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2011-03-01 20:16

vol.3-1「『ポンペイ展』の舞台裏」杉山邦彦さん(日本テレビ イベント事業部プロデューサー)

教えて天野さん【5】「展覧会にくるたびに室内の壁の建ち方が異なりますが、どのような理由で空間を仕切るのですか?」











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横浜美術館で見つけた人たち
アートの魅力をもっと伝えたい
本番組は、そんな思いの横浜美術館が
インタビューの職人、早川洋平とタッグを組んで生まれました。
横浜美術館で見つけた、アートに関わる人たちへのインタビューを通じて
アートの魅力を発見していきます。
皆さんこんにちは、ナビゲーターの早川洋平です。
ラジオ美術館横浜で見つけた人たち、教えて!天野さんのコーナーです。
天野さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
さあ、これまでもですね、いろいろな質問をいただいていますが、
今日はこんな質問をいただいています。
土が天にご来場いただいた方からのご質問です。
展示室の空間が細かく分かれていて、ワクワクする感じを楽しめますが、
その一方で混雑しており、狭い空間ではひとたまりがありました。
展覧館に来るたびに、展示室内の壁の立ち方が異なっているように感じますが、
展覧館を作る学芸人の方々は、どんな理由で空間を仕切るのですか、ということですね。
そうですね、どんな理由というか、横浜美術館の場合は、
動画展のような企画展があるんですけどね、企画展と言っているんですけども、
要するに横浜美術館が持っている展覧会のコレクション展に対して、
企画展という名前で呼んでいるんですね。
他の美術館では特別展という言い方もしますが、
いずれにしても、それぞれ毎回違うレイアウトになるわけですよ。
そうですよね。
わかりやすく言いますと、どういうストーリーでこの展覧会を紹介していこうかということが毎回違いますので、
ものすごくドラマチックにね、
例えば街を歩いていてもそうだと思うんですけど、狭い路地を歩いていくと、
そこを抜けると広場に出ましたとかね。
それと同じように言っているわけにはいきませんけども、
いくつかの作品を見ていて、その次に右とか左に曲がった時に、
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ここでちょっと節目になるような作品を見てほしいという時に、
遠くからすぐに目に入るようにはしないで、
曲がったところというか視界が変わった時点でね、
芝居でいうと安定みたいなものかもしれませんけど、
そういうふうなことで工夫する場合もあるんですけどね。
やはり意味があって当然やっているわけですね。
そうですね。
ストーリーを何かあるのかなと今やはり感じました。
ことその土画展に関して、ここにちょっと混雑して逆に声もいただいてますけど、
その中でまさにこの方が言っているようにワクワクする感じも楽しめているってあると思うんですけど、
土画展で特に仕切るというか、そのあたりレイアウトも含めて工夫したこととかっていうのはありますか?
監修者はオルセイ美術館の学芸の方と美術館と関係者が相当話し込んでやってます。
話し込んでというか打ち合わせをやってですね、考えてますので、
皆さんも記憶にまだ新しいと思うんですけど、
展覧会の展示室の壁の色もそれぞれ変えていくぐらいなんですね。
ですから単純に年代順に並べるということ以上に、
いくつかのトピック、動画にとっての重要な時代とか重要な作品について、
それなりにそこをアクセントとしてきちっと見せていくというふうな工夫はしていると思うんですね。
一つの展覧会のレイアウトをとっても、単純になんとなくで当然決めてるんじゃなくて、
何かやはり作り手のストーリーを組み立てたいとか、
ここでこうちょっと止まってみてほしいみたいな、
そういったものはやっぱり一つ一つ展覧会で考えていることが多いんですかね。
あります。実はこれすごく一番時間をかけるところで、
何度も展示室を歩いたりとか、頭の中もそうですけれども、
実際にその展示室の空間を何度も、もう長く勤めている学芸員ですらですね、
やっぱり毎回そのストーリーを考えなきゃいけないということで言うと、
もう一度何度もやっぱり展示室に出向いてって言うんですかね。
自分が見る立場に立ってっていうのを毎回これやらなきゃやっぱり本当に違うんですよね。毎回。
