2025-05-18 21:13

#70 枕草子6(生ひ先なく)

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枕草子の第21段からです。「心憎き」女性、つまり人前に出て行かない女性が良いとされた時代にあって、清少納言がそれに反論します。宮中に働きに出る女性をどのように肯定しているのでしょうか。


【原文の引用・参考文献】

角川書店(編)『ビギナーズ・クラシックス日本の古典 枕草子』(2001)角川ソフィア文庫

《角川書店 ビギナーズ・クラシックス日本の古典》

https://kadobun.jp/special/beginners/nihon.html

サマリー

今回のエピソードでは、枕草子を通じて女性の生き方が探求されます。特に、当時の女性が宮中でどのように生活し、働いていたのかについて考察が展開されます。また、清少納言の枕草子における奥ゆかしさと女性の社会的役割についても探求され、内に閉じこもることの価値と外に出ることの良さが対比されています。

女性の生き方についての導入
それでは、講義を始めて参ります。
今回は、枕草子からです。
枕草子の第21弾。
今回は、女性の生き方。
当時の女性というのは、家の中に閉じこもってですね、
人の目を触れずに暮らすというのが、奥行かしい。
心憎き者だとされておりました。
そんな女性が、宮中に出て働くということについて述べております。
では、内容を読んでいきましょう。
生先なく、まめやかに、衛世在外など見ていたらん人は、
威ぶせく、あなずらわしく思いやられて、
なお、去りぬべからん人の娘などは、
さしまじらわせ、世のありさもも見せならばさまほしゅう。
ないしのすけなどにて、しばしまらせばや、とこそおよおゆれ。
みやづかえする人をば、あわあわしゅう。
わろきことに、いい思いたる男などこそ、いとにくけれ。
げに、そもまださることぞかし。
かけまくも、かしこきおまえをはじめ、たてまつりて。
かんだちめ、てんじょうびと、ごい、しいはさらにもいわず。
みぬ人は、すくなくこそあらめ。
にょうぼうのずさ、その里よりくるもの。
おさめ、みかわやうどのずさ。
たびしかわらというまで、いつかはそれをはじかくれたりし、
とのばらなどは、いとさしもやあらざらん。
それも、あるかぎりは、しかさぞあらん。
うえ、などいいて、かしずきすえたらんに。
こころにくからずおぼえん。
ことわりなれど、また、うちのなえしのすけなどいいて、
おりおりうちへまいり、まつりのつかいなどにいれたるも、
おもだたしからずやはある。
さて、こもりいぬる人は、まいてめでたし、
ずろうの、ごせちいだすおりなど、
いとひなび、いいしらぬことなど、
ひとにといききなどは、せじかし。
こころにくきものなり。
さあ、今回は、とくに、じょせいについてのおはなしでございますね。
おいさきなく、わめやかに、えせざいわいなど、
みていたらんひとは、と出てきます。
これは、じょせいのありかたについてのおはなしでしょうけれども、
おいさきなく。
これは、げんだいでも、おいさきみじかいなんていいかたがありますけれども、
おいさきですから、しょうらいですね。
これからというものがなくて、まめやかに。
ここでは、まめやかにというのは、
せいじつにというか、まじめにというかんじだと思うんですけれども、
このやくをみますと、
おっとにをたよってというかんじでとられておりますね。
えせざいわいなど、みていたらんひとは、
えせざいわいなんていいかたがありますね。
これ、えせ何々で、
にせもののなんとかといういいかたがありますよね。
それとおなじように、えせざいわいですから、
うその、にせもののさいわいなどで、
ごまんぞくしているようなひと、
そういうじょうきょうにいるようなひとというのは、
いぶせく。
いぶせしというようなけむたいようすをあらわしたりするんですけれども、
なにかうっとうしいようなようすですね。
