大学教員の起業適性
大学の教員、非常勤であれ常勤であれ、起業するにはめちゃくちゃ有利な条件を整っているよ、という話ですね。
前回、しばらく前の配信で、教員が起業に向いている、最強のスキルセットを持っているよ、という話をしたんだけれども、
これ、大学教員にまたはまって、大学教員の場合、もちろんプレゼン技術とかに至る所で学科発表だったり授業だったりする機会がある。
ただ、小中高の先生ほどにはプレゼン、そこまで上手い美学を見かけるかというと、そういうわけじゃなかったりもするんだけれども、
ただ、大学の先生って、やっぱり自分の専門の領域を持っているわけですよね。
そうすると、一般的な薄っぺらい知識だけじゃなくて、自分の専門領域に食い込んだ深い話ができるわけね。
エビデンスもパパと普段実験やったりとか、他の論文をいろいろ読み合わせたりとかで、
エビデンスに関しては圧倒的に持っているわけですよね。
そうすると説得力を増すような話ができてしまうわけね。
例えば心理学とか何とかでも、薄っぺらい一般向けの本を数十冊読んだ程度の人よりも、
はるかに最先端の話にも精通しているし、それに対するエビデンスでこういうものがあるっていうのも、
批判的な論文も含め、サベーできるというかね、さらうことができると、
普通の人よりもより一層、権威性みたいなものもあるしね、
自分でその種の論文を書いていれば、なおのこと説得力を持った話をすることができるし、
サービスを提供することができるっていうのは、大学教員ならではだよね、というふうに思うわけね。
研究と論文執筆の重要性
それから二つ目として、自分の専門分野じゃなかったとしても、
やっぱり普段から論文を書くとか、学会で発表するってなったときに、
単に主観的な話だけで終わってたら、
説得付きの雑誌なんかには論文を掲載してもらえないわけでね。
そういうところで、ちゃんと文献を読み漁って、ロジカルに考えて、
誰もが納得するような、この前提を取ったらこの結論になるみたいな話をするものを考えるっていうのが習慣になっていると思うんだよね。
そのときのロジックの展開なんかは、もう本当、大学教員ならではの強みかなと思いますね。
それから三つ目、論文を書く上でね、やっぱり先行研究いっぱい当たらなきゃいけないし、
わからないことがあったら、自分で文献を読み進めて理解しなきゃいけないという部分がありますね。
しかも前によっては一時資料に当たったりとか、その辺の研究動向をザーッと論文に読みなさらなきゃいけないわけですよね。
僕もイギリス時代にね、すごい死ぬ目にあいながら博士論文を書いてたわけですけど、
だいたい課題図書が40冊とか50冊とかね、毎週出るんですよね。
そうすると、それだけ1週間にですよ。1週間に40、50冊みたいな課題が出て、
次回のマンツーマンの博士論文指導の時に、前回出したリファレンスのリストの中で、
自分の興味関心があるところに関して、4、1枚まとめて事前に提出するんですけれども、
それを出した上で自分のオリジナリティの論文を書き進めていくという作業をするわけだけれども、
つまりね、圧倒的に自分がそんな大して知らない分野だったとしても、
多くの文献に目を通して理解して、何が自分の興味関心にヒットするのか、
あるいは自分が書いてる論文を進めていく上で必要なものなのかっていうのを
取捨選択したり、自分なりに新しいアイデアをくっつけたりっていうことを日常的にやらされるわけよね。
だからビジネスをやっていく上で、マーケティングリサーチとか競合調査とか、
あるいは自分自身がこの知識必要となったときに初めて触るものに関しては、
やっぱり事前に学習する必要があるんだけれども、大学の研究者ってそういったことを日常的にやってるわけですよね。
だから圧倒的に大学の教員って、その種の新しい知識だったり、新しいことをやるとなったときに、
ゼロからスタートしても吸収力が半端なく高いし、アウトプット能力とか咀嚼能力っていうのも半端なく高い。
市場へのアプローチと専門用語
そういったものを考えると、大学の教員って本当に企業に向いてる。
ただ、大学の教員に注意しなきゃいけない要は、ついつい専門用語を使っちゃうところね。
そこはすごく注意した方がいいです。
一般の人からすると、大学教員の研究者が交わしてる会話ってなかなかついていけないよね。
もちろん専門用語って、専門家集団の中では、いちいちゼロから細かく説明して、分かりやすく説明しなくても、
一般向けには10分、20分、30分っていう話になるところ、専門用語一個ポッと言えば、
みなさん、その意味とか、それが意味するところ、論争点なんかを把握してる専門家集団の間では、
一個の専門用語で足りてしまうわけよね。
そういう意味で、専門家集団の中にいると、
当然、一般の人から見ると、難しい会話してるなっていうふうになるんだけれども、
専門家集団の中では、そっちの方が圧倒的に効率がいいっていうのがあってね。
だから、そういった会話に慣れきってしまうと、
一般の人たち、そういった知識がない人たちと会話するときに、
ついつい専門用語を使ってしまうっていうところがあるんですよね。
だから、小学生でも分かるような表現を意識して磨いていくっていうのをプラスアルファくっつければ、
超絶売れっ子の企業家になれると僕は思ってます。
といったところでしょうかね。
今日の話は、大学教員がめちゃくちゃ企業に向いてるっていう理由がそのあたりかなと思ってます。
大学教員ってね、今、アカデミックポストって言いますけど、
上級の教員、いわゆるパーマネントって言われるポストを取るのに
熾烈な争いを業界にもよりますけど、
そういう中で、非常勤の安い給料での生活を余儀なくされて、
日々論文を書いてる。なかなか評価されないとかね。
論文はいっぱい書いてる。博士号も持ってるんだけれども、なかなかポストにやりつけないっていうので、
生活きついなって思ってらっしゃる方すごくいっぱいいるんですよね。
そういった方々、本当に企業という選択肢一つ考えてみるっていうのもいいかなと思いますね。
そうすると、論文を書きながら自分の事業も軌道に乗せてしまえばね、
生活がまず守られるんでね、研究にも今まで以上に集中した時間を投下することができるかなと思いますね。
だいたい非常勤で食いつなぐって言ってもね、
非常勤1コマ、2コマだとね、月10万前後ぐらいにしかならないですよね。
そういうところで、本来は研究したいんだけれども、
非常勤をやらざるを得ない方々ってすごくいっぱいいらっしゃるんでね、
そういった方々、企業という選択肢も一つですよっていうのをちょっとお伝えしないなというふうに思ってます。