁紙したい編集部なんで、どんどんいろんなよすみ以外の作品を取り上げるつもりでございますので。
ちょっと打ち合わせでもね、いろんな作品の候補が出たけれども、我々よすみ大好き人間としては、孤独のグルメぜひ話させて欲しいということですよ。
一旦、もう様子見しつくしてる感じはありそうな感じですけどね、孤独のグルメ。
あまりにもね、有名、これを聞いてる方で知らない人がいないと思うけど、一応説明します?あらすじとか。
そうですね、一旦ちょっとどんな感じかは聞いておきたいですよね。
猪頭五郎というね、男がいますと。個人事業主ですかね?
そうですよね、なんか多分一人でなんか雑貨とかを集めてきて、クライアントさんお店とかやってる人に届けるみたいな、不思議な個人事業主がいて、彼がその仕事と仕事の合間とかに腹が減ったつって、自分の嗅覚でその街のなんかうまそうな店を見つけわしわしと食うと。
美味しかったみたいな感じになって。あと下校だよね。
そうなんですよね、お酒飲めないからご飯に集中するっていう。それもまたいいですよね。
っていう基本的にウーロン茶とかとともに一生懸命ご飯を食べて、満たされてまた仕事に戻って行ったりお家帰ったりするみたいなことをずっと繰り返している。特にテレビドラマのシリーズとかになってからもうそれを何シーズンやってんの?なんか映画とかにもなってたしね。
もうシーズン12くらいまでたしかありますよね。
という長寿番組であり、韓国とかでも人気があるつって。
あ、そうですよね。
向こうは特に一人ご飯を食べるのがなかなかハードルが高いカルチャーだそうで、一人でもぐもぐ食べてるゴロウさんすごい最高みたいな。
フランスもそうですよね。その劇場は確か韓国とパリに行ったのかな。
なるほどね。
フランスもやっぱその固食の文化がないんですよ。だからご飯食べるって誰かと食べなきゃいけないから日本に来るとやっぱ感動するらしいですね。一人で飯食えるみたいな。
いいんだ!みたいな。
そういうのも孤独のグルメが日本でこんなに人気あるのはやっぱそういう食文化には密接に関わってますよね。
今回我々はこれを、この作品をですよ、大好きなんだけど、なんかグルメ漫画じゃないんじゃないかみたいな。
グルメ漫画だけに閉じ込めておくとなんか間違うのではないか。
孤独のグルメってやっぱグルメってついてるくらいだし、やっぱちょっとグルメ漫画の走りというかブームの元じゃないですか。
どうしても特にそのドラマ版だったりはやっぱり猪頭五郎役の松茂さんがめちゃくちゃうまそうに飯を食うっていうのでやっぱりこうお店の紹介になったりとかそういう文脈の作品と思われがちなんですけれども
本当にそうなのかって感じですよね。
原作をちょっと読んでみてほしいと。
そうですね。意外と原作を読んでドラマ版も見てっていう人はそんなに多くないんじゃないかなと思って。
ドラマ見てるけど実はその原作は読んでませんみたいな。結構いらっしゃるんじゃないかと。
読んでみたら結構びっくりしますよね。
もちろん美味しそうなご飯が出てくる回もあるんですよ。あるんですけど、原作を読んで何が一番心に残るかというと失敗した回なんですね。
本当に飯の失敗をあんなにも面白く書く漫画ないと思いますよね。
五郎さんがどっかにご飯食べに行って店主がバイトをすごいいびるみたいな。
そうですよね。中華料理屋だったから確か。
それで私知人友人と街を歩いてたらこの店がモデルらしいですよみたいな。
あるんだ。
だから美味しそうな店の紹介じゃなくて、孤独のグルメの中でバイトいびりしてたじゃないですかみたいな。
それのモデルの店ここらしいんですよみたいに言われて。そっちの方がでも嫌なんだけど見れて嬉しい。
確かにそういう聖地ですね。美味しいとかじゃなくて。
逆聖地。
あるんだ。あるんですね。
本当か分かんないよ。でも一応真顔で説明されたからネタじゃないと思ってるんだけど。
ご飯が上手に食べられなかったっていうか楽しい気持ちで食べ終わらなかったみたいな回の方がディテール忘れてるんだけど。
そうですよね。残ってますもんね。
僕も大好きな回いいですか?