ですからしかも展覧会そのものっていうのは残りませんので。
カタログっていうのは残りますけどね。
だけどカタログではどんな雰囲気だったかまで伝えることができないので、
どうしてもそういう現場っていう言葉になるかもしれませんけど、
実際の場所でどう見せていくかっていうのは実は一番時間かけますけれども、
そこは非常に時間のかける、学芸員にとって非常に醍醐味ですよね。
今までそのレイアウトに関して今日の質問いただくまで私も全く考えてなかったんですけども、
確かにふといきなり自動的に止まっちゃうみたいな行き止まりではないんですけど、
なんかその空間がそうなっているところとかあったことがあるんですけど、
そういうのはやっぱりある意味意図的にというか。
もちろんものすごい意図が働いています。
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これは。
なので今日お話しかかって一つの楽しみ方として、
当然作品を楽しむのは大前提だと思うんですけども、
その空間そのものを展覧会を楽しむのも面白いかなという。
そうですね。だからあの土川の場合っていうか、
ああいう歴史的な展覧会っていうのはもう紹介するアーティストはこの世にいないわけですけれども、
だけどどこならどこが、あの世からそこじゃないっていうふうなことが言われないようにしなきゃいけないということもありますし、
逆に言うと現代美術なんかの現存の美術家の場合は、
もうそのアーティストそのものが我々と同様に何度も通って何度も場所を見ていって、
やっぱり同じなんですよね。どういうふうに自分の作品を紹介していくかっていうのは。
いずれにしても非常に丹念にですね、その時間をかけて練り上げていくっていう作業で初めて展示は成り立ちますね。
はい、ということで今日教えてあまのさん、この展覧会のレイアウトについて伺ってきました。
あまさんまた次回もよろしくお願いします。
はい、ありがとうございました。
番組ではですね、今日いただいたこのようなご質問のようにですね、
アートや日本美術館に対する皆さんからの疑問質問を随時募集しています。
この質問は専用メールアドレス、yma-shi-tsumn-yaf.or.jp、yma-?yaf.or.jpまでお寄せください。
日本美術館のホームページにある横日チャンネル内の専用ページからもお寄せいただけます。
それでは本日のインタビューの模様をお聞きください。
皆さんこんにちは。番組ナビゲーターの早川洋平です。
ラジオ美術館横日で見つけた人たち、今日は3人目のゲストをお迎えしております。
日本テレビ放送株式会社コンテンツ事業局イベントセンターイベント事業部の杉山邦彦さんです。
杉山さんよろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
今回ですね、杉山さんをお招きしたのはですね、
昨年2010年3月からですね、3ヶ月間開催されたポンペーテン、この展覧会のプロデューサーを務められたということで、
普段ですね、やはり展覧会は私も鑑賞するんですけども、
逆に開催する側の方のどういう方がいらっしゃって、どのように展覧会を作っているのか、
この辺をやっぱり聞いてみたいっていうのもあったので、
今回ですね、杉山さんをお招きして聞きたいと思っていますけども、
その他、展覧会の楽しみ方も、なんかいろんな開催する側だからこそ知っている、こんなことっていうのもあると思うので、
その辺もぜひ今日は聞かせてください。よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いいたします。
ということでですね、まず最初になんですけども、この展覧会のお話に入る前に、
簡単にで結構なんですけども、杉山さんの今のお仕事とこれまでというか、
どんな感じでお仕事されてきたのかってことを教えていただければと思います。
私はですね、日本テレビ放送網というテレビ局に勤めている会社員なんですけれども、
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やはり、ある業務というのは番組を一般の視聴者の方にご提供するというところなんですけれども、
私も会社に入って、大体半分ぐらいは番組のプロデューサーをやっておりまして、
その他半分は、いろんな仕事が会社ですのでございますので、
人事局ですとか、番組の管理部門ですとか、あとは著作権関係をやったりですとか、
そういうような形でいろいろな仕事をしてまいりました。
