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2011-01-25 21:38

vol.2-4「音楽同様、アートは『感じる』もの」室井俊二さん(板室温泉大黒屋当主)

教えて天野さん【4】「主席学芸員は美術館では、どんな役割を担っているのでしょうか?」











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横浜で見つけた人たち、アートの魅力をもっと伝えたい。
本番組は、そんな思いの横浜美術館が、インタビューの職人、早川洋平とタッグを組んで生まれました。
横浜美術館で見つけた、アートに関わる人たちへのインタビューを通じて、アートの魅力を発見していきます。
皆さん、こんにちは。番組ナビゲーターの早川洋平です。
横浜で見つけた人たち、今日も横浜美術館の関学芸人、天野太郎さんをお迎えしています。
天野さん、よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。
教えて!天野さんも第4回目ということですね。
今日はこんな質問をいただいています。
私籍学芸人って、美術館でどんな役割になっていらっしゃるんでしょうか?
学芸人の皆さんは、警察官みたいに階級や役割が細かく分かれているのでしょうか?
美術館にはどんな仕事をする人たちが集まっているのでしょうか?
教えて!天野さんということでですね。
そうですね。主籍学芸人というのは、どんな美術館でも使っているわけじゃないと思います、多分。
いろんな言い方をしていると思いますし、それから、例えば10年とか20年前にはこんな言い方なかったんですけど、
そうですね、20年ぐらいは経験をしているような学芸人が、やがてこういうポジションになって、
管理職という、会社でいうと管理職ということよりも、むしろ割と総合的に若い人たちというか、職員を指導したりとか、アドバイスしたりとか、
というふうな役割を期待されつつ、もちろん自分でもいろいろやらなきゃいけないんですけど、
特にやっぱり講師の指導みたいなことは、になっている感じはしますね。
学芸人の、私も実はそういう意味では、階級というのはあまりないんですけどね。
ただ、会社でいうところの係長とか課長とかというふうなタイトルの、それはあります。
学芸人としての役割というのは、実はこれは割と細かく分かれていましてね。
例えば、西洋絵画とか。
あ、そこまでも。
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そうですね。西洋画ですね。いわゆる油絵と呼ばれているものですけど。
でも、日本にも日本洋画がありますね。
それから、日本画はもちろん日本の中にしかないんで、日本画がありますね。
それから工芸、それから彫刻。
彫刻の中にも、皆さんがよくご存じのロダン都会という彫刻と、
石がポンと置いてたり、木がゴロッとしてたりというふうな作品。
つまり、具体的に何を表しているかというのが非常に難しい、抽象的な。
そういうのを総合して立体作品というんですけど、あるいは写真ですとか、
版画、水彩、素描。
デザインも建築も視野に入れなきゃいけないので、
そういうふうなジャンルに分かれて担当職員が決まってますので、
加えて作品の保存を担当したりとか、あるいは作品の貸し借りがありますからね、
美術館同士とか、そういうことを連絡を取り合ったり立ち会ったりとか、
それから寄与といって、やっぱり研究の成果を出すようなことも必要になってくるので、
ちょっと難しく言うと論文みたいなものですけど、
そういうものも発行しなきゃいけないし、それから教育的な仕事ですね。
例えば博物館実習ってやってるんですけど、
美術館の学芸になるための資格を取る大学のカリキュラムがあるんですけど、
そういう実習の仕事も受けなきゃいけないし、
あとはもちろん特別な展覧会ですね。
例えば今やってる土家展とか、
そういう他の美術館のコレクションを使って展覧会をする仕事もありますし、
それから何といってもコレクションを使った展覧会も企画しなきゃいけない。
結構ここで聞いてるだけでもずいぶんあるでしょ。
それで、わりと細かい仕事があって、
一つ展覧会があればカタログも作らなきゃいけない。
つまり編集して、しかも自分で書いて、文章を書いて、
自分で編集をして、あとポスターとかチラシとかも作んなきゃいけない。
最近はインターネットがもうずいぶん普及してますから、
要するにウェブの情報も更新をしていかなきゃいけないっていう。
実は本当に様々、毎日朝から晩まで細かい仕事があるんですね。
だから何となく美術館に勤めてると優雅でいいですねって言われるんですけど、
それはそれである意味当たってるんですけどね。
好きな美術の作品に寄り添いながら仕事ができるっていう。
現状は本当にフル回転で、ほとんど毎日全員がフル回転で、
