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2025-04-19 08:53

量子化学2(第6回; 2020年版)ディールス・アルダー反応を読み解く

量子化学2(第6回; 2020年版)の「過去の講義動画 」をもとに、講義の主要なトピックについて「2人のAIホストがおしゃべりする」というポッドキャスト風の音声概要を作りました。通学中などの予習・復習に活用してみてください。

音声概要は AI によって生成されるため、「不正確な情報」「音声の乱れ」「漢字や記号の読み間違い」などが含まれる場合があります。

講義資料:https://yamlab.net/lect-qc2

サマリー

今回のエピソードでは、ディールス・アルダー反応を量子化学の視点から探求し、フロンティア軌道理論とその反応性の本質について学びます。さらに、反応の進行に関わる重要な三つの法則、位相、重なり、エネルギー差についても詳しく説明されます。

ディールス・アルダー反応の基本
やまラボ Podcastへようこそ。今回は、量子化学の授業、山本先生の第六回の講義資料をもとにですね、ディールス・アルダー反応を深く見ていきたいなと。
はい。有機化学では必ず習う反応ですけど、これを量子化学の、特に分子起動の視点から見るとどうなるのか、一緒に探っていきましょう。
いいですね。今回の目標は、フロンティア起動理論、FMO理論ですね。これを使ってディールス・アルダー反応がなぜ起こるのか。
なぜですか。
そうなんです。そしてその反応性が何によって決まるのか、その本質に迫ることですね。
なるほど。もちろん、高精度な計算的化も大事なんですが、それだけじゃなく、もっと基本的な法則からその意味を読み解いていきたいなと。
分子の気持ちを分子起動から読み解くみたいな。
まさにそんな感じです。
いやー、面白そうですね。では早速、その核心に触れていきましょうか。まずは基本の確認からですね。ディールス・アルダー反応。
はい。
これは、強薬次塩とアルケン、まああれはアルキンが反応して、新しい6因環を作ると。
そうです。
4プラス2間過負荷反応ってやつですね。
その通りです。一番シンプルな例だと、1酸ブタ次塩とエチレン。これでシクロヘクセンができる。
あー、ありましたね。
多くの場合、特別な死薬とかいらなくて、混ぜて熱するだけで済む。すごく便利なんです。
シンプルだからこそ応用も広いわけですね。資料にもありましたけど、インフルエンザ薬のタミフルとか。
そうなんです。合成ルートの一部に使われていますし。
あとは、切れても熱すると戻る自己修復ポリマーとか。
面白い応用ですよね。逆反応、逆ディールス・アルダー反応も利用されることがあるんですよ。
反応性を理解する三つの法則
へー、逆もですか。
はい。そして、こういう理解とか応用を支えているのが、計算科学の力なんですね。
計算科学ですか?
ええ。高精度は計算で、反応が進むときの分子の構造がどう変わるかとか。
原子がどう動くかみたいな。
そうそう。結合が組み替わったり、分子同士がどうやって近づいて重なり合うかとか。
ミクロな動きが。
ええ。そういう過程を詳細に追跡できるようになったんです。
エネルギーの変化も、活性化エネルギーがだいたい30キロカロリーパーモールくらいで、
反応全体としては、約40キロカロリーパーモールの発熱反応だということも分かっています。
なるほど、なるほど。では、いよいよ本題の、なぜ反応が起こるのか。
はい。
ここで鍵になるのがフロンティア軌道、ホモとルモ。
まさにそれです。ディールス・アルダー反応を2回する上で、一番大事なのが片方の分子のホモ。
最高非線分子軌道、電子が入っている一番エネルギーが高い軌道ですね。
ええ。それと、もう一方の分子のルモ、最低空分子軌道。
電子が入っていない一番エネルギーが低い軌道。
その通りです。このホモとルモの間の相互作用、これが反応の駆動力になります。
相互作用ですか。
具体的には、ディールス・アルダーだと多くの場合、ディエン、豚ジエンのホモとジエノフィル、エチレンのルモ、この相互作用が一番効いてきます。
その相互作用の結果、新しい結合ができて、経全体のエネルギーが下がると、
そういうことです。
だから反応が進むし、発熱反応になるがてですね。
ええ。ただ、どんな軌道でも相互作用するわけじゃないんですね。
そこには、いくつか重要なルールがあるんです。
ほう、ルール。単にぶつかればいいってもんじゃない。
そうなんです。これが、反応性を理解する上で非常に重要になります。
それはぜひ知りたいですね。どんなルールなんですか?
大きく分けて三つあります。まず一つ目、位相です。
位相?波の山とか谷みたいな?
ええ、そんなイメージです。
相互作用する軌道、原子状の部分の位相がちゃんと合っている必要があるんです。