そんな中で、特にここ数年、イベント事業の中でアート事業を手がけられる機会が多いと思うんですけれども、
その中で、今回、昨年ですね、横浜美術館で行われたこのポンペ展のプロデューサーを務めるに至ったということだと思うんですけれども、
そもそもですね、やはり私も美術館、他の博物館の展覧会とかの時のチラシとかを見ると、
テレビ局さんの名前だったり、新聞社さんの名前だったり、ラジオ局さんの名前だったり、いろいろ入っているのはよく見かけるんですけれども、
このあたりも含めてですね、一般的に展覧会というものができるまでのステップをもちろん知りたいんですけど、
どういった人たちが関わっているのかという、このあたりの基本的な部分からお聞きしたいなというふうに、
特に今回ポンペ展で杉山さんが関わられたということなので、そのあたりご自身の経験も踏まえた上で結構なんですけれども、教えていただければと思います。
テレビ局のケースで申し上げますと、これはもしかしたらあくまでも弊社だけの考えなのかもしれないんですけれども、
美術をやる目的というのは非常に明確で、テレビ局というのは公共の電波をお預かりしている立場なんですね。
ですけれども、式行だというところで、非常にその中でのバランスの取り方というのは難しいところがあると思うんですけれども、
展覧会を行うということは、世界的なある種の遺産、宝物を場のお客様に見ていただくということなので、非常に口暴った言い方で恐縮なんですけれども、
一種の僕は社会貢献、還元だなと思っているんですね。この考えというのは割と弊社の中では、プロデューサーの中で共通認識として持っておりまして、
当然のことなら式行ですので、収支は問われることはあるんですけれども、そこで大儲けをしようとか、そういうことよりはその社会的意義を果たしていきたい、そういうような目的でやっております。
ちなみにこのポンペーテンの時というのは、日本テレビさんが主催の中に横浜美術館のポンペーテンの時に入っていると思うんですけれども、
すごい基礎的な質問で恐縮なんですけれども、どう最初に決まっていくのか、それこそ日本テレビさんが美術館さんに例えば声をかけて何か組織を作っていくのかとか、本当に基本の基本から知りたいんですけれども。
まさにおっしゃっているように基本の基本の部分なんですけれども、実は答えは一つではないんですね。
一番最初に申し上げたいのは、美術展をやるときに、例えばこれ面白そうだからやりたいなと手前どもが考えても簡単に着手するものでないですね。
着手するにあたっては専門的知識をお持ちの美術館様なり博物館様なりのご協力がないと絶対成立しないんですね。
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これは中にはごく稀に数パーセント美術館さんや博物館さんでやらない展覧会もあるんですけれども、
学術的な裏付けは別の方法でおそらく取っていると思います。それは監修者の方をつけていろんな学術的裏付けが成立するような形でやっていると思うんですけれども、
少なくとも弊社の考えとしては、やはり横浜美術館様のような一流の館の方々と組ませていただくというのがまず第一歩のところだと考えております。
企画のあり方として、当然館の方々はご専門でいらっしゃいますから、独自の企画を考えられるということはまずあると思うんですね。
その他に今回の場合は、一番最初の成り立ちとすると、実は今から14年前、1997年に本編の壁画展というのを横浜美術館様と読売新聞社さんと共同で主催させていただいて、
おかげさまでその時に30万人以上のお客様にご来場いただいて、その時に今まで出せなかった本編の壁画というのを修復して多くの方々に見ていただく。
その時の成功があって、またお客様からももう一度是非本編を見たいという声がすぐに上がったものですから、
実は企画自身はもう十数年前から、今度本編でまた何かできないかというのはあったらしいんですね。
その時には当然のことは、私はまだ現職ではなかったので、弊社の諸先輩方がそういう企画を考えられたんですけれども、
壁画というのは一度見せているので、じゃあ次はどういう切り口なのかということを探って、ナポリ・ポンペイ側と交渉するのに、
あり手にいってしまうとこれだけの期間がかかったということで。
今、私も初耳でその14年前の成功というか、そこがまず最初にあったのかなというのは初めて知ったんですけれども、
その時は当然杉山さんはいらっしゃらなかったというか、ここにはかかっていらっしゃらなかったと思うんですけれども、
