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横尾で見つけた人たち、アートの魅力をもっと伝えたい。
本番組は、そんな思いの横浜美術館が、インタビューの職人、早川洋平とタッグを組んで生まれました。
横浜美術館で見つけた、アートに関わる人たちへのインタビューを通じて、アートの魅力を発見していきます。
皆さん、こんにちは。番組ナビゲーターの早川洋平です。
横尾で見つけた人たち、今日は第1回でゲストでご搭乗いただいた横浜美術館出席学園員、天野太郎さんをお迎えして、
今回から新コーナー、冒頭で、教えて天野さんということで、
天野さんに、皆さんが日頃感じるアートや横浜美術館に対する皆さんからの疑問・質問に答えていただくコーナーを始めます。
ということで、改めまして天野さん、よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。
今日はゲストというよりも、これからレギュラーメンバーとして毎回冒頭で、よろしくお願いします。
さあ、初回となる今回ですね、早速なんですけども、こうした質問をいただいています。
土画展にご来場のお客様から、絵画を保護しているガラスに映り込んでよく見えない作品がありました。
というご意見とともに、展示の時に何か工夫する方法はないのでしょうか。
というご質問が、ということです。教えて天野さんということで。
はい、なるほど。
そうですね、土画展に出品されている作品というのは、皆さんご存知のパリのオルセイ美術館から随分たくさん作品をお借りして、
それから日本国内も40箇所近い美術館からお借りをしているんですね。
で、ガラスに映り込んでいるのもあるんですけど、
ガラスが入っているかどうかもわからない、ひょっとしたらないんじゃないかなと思われるのもあったはずなんですけどね。
で、実はそれも含めて全部入っているんですよ、ほとんど全部入っているんです、ガラスが。
で、特にオルセイからお借りしている分で、あと国内ではちょっと今すぐに言えないんですけれども、
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無反射ガラスというのを使っているんですよ。もう反射しない、ほとんど反射しません。
で、顔を覗き込んで近づいていくと、照明がちょっと映っているかないというのは確認ができて、
あ、ガラスが入っているんだというのがわかるんですけどね。
だけど正面から見る限りでは全く反射しないガラスを使っているんですよ。
で、実はですね、これものすごく高いガラスで40万円ぐらいするんですよ。
無反射ガラス。
で、あと低反射ガラスというのもあるんですね。
だから無反射よりは少し反射率を下げているということなんですけど、
これは実はちょっとグリーンっぽく見えちゃうんですね。
で、無反射はもう全く透明なんですけど、
いずれにしても残念ながら無反射ガラスを入れていなかった作品をご覧になられたんじゃないかなと思うんですよ。
で、展示のときに何か工夫する方法はないでしょうかということなんですけども、
もう無反射ガラスを入れる以外に手はないんですね。
つまり裸で見せるわけにはいかないので、保全上の問題があって。
今後はただそういうふうに無反射ガラスの値段も下がっていくんだろうと思うので、
そういう作品というか映り込みが少なくて見れるような作品が増えてくると思うんですけど、
そこはちょっとご理解いただきたいなと思いますね。
逆に言うとガラス一つとっても、低反射ガラスとか無反射ガラスとかいろんな種類が美術館の展示の中にあるわけですよね。
そうですね。
ということで、全国の美術館も含めて無反射ガラスを少しずつ皆さんで増やして、値段が下がることということで。
ありがとうございます。
ということで、天野さんまた次回もよろしくお願いします。
ありがとうございます。
番組ではですね、今日いただいたこのようなご質問のようにですね、
アーティストやこの美術館に対する皆さんからの疑問質問を随時募集しています。
疑問質問は専用メールアドレス。
yma-shi-tsumn-yaf.or.jp
yma-?yaf.or.jpまでお寄せください。
日本美術館のホームページにある横尾チャンネル内の専用ページからもお寄せいただけます。
それでは本日のインタビューの模様をお聞きください。
皆さんこんにちは。番組レポーターの早貝大江です。
ポッドキャスト横尾で見つけた人たち。
今回はですね、前回横浜美術館主席学院天野太郎さんにとって今回2人目のゲストということで、
実は栃木県那須塩原の板室温泉、温泉街に来ています。
板室温泉大黒屋当主室井俊二さんに今日はお話を伺いたいと思います。
室井さんよろしくお願いします。
こちらこそよろしくどうぞ。
大黒屋さんといえばですね、創業400もうすぐ60年。
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そうですね。
460年というですね、老舗旅館でいらっしゃいます。