あなずらわしくおもいえられて、
あなどられるようなそんざいというようにおもいえられて、
なおそれにたいしてですね、
やっぱりさりぬべからんひとのむすめなどは、
これはそうではないような、
そうではない、あるような、そうであるようなということですかね。
つまりここでは、
ちゃんとした、ゆうしょたらしいような、
いえのひとのむすめなどは、
さしまじらわせ。
これはひととこうりゅうさせて、
よのありさまをみせならわさます。
まほしゅうとあります。
よのいろんなようすなどもみせならわせたいと思うと。
そういうのがよいのだと。
ないしのすけ、これきゅうちゅうのやくしょくですね。
ないしのすけなどにてしばしもあらせばや、
しばらくそやとおつとめをさせたいとこそおぼえると思われる。
ようすにいえのなかにひきこもってですね、
おっとにずっとたよっているよりは、
きゅうちゅうなどにだしてかつやくさせるというか、
せけんでいろんなけいけんをさせたほうがよいのではないか、
というようなことをまずはいっているんですね。
社会における女性の位置
ここまでもういちど申し上げますね。
おいさきなくまめやかにえせざいわいなどみていたらんひとは、
いぶせくあなずらわしくおもいやられて、
なおさいぬべからんひとのむすめなどはさしまじらわせ、
よのありさまもみせならわさまほしゅう、
ないしのすけなどにてしばしまあらせばやとこそおぼゆれ。
さてつづきです。
みやづかえするひとおばあわあわしゅう、
わろきことにいいおもいたらおとこなどこそいとにくけれ。
みやづかえするきゅうちゅうにはただきにでていくようなじょせいを、
きづくのじょせいですけれどね、
じょせいのことをあわあわしゅう、
これはうばついていてかるい人だと、
わろきこと、よくないことだといいっておもっている、
そういうことをいったりとかおもっているおとこなんかは、
いとにくけれ、にくらしいっていうんですね。
ですからきゅうちゅうにでていく、
そとにはだだきにでていくじょせいをひはんするおとこは、
にくらしいといっている。
げにそもまたさることぞっかし、
たしかにそういうこともあうのだろうよというんですよ。
そういうぶぶんもあるでしょうよと。
ただかけまくもかしこきおまえをはじめたてまつりて、
かんだちめてんじょうびとごいしいはさらにもいわず、
みぬひとはすくなくこすわれめ。
かけまくもかしこきおまえってこれみかどのことですね。
みかどをはじめて、はじめ申しあげて、
かんだちめてんじょうびとごいしい、
これはきゅうちゅうでとくにえらいみぶんのあるかたがたのことですね。
そういったかたがたがいらっしゃってそういうことは、
かたがたはもういうまでもなく、
きゅうちゅうにはだらきにいれるじょせいをみかけるひと、みるひとはすくないでしょうよと。
ひじょうにおおくのひとがみかけるでしょうよと。
にょうぼうのずさ、そのさとよりくるものおさめ、
みかわやうどのずさ、たびしかわらというまで、
いつかはそれをはじかくれたりした。
これは、いま申し上げたかたがたというのは、
にょうぼうのじゅうしゃとか、にょうぼうのさとからきたものとか、
けしてみぶんはたかくないけれども、にょうぼうにおつかえする。
にょうぼうというのはきゅうちゅうにおつかえしているひとびとで、
ひじょうにみぶんのたかいかたからみぶんのひくいかたまでいらっしゃる。
そういうかたがたにあいにくるような、さらにみぶんのひくいようなひともふくめて、
みかわやうどのずさ、たびしかわら、
これらはひじょうにみぶんのひくいそんざいですね。
そういうかたがたもふくめて、そういうひとたちまでにも、
ちゃんとあうというんですね。
みかけられることがあると。みえることがあると。
とのばらなどはいどさしもやあらざらん。
だんせいだったらそういうことはないかもしれないけれども、
それもあるかぎりはしかさぞあらん。
そういうみやづかいをしているということは、
