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2025-04-14 08:41

量子化学2(第0回; 2020年版)この講義で何を学ぶのか?

量子化学2(第0回; 2020年版)の「過去の講義動画 」をもとに、講義の主要なトピックについて「2人のAIホストがおしゃべりする」というポッドキャスト風の音声概要を作りました。通学中などの予習・復習に活用してみてください。

音声概要は AI によって生成されるため、「不正確な情報」「音声の乱れ」「漢字や記号の読み間違い」などが含まれる場合があります。

講義資料:https://yamlab.net/lect-qc2

Summary

このエピソードでは、量子化学の基礎から応用までを解説し、分子軌道理論やヒュッケル法の重要性を強調しています。また、化学反応の予測におけるフロンティア軌道理論の役割や、視覚的な図解思考を通じて分子の性質を理解する方法が議論されています。

量子化学の基礎と分子軌道理論
やまラボ Podcastへようこそ。今回は、皆さんが共有してくれた講義資料をもとに、分子の性質とか、あと反応性を理解する上で、非常に強力なツールである分子軌道理論、この世界をちょっと深く見ていきたいと思います。
具体的にはですね、まず強約系、これに注目して、ヒュッケル法という近似計算から、それから化学反応を予測するフロンティア軌道理論、
あと分子軌道の図を見て理解する図解思考まで、結構盛りだくさんですけど、大事なポイントを一緒に見ていきましょうか。
そうですね、これらの理論を一見すると、数式ばっかりでちょっととっつきにくいかなーって思うかもしれないんですけど、でも分子がどうしてそういうふうに振る舞うのかとか、
なぜ特定の反応が優先的に起こるのかっていうのを、量子化学の基本的な考え方から、論理的に理解するためのすごく大事な基盤なんですね。
なるほど。
資料にもあるように、紙と鉛筆でもいいですし、最近は便利なウェブアプリとかもありますから、そういうのを使って、皆さんが分子の世界を探る道具箱を充実させてもらえたらなと。
いいですね。じゃあまず基本から、分子全体のシュレーディンガー方程式、解くのがすごく大変だと。
そうですそうです。
そこで原子軌道を足し合わせる、線形結合するっていうLCAO、そういう近似を使うんでしたよね。
その通りです。じゃあ問題は、どうやって一番良い足し合わせ方、つまり近似を見つけるかっていうことですね。
あーはいはい。
そこで出てくるのが、あの変分原理なんです。どんな近似的な波動関数を使ったとしても、そこから計算されるエネルギーは、本当のエネルギーよりも低くなることは絶対にないっていう、まあ自然のルールみたいなものですね。
へー。
これを利用して、エネルギーが一番低くなるように、つまり一番安定になるように、波動関数の係数を決めていくんです。
その数学的なプロセスが、結果的に永年方程式っていう形になるわけです。
なるほどなるほど。一番安定な状態を探すと。
そういうことです。
で、特にπ電子が重要な脅迫系ですね。ベンゼンとか。
はい。
そこでは、引ける方が役に立つ。
ええ。
これはかなり思い切った近似ですよね。π電子だけに注目して、積分もαとかβとかも文字で置いちゃう。
まあそうですね。
重なり積分SijもΔij、つまり同じ原子なら1、違う原子なら0って単純化しますし。
でもこの大胆さが、強弱π電子系を考える上では、驚くほど上手くいくんですよ。
計算がもう劇的に簡単になる。
だから、エチレンとかブタジエンみたいな比較的簡単な分子だったら、
あの、手計算でもπ軌道のエネルギー順位とかホモとかルモがどんな形をしてるか、その係数の概略がわかるんですね。
手計算で?それはすごい。
ええ。
訂正的に理解するにはもう十分すぎるくらい強力な方法です。
じゃあその計算で得られた分子軌道から具体的には何が読み取れるんですか。
フロンティア軌道理論の説明
資料にはπ電子密度とかπ結合地数とかありましたけど。
あ、そうですそうです。軌道の係数ですね。
それを使うと分子の中のどの原子の上にπ電子が多めにいるか、電子密度とか、原子と原子の間のπ結合がどれくらい強いか、結合地数っていうのを見積もることができるんです。
なるほど。それはつまり電荷の偏りとか結合の長さとかにも関係してくる。
まさにそういう構造の情報と結びつくんですね。
さらに大事なのが資料で図解思考って言ってたやつです。
図解思考。
ええ。軌道の絵、形を直接見ること。