それは実は学園だけじゃなくて、美術館の管理もしなきゃいけないセクションの人たちも、
あるいはいろんなことをやるときに予算を使いますよね。
だからそういうお金の管理もしっかりやらなきゃいけないし、
それから広報もしっかりやらなきゃいけないし、
それから最近はお金も資金集めもしなきゃいけないっていう営業の仕事もやらなきゃいけないし、
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それから何て言ったって美術館は、横浜美術館では見る、作る、学ぶっていう三つ柱にしてますからね。
作るっていう、要するにワークショップ、子どもさんから大人の方まで、そういう方にも担当職員が専門にいますし、
それからライブラリーですね、10万冊あるので、これもぜひ皆さん使ってほしいんですけど、
大抵のことは調べりゃ分かるような本が揃ってますから、
要するに何か調べたいっていうときに使えるんですけど、
そういうときに本の専門家、図書館で言うところの秘書ですね、そういう担当の方もいますし、
もちろん警備の方もいますし、美術館で監視をされるような方もいらっしゃいますんでね。
だから誰も誰もサボることができない。
とにかくいろんな仕事を一斉にお互いに連携しながらやっていかなきゃいけないっていうことですね。
何か一つ一人というか役割かけただけでも。
ずいぶん大変なことになっちゃうんだ、長くと。
本当にいろんな職種の方が働いてるプラス、もっと言うと学芸員に絞って言っても、
一人一人がやる仕事もいろんな種類があって、かつ学芸員自体もいろんな分野の学芸員の方がいる。
そうなんです。だから学芸員っていうと何となく朝から晩まで本が読んでるのかないっていうのがあるんですけど、
もう本なんか読んでる暇がないので、もう家帰って勉強するしかないぐらいにいろんな仕事として対応しなきゃいけないっていうことがありますね。
今日も横浜美術館施設経営の天野太郎さんをお迎えして、教えて!天野さんということで話を伺いました。
天野さんありがとうございます。
ありがとう。お役に立ってたでしょうか。ありがとうございました。どうも。
番組では今日いただいたこのようなご質問のように、
アートや横浜美術館に対する皆さんからの疑問・質問を随時募集しています。
疑問・質問は専用メールアドレス、yma-shi-sumon?yaf.or.jp、yma-?yaf.or.jpまでお寄せください。
横浜美術館のホームページにある横浜美術館チャンネル内の専用ページからもお寄せいただけます。
それでは本日のインタビューの模様をお聞きください。
実際にアート経営を取り入れた際のいろんな摩擦と乗り越えたことについて伺いましたが、
これまで実際にアート経営をされて約20年してきた中で、本当にたくさんの大変だったこともあれば、
嬉しかったこと、感動したことがあったと思うんですけれども、
今、振り返ってみて一番心を打たれたというか、本当にアート経営をやっててよかったなと思うようなエピソードって、
一つ挙げるのは難しいかもしれないですけど、何かあれば。
最近であるのは、庭を探索しながらお客様の言葉を聞くことなんですね。
そうすると、こういう庭っていいねとかね、これがアートなのねとかね、そういうことをしょっちゅう耳にしますね。
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それともう一つ、いわゆる日本の伝統文化っていうのがあると思うんですよ。
あらゆるものに。
その伝統文化というものが継承していくときに、やはりある面の新しいものを取り入れるということが必要だと思うんですよ。
例えば歌舞伎などが新しいものを取り入れていく。
例えば庭を作るのにも、庭の根底に流れている日本の庭ってあると思うんですね。
それを例えば芸術家に作らせるっていうことは、
芸術家の方、例えば私は菅義偉に庭を作ってもらったんですけど、
彼はしょっちゅう京都に庭を見に行ってるそうですよ。
ですから、ある面で伝統的なものをきっと取り入れながら、私のところの庭も作ってるってことがわかるし、
ですから、エピソードになるかどうかわかりませんけどね。
そういうことをしょっちゅう最近は感じることありますね。
そうなんですね。
そういう声がさりげなく入ってくるっていうのがいいですね。
そうですね。
実際、私もいろいろホームページを拝見したり、
いろんな大工部屋さんが取り上げられている記事だった本も読んだんですけども、
その中に、やはり多くのお客さんが最後にもう一度泊まりたいみたいな、
そういったことを実際思って、
例えば病気とかでもう余命が少ない方も泊まりに来られる宿っていうふうに書いてあったのがすごい印象的なんですけども、
実際そういったお客さんが年間何人いるかちょっとわからないですけども、
そう思ってもらえるというか、そこに何があると思う?