その中でですね、応用とアートの宿ということを掲げ、
現代アートを旅館に取り入れるというですね、
一瞬頭の中にクエスチョンマークが出そうな、そんなことをですね、実際実現されて、
本当にリピート率が7割8割近いということを考えていますが、
今日は現代アートと旅館というか、その切り口からですね、
いろいろとお話を伺いたいと思っております。
改めまして室井さんよろしくお願いします。
こちらこそよろしくどうぞお願いします。
この大黒屋さんの室井さんは第16代同士ですよね。
はい。
先ほど460年とお話ししましたが、創業が1551年。
はい。
室町時代からということですね。
そうですね。
聞くところによると栃木県の最後の企業になるんですよね。
そうらしいですね。
ということでですね、本当にすごいなと思うんですけども、
ここ、今日まさに板室温泉、この大黒屋さんの客室の一室でお話が上がっているんですけども、
3000坪ぐらい。
建物が大体3000坪ぐらいですね。
その中に部屋は全部で31室といいます。
すごい贅沢な、すごい広々とした敷地なんですけども、
早速なんですけども、まずはじめにですね、先ほど申し上げましたけども、
アート、特に現代アートだと思うんですけども、
室井さんご自身と、そもそもアートとの出会いというのは
どこからあったのかなというのをですね、
老いたちも含めてですね、かなり昔の方から伺いたいと思っているんですけども。
私は昭和45年に大学卒業したんですね。
1年間群馬県の島温泉の田村さんというところで修行させてもらったんです。
帰ってきまして、家を積むという形で積ませてもらったんですね。
仕事は一生懸命やってました。
やってた中で、しょっちゅうお客様が出入りしますから、
ある時10泊ほど泊まったお客様の中に、
よお仕事しますなって褒められたんですね。
その後にね、なんかどっか楽しくないねって言われたので、
ここはちょっと気になりまして、ふと考えてみた。
仕事っていうのは楽しいもんなんだろうかっていうね。
楽しいもんだろうかなと思った時、
仕事ってそんなに楽しいもんではないんじゃないかって思った時に、
そのお客様にね、仕事ってあまり楽しいもんではないんじゃないでしょうかって言ったら、
いろんな大人に毎日楽しい奴はいるよと。
世の中は仕事楽しい奴かなりいますよって言うから、
例えばどなたが楽しいですかって言った時ね、
アーティストは楽しく仕事やってるよって言われたね。
それがアートに対する第一歩っていう形ですかね。
そうすると、私に見るとやはり、
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今日お会いするまでは現代アートを取り入れている旅館のご主人ということで、
やはり小さい頃からアートにすごい興味があって、
そういう思いを体現されているのかなというふうにちょっと思っていたんですけど、
全くそういう感じでは?
僕の場合は全然なかったですね。
むしろアートというよりも楽しく働いている人というその観点から?
そうです。
だから、美術作品を見ているとか、
アートを今まで経験したとかっていうんじゃなくて、
アーティストの楽しく仕事をやっているっていうのは何なのかなっていう、
その仕草も含めて、
一体それがどうして楽しいのかなっていうことに興味を持ったんですね。
そもそもなんですけど、少し戻ってしまうんですが、
やはり宇野さんは長男で。
長男です。
そうすると、ある意味物心がついた時から、
すぐっていうことはご自身の中でも決まっていたというか。
うん。もう選択の余地が。
それはもう嫌だとかそういうことも思ったことはやっぱりあったんですか?
継がねばならないのかなっていうの。
人間って条件づけされると、
もう基本的に継ぐもんだっていう。
その中で育てられましたね。
その中で実際働き始めて、
あるお客様に言われたっていうのは、
もうどのくらい、10年ぐらい働いてる?
私が帰ってきたのが26歳の時ですから、
約5、6年働いてから言われましたね。
そうすると実際、他の人に働いてる人っていうことで聞いたら、
アートをやってる人というかアーティストということで、
そこでアートとの最初の出会いだと思うんですけども、
具体的にそこからお客様からお話を伺って何か行動を起こされたんですか?
お客様がそういう出会いは、
芸術家ってどこで会いますかって。
どこで会いますかって聞いたときに、
ガロにゴロゴロしてるだろうとかね。
そういう言われ方ですから。
例えば、どこですか?銀座のガロなんかたくさんある中でゴロゴロしてるよって。
へー池戸入るんだって。
で、通い始まったんです。銀座のゴロに。
なるほど。
それはこちらで働きながらのお休みの日をうまく利用して。
利用して。
実際に通ってみてどうでしたか?
作品よりもまずそうするとアーティストを見てみたんですか?
そうですね。作品を見るというよりも、
アーティストの仕草とか行為とか、それから顔つきとか、
喋ることってどういうことを喋るのかということに興味を持ったんです。
実際に接してみて楽しそうに働いてましたか?