合っていると?
合っていると、結合性の相互作用になって安定化する、つまり結合ができます。
でも、位相が合っていない、逆だと半結合性相互作用になって、むしろ不安定化して結合はできないんです。
なるほど。波が強め合うか打ち消し合うかみたいな感じですかね?
まさにそんな感じです。これが第一の関門。
ふむ、それだけじゃないんですよね。
もちろんです。二つ目は、重なり。
重なりですか?
軌道同士が空間的にどれだけうまく重なり合えるか、これが重要です。
物理的にちゃんと接触しないとダメだと?
ええ、しっかり重なるほど相互作用は強くなって、より安定な結合ができやすくなります。
どんなに位相が合っていても、遠く離れてちゃ意味がない。
なるほど。握手するにもちゃんと手が届かないと、みたいな?
そういうイメージですね。位相が合ってしっかり重なる、あと一つは何でしょう?
エネルギーの高さ自体は関係ないんですか?
いや、そこが重要なんです。それが三つ目の法則、エネルギー差です。
エネルギー差?
相互作用する二つの軌道、つまりホモとルモのエネルギー順位ですね。
これが近いほど相互作用は強くなるんです。
近いほど強い?
ええ、エネルギーが近いと共鳴しやすい、みたいな感じですね。
このエネルギー差が小さいほど反応は有利に進みます。
位相、重なり、エネルギー差。なるほど、この三つの法則ですか?
反応の設計と応用
はい。
これ、すごくエレガントですね。
これを使えば、授業の演習問題にあったような具体的な現象も説明できると。
その通りです。いくつかちょっと見てみましょうか。
お願いします。
例えば、なぜブタジエンとエチレンの4プラス2反応は簡単に起こるのに、
エチレン同士の2プラス2反応はこの条件だと起こりにくいのか?
ああ、ありましたね、それ。
これは法則1、位相が効いてるんです。
4プラス2だと、ブタジエンのホモとエチレンのルモは両端でちゃんと位相が合うんですね。
はいはい。
ところが、2プラス2エチレンホモとエチレンルモの相互作用を考えると、
片方の端っこで位相が逆になっちゃうんです。
ああ、図で見るとそうなってましたね。
ええ、だから間を作るのに必要な両端での同時結合がうまくできない。
なるほど、位相が邪魔をするわけですね。
では、ブタジエンがシス型、SCIS型でないと反応しないのは?
これは法則2、重なりの問題ですね。
重なりですか。
シス型だとブタジエンの両端がエチレンの方に近づいて効率よく重なれるんです。
ふむふむ。
でもトランス型、Sトランスだと片方の端がエチレンから遠ざかっちゃう。
ああ、形的に。
ええ、だから十分な軌道の重なりが得られなくて反応が起こりにくくなるんです。
なるほど、形が重要なんですね。
最後に、痴漢器の効果、エチレンに電子吸引器シアノキとかをつけると反応速度が劇的に速くなるってやつ。
はいはい。
資料だと10万倍とか書いてありましたけど。
そうなんです。これぞ法則3、エネルギー差の威力です。
エネルギー差?
電子吸引器、例えばシアノキはエチレンのルモのエネルギー順位をグッと引き下げる効果があるんです。
ルモが低くなる?
そうです。すると相手のブタジエンホモとのエネルギー差がうんと小さくなるわけですね。
ああ、ギャップが縮まる。
その結果、ホモルモ相互作用が格段に強まって反応がものすごく促進されると。
いやー、すごいですね。目に見えない分子軌道の形とエネルギー、そしてたった3つの法則で
ええ。
これほどまでに反応の選択性とか速度の違いとかが鮮やかに説明できるんですね。
そうなんです。
まさに図で考える科学って感じですね。
つまり分子軌道っていう考え方は、反応がどう進むかを予測したり深く理解したりするための
なんかものすごく強力なツールになるということですね。
まさにおっしゃる通りです。
そしてですね、ここからさらに一歩進んで考えてみると面白いと思うんですが。
と言いますと?
これらの法則を今度は逆に利用するという視点です。
逆ですか?
つまり、ある特定の反応をもっと効率よく起こしたいとか、あるいは全く新しい反応をデザインしたいと考えたときに
はい。
これらの法則に基づいて、じゃあ反応物とかあるいは触媒をどう設計すればいいか。
なるほど。
例えば、意図的にホモとルーモのエネルギーギャップを小さくするにはどんな置換器を導入すればいいかなとか。
ああ、そういう発想につながるわけですね。
理解するだけじゃなくて、それを能動的に使う科学反応をデザインする視点。
ええ、そういうことなんです。
いやー、これは深いですね。これはぜひ皆さんも考えてみてほしい問いですね。
そうですね。
はい。今回の探究はここまでとしましょうか。ありがとうございました。
ありがとうございました。
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