そういうことはだんせいでもあるでしょうよと。
要するにこのだんらくでいいたいことというのは、
みやづかいするひとをばかにするというか、
よくないふうにいうようなおとこもいるかもしれないけれども、
みやづかいしているというだけで、
非常に多くのかたにみだれることになるというんですね。
要するにそれを肯定的にここでは言っているんでしょうね。
それもまたよいことではないかと。
今のところを読み出しますね。
みやづかいするひとをばあわあわしゅう。
わろきことにいいおもいたるおとこなどこそいとにくけれ。
げにそもまたさることぞかし。
かけまくもかしこきおまえをはじめたてまつりて、
かんだじめ、てんじょうびと、ごい、しいはさらにもいわず、
みぬひとはすくなくこそあらめ。
にょうぼうのずさ、そのさとよりくるもの、
おさめ、みかわやうどのずさ、たびしかわらというまで、
いつかはそれをはじかくれたりし。
とのばらなどはいとさしもやあらざらん。
それもあるかぎりはしかさぞあらん。
つづきにまいります。
うえなどいってかしづきすえたらんに、
こころにぐからずおぼえん。ことわりなれど、
またうちのないしのすけなどいっておりおりうちへまいり、
まつりのつかいなどにでたるも、
おもだたしからずやはある。
うえっていうのはうえさまみたいなうえですね。
これはこのじょせいのことをうえっていってですね、
ようするにみやづかいをして、
いろんなごかつやくされたようなじょせいをうえというふうにあがめたてまつってですね、
いえでていちょうにあつかうと、
でかしづきすえたらんにと、
ひじょうにだいじにしてですね、
そんちょうしている。
奥ゆかしさの価値
でそのことをこころにぐからずおぼえんと、
ひじょうにこの心にぐからずっていうのは、
こころにぐしいっておくゆかしいっていう意味なんですね。
ですからここをにぐからずっておくゆかしくない、
ようするになんかがそれはちょっとよくないんじゃないと。
おくゆかしいっていうのは、
ここではいえのなかにとじこもって、
もうすがたをかくしてですね、
そとにでることのないようす、
ひとからみられることのないようすをおくゆかしいって、
ってここではだいたい古文の場合言うんですね まあそれを心憎しって言ったりするんですけれども
まあそれをそれはいい姿勢とされたというかそれがまあ いいんじゃないとされて
各性価値観があった頃があるんですねそれに対してもちろん その上なんて言ってですねちやほやする
いや外に出ていらっしゃって素晴らしい奥様ですねなんていうのは ちょっとよくないんじゃないかと
体裁が悪いと思うかもしれませんそれも断りなれど当然だけれども うちの内心に助けなどいいてうちの音内心の助けっていうのはうちっていうのが
は9中のことです9中にないしの助けて身分で役目で たびたび家へ参りとうちにその9中に何か仕事で言って
祭りの使いお祭りの時の何か役割だとかお使いとしてですね 働くなんていうことで出ていくっていうのも思だたしからずやはあると思うだたしつまり
晴れがましいというか 表面に立っていて非常に良いことだ
っていうことがねそういうことがあるでしょうよと ですから家に閉じ込もうっていうのが良いとされた価値観があるかもしれないけれども
外に出ていて活躍しているっていうのもまたいいんじゃないのっていうわけですね さてこもりいぬる人は参ってみれたし
で そういう様子なんだけれどもこもりいぬる人こもっている人ですから
元 何て言うんでしょうね9中で住み込みで働いていた人だけど今はこもっている人
家にこもって外に出ていかない人は一層いいでしょうよっていうんですね このあたりちょっと現代の感覚だとえって感じもあるかもしれませんけれども
ベストなのはやっぱりここでは何でしょう 外に出て行かないで家の中で人に顔見せないことなんでしょうね
ですからそれがベストなんだけれども9中に行ったりするのもまたいいんじゃないですかと でその9中に行った経験がありながらも今は外に出ていかないで