その14年前、そして今回杉山さんがプロデュースするにあたってですね、改めてなぜこのポンペイ展に目をつけたというか、
多分いろんな流れでやるような流れだったと思うんですけれども、
今回ここが面白いとか、逆にこうしたいとか、その手掛けるにあたってやっぱりこの面白さ、どういうところにポイントを置いたのかなと。
流れというか、一般のお客様がやはり次第次第にこういうものが最近見たくなっているんだなという流れは何となくあるんですね。
そういう中でここ数年、ある種考古学的なものに目をつけるというのが、下品な言葉で言えばやはりトレンドになっているのかなという実感は非常に受けております。
実際その古いもので言うと、エジプトものであったり近いところでカルダゴとかそういうのもあったりするんですけれども、
そういうのが連続して着地しているというのは、やはりお客様のそういうニーズみたいなものに応えたいという企画者側の意図があるんじゃないかなと思っています。
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これはちょっと深読みかもしれないんですけれども、割とその世の中が混沌としてきて先が見えない状況の中で、
過去を知ることによってこれからの道を模索していきたいのかなという、そういうような感覚も皮膚感覚で割と受けたりしています。
確かに考古学がおっしゃるところもそうだと思いますし、私も普段本をいろいろたくさん読んで、仕事からそういう仕事をしているんですけれども、
皆さんいわゆるビジネス書とかいろんなのもかなり読み尽くして、最近本の売れ筋とかを見るとそこからちょっと昔に戻って、
哲学だったり宗教書だったり、そういうのが最近受けているように感じるので、今お話しの方でちょっと近い部分はあるのかなというふうには。
おっしゃる通りかもしれないですね。
そんな中でこのポンペーテンが開催するにあたったと思うんですけれども、
どれくらいのお金が予算、どこがどう負担している細かい部分はわからないと思うんですけれども、
興味として単純にどれくらいの人、お金もそうですけど人、あと会社というか美術館さんと日本テレビさんが中心だと思うんですけど関わっているのか、このあたりのボリュームを知りたいなと思うんですけれども。
まさにお伝えしたい部分のかなり大きなところでもあるんですけれども、
プロデューサーというと非常に言葉一つで済んでしまうんですけれども、あくまでも私の役目というのはいろんな意味での取りまとめ役だと思うんですね。
逆に言うとプロデューサーがあれやこれや言ってスタンドプレイに走ると展覧会って絶対うまくいかないんです。
その各々のセクションでお立場で皆さんプロフェッショナルでいらっしゃいますので、そのプロフェッショナルの方々がいかにプロの仕事をしやすいような形に持っていくのかということが私の仕事の大きな役割ではないかなと思ってますね。
人数で言うとそれはその展覧会の規模にもよると思うんですけれども、それこそその間の方々が常駐して詰められていろんなお仕事をしていただいて、
かつ例えばそれこそ模擬の方から受付の方、会場案内の方、それからショップの方、それから準備期間のときにいろいろ働いてくれるそれこそ展示作業のいろんな方々、それからデザイナーの方、
あとかなり展覧会では重要なんですけれども、展示作業のときに実際の展示として作品を運ぶという役割があったり。
ここはやはり僕もこの仕事をするまで想像力が働かなかったんですけれども、海外から作品を持ってきてそれを正常に展示するというまでの作業というのは非常に大変なことなんだなというのを実感しております。
ですので、展覧会を私が担当していても絶対作品には当然触れませんし、近づくというのも非常に緊張感を持って近づいています。
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今日のポッドキャストはいかがでしたか。
番組では、アートや横浜美術館に対する皆さんからの疑問、質問を募集しています。
専用メールアドレス
yaf.or.jpまでお送りください。
横浜美術館ホームページ、横美チャンネル内の専用ページからもお申し込みいただけます。
それでは、またお耳にかかりましょう。
ごきげんよう。さようなら。
この番組は、企画制作 横浜美術館
音楽 宮浦清
制作協力 若菜はじめ
ナレーション 清水夏実
プロデュース インタビュー
キクタス 早川洋平によりお送りいたしました。
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