どうぞ。
これもちょっとうろ覚えなんで間違ってる可能性あるかもしれないけど。
本当は多分この収録前に読み返すべきだったんですけど、あえてちょっと数年前に読んだ記憶で喋ってみるんですけど。
好きすぎて何回も読んでる。多分間違ってないはずなんですけど。
新幹線に出張で乗らなきゃいけなくなるんですけど。
乗車ギリギリで決めなきゃいけなくて。
シューマイ弁当を買おうとしたらシューマイ弁当が売り切れてたと。
どうしてもシューマイ食べたくて時間もないから悩んでる暇なくて。
真空パックシューマイを買うんですよ。頃は。
それを持って新幹線に乗ってちょっと一息ついて。
真空パックシューマイって紐を引っ張ると瞬間加熱するっていうやつがあって。
頃はそれを買ったんですね。
引っ張ったらもうブワーって湯気が一瞬で出て。
シューマイの独特の香りがもう車内に立ち込めるわけですよ。
みんながシューマイくせえなみたいな感じでちょっと騒ぎ始めちゃう。
誰だよシューマイ食ってるやつみたいな感じで。
ちょっとまずったなみたいな。
頃も走ったりとかしてたから息も焦りの気持ちがあって
真空パックのシューマイを食べ始めるんですよ。
もう匂いを消すために早く食べようみたいな。
だけどマジで熱いから口の中が火傷してウワーって。
とにかく周りの人たちが騒いでるから火の音を消さなきゃみたいな感じで。
証拠一滅だ。
味がわかんないながら激熱の真空シューマイを食うんですよ。
本当はシューマイで一息優雅な出張の帰りか行きか旅をしようと思ったのに
味がわかんなくて台無しなんですよ。
なんかうまくいかなかったなと思ってタバコに火をつけるんですよ。
当時は多分車内でタバコ吸える時代なんで
なんか嫌になっちゃうなと思ってゆっくりするためにタバコを吸って火をつけたら
後ろの親子連れのお母さんがニュって顔を出してきて
すみません子供がいるんでタバコやめてくださいって言って
すみませんみたいな感じでタバコをすぐ消して車窓を見ながら
なんだかなーって言って終わるんですよ。
これね最高だなと思って。
大好きな感じなんですよ。
失敗してる。
もう大失敗で味わかってないですよ。
でもここになんかその共感というか
誰しもがご飯で失敗しすぎてると思う。
なんなら僕成功率の方が低いと思ってるんですよ。
人生の中の食の失敗って。
同じシチュエーションじゃないかもしれないけど
ちょっと周りの目が気になっちゃったりとか
直にめっちゃ追われて駆け込んで味わかんなくてなんか残念みたいな
何回も経験してるからこそめっちゃわかるわみたいな
だけどシューマイ食いたくなってくるみたいな。
美味しいって言われてないのに
シンクパクシューマイを食いたくなるっていう
すごい漫画だと思うんですよね。
本当にそう失敗の方が心に残る。
だけどグルメ漫画だと思っているし
グルメ漫画ブームを牽引している作品でもあるし
でもみんな多分漫画が好きな人以外は原作があることももしかしたら知らないかもしれなくて
オリジナルのドラマシリーズかなぐらいに思っている人もいるかもしれなくて
多分ドラマの中だと失敗回ってないのかな?
あんまないと思いますね。
僕もシーズン最初の方とか追ってたんですけど
やっぱりどうしてもリアルのお店を行かなきゃいけないから
ディスれないじゃないですか。
だから大体成功するんですよ。
このグルメでも仕事の営業先で見つけたいい店に入ったら
これ当たりだみたいな感じで行くっていうのを毎回やって
これもリアルな映像で見た時には絶対いいと思うんですよね。
映像でなんかまずい飯出てきてとかになったりする
またそれは諸説あると思うんですけど
つらいかもね。
原作版は漫画だからこそちょっとそういう日常のリアルみたいな
だから今シュウマイもシチュエーションによって失敗しちゃったのもあるんですけど
いまいちいけてない飯が出される回も確かあったんですよ。
なんかちょっと思ってたのと違うなみたいな感じで
食べてまずくないけどいまいちかもみたいな感じで
げんなりして終わっちゃうみたいな回とかもあるんですよ。
これってやっぱドラマとか映画ではさすがに
なんか趣旨が変わっちゃうからできないと思うんですけどね。
孤独のグルメはそういう失敗みたいなのがいいなって思いますね。
漫画だからこそできるこの失敗の描写みたいなのは
映像だと多分ダメっていうかやらないでおきましょうってなるけど
漫画だとできるし
他の漫画でもさあるじゃないですか
例えばハチミツとクローバーで
すごい料理とお菓子が出てくるみたいな下りがあったって
登場人物たちがお菓子とか作るの大好きで作るんだけど
色っていうか別にこっちは白黒で見てんだけど