家の中でずっと人からも見られずに誰と回わずにいる状況っていうのが ベストだっていう言い方をしているわけですね
頭領の5世知田総理など意図ひなび 言い知らぬことなど人に問い聞きなどは政治化し
頭領頭領っていうのはこれは県知事みたいな存在ですね地方の 県そのエリアを収める階級のでその奥さんってことですね
その奥さんの立場で正確にはその夫ですね夫の頭領である夫が
5世知っていうのは5世知の舞っていう9中の行事があるんですね それに娘が若い年若い女性が
その舞姫として出されたわけなんですね でそれで出されるそういう9中で急に何かオフィシャルな行事があってそれに
身内が出ることになった時でも 意図ひなび
言い知らぬこととてもひなびるっていうのはこれはなんか田舎っぽいって意味ですね 現代でもひなびた田舎町なんて言い方ありますよね
ですからこれなんか田舎っぽい田舎っぽいことを言ったり 言い知らぬことわからないことなんていうことを人に問い聞きなどは政治化し人に問い
尋ねるなんてことはしないでしょうよと つまり一度外に出ておりますから物事を知っているのでこれってどうするのなんていうような
ことをわざわざ聞かないでしょうよというわけですね 聞く必要がないでしょうよと
心憎き者なり奥ゆかしくてそれがいいんじゃないと 結果的にはこれはこれで奥ゆかしいって言うんですよ心憎き者だと
非常に奥ゆかしくていいんじゃないということですね 今のところ確認もう一度言いますね
上などいいてかしずき据えたらんに心憎からず覚えん 断りなれどおもだたしからず矢はある
さて子守犬る人は参ってめでたし 頭領のごせちい出す折など糸ひなび
言い知らぬことなど人に問い聞きなどはせじかし 心憎き者なり
もちろんこれを書いている清少納言という人は こういった
なんでしょうね宮中に出資していたわけですね 中宮天子様という尊い方にお使いしてまさにその
宮中ので重要な役割を果たしてきたわけです そういったことを考えるともちろん高級地で働くことを進める内容ではあるんだけれども
それをねきっと批判するような人とか殿方もいたのかもしれませんね まあそういったことからここでは
宮中で働く女性 もういいんじゃないとそれはそれである種の奥ゆかしさってもの
女性の社会的役割
なんていうかまあなんでしょう奥ゆかしくないことを言うんじゃなくて奥ゆかしさって ものと両立できるんじゃないかとそれはそれでいいんじゃないの
一応外に出た女性も素敵なんじゃないのっていうことを言っている文章なんでしょうかね それでは
すべて前編をもう一度お読みいたしましょう おいさきなくまめやかに衛世在外など見ていたらん人は
威ぶせくあなずらわしく思い得られて なお去りぬべからん人の娘などは幸混じらわせ世の有様を見せ習わさまほしゅ
ないしの助などにてしばしもあらせばやとこそ覚ゆれ 宮塚へする人はあわあわしゅ悪きことにいい思いたる男などこそ
糸にくけれ 芸にそもまたさることぞかし
かけまくも賢きお前を始めたて祭りて かんだちめ天上人ごいしはさらにも言わず見ぬ人は少なくこそあらめ
女房のずさその里より来る者おさめ三河や宇戸のずさ 旅し河原というまでいつかはそれを恥かくれたりし
殿原などはいとさしもいやあらざらん それもある限りはしかさぞあらん
上などいいてかしずき据えたらんに心にくからぞ覚え 断りなれどまたうちのないしの助などいいておりおり家へ参り
祭の使いなどに入れたるも思うだたしからずやはある さて子守犬る人はまいてめでたし
頭領の誤説い出すおりなど意図ひなび 言い知らぬことなど人に問い聞きなどはせじかし
心憎き者なりということで今回は枕草子から第21弾をご紹介いたしました 本文の出典は
門川書店のビギナーズクラシックス日本の古典枕草子よりご紹介いたしました お聞きいただいてありがとうございました
21:13

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