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2025-04-18 07:47

量子化学2(第5回; 2020年版)フロンティア軌道理論とは?

量子化学2(第5回; 2020年版)の「過去の講義動画 」をもとに、講義の主要なトピックについて「2人のAIホストがおしゃべりする」というポッドキャスト風の音声概要を作りました。通学中などの予習・復習に活用してみてください。

音声概要は AI によって生成されるため、「不正確な情報」「音声の乱れ」「漢字や記号の読み間違い」などが含まれる場合があります。

講義資料:https://yamlab.net/lect-qc2

Summary

フロンティア軌道理論は、分子の反応性を予測する上で重要な視点を提供しています。特にナフタレンのニトロ化反応において、ホモとルモという最前線の軌道に注目することで、反応選択性の理解が深まります。

フロンティア軌道理論の導入
やまラボポッドキャストへようこそ。今回はですね、皆さんが提供してくれた量子化学の資料をもとにですね、
化学反応の予測に革命をもたらしたといわれるフロンティア軌道理論、これを深掘りします。
反応がね、分子のどこで起こりやすいのか、その謎に迫っていきたいなと。
これは本当に反応予測の考え方をガラッと書いた理論ですよね。
全部の電子を複雑に考えるんじゃなくて、最前線、フロンティアに注目するっていう。
なるほど。
その画期的な視点と、あと具体的な応用例を今日はお話しできればと思います。
お願いします。
えーと、今回の目標はですね、皆さんがこの理論のエッセンスをつかんで、
ナフタレンのニトロ化っていう具体的な反応を例にして、その力を実感してもらうことです。
わかりました。
えーと、まず基本的な考え方の復習からですが、
以前ちょっと扱ったブタジエンカチオンの話みたいに、分子の中のプラスとかマイナスの偏りありますよね。
ええ、電化分布ですね。
はい。その電化分布が反応部位の予測に役立つっていう話がまずありましたね。
ええ、ありました。静電気的な引力が働くっていうのは、すごく直感的でわかりやすい。
ですよね。
ただ、それだけだと、どうしても説明がつかない現象っていうのが出てくるわけです。
その代表例が、まさに今回のテーマになっているナフタレンのニトロ化なんです。
あー、ナフタレン。
実験をするとですね、これ、αaE、つまり1eの炭素での反応が9割以上と圧倒的に多いんですよ。
9割?すごい選択性ですね。
そうなんです。
なのにです。ヒュッケル法みたいな簡単なπ電子の分布を見積もる計算をしてもですね、
αaEとそれからβaE、2eの炭素で、そのπ電子密度にほとんど差が出ないんですよ。
え?そうなんですか。ほとんど差がない。
ええ。これだと、電子がたくさんあるところにプラスの子役が引き寄せられるっていう、その単純な考え方では、この高い選択性を説明できないと。
うーん、困りましたね。
まさに。そこで登場するのが、福井県一博士が提唱されて、ノーベル科学賞を受賞された、このフロンティア軌道理論なわけです。
ついに出ましたね、フロンティア軌道理論。
ええ。この理論の一番大事な確信の部分は、反応で重要なのは全ての軌道じゃないんだと。
全部じゃない?
エネルギー的に一番外にある特定の軌道なんだっていう、そこがポイントなんです。
へー、エネルギー的に外側。具体的にはそれ、どの軌道になるんですか?
はい。それはですね、電子がすでに入っている軌道、専有軌道の中でエネルギーが最も高いもの、これをホモ、ホモ、最高非軌道と呼びます。
ホモ、はい。
それともう一つ、電子が入っていない空の軌道、空気道の中でエネルギーが最も低いもの、これがルモ、ルモ、最低空気道です。
ルモ。
この2つ、ホモとルモを合わせてフロンティア軌道と呼ぶんです。
なるほど。
福井先生は、全部の電子じゃなくて、この最前線、フロンティアだけを見れば反応性が予測できるんじゃないかと、そう見抜いたわけですね。
いやー、すごい着目点ですね。ホモとルモだけに注目すると。
ええ。