いやー僕はね、初日に行くとね、
特にパーティーをやってるんですよ。
初日って。
古典の。
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そうすると夕方なんかに行くとね、
ビール出したり、ちょっとおつまみを出してやってるでしょ。
それでどうぞなんて言われるわけで行くと、
これ飲んじゃうと作品買わなくちゃならないのかなとかね。
考えちゃいますね。
そういう世界から入りましたから、全然わからない中に入りまして、
コツがだんだんわかってきたときに、
アーティストの考え方の作品とかっていうのを聞くこととか、
そういうことから入ったんですね。
ですからある面で戸惑い。
戸惑い。
それはこういうふうにして作品を売るのかなと。
それとも売りたいというよりも発表するのかなとか。
それがもう2年ぐらい続きました。通いながら。
1ヶ月2回行ったんですよ。ガローに通って。
ところがガロー多いんですよ。
あの当時180件ぐらいありましたから。
今から30年以上前ですかね。
25、6年前。
1年間で24回、2年で約50回近く通って、
そこで実際、毎回必ずしもアーティストの方と会えたわけじゃないと思うんですけど、
会ってみて、きっかけをくださったお客さんが言っていた、
楽しそうに働いてるっていうのは何か感じましたか?
働いてるというよりね、発表してますから、
なんかちょっと気取り気味ね。
気取り気味の作家を見てて、
ただ自分の作品を見てもらうという謙虚さのあるアーティストもいるから、
なんかどうだって顔する人もいるし、いろいろですからね。
日本画も見ました。
それからいわゆる現代美術も見ました。
ジャンルもわからないね。
作家の方にも見ました。
そのうち徐々にね、こういう作品って売って食べていけるのかなっていうところに疑問を感じましたね。
そうですよね。
実際、なかなか苦しい人もたくさんいるわけですよね。
ただ苦しいか苦しくないかよくわからないですけど、
有名か有名じゃないかもよくわからない。
基準がわからない。
基準がわからない中で作品を見てますから、
ですから、こういう考え方で作品を作るって、
一体どういう思考体系してるのかとかね、
そういうことに興味を持ったんですね。
作品ももちろん見てたんでしょうけど、その人が何を考え、何をしてるのか。
その辺りですね。
もともとすごいアートが好きだったとかっていうわけじゃないっていうふうにさせていただきましたけども、
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でもハードルとか抵抗感ってなかったですか?最初に敷居というか。
やりますよ。
やっぱりありましたか。
っていうのは我老に入りますでしょ。
なんといって入っていいのかなと。
見せてくださいっていうのか、
なんていうのかなーってのはわかりませんね。
ありがとうございましたって帰ってくるのか。
ところが周り見に来た方がサッと入ってきてね、
帰りにサインして帰るとか。
ああ、こういうことが礼儀なんだなって。
どういう礼儀の仕方があるのかわからない中で入りましたから、
戸惑いばっかりですね、最初の頃は。
だんだん慣れてきたと。
慣れてきたときに作家に声をかけるとか、
それから我老のうちに声をかけるとかっていうことに2年ぐらいかかりましたかね。
今慣れてきたときに作家に声をかける、
我老のうちに声をかけるっていうことだったと思うんですけども、
最初に、特に2年間の最初1年ぐらいの間っていうのは、
それをビジネスに取り入れようとか、
そういった発想っていうのはどこか心の片隅にあったんですか。
いやないですね。
やっぱり全くなかった。
全くなかった。
要はその仕草とか、
そういうことが本当に生き生きしてるのかどうか。
2年間見せていただいた中で、
あ、生き生きしてることだけは分かりましたねって質問しますでしょ。
そうすると答えるのは生き生きしてるもん。
何ですかこれはなんて聞きますよね。
もう生き生きと喋りますよ。
今日私も実はこの収録の前に昼間、
室さんにもいろいろご案内いただいて、
この辺りも歩いたりとか、
後で少しお話伺おうと思うんですけども、
大黒屋さんが実際やってらっしゃる広報店で大賞を取った第4回、
鈴木さんにたまたまちょっとお話しする機会があって、
石を積んでるものを見てですね、
実際やはりお話を伺うと、
いや本当にすごい生き生きと楽しそうに話すので、
やっぱり今まさに森さんおっしゃったよな、
その生き生きと、
しかもそれがどうだっていうことじゃなくて、
なんか純粋にうちから出てるものなんです。
そうなんです。
それを少し今森さんおっしゃってることを伺って、
私も重なったんですけども。
今日のポッドキャストはいかがでしたか?
番組では、
アートや横浜美術館に対する皆さんからの疑問、
質問を募集しています。
専用メールアドレス、
18:00
yma-shi-dsu-mon
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横美チャンネル内の専用ページからも
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それではまたお耳にかかりましょう。
ごきげんよう。
さようなら。
この番組は、
企画制作 横浜美術館
音楽 宮浦清
制作協力 若菜はじめ
ナレーション 清水夏実
プロデュース インタビュー
キクタス 早川洋平によりお送りいたしました。