室井さんのご自身としては思いますか?
ある面では自分の家には絶対味わえない空気感というか、空間があるんだと思いますよ。
例えば庭一つあるって言っても、あ、外は違う。
それから違いがきちっとしてるんじゃないでしょうかね。
違い。
違いの表現をきちっとやってるんで、
自分の家のところに橋を渡ってくると、
違う空気感を味わうと。
その違う空気感が、居心地がその人にとっていいんだと思うんですよ。
だからあの居心地をもう一度ね、味わいたいっていう人がいるので、
例えば余命少なくなった人がね、
私のところの宿でしたったら、あそこで最後を過ごしたいっていう人はたまにおりますから。
その中でですね、今この大黒屋さんの中を訪れるお客さんの話だったり、
サービス、保養とアートについて伺ってきましたけども、
そことはリンクはしてると思うんですけども、
直接その宿泊のお客様にというよりもですね、
それとは別に大概的に数年前からゲンダートの公募店っていうのをやってらっしゃるっていうのをちょっとお聞きしたんですけども、
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これはどのようなきっかけで始めたんですか?
僕は2005年にメセナアワードから表彰状を受けたんですね。
アートスタイル継承という賞をいただいたんです。
賞をいただくってことは評価されたっていう形ですね。
その評価に浸ってるんではなくて、
次の段階を見つけていかないと自分も一歩前に進めないので、
それならば公募店をやってみようかと。
格になる作家にまず委員長になっていただいて、
画廊主を一人入れて、
それから学芸員を一人、
3人で審査していただいて、
その中から20人の方を抜擢して、
20人をうちの作品展をすると。
その中の一番の人に対象として30万あげると。
その取った人を支援していくということをやろうかと思って、
今度が6回目なんですけどね。
それは最初からかなり人数が集まったんですか?
最初からですね、集まりましたね。
僕一番最初の時は不安だったんですけどね。
山の中でやるわけですから、
多分集まらないんではないか。
銀座の画廊さんに相談したら、
あの山の中じゃ100人くればいいんじゃないでしょうかなって言われましたね。
でも現実には去年は500名突破。
今年というか来年やるんですが、
600人近いですね。
これはもう当面はずっと続けてるんですね。
もちろん続けたいですね。
ただ形をどういうふうに変えるかわかりません。
やり方を変えるかわかりません。
というのは審査員3人ですから、
数があまり多いとね、
きついんではないかなと。
嬉しい悲鳴ですよ、もちろん。
違う形をどういうふうに模索しようかと思ってますね。
20年が過ぎて、来年460年を総務を迎えて、
その候補点もあり、その先にあるものというかですね、
今村瀬さんが何か見据えてるものっていうのはありますか?
