古事記の序文
それでは、今回は古事記を読んで参りたいと思います。
今回紹介しますのは、その序文の部分ですね。
一番最初の序文になります。
ここでは、この古事記の全体のあらすじ的なものが最初に来ているんですね。
そのあらすじ部分の、その特に最初の部分だということでございます。
それでは、読んで参りましょう。
この故に、
原詩は、面白なれども、
さきの秘辞によりて、
神を生み、人を立てたまいしを明らかにす。
こちらですけれども、まず最初に、
やっこやすまろまおさくと出てきます。
ここは、王のやすまろさんという人が出てくるんですね。
このやすまろさんという人が、
天皇、元明天皇の命を受けて、
この古事記を変算、
文字として表した、というような設定があるんですね。
まず最初に、それを述べています。
この私、やすまろが申し上げます。
天皇に申し上げます。
それ根源すでに凝りしかとも。
そもそも根源、もともとあった混沌としたものが、
だんだんと凝ってきた。
凝るというのは、固まってきたと言うんですね。
ですから、カオスの状態にあったものの中で、
何か形のようなものが見えてきた。
けれども、気象は未だ熱くならず、
まだその、何でしょう、
世界にあるいろんなものの形というものが定まってきていないと。
名もなく、技もなく、誰かその形を知らん。
それに名前も形も、
それがどういうものなのかということも全く分からない。
ですから、簡単に言うと、だんだんと、
生き物とか物体とかそういうものが出てきたんだけれども、
ただそれを名付けられるような状態ではなかったということですね。
これが一番最初なんです。
要するに、宇宙の成り立ちが最初に来るんですね。
その後、もう少し進んでまいります。
しかれども、けんとこんと初めて分かれて。
そこで、けんとこんとが分かれた。
けんこんというのは、これは天地を表しますから、
天と地がまず分かれてきたんだ。
そして、三神増加の始めとなり、
三神というのは、三人の神様です。
この後も深くは書かれるんですけれども、
これは雨の実中の虫、あとは神娘。
この三人の神様がまず現れましたと言うんですね。
これらは全て一人神、一人でワンセットの神ですね。
二柱の神と言ったりしますが、
二人ワンセットの神様なんかもこの後出てくるんですが、
この三人は一人神です。一人でワンセットなんですね。
それぞれこの雨の実中虫というのはあんまり出てこないんですが、
たかみむすひ、かみむすひは、
それぞれ後々も活躍してくる神様になります。
まずその三人の神様が現れて、
陰と陽とここに開けて、
二霊軍賓の親と成田は行き、
陰と陽というのは、ここでは陰と陽、
それぞれ影と日向と分けてもいいんですが、
その後に二霊、二つの二人の霊が、
軍賓の親と成田は行き、
様々なものの親になりましたと言うんですね。
ということからすると、おそらくこれはですね、
いざなきいざなみの二人神、
二柱の神と言いますが、
この二人の神様を指していると捉えた方がいいでしょう。
これ断定もできないんですけれども、
おそらくこの陰と陽というのは、男性と女性を指したりするんですね。
多くは女性が陰で男性が陽かと思うんですけれども、
これも様々な考え方はあるでしょう。
いずれにせよこの陰と陽とがだんだんと分かれてきて、
そこにいざなきといざなみという二人の神様が現れました。
いざなきの御事が女神、いざなみの御事が女神となっております。
この二人の神様がまさに国を作り、
他の神々を生んでいくんですね。
最初にできた三人の神様が生み出すわけではないんです。
もちろん後々いろんなものに関わっていったりだとか、
どうやら神様を生んだらしいってものもあるんですが、
主にこの地上にあるもの、生きとし生けるものを育てていくのは、
これはいざなきいざなみから始まっていくんですね。
この故に、ゆうとけんとに入れ入りて、
そのようにこのいざなみ、いざなきと二人によって、
二人が現れることによって話が進んでいくんですが、
その後、ゆうとけんとに入れ入りて、
物語の進展
ゆうっていうのは幽霊のゆうですね。
けんというのは明という字ですけれども、
そこに出入りしたっていうんですが、