なんか色とか見た目とか匂いとかすごそうみたいなのが出てきて
でもなんかそれが記憶に残るというか
確かに
一般にはっていうか表に出ているところで言うと
なんとなくそのグルメ漫画っておいしそうであった方がいいとか
実際に食べようと思ったら実物が食べられる方がいいみたいな
ガイド的な
食べログ的な何かであった方がお得感があると思われてるような気もするし
あとはポルノ的なものとのつながりね
フードポルノみたいな食べる快感みたいな気持ちのつながりとか
そっちで語られがちなんですけど
実はもっとグルメ漫画って違うポテンシャルを持ってるような
特に漫画だとね
映像化される前の漫画のレベルだと
もっといろんなポテンシャルを持っているところがあるかなと
思うし
失敗回、まずそう回、しょぼい回みたいなものをこそ
なんか研究する人とかいないの?みたいな
思ったりは本当にするわ
なんか日常描写に近づいてくると思うんですよね失敗って
ご飯の失敗、そろそろ料理の失敗もあるし
物語としては
登場人物が高次な次元に至っていくみたいな物語がやっぱり
みんな好きだし
それがやっぱり売れていくと思うんですよね
成長していくみたいな
料理って成長として描ける部分もあるんですけど
なんかこうそんなことないと思う
毎日食べるから
いくら成長しててもミスる時あるしみたいな
お腹壊す時だってあるしみたいな
そこのリアリティを
やっぱりフィクションにおいては
割とこう車掌しちゃいがちななぁと思っていて
そういう意味でなんかちゃんと失敗を描いていくっていうところが
リアルな日常描写とか
そういうものに近づいていくのかなっていうのは
孤独のグルメを見て思うかなっていう
美味しいご飯って実は結構ファンタジーなんじゃないか
日常生活でそんなに毎日美味しいもん食えないでしょみたいな
食えないよ
美味しいんですけど
美味しいよ
美味しいけどなんていうかな
毎日人生が劇的に変わるほどの
美味いものは食えないと思うし
でもなんかその
今って結構ファストフードをエンタメとして楽しんでる
風潮とかもあったりとかするんで
こういう時に食べるマックはいいとか
それもなんか日常的な描写だなと思うんですよね
美味しいご飯というよりかは
やっぱ誰と食べるかとか
どういうシチュエーションで食べるかみたいな描写を
ポイントにするとどうしてもご飯そのものは失敗しちゃったりとか
いまいちだったりみたいなことは
意外とあるんじゃないかなっていうふうには思います
食漫画の歴史だとポイズンクッキング的な
下手者を作るヒロイン像とかよくありましたよね
それ結構古典というか
可愛らしくて女の子らしくて
でも料理作らせるとすっごいムズいものを作ってきて
だけどその子が好きだと我慢して食べる
みたいなくだりがあったりとか
ありますよね
これなんか漫画の中に組み込める一つの部品みたいな感じで
割と
テンプレットとしてありますよね
あるかもね
逆ってそんななくないですか
何逆って
男性がはちゃめちゃに料理失敗するみたいなのって
意外と武骨な男が作る料理意外とうまいですみたいな
そう
画体のいい人がさパティシエやってたりとか
そっちはあるじゃないですかギャップというか
何なんですかねあれは
やっぱり男すごい雑な言い方するけど
男は料理ができなくても意外性がないからじゃない
ああそうか普通だねってなっちゃう
普通だねみたいな
確かに確かに
どうせできないし洗い物しながら料理作んないから
作り終わった後シンクが大変なことになっておりみたいな
まあそうですよね
なんか失礼な話だよねでもね
よく考えたら
なんかそのテンプレっつうか変形
そうなんです
でもシェフとかめちゃくちゃ
めっちゃうまい料理作るので大体男キャラなんですよね
そうだよ
女性キャラでめっちゃ美味しいご飯作るキャラってあんまいなくて
大体でも家庭料理になっちゃうんですよ女性ヒロインが
お母さんみたいな
これがなんかちょっと根深いなって僕思うんですよね
確かに
シェフが男すぎるんですよみんな
確かに
でも家庭料理を男がするって描写あんまないんですよ
クッキングパパ?
クッキングパパとか
くらい
クッパパしか頑張ってないんじゃない?
あんな頑張ってんのに何回も出てて
未だに出てない
クッキングパパだけが頑張ってる
おいしんぼでもやっぱりこう
男の物語じゃないですかおいしんぼが
いやほんとそうですよ
そうなんですよ
これはなんかやっぱ男性社会なんだなと思うんですよね
そのシェフ業界というか料理業界も
なんか料理番組とか出ててもやっぱり
料理の鉄人とかだいたい男性じゃないですか
でもなんか料理は女がするものだみたいな