じゃあ、例えば、急電子反応、電子を欲しがっている主役が分子に近づいてくるような反応では、どっちが重要なんですか?ホモですか?
まさにその通りです。ホモの電子っていうのは、エネルギーが一番高い状態にあるわけですから、いわば分子の中から一番外に飛び出しやすい不安定な電子なんです。
ふむふむ、不安定。
ええ。まあ、例えるなら、リンゴの山の一番上に乗っかっている一番取りやすいリンゴみたいな。
あー、分かりやすい例えですね。
なので、電子を欲しがっている急電子主役は、このホモの電子がたっぷりある原子、つまりホモの軌道の係数が大きい原子を狙って攻撃しやすいと予測できるわけです。
なるほど。ホモの電子密度が大きいところが狙われると。えっと、軌道の係数の二乗がその原子上のホモ電子密度に、まあ、だいたい対応するんでしたっけ?
そうですね。大まかにはそういう理解で良いと思います。では、逆に電子リッチで、むしろ電子を与えたいっていう急核主役の場合はどうでしょう?
急核主役の場合、今度は電子を受け入れる側だから、空の軌道の中で一番エネルギーが低いルモ。ルモが大事になってくるということですかね?
その通りです。大正解です。
おお。
ルモは電子を受け入れるための数積の中で、エネルギー的に一番安定、つまり電子にとって一番座り心地の良い積なんです。
座り心地の良い積?
ええ。卵パックの一番低いところにある好きスペースみたいなイメージですね。
なるほど、なるほど。
なので、電子を与えたい急核主役は、このルモの係数が大きい、つまり電子を受け入れやすい原子を攻撃するだろうと、そう予測できるわけです。
ということですよ。あの謎だったナフタレンの二トロ化がαaで圧倒的に起こりやすいその理由が、ホモを見れば説明できるってことですね?
まさにその通りなんです。ナフタレンのホモを実際に計算してみると、その軌道係数がβaよりもαaの方が明らかに大きい。
あ、やっぱりそうなんだ。
つまり、ホモの電子密度がαaで高いわけです。だから、プラスの電荷を乗った急電子主役ニトロニウムイオンは、その電子が多いαaを攻撃しやすい。
この予測が実験で観測される急割以上がαaという事実とピタッと一致するわけです。
うわーすごい!なんか鳥肌立ちました。全体の電子密度っていう平均的な様相では全然見えなかった選択肢が、ホモっていう最前線の情報だけでこんなにクリアに説明できちゃうんですね?
そうなんですよ。ちなみにナフタレンの場合は、ルモの係数もαaの方が大きいので、急拡反応、つまり電子を受け入れる反応でもαaが有利だろうと予測されます。
フロンティア軌道の適用と示唆
へー、ホモもルモもαaが反応しやすいと。
ええ、最近はモルカルクみたいな便利なウェブツールもありますからね。
はい。
こういうのを使うと、ホモとかルモの形、電子空の広がりを3次元で目で見て確認できるんです。
ああ、それは理解が深まりそうですね。
ええ、単に数値を見るだけじゃなくて、軌道の形を図として理解する、いわゆる図解思考がこういう分野では特に重要ですね。
いやー、フロンティア軌道理論、本当に面白いですね。今回は、化学反応の選択性を読み解く非常に強力な鍵、フロンティア軌道理論について深掘りしました。
はい。
単純な電子分布だけじゃなくて、ホモとルモっていう最前線の軌道に注目するだけで、複雑に見えた反応の行方が予測できるという非常にパワフルな考え方でした。
ええ、福井先生がフロンティアと名付けたこの考え方、つまり分子というミクロな世界の反応性が、その変境、最前線の状態に大きく左右されるっていうのは、これ、化学だけじゃなくてすごく示唆に富むと思うんです。
と言いますと?
いや、皆さんが普段考えている他のいろいろな問題とか複雑なシステムにも、もしかしたら全体の軌道を決定づけているような、そういう重要なフロンティアっていうものが存在するんじゃないかなって思うんですね。
なるほど、自分の研究分野とか興味のある対象におけるフロンティアは何かと。
ええ、そうやって考えてみると、何か新しい発見があるかもしれませんね。
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