これ何のことかっていうと、
この後の話の中で、いざなみが亡くなってしまいます。
その亡くなったいざなみを追って、
いざなきがいざなみのいる死者の国に行くんですね。
よみの国と言われますが、死者の国に行きます。
その死者の国を行って、その後、いざなきだけが戻ってくるんですね。
その戻ってきた後に、ひと月とめをあらうにあらわれたまえ。
太陽と月がめをあらったときに、この世にあらわれたと言うんです。
これは太陽の神様であるアマテラス大神、
そして月の神様であるつくよみのみこと、
この二人が死者の国から帰ってきたいざなきが、
けがれをはらうために、顔をあらうんですね。
そのとき、めをあらったときに、
その二人の神様が生まれたということを指すのでしょう。
そして、うしおに浮きしずみて、
神と神とみをすすぐにあらわれたまえ。
その後、うきお、
うしおですね、うしお。
これ、かいすいと書いて、うしおと読ませています。
かいすいの中で、みをきよめた後に、さまざまな神と神。
これ、字が実は微妙に違うんですが、
両方とも神様という意味ですね。
これは、くにつかみ、あまつかみという神様をあらわすのかもしれませんね。
要するに、さまざまな神様です。
神様には、くにつかみという地上の神様と、
あまつかみという天井の神様がいるんですね。
その二つのことを指しているのかもしれません。
それをすすいであらわれてきた。
つまり、いざなきが、いざなみのいるよみの国からかえってきて、
みのけがれをはらうためにみそぎをおこないました。
そのときに、さまざまな神がうまれたということでしょう。
かれ、たいそはようめいなれども、もとつおしえによりて、
くにをはらみ、しまをうみたまえしときをしり。
このようにして、たいそは、
この一番最初の時代というのは、ようめいなれども、
ようめいというのは、はるかに遠いことです。
はるか遠くのできごとだけれども、もともとのおしえによって、
つまりは、ここではそういう、
なにかしんわとか、そういったでんせつとか、いいつだいでしょうね。
そういったものによって、くにをはらみ、
くにというのは、つちという字をくにとよませています。
このくにをはらんで、しまをうみなさったときのことを知ることができる。
つまり、いざなきいざなみが、
くにをうんだ、くにうみしんわとよばれるものですが、
そういったものがうまれてきましたよと。
また、げんしはめんばくなれども、
げんし、またこれもげんしの時代というのは、はるか遠いことなんだけれども、
さっきのじによりて、さっきのそのようなおさめた人たちによって、
かみをうみ、ひとをたてたまいし、よをあきらかにす。
かみをうんで、ひとがこのようにたっていく。
このようをおさめていくというか、このようでかつやくしていくことを、
あきらかにのべているというんですね。
ですから、すごくむかしすぎることについては、しんわのなかでかたられ、
またそのわいとあたらしめのことについては、
さっきのけんじんたち、さっきのひせいしゃたちによって、
かたられてきたことによって、どのようにしてかみがみがうまれ、
そしてひとびとがうまれていったのか、
ということがかたられているということなんでしょうね。
このようにして、いちばんさいしょはまず、
くにうみのはなしからはじまってまいります。
このあともまだしばらくは、このあらすじがしばらくえがかれることになります。
ではもういちど、ほんぶんをふりかえっておきましょう。
さんしんぞうかのはじめとなり、
いんとようとここにひらけて、にれいぐんぴんのおやとなりたまいき。
このゆえにゆうとけんとにいでいりて、
ひとつきとめをあろうにあらわれたまい。
うしおにうきしずみて、かみとかみとみをすすぐにあらわれたまいき。
かれたいそはようめいなれども、もとずおしえによりて、
くにをはらみ、しまをうみたまいしときをしり、
げんしはめんばくなれども、さきのひじによりて、
かみをうみ、ひとをたてたまいしようあきらかにす。
ということで、古事記の最初の部分をご紹介いたしました。
出典は、門川ソフィア文庫ビジナーズクラシックス日本の古典、古事記からお届けいたしました。
お聞きいただきましてありがとうございました。