ディールスアルダー反応の導入
やまラボ Podcastへようこそ。今回は、あなたの手元にある量子化学実験の資料、特にディールスアルダー反応の扱った講義と実習の内容について、一緒に詳しく見ていきたいと思います。
分析動理論と、それからコンピューターシミュレーション、この2つがどう関わってくるのか、そのエッセンスを探っていくのが今回の狙いです。
いいテーマですね。理論的な考え方が実際に目に見える模型とか、あるいはコンピューターの計算によってどう具体的に理解できるのか、それを体験できる、非常に良い題材だと思います。
分子がどう振る舞うかを、予測したり解析したりするための強力なツールに触れるということですね。
そうですね。じゃあまずは基本の確認からいきましょうか。ディールスアルダー反応、これは強薬次元、資料だと1,3-ブタ次元でしたね。
それと、アルケン、ここではエチレン、これが反応して6因間のシクロヘキセンができる、4プラス2感化負荷反応ということですね。
そうですそうです。この反応を分子のレベルで理解する上で、すごく大事なのが分子軌道理論、特にフロンティア軌道と呼ばれるホモ、最高非線軌道とルモ、最低空軌道、この2つの相互作用なんですね。
ホモとルモ。
資料にもありましたけど、シンプルなルールでこの位相が同じ色で揃っていて、重なったら反応が進みますって、この位相が合うかどうかがもう鍵です。
なるほど。実習だとまず分子模型を使いましたよね。
使いましたね。
ブタジエンのホモとエチレンのルモ、それぞれの模型を自分で組み立ててみて、どういう風に重なったら反応が進むんだろうって手で動かしながら考えました。
あそこで結構大事な発見があったはずなんですよ。
つまり、ブタジエンの形、ハイザですね。
シス型だとホモとルモがうまく重なれる。
でもトランス型だと軌道の重なりが良くなくて反応しにくい。
スライドにもありましたね。トランス型の場合、ホモとルモの軌道の重なりが小さい、相互作用が小さいって。
そうなんです。まさに分子の形とその軌道の向きが反応のしやすさ、反応性を決めてるっていう具体例ですよね。
模型でああなるほどなっていう感覚があった上で、今度はコンピューターを使ってもっと数字で見ていこうと。
その通りです。そこからが量子化学計算、コンピューターシミュレーションの本番というか、講義でもで、私たち科学者は図で考えたり、
加えてこれからやるのは量子化計算をしていくと、このディールスアルダー反応をもう少し理論的に解析することができますって説明があった通りで。
量子化学計算の実施
模型での定性的な理解から計算で定量的に見ていくという流れですね。
使ったソフトはガウスビューでしたね。これで分子の構造を作って計算条件を設定すると。
資料だとハートリーフォック法、HF法と3-21Gっていう規定関数計、これ指定されてました。
これって結構入門でよく使われる組み合わせなんですか。
そうですね。まさにHF法っていうのはたくさんの電子がある系の問題を扱う上での基本的な近似の一つですし、3-21Gっていうのも比較的シンプルな規定関数計なんですよ。
もっと複雑でもっと精密な計算ももちろんできるんですけど、まずはこのレベルで分子の基本的な性質とか反応の大まかな傾向をつかむっていうのは教育的にも、あと研究の最初のステップとしてもすごく理にかなってるんですね。
特に大事な計算が構造最適化、OPTプラスフレクってやつですね。
あーありましたね。最初に作った皆さんの構造は安定ではないんだ。一番安定な構造を見つけるっていうのが構造最適化って説明が。
そうそう。
つまりポテンシャルエネルギーの一番低いところを探すみたいな感じですかね。
まさにそういうことです。これで反応物、つまりブタジエンとエチレン。それから生成物のシクロヘキセン。
あと反応途中のエネルギーの山である繊維状態、TSですね。それぞれの一番安定な形とその時のエネルギーが計算できるわけです。
繊維状態、TSを探す計算だけはちょっと特別で、オプティマイズトゥTSっていう設定を使うんでしたね。
ええそうです。
これはエネルギーの暗点、反応経路でのエネルギーが一番高いところを探すから、普通の最適化とはちょっと違うんですね。
そうですね。山の頂上じゃなくて峠みたいな点を探すイメージですね。
計算が終わるといろいろなデータが出てくる。原子間の距離とか分子全体のエネルギー、単位はAUでしたって。
原子単位ですね。
あと原子の電化とか、それからやっぱり重要なホモとかルモの軌道の形とかエネルギーとか、これらをちゃんと記録して分子構造とか軌道の画像も保存しなさいっていう指示でした?
ここで得られた特にエネルギーの値が重要になってくるわけです。
反応物と生成物のエネルギーの差を見れば、その反応が熱を出す発熱反応なのか、逆に熱を吸う吸熱反応なのか、つまり反応エンタルピーが分かる。
それから反応物と繊維状態のエネルギーの差、ここから反応が進むのにどれだけエネルギーが必要か、つまり活性化エネルギーが見積もれるんですね。
活性化エネルギー、これが分かると反応の速さにも関係してくると。
その通りです。活性化エネルギーが分かれば、反応速度の議論、例えばアレニウスの指揮なんかとのつながりも見えてくるわけです。
なるほど。エネルギーの単位、原子単位AUからキロカロリーマイモル、キロカロリーモールへの換算、1AUイコール627.5095キロカロリーモルっていう数字が示されてたのも、そういう計算のためですね。
実験結果のまとめ
ねえ、科学の分野ではキロカロリーモールの方が馴染みがありますからね。そういう考察をしやすくするためです。
最終的にはこれらの計算結果を実験ノートにちゃんと記録して、指定されたフォルダにファイルを整理して、Excelでデータをまとめて提出みたいな感じで実習が終わったんですね。
そうですね。さて、ここまでの一連の体験を通じて、あなたは何をつかんだと感じますか?
そうですね。やっぱり目に見えない中小的な分子起動という概念が、まず分子模型という手で触れるもので実感できて、さらにコンピューターシミュレーションでもっと精密な計算を通して、具体的に数値として理解できるようになったというか。
反応がそもそも何で起こるのかとか、どれくらいのエネルギーの壁を越えなきゃいけないのかみたいな科学反応のすごく大事な部分を、ちゃんと理論に基づいて予測したり説明したりする、そういう力を身につける体験だったなと思います。まさに理論と実践がつながった感じですね。
素晴らしいまとめだと思います。では最後にちょっと発展的な問いかけをしてみましょうか。今回は計算レベルとしてHF321Gを使いましたけど、もしもっと高度な計算方法、例えば密度半関数法DFTとか、あるいはもっと大きなたくさんの関数を使う既定関数計を使ったら、予測されるエネルギーとか分子の構造ってどう変わると思いますか?
それは気になりますね。精度は上がるんでしょうけど。
計算が精密であればあるほど常に良い結果と言えるのか?それとも解きたい問題に応じてその精度と計算にかかる時間とかコストのバランスを考える適切なレベル選びみたいなものが重要になってくるのか?
なるほど。
量子化学計算をこれから使いこなしていく上で、これは結構常に考え続けるべき問いかもしれないですね。
深いですね。今回はここまでということですね。また次回の深掘りでお会いしましょう。