候補点やった時に、
大賞を取った作家とか20人に入った作家を、
どこまで応援できるかということをやりたいと思うんですね。
応援できるっていうのは、
例えば私はある面で、
例えばうちの作品展やった時に
ズロークを作ってあげるとか、
それからどなたかに紹介するとか、
作品を買ってもらえる人がいないかとか、
そういうことの応援をすることによって、
その人が世界に羽ばたければいいと思ってるんですよ。
その世界に羽ばたくっていうのはどういうことかっていうと、
日本初の現代美術家が世界で活躍する、
しかも最初のきっかけを私が作ってやる、
ということに喜びをちょっと感じてる。
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そこが今あるわけですね。
最後になんですけども、
この番組横尾で見つけた人たち、
アートに魅力を感じながらも、
何か敷居を感じちゃったりとか、
私自身もかつてそうだったんですけども、
なんとなくやっぱり現代アートって分かんないよねって、
先ほど分かると感じるっていう話もありましたけども、
そういう敷居を感じてる人に向けてですね、
改めてメッセージというかですね、
どうやって付き合っていけばいいのかというか、
そのあたりを改めて伺えないかなと思います。
私も経験上よく分かるんですが、
まず分かんないよねって言ってしまったときに、
コミュニケーションできないと思うんですよ。
そこでもう終わっちゃう。
終わっちゃう。
そうじゃなくて、
私にはこう見えるんですけど、
私にはこう感じるんですけど、
って言ったときに、
いい出会いがあったときに逃さないと思います。
その逃さないっていうことをやるためには、
いつも鋭敏な神経になってないといけないですね。
鋭敏な神経になるときには、
ある意味で見たものに対して素直に、
私はこう感じるっていうことを自分の心に言っていくっていう形です。
例えば春になるとね、
例えば吹きの音が出たらね、
私には吹きの音が美味しく見えるとか、
美しく見えるとか。
例えば川にね、
何かが見えたら、
川の流れってね、
なんとなく生きてるなっていうふうに感じるとか。
そういうことを常に自分の中のメッセージとして感じていく。
それを切らない。
常に。
そうすると、
例えば音楽なんかがね、
あの面で感じたら面白いなとか、
私に合うなとかっていうのがありますよね。
見た目は意外にそういうことを言わないんですよ。
そうですね。
何か私には分からないとか、
分かるとか分かんないっていうものはないと思うんですよ。
要するに感じることと行いが一致したときの人生楽しいですから。
確かに今お話聞いてて目から動くことで、
音楽は確かに私普通に好き嫌いとか、
あってもどこがどう好きなのかとか、
そういうことをそもそもあんまり考えないですし、
感覚ですよね。
感覚です。
だからアートもきっと同じでいいわけですよね。
同じでいいんですね。
それを分からないって言った瞬間に自分が伸びない。
私にはこういう感じだと。
俺にもできそうだなと感じればいいわけです。
待ってよく考えたらできないわと。
そうすると興味を持ちますから。
その興味を持つというのは何かというと、
感じる力だと思うんですよ。
その感じる力を自分の中で養うっていう形で。
だってそれはいつもやってるはずなんですよね。
ところが理性的にそれを切ってしまうっていう。
確かに今普段やってるっていうことはありましたけど、
少なくとも音楽とかに関してはみんなやってるはずなので、
なんかそのスイッチというかその思考を上手くそっちに持ってければ、
アートに対してもみんなもっと気楽にというか楽しむことができそう。
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できますよね。
ですから思考ではなくてね。
思考は理性だから。
そうですね。
感性の話ですから。
感性は見たものをどういうふうに感じるかだから。
それを落とし込むわけですよ自分の。
私にはこう見えた。
私にはこう見えたということを何かの時に心に留める。
訓練をしてるんですよ。
例えば僕はさっき声楽の話をしたんですけど、
うまく歌わないでくださいってよく言われるんですよ。
体を楽器にする訓練をすれば一人で声が乗りますからって。
体を楽器にする訓練をするわけですね。
そうすると歌がうまくなりますから。
そうすると、例えば感じるというものを見た目で、
自分はこう感じたということを訓練していれば、
それは感性度が上がりますよ。
それを切っちゃうと上がらない。
そうすると人生楽しくない。
さっきの楽しいという言葉にもまたつながってきますね。
分かるから。感じる。感性。
それを大事にしていることが一番ポイントかなと。
そういうことですね。
分かりました。
横浜で見つけた人たち、今日は第2回ゲスト、
栃木県那須塩原板室温泉大黒屋の第16代党首、
室井俊二さんにお話を伺いました。
室井さん、どうもありがとうございました。
どうもありがとうございました。
今日のポッドキャストはいかがでしたか?
番組では、アートや横浜美術館に対する皆さんからの疑問、
質問を募集しています。
専用メールアドレス
yaf.or.jpまでお送りください。
横浜美術館ホームページ、
横美チャンネル内の専用ページからもお申し込みいただけます。
それでは、またお耳にかかりましょう。
ごきげんよう。さようなら。
21:10
この番組は、
企画制作 横浜美術館
音楽 宮浦清
制作協力 若菜はじめ
ナレーション 清水夏実
プロデュース インタビュー
キクタス 早川洋平によりお送りいたしました。
21:38

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