00:01
それでは、講義を始めてまいります。
今回のテーマは、随筆というものです。
随筆というのは、現代でも使われなくはないと思うんですけれど、
現代では、エッセイということの方が多いですかね。
随筆というと、エッセイのことを一体するんですけれども、
古文の中での随筆というと、
基本的には、いわゆる三大随筆のことを指しますね。
三大随筆というのは、
もちろん他にも、これは随筆だなという分類されているものはあるんですけれども、
基本的には、この三つのことを随筆というんですね。
それぞれどんなものかというのをざっくりお話しするんですけれども、
枕草紙というのは、
清少納言という、平安時代の中頃に
宮中で活躍していた女房による作品ですね。
なので、宮中の生活が書かれていたり、
当時の宮中の人たちの考え方が現れていたりした。
それが枕草紙です。
一方、包状記というのは、
鴨の長名という出家された方が、
平安時代末期のさまざまな戦火、
さまざまないろんな不運があったんですね。
五大災害と呼ばれるものですけれども、
大風とか地震とか大火とかそういったものですね。
そういったものについてとか、
あとは鴨の長名自身の仏教感が現れている部分を描いた。
というものが包状記です。
そして最後のつれづれ草は、
ちなみに包状記がなので鎌倉時代初期になりますね。
平安時代のさまざまないろんな災害というものを
踏まえて描かれたものだということです。
それに対してつれづれ草というのは、
鎌倉時代末期の作品です。
こちらは何て言うんですかね、
いろんな具体的な人物のエピソードなんかを通して、
ほとんどが少し滑稽なもの、
ある種バカにしたような、
そんな口調で面白おかしく描かれている文章なんですね。
ただその背景にはある種の哲学というか、
もちろん吉田健康、健康法師という方がいいですかね。
健康法師という方は、
何言いましたっけ、
つれづれ草はこちら健康法師という方のものなんですけれども、
この健康法師という方は、
03:02
もちろん法師という通り、
仏門に入られている方なんですけれども、
出家されている方なんですけれども、
背景として仏教的な要素はあるものの、
必ずしもシリアスな感じというものでもないんですね。
というように非常にこの三大随筆それぞれが、
かなり違ったものなんですね。
あまり一つの話ジャンルというまとめには、
ちょっと難しいような書かれ方についても、
背景についても、そして内容についても、
だいぶそれぞれに特徴があるということなんです。
じゃあこの随筆というものの本質はどこにあるのか。
本質というか共通点になりますかね。
本当に枕草紙も方丈記も、
つれづれ草もそれぞれなんですよ。
それぞれなんだけれども共通しているのは何かというと、
一つは筆者の主観が描かれているということだと思うんですね。
筆者自身がこういうことを思いますよと、
こういうことを考えていますよということが書かれている。
例えば物語の中では、
筆者自身がこう思うということは基本的には書かれないんですね。
例えば光源寺という登場人物がいて、
その登場人物の様子が非常に悲しそうに見えるとか、
非常に厳かな様子であるということは書かれたりしますが、
それはあくまで筆者がそう言っているというよりは、
ある意味では第三者、神の視点と言ってもいいかもしれません。
必ずしも筆者のアイデンティティを表すようなものではなかったと思うんですね。
日記文学というものについてはかなり随筆と近いところはあります。
筆者自身がこんなことを考えているというものが立ち現れてはくるんですが、
どちらかというとこんなことがあったよという記述に近くなりますね。
こんなことがありました。
ただ、これも例えば清少納言の幕打の奏詞の中には、
ほとんど日記だなという部分もあるんですよ。
それを日記的承談なんて分類をされたりするんですけれども、
そこだけだったらおそらくこれは日記に分類されていたと思うんですね。
ところが幕打の奏詞の中ではそれだけではなくて、
違った日記的な部分じゃないものもあったから随筆に分類されていると言えると思います。
もちろんこの随筆というものはいろんな人が書かれたのかもしれません。
06:05
けれども現存するもので特に有名なものというとまずこの3つが挙げられるんですね。
かたや現代においてはこういった随筆、自分の気持ちを語るということは非常によくありますよね。
非常にいろんな方が書かれていて、例えば芸能人の方、芸人の方が書かれるものもあれば、
作家の方とかスポーツ選手の方とか、
あとはその名も知れぬ人たちのいろんな言葉が書かれたり紡がれたりしていきます。
それぞれの人生、それぞれの生き方というものがあって、
どれ一つとしておそらく特殊性がないものがないというのがまさに人生というもので、
その人生の中における考え方とか、あとは考えたこと、あとはエピソード、出来事、思い出、
そういったものを綴ったものを、現代ではエッセイとか随筆と言ったりいたしますね。
そういった系譜の最も古い古文の中でのものというのが、枕草紙、ほうじょう記、すれずえ草というものなんですね。
これらの作品はよく受験でも出てきたりはするんですが、一番は書法的なテキストでやはり使われることが多い。
なぜかというと、これらの作品というのは短いお話がいっぱい入っているんですね。
ですので非常にそれぞれが独立しているので、長大な文章を読むということとは違って、
短い文を読むだけで十分意味が取りやすいということもあるので、書法的なテキストとしてよく使われたりいたします。
あとはですね、やはり読みやすいんです、非常に。
それぞれにそれぞれの読みやすさがあるんですけれども、
全体的に共感をしやすかったり、読みやすかったりするので、非常に入門としてはいいんですね。
あとは何より面白いんですよ、内容が。
マクダンソーシュでは宮中の、たとえばよくありがちなのが清少納言自身の自慢話にも見えるような、
そういったお話、ちょっと滑稽なお話があったりとか、
鴨の長命の包状記の方では、本当に厳しい状況、厳しい災害に巻き込まれている様子とか、
あとは健康法人のツレツレ草も完全に滑稽な話、コメディタッチで描かれたりしますので、
内容自体も面白いっていうね、そういったことがあるので、非常に人気があるんですね。
09:04
そういうこともあって、書学者用ではよく出てまいります。
入試ではですね、マクダノソーシがたまに出るかなくらいですかね。
包状記やツレツレ草は正直あまり出ないかもしれません。
内容としてもかなり限られますしね。
ツレツレ草も読みやすいところと読みにくいところがやっぱりあったりして、
あとは多分入試で出すにはちょっと文章が短すぎるっていうところもあるんでしょうね。
そういうこともあるので、出たとしてマクダノソーシからとは思うんですけれども、
そんなに入試では直接問われることは少ないです。
ただ非常に現代にも強く影響を持っている、そして現代でも人気なものというのがこの随筆というジャンルだと思います。