計算結果の数値だけじゃなくて、軌道のプラスマイナスの位相、色分けされてたりしますね。
とか、節、つまり位相が反転する場所。
あとは、軌道の大きさ、係数の大きさを見ることで、計算しなくても、訂正的に分子の性質を直感的に理解できることが多いんです。
へえ、面白いですね。
例えば、共薬系が長くなると、本物とルモのエネルギーの差がだんだん小さくなって、吸収する光の波長が長くなる、つまり色がついてくる理由なんかも、軌道の形とエネルギーの変化を見れば、ああ、なるほどなって納得できることが多いんですよ。
なるほどね。そして、いよいよ化学反応の予測、フロンティア軌道理論、FOTですね。
はい。
これはもう、電子が入っている一番エネルギーが高い軌道、ホモと、電子が入っていない一番低い軌道、ルモ、この2つのフロンティアだけに着目すればいいっていう、これは画期的ですよね。
まさに福井先生の偉大な業績ですね。
考え方としては、急電子反応、つまり電子を欲しがっている主役が反応するときは、一番電子を与えやすいホモ、その電子密度が高い原子の位置を狙ってくると。
ふむふむ。
逆に、急核反応、電子を与えたい主役が反応するときは、電子を受け入れやすいルモ、その電子密度が高いところを狙ってくると予測できるわけです。
シンプルだけど強力なですね。
これで、例えばナフタレンのニトロ化がなぜアルファーアイで優先的に起こるのかっていうのが説明できる。
単純に全部のπ電子の密度を見るだけじゃ説明できなかったことが、ホモとかルモっていう特定の軌道のその場所による形の違いを見ることで見事に説明できるようになったんです。
すごいなぁ。
じゃあディールスアルダー反応みたいな、もっと複雑に見える反応もこのFOTで説明できるんですか?
次元とアルケンがくっついて間を作る4プラス2間隔負荷反応。
もちろん、よく説明できます。
基本的には次元のホモと相手の次元のシル、アルケンのルモの相互作用が反応を主に駆動していると考えます。
ホモとルモの相互作用。
その相互作用がうまくいくか、つまり反応が進みやすいかどうかは大体3つのルールで判断できるんです。
3つのルール。
1つは軌道の位相がちゃんと合うこと。
プラスとプラス、マイナスとマイナスが重ならないと結合はできませんからね。
2つ目は軌道が空間的にしっかり重なること。
通すぎたら相互作用できません。
まあそれはそうですね。
そして3つ目が相互作用するホモとルモのエネルギー差が小さいこと。
エネルギーが近いほど軌道は混ざりやすく、相互作用も強くなるんです。
なるほど。位相を重なりエネルギー差。
この3つの観点から見ると、例えばなぜエチレン2分子が単純にくっついて4因感を作る反応は起きにくいのかとか、
なぜブタジエンは特定の形、シス型じゃないとディールサアルダー反応を起こしにくいのかとか、
あとはなぜジエノフィルに電子を引っ張るチカン器がつくと反応が早くなるのか、
といったことが全部分子軌道の言葉ですごくクリアに説明できるんですよ。
新しい分子設計の可能性
いやーこれ面白いですね。
変分原理から始まってヒュッケル法、フロンティア軌道理論、そして図備考える図解思考まで、
分子軌道という視点を通すと、化学現象の見え方がグッと深まる感じがします。
今回の資料すごく勉強になりました。
そう感じていただけると嬉しいです。
これらの理論とか考え方っていうのは決してなんか難しい数式だけの世界じゃなくて、
実際に皆さんが分子の性質を予測したり、あるいは新しい反応を考えたりするためのすごく実践的な考え方の道具なんですよね。
道具ですか。
そうです。
治療にも紹介されていたヒュッケルとかモルカルクみたいなウェブアプリありますよね。
ああいうのを実際に触ってみると、計算の手間なく軌道の形とかエネルギーを視覚的に見られるので、より深く体感できるんじゃないかと思いますよ。
確かに、実際に手を動かしてみるのが大事ですね。
ええ。
では最後に一つ、皆さんに考えてみてほしいことがあります。
今回見てきたような比較的シンプルなヒュッケル法みたいなモデルとか、あるいは図で直感的に考えるアプローチって、
例えば特定の色の光だけを吸収する新しい色素を設計するとか、あるいは特定の反応だけを選択的に進める触媒を作りたいとか、
そういう新しい機能を持つ分子を作り出すっていう場面で、一体どんなふうに役立てることができるでしょうか。
その可能性を探っていくのも、また科学の面白いところですよね。
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